【税理士監修】フリーランスの税金はいくら?種類・計算方法・節税を解説

「フリーランスになったら、税金はいくら払うことになるのだろう」「会社員のころは会社任せだった手続きを、自分でこなせるか不安」と感じている方は多いのではないでしょうか。
フリーランスは、所得税・住民税・消費税・個人事業税の4つの税金を申告・納付する必要があります。さらに2026年(令和8年)分からは基礎控除額が引き上げられるなど、税金のルール自体も変わっています。
本記事では、フリーランスが納める税金の種類と計算方法、年収いくらから税金がかかるのかの目安、節税の方法、陥りやすい落とし穴までを解説します。
2026年(令和8年)分から変わる税金のルール|基礎控除・給与所得控除の引上げ

令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分と令和9年分の所得税に適用されます。
フリーランスの税金に直接関わるのは基礎控除です。年分ごとの控除額は、以下のとおりです。
合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 |
|---|---|---|
132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
同じ所得であっても、2026年分からは差し引ける基礎控除が増えるため、課税される所得(課税所得)が下がります。たとえば合計所得金額が400万円の場合、基礎控除は令和7年分の68万円から令和8年分は104万円となり、課税所得は36万円少なくなります。
また、会社員時代の給与や副業の給与がある方は、給与所得控除の最低額も変わります。令和8年分・令和9年分は、給与の収入金額が220万円までの場合の控除額が74万円となりました(令和7年分は190万円まで65万円)。
なお、住民税の基礎控除は所得税とは別に定められており、今回の引上げはそのまま住民税には当てはまりません。住民税の金額を見積もる際は、所得税の控除額を流用しないように注意しましょう。
フリーランスに関わる税金の仕組みと計算方法をわかりやすく解説
会社員時代とは異なり、税金に関する手続きを自分で行う必要があるため、不安に感じるのは当然です。ここでは、フリーランスが知っておくべき税金の基礎知識や、具体的な計算方法、納付時期を解説します。
フリーランスが知っておくべき税金の基礎知識
フリーランスが納める税金は、会社員とは種類や計算方法が異なります。主な税金の種類としては、所得税、住民税、消費税、個人事業税などがあります。これらの税金は、所得に応じて課税されるため、まずは所得を正しく理解することが重要です。
所得とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額のことを指します。この所得に対して税率をかけることで、税額を計算します。
このように、税金の仕組みはフリーランスにとって非常に重要な要素です。制度を知らないまま放置してしまうと、思わぬトラブルにつながることもあります。だからこそ、税金に関する基本的な知識を押さえておきましょう。
フリーランスは年収いくらから税金がかかる?税目別の分岐点一覧
フリーランスに税金がかかるかどうかは、「年収(売上)」ではなく、売上から経費などを差し引いた「所得」で判断します。税目ごとに判断の基準が異なるため、まずは以下の一覧で目安をつかみましょう。
税目 | 判断の基準 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
所得税 | 所得から所得控除を差し引いた課税所得があるか | 所得控除が基礎控除だけなら、所得が104万円を超えると課税(令和8年分) | 青色申告特別控除(最大65万円)は、収入金額から必要経費を差し引いた事業所得から控除される |
住民税 | 前年の所得と、住民税独自の控除額・非課税基準 | 所得税がかからない所得でも課税されることがある | 非課税基準は自治体や家族構成で異なる |
消費税 | 原則基準期間(2年前)の課税売上高 | 1,000万円を超えると納税義務が生じる | インボイス登録をした場合は売上高にかかわらず納税義務がある |
