副業の年末調整はどうする?確定申告が必要なケースと住民税の注意点

「副業を始めたけれど、年末調整は本業と副業のどちらでするの?」「副業の収入があると、会社に知られてしまうの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
年末調整は本業の会社1か所でしか受けられず、副業の収入は原則として自分で確定申告して精算します。さらに2026年(令和8年)分からは基礎控除などが引き上げられ、例年とは計算の前提も変わります。
本記事では、副業をしている人が知っておくべき年末調整の基礎知識、2026年分の変更点、確定申告が必要になるケース、住民税の仕組みまでを解説します。
副業をしている人なら知っておくべき「年末調整」とは

年末調整とは、会社員などの給与所得者が、毎月の給与から源泉徴収された所得税の過不足を調整する手続きのことです。通常、会社が従業員に代わって行います。
具体的には、1年間の給与総額から所得控除(扶養控除、社会保険料控除など)を差し引いた金額に税率をかけて所得税額を計算し、年間の源泉徴収額との差額を調整します。払いすぎた場合は還付され、不足している場合は追加で徴収されるのが特徴です。
年末調整は、給与所得者にとって非常に重要な手続きであり、適切に行うことで税金の払いすぎを防ぎ、適正な税金を納められます。
項目 | 詳細 |
|---|---|
対象者 | ・会社員などの給与所得者 ・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人 ・年間を通じて勤務している人や、年の途中で就職し年末まで勤務している人 ・年間給与総額が2,000万円以下の人(それ以上は確定申告が必要) |
目的 | 所得税の過不足を調整 |
実施者 | 勤務している会社 |
内容 | 1年間の給与総額から所得控除を差し引いて所得税額を計算し、年間の源泉徴収額との差額を調整 |
結果 | 払いすぎた場合は還付、不足している場合は追加徴収 |
出典:No.2665 年末調整の対象となる人(国税庁)
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2026年(令和8年)分の年末調整で変わる点|基礎控除・給与所得控除の引上げ
令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除と給与所得控除(最低保障額)が引き上げられました。改正は2026年(令和8年)12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます(2026年10月時点情報)。
※令和10年分以降も変更となります
2026年11月までの給与の源泉徴収は改正前のままで、12月に行う年末調整の際に改正後の控除額で1年分の税額を計算し直して精算します。副業分を確定申告する場合も、2026年分は改正後の控除額で計算します。
基礎控除額は、合計所得金額に応じて以下のとおりです。
合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 |
|---|---|---|
132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
2,350万円超 | 48万円〜0円 | 48万円〜0円(改正なし) |
出典:No.1199 基礎控除(国税庁)(2026年9月時点情報)
給与所得控除額は、給与収入が低い範囲で以下のように変わりました。
給与等の収入金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 |
|---|---|---|
190万円以下 | 65万円 | 74万円 |
190万円超220万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | 74万円 |
220万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | 収入金額×30%+8万円 |
副業をしている人にとっては、本業の年末調整で適用される控除額が増えるため、同じ収入でも課税所得が下がる点が大きな変化です。
あわせて、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件も合計所得金額62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)に改正されました。なお、住民税の控除額は所得税とは別に定められているため、所得税の数値をそのまま当てはめないようにしましょう。
副業所得は本業の年末調整に該当しない
原則として、年末調整は1社のみで行われます。複数の勤務先がある場合でも、「給与所得者の扶養控除等申告書」は1か所にしか提出できないため、副業では年末調整を行いません。
副業が給与所得(アルバイトやパートなど)の場合、副業先から年末調整関連の書類が渡されることがありますが、提出する必要はありません。一方で、確定申告の条件に応じて、自分で申告をする必要があります。
また、雑所得や事業所得なども年末調整の対象外です。業務委託契約やアフィリエイトサイトなどの副業で得た所得は、本業の年末調整には含まれず、別途確定申告が求められます。
