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サクセッションプランとは。時代に求められる背景や策定のステップ、事例などをご紹介

サクセッションプラン

時代のニーズに適した後継者の人材登用手法として、「サクセッションプラン」を導入する企業が増えています。

サクセッションプランを導入するためには、具体的にどのようなステップを踏み、策定すれば良いのでしょうか。

本コラムではサクセッションプランの策定方法につき、概要や求められる背景、事例などと併せて詳しく解説します。

サクセッションプランの意味や目的、人材育成との違い

サクセッションプラン

サクセッションプランは、企業の重要ポジションである経営者や経営幹部の候補となる人材を抜擢し、育成するための「後継者育成計画」を指す言葉です。元々、英語のサクセッション(succession)には、継承や連続といった意味合いが含まれています。

サクセッションプランの策定と遂行を通し、優秀な人材を育成し、企業にとって重要なポジションを継承することで、企業は後継者不在によるリスクを回避でき、持続的な事業成長を目指せます。

人材育成とサクセッションプランの違い

両者の違いに、「指導者」と「育成項目」が挙げられます。

人材育成は、人事部が主導となり実施されるのが一般的であり、従業員のキャリア形成やスキルアップを目的に、役職や社歴に応じたスキル習得に関する研修などを指します。

一方、サクセッションプランは、経営層が自ら指導者となり、後継者候補に中長期的な育成を計画的に実施する点において、人材育成との違いがあります。また、サクセッションプランでは後継者候補に対し、将来的に経営層として活躍できるよう経営者視点に立った横断的な育成を施すことから、実施期間が数十年と長期に渡ることも珍しくありません。

サクセッションプランの主体とは

サクセッションプランは人事ではなく「経営層が主体」となって行うものであるため、人事の役割は限定的です。ただし、後継者の指名は経営者が主体となって行いますが、候補者の選出や育成計画の企画・立案・運用などは、人事も積極的に関与の上、経営層や他部署との議論を通して決定します。

また、サクセッションプランは、経営者が主体となり経営者に要求されるあらゆるスキルを候補者に伝えていく必要があるため、後継者候補が過度な負担やプレッシャーを感じやすくなる傾向にあります。そのため人事担当者は、幹部候補者に対する定期的なヒアリングと併せ、過度な負担やプレッシャーがかかっていないかにつき、注意深く観察する必要があります。

サクセッションプランが求められる背景

サクセッションプランが多くの企業に求められている背景につき、以下に解説します。

企業の持続的な成長に必要なため

仮にサクセッションプランを策定せず、経営者としての資質や適性を十分に検証せずに後継者を指名した場合、後継者が経営方針を誤り、業績の悪化や事業存続が危ぶまれる事態を招く可能性もあります。

企業の持続的な成長と安定経営の実現に向け、客観的な視点で後継者候補が経営者としての資質や能力が備わっているかを事前に評価できることから、現在サクセッションプランに多くの企業の注目が集まっているのです。

コーポレートガバナンス・コードに記載されたため

上場企業に適用される東京証券取引所によって定められたコーポレートガバナンス・コードには、経営ポジションにおける後継者育成の重要性が明記されています。

コーポレートガバナンス・コードでは、取締役会はサクセッションプランの管理監督を担う組織として、「後継者計画の策定・運用に主体的に関与し、後継者育成について適切に監督を行う」ことが求められています。

上場企業が市場で企業活動を行い高い評価を得るためには、サクセッションプランの策定が不可欠であることも、サクセッションプランが求められる背景の一つとして考えられています。

サクセッションプランのメリット

企業がサクセッションプランを策定・実施するメリットにはなにがあるのでしょうか。以下に代表的なメリットをご紹介します。

人材登用基準の可視化

サクセッションプランのメリットに、人材登用基準の可視化があります。後の経営者となる後継者候補を選定する際は、事前に策定した明確な評価基準に基づき実施するため、人材登用までのステップは可視化されます。

人材登用基準が可視化されることで、会社や経営層への不信感が無くなり、優秀人材のモチベーション維持が期待できる点は、企業にとってのメリットだといえるでしょう。

後継者不在リスクを回避

事業運営にあたり、経営者や経営幹部が突如辞任するケースがありますが、後継者育成が進まず後継者が不在だった場合、経営陣不在を理由としたM&Aや突然の経営陣変更などにより、組織全体に混乱が生じる恐れがあります。

後継者候補を選抜・育成しておくことで、後継者不在のリスクを低減できる点も、サクセッションプランのメリットの1つです。

組織全体の活性化

サクセッションプランは経営層が自ら指導者となり、後継者候補に中長期的な育成を計画的に実施するため、優秀人材の定着化とモチベーション向上に寄与することから、組織全体の活性化も期待できます。

また、外部登用ではなく、経営理念を体現する人材を自社社員から選抜することで、これまで大切にしてきた事業ビジョンや社風を維持することができ、社員が安心して働ける環境を整備できる点も大きなメリットです。

人材育成や採用コストが抑制できる

サクセッションプランでは、既存の社員を後継者候補として選抜するため、外部人材の活用ケースと比較した場合、人材育成や採用にかかるコストを抑制できる点もメリットとして挙げられます。

後継者候補はすでに企業の一員として活躍していることから、事業の特徴や社風を熟知しており、効率的な育成プログラムの策定が可能です。その結果、人材育成や採用コストの抑制が期待できます。

サクセッションプランのデメリット

サクセッションプランにはメリットがある一方、デメリットも存在します。以下に代表的なデメリットを2つご紹介します。

長期プロジェクト化する

サクセッションプランは、将来的に経営者や幹部になることが期待される後継者人材の育成が目的のため、数年から数十年とプロジェクトが長期化する点がデメリットです。

後継者人材が、経営理念や事業ビジョンを深く理解するためには、相応の年数が必要になります。そのため、早期に後継者人材を必要とする企業には、サクセッションプランは不向きだといわれています。