個人事業税 | 法定業種に該当するか、事業の所得 | 事業主控除290万円を超えた部分に課税 | 業種によって課税・非課税が分かれる |
たとえば、所得税の基礎控除以外に所得控除がない方の場合、売上から経費と青色申告特別控除を差し引いた所得が104万円以下であれば、原則として令和8年分の所得税はかかりません。ただし、国民年金保険料などの社会保険料控除があれば、さらに多くの所得まで所得税はかからなくなります。
一方、住民税は所得税より低い所得から課税されることがあるため、「所得税がかからない=税金ゼロ」とは限りません。お住まいの市区町村の基準もあわせて確認しましょう。
税金の種類と計算方法
フリーランスが支払う主な税金の種類と計算方法を、分かりやすく解説します。
所得税及び復興特別所得税
1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税される税金です。所得金額に応じて税率が変わる「超過累進課税」が導入されています。所得税の計算方法は以下の通りです。
- 所得金額 =収入金額 - 必要経費
- 課税所得 = 所得金額 - 所得控除
- 所得税額 = 課税所得 × 税率 - 税額控除
※復興特別所得税の計算方法は所得税額×2.1%
所得税の税率は、課税所得に応じて5%から45%の7段階です。なお、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、新たに防衛特別所得税が創設されます(2026年9月時点情報)。
住民税
住んでいる都道府県や市区町村に納める税金です。所得に応じて課税される所得割と、所得に関わらず定額で課税される均等割があります。
所得割の税率は原則10%で、前年1年間の所得をもとに計算されます。均等割は標準税率で年4,000円(都道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)で、これに森林環境税(国税)1,000円が加算されます(2026年9月時点情報)。
出典:個人住民税(総務省)
消費税
商品やサービスの販売時に課税される税金です。フリーランスの場合、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生じます。また、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合や、インボイス発行事業者として登録すると、課税事業者となります(2026年9月時点情報)。他の判定方法により、納税が必要になる場合もあるので、税務署または税理士に確認するようにしましょう。
出典:国税庁「消費税のしくみ」
個人事業税
特定の事業を営む場合に課税される税金です。業種によって税率が異なり、事業所得等から各種控除を行った後の額について、事業主控除290万円の控除額を差し引いた金額に税率をかけて計算します(2026年9月時点情報)。たとえば東京都では、コンサルタント業やデザイン業などの第1種・第3種事業の多くが税率5%です。
これらの税金について、それぞれの税金内容、計算方法を理解しておくことが重要です。
年間の税金・社会保険料をまとめて把握する早見表(所得300万円/500万円/800万円)
実際にどれくらいの税金・社会保険料がかかるのかを、所得別の目安として以下にまとめました。単身者で、所得控除は基礎控除と国民年金保険料の社会保険料控除のみとした場合の概算です。
項目 | 所得300万円 | 所得500万円 | 所得800万円 |
|---|---|---|---|
所得税(復興特別所得税を含む) | 約8.9万円 | 約40.4万円 | 約103.3万円 |
住民税 | 約23.8万円 | 約43.8万円 | 約73.8万円 |
国民年金保険料 | 約21.5万円 | 約21.5万円 | 約21.5万円 |
国民健康保険料 | お住まいの自治体で計算 | お住まいの自治体で計算 | お住まいの自治体で計算 |
※令和8年分の税制に基づく概算です。国民健康保険料は、自治体によって計算方法が異なるため、お住まいの市区町村の案内で確認してください。国民健康保険料も社会保険料控除の対象となるため、実際の所得税・住民税は上記より低くなります。
年収別の詳しい計算過程や手取り額のシミュレーションは、以下の記事で解説しています。