以下の章では、副業で確定申告が必要なケースについて詳しく解説します。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は1か所にしか出せない|甲欄と乙欄の違い
給与を2か所以上から受け取っている場合、扶養控除等申告書を提出した先の給与が「主たる給与」、それ以外が「従たる給与」として扱われます。主たる給与は源泉徴収税額表の「甲欄」、従たる給与は「乙欄」で源泉徴収税額が計算されます。
本業・副業の違いは、以下のとおりです。
区分 | 扶養控除等申告書 | 源泉徴収の計算 | 年末調整 |
|---|---|---|---|
本業の給与(主たる給与) | 提出する | 税額表の甲欄 | 本業の会社で行う |
副業の給与(従たる給与) | 提出しない | 税額表の乙欄 | 原則行わない(確定申告で精算) |
業務委託などの報酬 | 対象外 | 原稿料など一定の報酬のみ源泉徴収される | 行わない(確定申告で精算) |
乙欄は扶養控除などを反映せずに税額を求めるため、同じ給与額でも甲欄より源泉徴収税額が高くなる傾向があります。確定申告で1年分を精算すると、納めすぎた分が還付される場合もあれば、不足分を追加で納める場合もあります。
副業所得がある場合の年末調整における注意点
副業所得がある場合、年末調整は本業のみで行い、副業分は確定申告で対応する必要があります。ここでは、年末調整を行う上での注意点を3つ解説します。
年末調整をしない会社から源泉徴収票をもらう
副業先で年末調整をしない場合、必ず「源泉徴収票」を保管しておきましょう。なお、源泉徴収票が発行されるのは副業先から給与として支払いを受けている場合です。業務委託などの報酬として支払いを受けている場合は源泉徴収票が発行されないため、請求書や入金記録で年間の収入を把握しておきましょう。
源泉徴収票は、確定申告を行う際に、副業の所得を証明する重要な書類です。源泉徴収票には、1年間の給与収入と源泉徴収された所得税額が記載されています。確定申告の際には、この源泉徴収票に基づいて所得を申告し、所得税を精算します。
源泉徴収票は、通常、翌年の1月末までに発行されます。もし発行されない場合は、副業先に問い合わせて発行を依頼しましょう。確定申告の期限は通常3月15日ですので、それまでに余裕をもって準備することが大切です。
扶養控除・配偶者控除・保険料控除は本業の年末調整で行う
扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除、地震保険料控除などの所得控除は、原則として本業の年末調整でのみ適用できます。これらの控除は、所得税を計算する上で重要な要素であり、控除額が大きいほど所得税が軽減されます。副業先でこれらの控除を申告することはできませんので、注意が必要です。
これらの控除を受けるためには、本業の年末調整時に必要な書類を提出する必要があります。書類は、事前に準備しておきましょう。もし、本業の年末調整でこれらの控除を申告し忘れた場合は、確定申告で修正できます。確定申告を行うことで、正しい所得税額を計算し、払いすぎた税金を取り戻せます。
2か所以上で年末調整をしない
年末調整は、原則として1か所でのみ可能です。複数の会社から給与を受け取っている場合でも、年末調整を行うのは本業の会社のみとし、副業分の所得は確定申告で申告する必要があります。もし誤って2か所以上で年末調整を行ってしまった場合は、確定申告で正しい所得税額を計算し、精算する必要があります。
2か所以上で年末調整を行うと、所得税が過少に計算される可能性があります。その場合、税務署から指摘を受け、追徴課税や加算税が課されることもありますので、注意が必要です。確定申告を正しく行うことで、このようなリスクを回避できます。
副業が本業の会社に伝わる主な経路|住民税の仕組みを正しく理解する
年末調整は本業の会社だけで行われますが、住民税は本業と副業の所得を合算して計算されます。会社員の住民税は原則として給与から差し引かれるため、副業の所得が増えると本業の会社が差し引く住民税額も変わり、それをきっかけに本業の勤務先に副業の存在が伝わる場合があります。副業を行う際は、まず就業規則を確認し、会社のルールに沿って手続きを進めましょう。
ここでは、住民税の納め方の違いと、副業の所得区分による扱いの違いを整理します。
住民税の「特別徴収」と「普通徴収」の違い
個人住民税の納め方には、「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。違いは、以下のとおりです。
項目 | 特別徴収 | 普通徴収 |
|---|---|---|
納め方 | 会社が給与から差し引いて納める | 市区町村から届く納税通知書で自分で納める |
主な対象 | 会社員などの給与所得者 | 個人事業主・フリーランスなど |
納付の時期 | 6月から翌年5月までの毎月 | 原則として年4回 |
出典:個人住民税(総務省)/個人住民税(東京都主税局)(2026年10月時点情報)
副業が給与所得か、事業所得・雑所得かで扱いが変わる
副業がアルバイトやパートなどの給与所得の場合、本業と副業の給与にかかる住民税は合算され、原則として本業の会社から特別徴収されます。地方税法第321条の3で、前年中の給与所得に係る住民税は特別徴収の方法によって徴収すると定められているためです。
