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IT人材不足を解決するカギは、「雇用の外」にあり。IT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス責任者に聞く、IT人材獲得の今と未来

荒井雅人さん

「IT」にまつわる問題が市場にあふれ返る中、とりわけ「IT人材不足」が、頻繁に取り上げられるようになりました。

拡大し続けるIT需要に追いつこうと、多くの企業がIT人材不足に悩みながらも解決策を模索しています。そのような中、課題解決の一つとして「フリーランスエンジニアとの協業」を提唱し続ける人物がいました。荒井 雅人さんです。

終身雇用の概念が崩れはじめるとともに、「働き方」がより柔軟になりはじめた今、荒井さんは、「フリーランスエンジニア」の存在こそが、「IT人材不足」を解決するカギになると語ります。

IT人材不足をめぐる問題の根本から、フリーランスエンジニアとの関わり方、その先の未来について、荒井さんにお話を伺いました。

採用難を打ち破る、外部の力

――荒井さんは、今までに「IT人材不足」をめぐる、数々の企業課題に向き合ってこられたかと思います。このご経験から、改めて市場の現状と問題点について教えていただけますか。

「IT人材不足」の根底に、IT業界の構造問題が絡んでいると感じます。

自社でエンジニアを雇うコストは必要最小限に留め、あふれたタスクは別企業に依頼する。依頼された別企業も同じように、自社雇用はなるべく抑え、あふれたタスクをさらに別企業へ依頼する…いわゆる「多重下請け構造」の問題ですね。

多重下請け構造によって、エンジニアは過酷な就労環境下に置かれ、適切な報酬を得られない、行く末はエンジニアを辞めてしまう人が出てしまうという課題があります。あるいは、下請けで下流工程の仕事ばかりでスキルを伸ばせず、優秀なエンジニアがいつまでも育たない、といった事態を招くことになっているとも感じています。

そうしてエンジニアの人手やスキルが不足した結果、今度は多くの企業様が、必要十分なマンパワーを補填できず、サービス開発や事業成長が遅れてしまったり、時にはサービスや事業が成り立たなくなってしまったりという状態が引き起こされていると考えています。

この構造はもう30年ほど前から続いていて、非常に根深い問題だと思います。

――なるほど…。荒井さんは、この問題を解決するカギが「フリーランスエンジニアの活用」ではないか、と考えられているのですね。

そうです。ここ数年は、経済産業省が「DX」や「2025年の崖」などのワードを発信していることもあり、エンジニアを自社で抱え、開発を内製化したい企業様が増えています。

ですが、エンジニアの採用はレッドオーシャン。正社員領域ではありますが、求人倍率が約9倍というデータ(※1)もあるほどで、採用に苦戦されている企業様が多いのは事実です。

エンジニアを自社で雇用することそのものが、なくなるとは思っていません。しかし、採用難という実態から、今後はもっとフリーランスエンジニアの存在にも、注目が集まると考えています。

スキルフルで高度な技術力や専門性を持っているのがフリーランスエンジニアです。そのようなフリーランスエンジニアであれば、現場で実際に手を動かすことができますし、そのような人材から必要なタイミングで支援を受けられることは、派遣やコンサルティングの形態ともまた違う強みがありますからね。

これからフリーランスエンジニアの支援を受けて成功した事例が増えていけば、外部の力をポジティブにとらえる企業様はもっと増えていくと思いますし、その事例をつくっていくのが、私たちの役割だとも思っています。

※1…出典:転職求人倍率レポート(2022年8月時点)/転職サービス「doda」

はじめの一歩は、スモールステップで

荒井雅人さん

――実際に、フリーランスエンジニアの力を活用したことで、成果が出た実例を教えていただけますか。

IT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」では、企業規模を問わず、フリーランスエンジニアの力によって、開発や取組が前進した企業様をたくさん見てきました。

たとえば、ある大手企業様は、「HiPro Tech」経由でスキルフルなフリーランスエンジニアの力を活用いただいたことによって、滞っていたDXプロジェクトが大いに前進しました。その活用期間は、たった数か月でした。

元々正社員雇用にこだわっていた企業様でしたが、雇用をせずとも高い成果は得られるのだと、実感いただいた例だと思います。

――フリーランスエンジニアにはメリットもある一方、まだ心理的な障壁を感じている方も、多くいらっしゃるかと思います。「雇用によらない働き方」を広める立場として、率直な想いをお聞かせいただけますか。

そうですね…フリーランスエンジニアの活用にためらいの気持ちがあるようなら、まずは「事業成長」という本質に、目を向けていただけるといいかなと思います。

「課題を突破するために、今までの慣習や、正社員雇用という枠組みが、はたして必要なのか?」と本質を見つめていくと、本当に必要なことが見えてくることがあると思います。また、「外部」に対するしがらみが、なくなるのではないかとも思うんです。