出典:No.1199 基礎控除(国税庁)/No.2260 所得税の税率(国税庁)/国民年金保険料(日本年金機構)/個人住民税(総務省)
▼関連記事
【年収別】フリーランスの税金をシミュレーション!節税対策もわかりやすく解説|税理士監修
【社労士監修】フリーランスは国民健康保険の加入が必須?計算方法・手続き・節約術を徹底解説
税金を納める時期はいつ?確定申告の流れを解説
フリーランスが税金を納めるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得と税金を計算し、税務署に申告する手続きのことです。確定申告の期間は、原則翌年の2月16日から3月15日まで(開始日・最終日が土日の場合は、翌営業日が開始日・最終日)となっています。確定申告の流れは以下の通りです。
1.必要書類の準備
確定申告に必要な書類(収入や経費の記録、控除証明書など)を準備します。
2.確定申告書の作成
国税庁の確定申告書作成コーナーなどを利用して、確定申告書を作成します。
3.税務署への提出
作成した確定申告書を、税務署に提出します(窓口・郵送・e-Tax)。
4.納税
確定申告で計算された税金を、納期限までに納付します(振込、クレジットカード、口座振替など)。
1年間の納税スケジュールカレンダー
確定申告以外にも、フリーランスは1年を通じてさまざまな税金・保険料を納めます。主な納付時期を以下にまとめました。
時期 | 税金・保険料 | 内容 |
|---|---|---|
2月16日〜3月15日(休日等により変動) | 所得税(復興特別所得税を含む) | 前年分の確定申告と納付 |
3月31日 | 消費税(課税事業者のみ) | 前年分の確定申告と納付 |
6月・8月・10月・翌年1月 | 住民税(普通徴収) | 納税通知書で年4回に分けて納付(納期は市区町村により異なる) |
8月・11月 | 個人事業税(課税対象者のみ) | 納税通知書で年2回に分けて納付 |
毎月(翌月末) | 国民年金保険料 | 納付対象月の翌月末日が期限(前納も可能) |
※国民健康保険料の納期は市区町村によって異なります(2026年9月時点情報)。
納付月が重なる8月や、確定申告後の3〜4月は支出が大きくなりやすい時期です。あらかじめ時期を把握し、納税資金を分けて管理しておきましょう。
確定申告は、フリーランスにとって年に一度の重要なイベントです。期限内に正しく申告・納税を行いましょう。
▼関連記事
【税理士監修】フリーランスは確定申告が必要?ケース別の判断基準やメリット、やり方を解説
フリーランスが今すぐできる税金対策!今日から始める節税術
フリーランスとしてはたらく上で、税金は必ず対応すべき事項です。そして、正しい知識と対策をとることで、税負担を軽減し、より多くの収入を手元に残せます。ここでは、今日から始められる効果的な節税術を3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
経費を正しく理解して賢く節税!計上できるもの一覧
経費は、事業を行う上で必要な支出であり、所得から差し引けます。つまり、経費を増やすほど課税対象となる所得が減り、結果的に税金を抑えられるのです。しかし、「どこまでが経費になる?」と疑問に思う人もいるでしょう。ここでは、フリーランスが計上できる主な経費の項目を一覧でご紹介します。
事業に関わる費用
経費の項目 | 説明 |
|---|---|
通信費 | 業務で使用するインターネット回線料金、携帯電話料金などが該当します。 |
交通費 | 打ち合わせや取材など、業務に必要な移動にかかる費用(電車代、バス代、タクシー代、ガソリン代など)が該当します。 |
旅費 | 出張の際の宿泊費、交通費などが該当します。 |
接待交際費 | 取引先との会食費用、贈答品代などが該当します。 |
広告宣伝費 | ホームページ作成費用、広告掲載費用、チラシ作成費用などが該当します。 |
消耗品費 | 事務用品、文房具、名刺代などが該当します。 |
新聞図書費 | 業務に関連する書籍、雑誌の購入費用などが該当します。 |
研修費 | スキルアップのためのセミナー受講料、研修参加費などが該当します。 |