一方、業務委託などによる事業所得・雑所得であれば、確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」で、給与以外の所得に係る住民税を「自分で納付(普通徴収)」とする選択ができる場合があります。ただし、申告した所得が赤字の場合など、選択しても特別徴収になるケースもあります。
徴収方法の取扱いは自治体によって異なります。自分のケースでどうなるかは、1月1日時点で住んでいる市区町村の住民税担当窓口に確認しましょう。
まず就業規則を確認し、必要なら届け出る
住民税の徴収方法は、副業を知られないようにするための手段ではありません。トラブルを避けるには、まず本業の就業規則で副業が認められているか、許可制か届出制かを確認することが大切です。
厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、モデル就業規則にも副業・兼業の規定を設けています。副業・兼業に関する届出様式例も公開されているため、会社への届出が必要な場合の参考になるでしょう。
出典:副業・兼業(厚生労働省)
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副業の確定申告はいくらから必要?20万円ルールの正しい理解
副業の確定申告でよく聞く「20万円」は、収入ではなく「所得」(収入から必要経費を差し引いた金額)の基準です。また、給与を1か所から受け取り、年末調整を受けている給与所得者を前提としたルールである点に注意しましょう。
ここでは、副業で確定申告が必要になるケースを具体的に解説します。
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【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要?20万円以下でも申告する必要があるケースとは
本業・副業ともに年末調整を受けていない場合
本業と副業の両方で年末調整を受けていない場合は、確定申告が必要です。会社員の場合、通常は会社が年末調整を行ってくれますが、何らかの理由(12月31日時点で退職されていて、無職の方など)で年末調整を受けられなかった場合は、自分で確定申告を行う必要があります。副業についても同様で、年末調整を受けていない場合は確定申告が必要です。
副業の所得が20万円を超えている場合
副業で得た所得(収入から必要経費を差し引いた額)が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。これは、所得税法で定められています。ここでいう「所得」とは、売り上げから仕入れ費用や経費を引いた金額のことです。
たとえば、副業で得た収入が30万円でも、経費が15万円かかっていれば、所得は15万円となり、確定申告は不要です。ただし、医療費控除や寄附金控除など年末調整で対応できない申告をする場合は、20万円以下でも申告が必要です。しかし、収入が30万円で経費が5万円だった場合、所得は25万円となり、確定申告が必要になります。
なお、副業が給与所得(アルバイト・パート)の場合は、年末調整されなかった副業先の給与の「収入金額」と、給与以外の所得の合計額が20万円を超えるときに確定申告が必要です。給与は経費を差し引く前の収入金額で判定する点に注意しましょう。
出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
誤って年末調整を2か所以上で行った場合
年末調整は、原則として1つの会社でしか行えません。誤って2か所以上の会社で年末調整を受けてしまった場合は、確定申告をして正しい所得税額を申告する必要があります。これは、二重に年末調整を受けることで、所得税が過少に計算されてしまう可能性があるためです。
所得20万円以下でも住民税の申告は必要
副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要です。住民税は所得税と異なり、所得の多少にかかわらず給与以外の所得も合算して税額を計算するためです。
住民税の申告は、1月1日時点で住んでいる市区町村に行います。申告の期限や方法は自治体ごとに案内されているため、事前に確認しておきましょう。
副業の確定申告の流れ|4ステップの全体像
副業の確定申告は、大きく以下の4ステップで進めます。
- 必要書類を準備する:源泉徴収票、副業の収入と経費がわかる書類、控除証明書などをそろえる
- 確定申告書を作成する:国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って作成できる
- 確定申告書を提出する:e-Tax、郵送、税務署の窓口のいずれかで提出する
- 納付する・還付を受ける:納付期限までに納めるか、還付金の振込を受ける
確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。書類の一覧や提出方法の詳細は、以下の関連記事で解説しています。
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副業の年末調整でよくある質問
Q1. 副業所得20万円以下なら確定申告は絶対に不要ですか?