一方で、私たちのサービスは「使ってみるまで、よさが分からない」という課題が着いて回る領域だとも認識しています。新しいことにはリスクが伴いますし、これまでと異なる方法に踏み切ることに対して抵抗を感じるのは当たり前なのかなと。そのため、まずは「話を聞いてみる」ことをおすすめしたいですね。

――「外部の力」を活用する前に、ということでしょうか。

はい。これは決して、私たちの提供する「HiPro Tech」サービスに限った話ではありません。コンサル会社や銀行、税理士に弁護士…。市場には、課題解決の糸口となるようなサービスがたくさんあります。

とはいえ、これらのサービスも、いきなり活用するにはハードルが高いと思います。そのため、まずは話を聞いてみようかな、相談してみようかな…というレベルからはじめて、「ウチに合いそうだな」と思ったら、まずは短期間、トライアルではじめてみるとよいのかなと思いますね。

そのトライアルが、課題解決の一歩になるかもしれませんし、もし合わなかったら、その時は活用を中断する。はじめはスモールステップでよいので外部の力を活用してみる。そして、徐々に外部の力を活用することのよさに気づいてもらえたらいいな、と思っています。

雇用によらない、未来の在り方

荒井雅人さん

――荒井さんは「雇用によらない働き方」を広めた先に、どんな世界観を目指していますか。

日本は2030年時点、最大で約79万ものIT人材が不足すると予測されているほど(※2)、人手不足に陥っています。またそれだけでなく、あらゆるIT課題が山積されている状態です。

この課題に対して、「IT人材のシェアリング」という考え方が広まれば、人材不足や企業の生産性といった課題も解消されるでしょうし、日本がよりIT先進国に変わっていくと思います。

「必要なタイミングで、外部の力を活用する」という考え方やそのよさを、まずは多くの企業様に知っていただき、活用が浸透するよう、私たちもサービスの在り方を常に考え続けていきたいな、と思っています。

※2…出典:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果/経済産業省

――すてきなお考えですね。「サービスを通じて、市場を変えたい」というお話にも受け取れるのですが、その想いのルーツはどこにあるのでしょうか。

ありがとうございます(笑)。でも、前からこのように考えていたかと言われるとそうでもなくて。どちらかというと以前は、「自己成長」に目を向けていました。

考え方が変わったのは、5年ほど前に1人目の子どもが産まれてからですね。「子どもが大人になった時、未来はどうなっているんだろう?」と、子どもの将来や、そのために自分がはたらく意味について、改めて想いを巡らせることが増えたんです。

親としては、やっぱり子どもが成長した時、明るい未来であってほしいですよね。そこから、「はたらくって、未来をつくることなんだ」と実感したといいますか…サービス提供に対する考え方が大きく変わったのかなと。お客様にサービスを提供する際も、常に「サービスを提供したその先に与える影響」を考えるようになりましたし、「HiPro Tech」のメンバーにも、「売っておわり」ではなく「その先」を見よう、という話をよくするようになりました。

――ありがとうございます。最後に、目指す世界観を実現するため、「HiPro Tech」をどんなサービスにしていきたいですか?

企業様に対しては、私たちのサービスを利用する・しないに関わらず、何から手を付けていいか分からないような抽象度の高いお悩みに直面した時などでも、すぐに頼れる存在としてあり続けたいなと思っています。

一方、フリーランスエンジニアの方々に対しては、ご自身が描かれたいキャリアを実現するための選択肢を、いかに提供できるかが重要だと思っています。

「Web3」や「メタバース」などがトレンドワードとして挙がっているように、企業様はこれからテクノロジーを活用した取組にもっと積極的に取り組んでいくでしょう。フリーランスエンジニアの方々には、これらのチャレンジングな取組に参加いただくことで、幅広い経験やより専門性の高いスキルを得ていただきたいです。そのために、「HiPro Tech」は案件をもっと幅広くご紹介できるサービスでありたいなと思います。

取材後記
世の中に求められるニーズは、目まぐるしく変化しています。企業側も短期間での変化を常に求められる中、柔軟な関わり方ができ、かつスキルフルな「フリーランスエンジニア」は、確かな光明となり、市場全体の成長を促す存在になると言えそうです。

一方、少しシビアな視点でインタビューを振り返ってみると、「旧態依然」でいることに警鐘を鳴らしているようにも、捉えられることに気づきました。

インタビューの途中で、荒井さんが「外部の活用を試みた企業様の共通点は、総じて新しいことに、果敢に挑戦しているように思います」と語られていたのですが、今となってはその言葉が、警鐘の裏付けとして語られていたような気もします。

フリーランスエンジニアの活用を問わず、どんなに小さな一歩でも、変化を恐れないこと。これこそが、発展の“芽”となることにも気づかされたインタビューとなりました。
and HiPro編集部
パーソルキャリア株式会社
and HiPro(アンドハイプロ)は、「『はたらく』選択肢を増やし、多様な社会を目指す」メディアです。雇用によらないはたらき方、外部人材活用を実践している個人・企業のインタビューや、対談コンテンツなどを通じて、個人・企業が一歩踏み出すきっかけとなる情報を発信してまいります。

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