地代家賃 | 仕事で使用する事務所やコワーキングスペースの賃料、自宅兼事務所の場合は、家賃の一部を経費として計上できます。 |
水道光熱費 | 自宅兼事務所の場合、電気代、ガス代、水道代の一部を経費として計上できます。 |
減価償却費 | 10万円以上のパソコンやカメラなどの減価償却資産は、耐用年数に応じて減価償却費として計上します。また、青色申告者の特例として、令和8年4月1日以後に取得した10万円以上40万円未満(それ以前の取得分は10万円以上30万円未満)の減価償却資産は、「少額減価償却資産」として年間300万円まで取得した年に一括で必要経費にできます。 |
修繕費 | 業務で使用する設備や備品の修理費用が該当します。 |
その他
経費の項目 | 説明 |
|---|---|
税理士顧問料 | 税理士に税務相談や確定申告を依頼した場合の費用が該当します。 |
損害保険料 | 事業に関する保険料(火災保険、賠償責任保険など)が該当します。 |
少額減価償却資産の特例(取得価額40万円未満・令和8年4月1日以後の取得分)
青色申告をしているフリーランスは、取得価額10万円以上40万円未満の減価償却資産を、取得して業務に使い始めた年に一括で必要経費にできます。対象が40万円未満に広がったのは令和8年4月1日以後に取得したものからで、それ以前に取得したものは30万円未満が対象です。
ただし、特例を使えるのは1年間の取得価額の合計が300万円に達するまでです。適用期限は令和11年3月31日までの取得分となっています。
これらの経費は、事業との関連性を明確に説明できるように、領収書や請求書などをしっかり保管しておくことが重要です。また、プライベートと事業の両方で使用するもの(例えば、自宅の家賃や光熱費)は、使用割合に応じて経費として計上する必要があります。
確定申告の際に経費を有効に活用することで、税金の軽減につながります。
▼関連記事
【税理士監修】フリーランスの経費の完全ガイド。使える経費はいくらまで?節税と確定申告について解説
青色申告と白色申告はどちらを選ぶべき?
確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類が存在します。どちらを選ぶかによって、税金の計算方法や控除額などが異なります。
青色申告のメリット
青色申告特別控除 | 最大65万円(または55万円・10万円)の控除が受けられます。これは、白色申告にはない大きなメリットです。複式簿記で記帳し、e-Taxで申告するか優良な電子帳簿を保存するなどの要件を満たすと65万円、紙で提出した場合は55万円の青色申告特別控除が受けられます。 |
純損失の繰り越し・繰り戻し | 事業で損失が出た場合、翌年以降3年間にわたって繰り越して所得から差し引いたり、前年に繰り戻して税金の還付を受けたりできます。 |
貸倒引当金 | 将来回収不能になる可能性のある売掛金などを、必要経費として計上できます。 |
家族への給与を経費にできる | 一定の条件を満たせば、家族への給与を必要経費として計上できます(青色事業専従者給与)。 |
青色申告のデメリット
複式簿記での記帳が必要 | 白色申告に比べて、記帳が複雑になります。 |
事前の申請が必要 | 青色申告をするためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。 |
白色申告のメリット
記帳が簡単 | 単式簿記での記帳で済むため、青色申告に比べて記帳が簡単です。 |
白色申告のデメリット
特別控除がない | 青色申告のように大きな控除はありません。 |
純損失の繰り越し・繰り戻しができない | 事業で損失が出ても、翌年以降に繰り越したり、前年に繰り戻したりすることはできません。 |
一般的に、青色申告は白色申告よりも節税効果が高いと言われています。特に、青色申告特別控除は大きなメリットであり、積極的に活用したいところです。ただし、複式簿記での記帳が必要となるため、会計ソフトを活用したり、税理士に相談したりといった対策が必要となる場合があります。
所得控除・ふるさと納税を活用した節税(小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税)
経費と青色申告のほかにも、国が用意している制度を使うことで税負担を軽くできます。フリーランスが活用しやすい代表的な制度は、以下のとおりです。