対象から外れた社員のモチベーションの低下

社員がサクセッションプランの候補から外れた場合、「自分は会社から期待されていないのではないか」や「将来のキャリアに期待が持てない」など、育成対象から外れた社員のモチベーション低下を招く可能性があります。

候補者の選出は慎重かつ明確な基準を用いて実施し、対象者も定期的に見直すなど、サクセッションプランの対象から外れた人材のモチベーション維持に努める必要があり、そのための体制・制度づくりに工数がかかる点はデメリットだといえます。

期待する費用対効果が得られないケースも

中長期的に実施されるサクセッションプランですが、プロジェクト途中で後継者候補が退職した場合、それまでに育成にかけたコストや時間がすべて無駄になってしまうリスクも否めません。期待する費用対効果が得られないケースがあることも、サクセッションプランのデメリットとして認識しておくことも大切です。

サクセッションプランの事例

サクセッションプランを企業活動に取り入れる企業は、増加傾向にあります。以下に特徴的な企業事例を、2つご紹介します。

化粧品メーカーのサクセッションプラン事例

A社は化粧品業界の中で、サクセッションプランの策定に注力していることで有名です。具体的にA社では、中長期的な視点で会社のTOPに求められる資質や後継者の選任における考え方、育成方針などを十分に議論した上で、サクセッションプランを策定しています。

また、A社のサクセッションプランでは、後継者候補に対してトップマネジメントに求められる経営スキルやリーダーシップが身に付く研修を用意するなど、次世代の後継者の育成を戦略的に取り入れています。

損害保険会社のサクセッションプラン事例

B社のサクセッションプランの特徴に、質の高い人材の安定輩出に向け、グループ内に数十以上の後継者ポストを用意している点が挙げられます。また、B社では後継者候補の選定に際し、女性比率などを基準に設けるなど、時代のニーズに即した多様な人材の選出に注力していることから、先進的なサクセッションプランの事例として市場の注目を集めています。

サクセッションプランの作り方とは

サクセッションプランの作り方につき、順を追ってご紹介します。

ロードマップの策定

はじめに社長やCEOなどの経営者の就任から、想定される次期就任に向けて、サクセッションプランのロードマップを策定します。

策定時には、現在の経営者の選任・育成プロセスで直面した課題を洗い出した上で、後継者人材の育成につき、「いつ頃までに、誰が、何を行うか」といった点を明確にします。また、サクセッションプランは中長期的に実施される施策のため、国際情勢の変化や不測の事態(災害など)にも対処できるよう、複数のシナリオを想定して策定することも大切です。

ロードマップは以降のプロセスの基盤となるため、ロードマップの策定時には、現社長やCEOを中心に原案を策定し、社外取締役などの外部人材とも議論を重ねながら、決定するのが望ましいといわれています。

あるべき社長・CEO像と評価基準の策定

次に、後継者候補の選出する際の判断軸となる、あるべき社長・CEO像を策定します。このプロセスでは、自社の経営理念や経営戦略を推進できるよう、後継者に求められる資質や能力、経験、実績などを明確に定義しておくことが重要です。

あるべき社長・CEO像を明確化した上で、客観的な評価基準を定めましょう。

基準を満たす後継者候補の選出

策定したあるべき社長・CEO像と評価基準に基づき、後継者候補を選出します。選出する人数は、企業規模や実施期間などによって異なりますが、数名から数十名程度が一般的です。

想定される次の就任時期により時間的余裕がある場合は、数十名程度をリストアップし時間をかけて選抜する方法や、はじめから若手人材を中心に選抜する方法などがあります。一方、想定される次の就任時期が近く、充分な育成時間の確保が見込めない場合は、副社長や事業部長など経営に近い人材から選出するのが良いといわれています。

後継者候補の育成計画の策定・実施

後継者候補の選出後は、後継者候補が求める資質や能力などを早期に習得できるよう、育成計画を策定した上で、実施に移ります。

企業の責任者としての資質や能力、専門性などが身に付くよう、社内研修や外部研修の集中的な実施と併せて、早くから責任あるポジションを経験させる育成計画を盛り込み、計画的に実施しましょう。

後継者候補の評価や入れ替え

後継者候補の状況を定期的にモニタリングの上、あるべき社長・CEO像に照らして評価を行うとともに、必要に応じて後継者候補の入れ替えや絞り込みを行います。評価や入れ替え・絞り込みの客観性を担保するためには、外部専門家の活用も効果的です。

最終候補者の評価および、後継者の指名

数名程度にまで絞り込まれた後継者候補を対象に、あるべき社長・CEO像に照らして最終候補者を決定します。その後、最終評価を実施し、基準をクリアした場合、最終候補者を後継者として指名します。

任命後に後継者の支援を行う

後継者が就任直後から十分にパフォーマンスを発揮できるように、後継者の指名から実際の交代までには一定の移行期間を設けた上で、後継者の支援(サポート)を行います。支援内容として、「現社長・CEOから後継者に対する業務の引継ぎ」や「社内外の関係者への後継者の周知」などがあります。

サクセッションプランのまとめ

サクセッションプランは、プロジェクトの長期化や対象から外れた社員のモチベーション低下などのデメリットがある一方、後継者不在リスクを回避でき、組織全体の活性につながるなど、多くのメリットを期待できることはお伝えの通りです。

企業の持続的な成長と安定経営の実現に、サクセッションプランは欠かせません。ぜひ貴社におかれましても、本コラムの策定手順や企業事例を参考の上、サクセッションプランの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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