会社員で副業所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要な場合があります。ただし、住民税の申告が必要になるケースがあります。また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得もあわせて申告が必要です。
出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)/No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)/No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)(国税庁)
Q2. 業務委託の副業でも年末調整できますか?
いいえ。年末調整の対象は給与所得のみです。業務委託による副業収入は、通常、雑所得または事業所得として扱われるため年末調整はできません。必要に応じて確定申告を行う必要があります。
Q.3 2か所以上で年末調整をしてしまった場合の対処法は?
2か所以上で年末調整をしてしまった場合、確定申告が必須となります。年末調整は、原則として1人1か所でしか行えません。複数の会社で年末調整を行うと、所得税が正しく計算されず、追徴課税が発生する可能性があります。確定申告を行い、正しい所得税額を申告・納税するようにしましょう。確定申告の際には、すべての会社から発行された源泉徴収票が必要になります。
Q4. 副業で確定申告を忘れるとどうなる?
副業で確定申告が必要であるにもかかわらず申告を忘れた場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられる可能性があるため注意が必要です。税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合などは、無申告加算税が課されます。割合は、納付すべき税額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%です(2026年10月時点情報)。
調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税の割合は原則5%です。また、延滞税は、納期限の翌日から納付日までの期間に応じて課されます。確定申告は忘れずに行い、気づいた時点でできるだけ早く申告しましょう。
Q5. 副業先から年末調整の書類を渡されました。提出してもよいですか?
本業の会社に扶養控除等申告書を提出している場合、副業先には提出しないようにしましょう。扶養控除等申告書は1か所にしか提出できず、提出していない副業先の給与は乙欄で源泉徴収され、年末調整の対象になりません。
書類を渡されたら、「本業の会社で年末調整を受けている」ことを副業先の担当者に伝えれば問題ありません。誤って副業先にも扶養控除等申告書を提出すると、源泉徴収税額の計算や年末調整の取扱いに誤りが生じる可能性があります。その場合、確定申告での精算が必要になるため注意しましょう。
Q6. 年末調整のやり直しはできますか?
年末調整の後に控除の申告漏れや扶養親族の異動に気づいた場合は、本業の会社が源泉徴収票を作成・交付するまでであれば、年末調整をやり直してもらえる場合があります。間に合わない場合は、自分で確定申告をすれば精算できます。
払いすぎた税金を取り戻す還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間提出できます(2026年9月時点情報)。
出典:No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき(国税庁)/No.2030 還付申告(国税庁)
副業の年末調整と住民税を理解して、正しく申告しよう
年末調整は本業の会社1か所で行い、副業による所得(収入から必要経費を差し引いた金額)の合計が20万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。2026年分からは基礎控除や給与所得控除が引き上げられ、住民税は所得税と別に申告が必要な場合がある点も押さえておきましょう。
仕組みを理解しておけば、副業の税金は過度に心配する必要はありません。就業規則を確認したうえで、自分のスキルを活かせる副業に挑戦してみましょう。
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(監修日:2026年10月13日)
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山本聡一郎税理士事務所(https://nagoya-soutax.com/)|税理士
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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