制度名 | 控除の種類 | 上限の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
小規模企業共済 | 小規模企業共済等掛金控除(全額が所得控除) | 掛金は月額1,000円〜7万円 | 共済金は原則として廃業・退任時に受け取る。加入期間が短いうちに任意解約すると元本割れすることがある |
iDeCo(個人型確定拠出年金) | 小規模企業共済等掛金控除(全額が所得控除) | フリーランス(第1号加入者)は国民年金基金などとの合計で月6.8万円(2026年12月から月7.5万円) | 原則60歳まで引き出せない。運用成果によって受取額が変わる |
ふるさと納税 | 寄附金控除(所得税)・寄附金税額控除(住民税) | 所得や家族構成で変わる控除上限額までなら、自己負担は2,000円 | 上限を超えた寄附は自己負担が増える。確定申告をする方はワンストップ特例を使えない |
小規模企業共済やiDeCoは、節税と同時に将来の資金を準備できる点がメリットです。一方で、掛金は長期間引き出せないため、生活費や納税資金を圧迫しない金額に設定しましょう。
出典:小規模企業共済制度について(中小企業庁)、iDeCoの加入対象者・拠出限度額(厚生労働省)、ふるさと納税の控除額の計算(総務省)
フリーランスが陥りやすい税金の落とし穴の例
フリーランスとして活動していく上で、税金は避けて通れない道です。しかし、税金の知識不足や不慣れな手続きによって、思わぬ落とし穴に陥ってしまうケースも少なくありません。ここでは、フリーランスが陥りやすい税金の落とし穴を4つの事例を通してご紹介し、具体的な回避策を解説します。
事例1:必要経費の計上漏れ - レシート整理の重要性
フリーランスが陥りやすい落とし穴として、まず挙げられるのが「必要経費の計上漏れ」です。必要経費は、事業を行う上で必要な支出であり、所得から差し引くことで課税対象となる金額を減らせます。しかし、経費の把握不足やレシート紛失で、本来必要経費として計上できる支出を申告できず、結果として税金を払い過ぎてしまうケースがあります。
回避策:日頃からレシートを整理し、経費をしっかり管理する
経費の計上漏れを防ぐためには、日頃からレシートや領収書を整理し、経費をしっかり管理することが重要です。具体的には、以下のような対策が有効です。
レシートは必ず保管する
事業に関わる支出をした際は、必ずレシートや領収書を保管しましょう。
レシートを整理する
レシートを日付順や項目別に整理しておくと、確定申告の際に集計しやすくなります。最近では、レシートをスマホで読み取って自動でデータ化してくれるアプリや、クラウド会計ソフトと連携できるサービスも登場していますので、積極的に活用しましょう。
必要経費になるものを把握する
事業に関わる支出であれば、さまざまなものが経費として計上できます。例えば、自宅を事務所として使用している場合の家賃や光熱費、仕事で使用する書籍代、セミナー参加費、交通費、通信費などが挙げられます。経費として計上できるものをしっかり把握しておきましょう。
経費について正しく理解し、漏れなく計上することで、節税効果を高められます。
事例2:納税資金の準備不足 - 計画的な貯蓄のススメ
確定申告で税額が確定した後、「納税資金が足りない」と慌てるフリーランスは少なくありません。特に、売り上げが好調な年は、納税額も高額になる傾向があるため、事前に十分な資金を準備しておく必要があります。納税資金が不足すると、延滞税が発生したり、最悪の場合、財産を差し押さえられたりする可能性もあります。
回避策:毎月、納税資金を積み立てておく
納税資金の準備不足を防ぐためには、毎月、計画的に納税資金を積み立てておくことが重要です。具体的には、以下のような対策が有効です。
年間の所得を予測する
過去の収入や現在の売り上げ状況から、年間の所得を予測しましょう。
税額を概算で計算する
予測した所得に基づいて、所得税、住民税、消費税などの税額を概算で計算しましょう。
毎月の積立額を決める
計算した税額を12か月で割り、毎月の積立額を決めましょう。
積立専用の口座を開設する
生活費とは別に、積立専用の口座を開設し、毎月必ず積み立てを行いましょう。
計画的に納税資金を積み立てておくことで、納税時期に慌てることなく、安心して納税できます。
事例3:確定申告の期限遅れ - ペナルティを避けるために
確定申告の期限は、原則として毎年3月15日です。しかし、確定申告の手続きに手間取ったり、期限を忘れてしまったりして、確定申告が遅れてしまうフリーランスも少なくありません。確定申告が期限に遅れると、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課せられる恐れがあります。
たとえば、税務署の調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合でも、原則として納付すべき税額の5%の無申告加算税がかかります。調査を受けた後の申告では、税額に応じて15〜30%に上がります(2026年9月時点情報)。
回避策:早めに準備を始め、期限内に必ず申告する
確定申告の期限遅れを防ぐためには、早めに準備を始め、期限内に必ず申告することが重要です。具体的には、以下のような対策が有効です。
早めに準備を始める
確定申告の準備はできるだけ早めに始めましょう。1月から準備を始めれば、余裕を持って手続きを進められます。
必要な書類を揃える
確定申告に必要な書類(源泉徴収票、経費の領収書、控除証明書など)を事前に確認し、早めに揃えておきましょう。
e-Taxを利用する
e-Tax(電子申告)を利用すれば、自宅からオンラインで確定申告を行えます。税務署に行く手間が省けるだけでなく、還付金が早く振り込まれるなどのメリットもあります。
税理士に相談する
確定申告の手続きに不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。税理士は、税金の専門家であり、確定申告の手続きを代行してくれるだけでなく、節税に関するアドバイスもしてくれます。
確定申告は、フリーランスにとって重要な義務です。期限を守って正しく申告することで、ペナルティを避けられます。
事例4:電子取引データを紙で保存していた
メールで受け取ったPDFの請求書や、ECサイトからダウンロードした領収書を、印刷して紙だけで保存しているケースも注意が必要です。電子帳簿保存法により、こうした電子取引のデータは、原則としてデータのまま保存しなければなりません。
回避策:電子で受け取った書類は、受け取ったデータのまま保存する
会計ソフトを使っていない場合でも、「日付_取引先_金額」のようにファイル名をそろえてフォルダに保存しておけば、あとから検索しやすくなります。保存の要件や具体的な方法は、国税庁の電子帳簿保存法特設ページで確認できます。
▼関連記事
【税理士監修】フリーランスのための領収書ガイド|発行・保存の方法や注意点を徹底解説
フリーランスの税務調査|見られるポイントと日頃の備え
フリーランスも、会社員と同じく税務調査の対象になります。一般的に行われるのは、事前に税務署から連絡がある任意調査です。
税務調査で見られやすいポイントと日頃からできる備え
税務調査では、帳簿や領収書をもとに、申告内容が正しいかを確認されます。フリーランスが特に見られやすいのは、以下のようなポイントです。
- 架空経費やプライベートな支出を経費に計上していないか
- 売上の計上漏れや、計上時期のズレ(期ズレ)がないか
- 外注費を計上している場合に、契約書や請求書、支払記録がそろっているか
日頃から正確に帳簿をつけ、領収書や請求書などの証拠書類を保存しておけば、税務調査を過度に心配する必要はありません。税務調査の流れや当日の対応は、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連記事
【税理士監修】フリーランスも税務調査の対象?対応方法や来ないためのポイントを税理士が解説
2026年時点で押さえたいフリーランスの税制トピック
フリーランスを取り巻く税制は、毎年のように見直されています。ここでは、2026年時点で押さえておきたい制度の動きを紹介します。
フリーランスの税金の最新情報と今後の展望
フリーランスを取り巻く税制環境は常に変化しています。ここでは、最新の制度改正や今後の展望について解説し、変化の波に乗り遅れないための情報を紹介します。
インボイス制度導入の影響は?
2023年10月1日から始まったインボイス制度は、フリーランスに大きな影響を与えています。特に、これまで消費税の納税を免除されていた免税事業者のフリーランスは、制度導入によって課税事業者になるか、免税事業者のままでいるかを選択しなければなりません。
課税事業者になった場合、消費税の申告・納税義務が発生しますが、インボイス(適格請求書)を発行できるため、取引先(特に課税事業者)との取引を継続しやすくなります。一方、免税事業者はインボイスを発行できないため、取引を敬遠されたり報酬の引き下げを要望されたりするリスクが考えられるでしょう。
インボイス制度への対応は、フリーランス一人ひとりの状況によって異なります。取引先との関係性、売り上げ規模、事務処理能力などを考慮し、慎重に判断することが大切です。インボイス制度の影響については、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 免税事業者への影響:取引減少や価格交渉の可能性
- 課税事業者への影響:消費税申告・納税義務の発生、インボイス発行による取引の円滑化
- 経過措置:免税事業者からの仕入れにかかる消費税額の一部を控除できる経過措置が、令和13年9月30日まで段階的に割合を縮小しながら設けられている
また、免税事業者からインボイス登録をして課税事業者になった方は、納付する消費税額を売上税額の2割にできる「2割特例」を使えます。ただし、2割特例の対象は令和8年9月30日までの日を含む課税期間までで、個人事業者の場合は令和8年分が最後です。
令和9年分と令和10年分については、インボイス登録により免税事業者から課税事業者となった個人事業者を対象に、納付税額を売上税額の3割とできる「3割特例」が設けられています。3割特例の終了後は、簡易課税制度か、実際の仕入れにかかる消費税額を差し引く本則課税のどちらかで計算することになります(2026年9月時点情報)。
出典:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(国税庁)、インボイス制度特設サイト(国税庁)
自身の状況と照らし合わせて、税理士などの専門家への相談も検討しましょう。
▼関連記事
フリーランスのためのインボイス制度を解説|対策・登録・請求書作成のポイント総まとめ
フリーランス支援策:税制優遇措置に注目
政府は、多様なはたらき方を推進するため、フリーランス向けの支援策を拡充しています。税制面では、所得税や住民税の計算における特例措置や、事業に必要な経費を幅広く認めるなどの優遇措置が設けられています。
例えば、小規模企業共済制度は、フリーランスの退職金制度として活用でき、掛金が全額所得控除の対象となるため、節税が可能です。
他にも、事業に必要な書籍代、セミナー参加費、通信費、交通費などを経費として計上することで、所得を圧縮し、税負担を軽減可能です。ただし、経費として認められるためには、事業との関連性を明確にする必要があります。領収書や請求書を保管し、帳簿にしっかり記録することが重要です。
最新のフリーランス支援策については、経済産業省や中小企業庁のウェブサイトで確認できます。また、税理士に相談することで、自身の状況に合った最適な節税方法を見つけられるでしょう。
税理士を活用するメリット:相談事例と選び方
「確定申告が面倒」「節税対策がわからない」「税務調査が不安」といった悩みを抱えている人は珍しくありません。上記のような場合に頼りになるのが、税理士です。
税理士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 税務申告の代行:複雑な税務申告を正確かつ迅速に代行してもらえます。
- 節税対策のアドバイス:専門的な知識に基づき、最適な節税対策を提案してもらえます。
- 税務調査の対応:税務調査の立ち会いから、税務署との交渉まで、全面的にサポートしてもらえます。
- 経営相談:税務・会計の知識を活かし、経営に関する相談に乗ってもらえます。
税理士を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 実績と経験:フリーランスの税務に精通しているか、実績は十分かを確認しましょう。
- コミュニケーション能力:相談しやすい人柄か、丁寧に説明してくれるかを確認しましょう。
- 料金体系:料金体系が明確で、納得できる金額かを確認しましょう。
- 相性:長く付き合える相性の良い税理士を選びましょう。
税理士との顧問契約は、月額顧問料と決算申告料が発生しますが、税務に関する不安を解消し、本業に集中できる環境を整えられます。無料相談を実施している税理士も多いので、まずは相談してみるのがおすすめです。
フリーランスの税金に関するよくある質問
ここでは、フリーランスの税金に関して特によくある質問と、その回答をまとめました。税金に関する不安や疑問の解消にぜひお役立てください。
Q1. フリーランスは年収いくらから税金を払う?
フリーランスが税金を支払うかどうかは、年収ではなく「所得」で判断されます。所得とは、売上(収入)から必要経費を差し引いた金額のことです。
所得税や住民税の課税基準は個人の状況によって異なりますが、一定以上の所得がある場合は納税義務が発生します。また、所得税が発生しない場合でも、住民税の申告が必要になるケースもあります。
税目ごとの目安は、「フリーランスは年収いくらから税金がかかる?税目別の分岐点一覧」で紹介しています。
フリーランスとして活動を始めたら、税金が発生するかどうかに関わらず、日頃から収入や経費を記録しておくことが大切です。
▼関連記事
【年収別】フリーランスの税金をシミュレーション!節税対策もわかりやすく解説|税理士監修
【税理士監修】フリーランスの経費の完全ガイド。使える経費はいくらまで?節税と確定申告について解説
Q2. フリーランスは確定申告しないとどうなる?
確定申告が必要にもかかわらず申告しなかった場合、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。また、青色申告特別控除などの税制上のメリットを受けられなくなる場合があります。
申告期限が近づいてから慌てないためにも、日頃から帳簿付けや領収書の管理を行い、早めに準備を進めておくことが重要です。
▼関連記事
【税理士監修】フリーランスは確定申告が必要?ケース別の判断基準やメリット、やり方を解説
【税理士監修】フリーランスは青色申告にすべき?メリット・デメリットや申請のやり方徹底解説
Q3.フリーランスは会社員より税金が高い?
必ずしもフリーランスのほうが税金が高いとは限りません。
会社員は給与所得控除の適用を受けられる一方、フリーランスは事業に必要な支出を経費として計上できるため、状況によって税負担は異なります。また、税金だけでなく、国民健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料負担も含めて総合的に比較する必要があります。
フリーランスは青色申告特別控除や小規模企業共済などの制度を活用することで、税負担を軽減できる可能性があります。
▼関連記事
【社労士監修】フリーランスは国民健康保険の加入が必須?計算方法・手続き・節約術を徹底解説
Q4. 会社員から独立した1年目は、税金でどんな点に注意が必要ですか?
独立1年目に注意したいのは、会社員時代の所得にかかる住民税です。住民税は前年1年間の所得をもとに計算されるため、独立して収入が減った年でも、会社員時代の給与に対する住民税を納める必要があります。
会社を辞めると給与からの天引き(特別徴収)ができなくなるため、残りの住民税は自分で納める普通徴収に切り替わるのが一般的です。退職時期によっては最後の給与からまとめて差し引かれることもあるため、会社の担当部署にも確認しておきましょう。
国民健康保険料も、多くの自治体で前年の所得をもとに計算されます。独立直後は収入が安定しにくいため、住民税と国民健康保険料の支払いに備えて、会社員時代の給与数か月分を目安に資金を確保しておくと安心です。
▼関連記事
【税理士監修】フリーランスの住民税・所得税はいくら?計算方法・支払い時期・節税対策を解説
フリーランスになる際に必要な準備は?独立前・独立後に分けて徹底解説
税金の仕組みを理解して、安心してフリーランスを続けよう
フリーランスが納める主な税金は、所得税・住民税・消費税・個人事業税の4つです。2026年分からは所得税の基礎控除が最大104万円に引き上げられるため、改正後の金額で税額を見積もりましょう。節税の柱は、経費の正しい計上と青色申告です。
まずは、納税スケジュールを確認し、納税資金を毎月積み立てることから始めましょう。
安定して税金を納め続けるには、継続的な案件の確保も欠かせません。副業・フリーランス向けマッチングプラットフォーム「HiPro Direct」、を活用し、自分のスキルを活かせる案件を、今すぐ探してみてください。
(監修日:2026年10月13日)

山本聡一郎税理士事務所(https://nagoya-soutax.com/)|税理士
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
この記事が気に入ったら「シェア」





