CxOとは?副業CxOの仕事内容・案件例・始め方を解説

CxOとは、CEO・CFO・CTOなど、企業の経営機能ごとの責任者を指す総称です。近年は、経営経験や専門知識を持つ人材が、本業を続けながら業務委託で企業の経営課題を支援する「副業CxO」の募集も増えています。
スタートアップや成長企業、大学発スタートアップを中心に、外部の経営人材を活用する動きが広がっており、月数時間から参画できる案件も見られます。
本記事では、CxOの意味や代表的な役職一覧から、副業CxOの案件例、報酬の目安、案件獲得の方法までを解説します。
CxOとは?代表的な役職一覧

CxOとは、「Chief x Officer」の略で、xの部分に担当領域を表す言葉が入る経営層の役職の総称です。CEOやCFOのように、どの機能に責任を持つのかを一語で示す呼称として使われています。
ここでは、代表的なCxOの役職一覧と、取締役や執行役員との関係を整理します。主なCxOの役職は、以下のとおりです。
略称 | 正式名称 | 主な担当領域 |
|---|---|---|
CEO | Chief Executive Officer | 経営全般の最終責任を担い、全社方針や事業戦略の意思決定を行う |
COO | Chief Operating Officer | 事業運営・業務執行の統括 |
CFO | Chief Financial Officer | 財務・資金調達・管理会計 |
CTO | Chief Technology Officer | 技術戦略、研究開発、プロダクト開発の統括 |
CIO | Chief Information Officer | 情報戦略、社内IT、情報システムの統括 |
CMO | Chief Marketing Officer | マーケティング戦略、ブランド戦略、顧客獲得施策の統括 |
CHRO | Chief Human Resources Officer | 人事戦略、組織開発、人材マネジメント |
CSO | Chief Strategy Officer | 全社戦略・新規事業の立案 |
CDO | Chief Digital Officer / Chief Data Officer | DX・デジタル戦略、またはデータ活用の統括 |
CLO | Chief Legal Officer | 法務、コンプライアンス、ガバナンスの統括 |
呼称や担当範囲は企業によって異なり、複数の役割を1人が兼ねることも珍しくありません。
CxOは会社法上の役職ではない
CxOという呼称は、会社法に定められた役職ではありません。会社法第329条第1項では、役員を「取締役、会計参与及び監査役」と定義しており、CEOやCFOといった呼称は含まれていないためです。
つまりCxOは、経営上の役割分担を示す社内の呼称です。取締役を兼ねているケースもあれば、取締役ではない立場でCxOの役割を担っているケースもあります。
なお、株式会社と役員との関係は委任に関する規定に従うと定められており(会社法第330条)、雇用契約とは異なる関係である点もあわせて押さえておきましょう。
執行役員・部長職との違い
執行役員や部長職との違いは、一般的に求められる視点や責任範囲にあります。部長職が特定部門のマネジメントを担うことが多いのに対し、CxOは担当領域について全社的な戦略立案や意思決定を担うケースが一般的です。ただし、具体的な権限や役割は企業によって異なります。
たとえば人事部長は人事部門の運営や採用・育成施策の実行を担うことが多い一方、CHROは事業戦略を踏まえて人材戦略や組織開発、人事制度の設計を統括する立場として位置付けられることがあります。同じ人事領域を担当していても、より経営に近い視点で意思決定に関与する点が大きな違いです。
副業CxOとは|経営機能の一部を業務委託で担うはたらき方
副業CxOとは、本業を持ちながら企業の経営課題の解決や経営機能の一部を担うはたらき方です。実務上は業務委託契約で参画するケースが多くみられます。
常勤で経営人材を迎えることが難しい企業が、必要な機能だけを外部から補う形として広がっています。
ここでは、常勤役員や顧問との違い、企業が外部にCxO人材を求める背景を解説します。
常勤役員との違い|契約は雇用ではなく業務委託
常勤役員は企業の経営陣としてフルタイムで経営や組織運営に関与するのに対し、副業CxOは本業を持ちながら特定の経営機能を担います。企業側にとっては、常勤採用が難しい専門人材を必要な期間だけ活用できる点が特徴です。
副業CxOは業務委託契約で参画するケースが多く、一般的に請負契約や委任契約、準委任契約の形で企業を支援します。そのため、業務範囲や成果物、報酬などを契約で明確に定めて活動するのが一般的です。
顧問・アドバイザー・スポットコンサルとの違い
似たはたらき方との違いは、「関与の深さ」「活動量」「契約期間」の3つで整理すると分かりやすくなります。案件によって異なりますが、一般的な傾向として整理すると以下のとおりです。
関わり方 | 関与の深さ | 活動量の目安 | 契約期間の目安 |
|---|---|---|---|
副業CxO | 方針の決定から実行の推進まで踏み込む | 月数時間〜数十時間程度 | 数か月〜年単位の継続 |
顧問・アドバイザー | 助言が中心で、実行は社内が担う | 月数時間程度 | 半年〜年単位の継続 |
スポットコンサル | 単発の相談に回答する | 1回1時間程度 | 単発 |
※活動量・契約期間は案件によって異なります。
一般的に、顧問やアドバイザーは助言を中心に関与することが多く、副業CxOは経営課題の解決や施策推進まで担うケースが多い点が違いといえます。実行まで担う分、責任範囲と活動量を事前にすり合わせることが欠かせません。
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企業が副業でCxO人材を求める背景
背景にあるのは、経営に近い業務を外部人材に任せる動きが一定の広がりを見せていることです。HiProの「副業・フリーランス人材白書2026」によると、企業における副業・フリーランス人材の現在活用率は20.0〜22.2%と約2割でした。
また、ハイクラス層(※)への依頼業務は、メンバークラス層と比べて「経営・経営企画」「新規事業創出・推進」「マーケティング・広告宣伝」といった企業運営の根幹を担う業務が多い傾向が示されています。
このような背景から、企業では必要な経営機能を外部人材で補完する手段として、副業・フリーランス人材の活用が進んでいます。
※:高度な事業課題を解決できる経験・スキルを有する人材層。「副業・フリーランス人材白書2026」における基準として役職の目安は「課長クラス以上の管理職·エキスパート」とした。
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領域別|副業CxOの代表的な案件例
副業CxOの案件は、担当する機能によって依頼内容が大きく変わります。
ここでは代表的な5つの領域について、よくある依頼内容・想定活動イメージ・求められる経験の3点で紹介します。
CFO領域|資金調達・管理会計・IPO準備の支援
よくある依頼内容は、資金調達に向けた事業計画の作成、管理会計の仕組みづくり、IPO準備の体制整備です。月1〜2回の定例に加えて資料のレビューを行うイメージです。
求められるのは、事業計画と数値を結び付けて説明してきた経験や、金融機関・投資家との折衝経験です。数字を作る役割よりも、数字を使って意思決定を導く役割が期待されます。
CTO・CIO領域|技術戦略の策定と開発体制の立ち上げ
技術選定やアーキテクチャの方針決定、開発体制の立ち上げ、社内システムの刷新などが依頼されます。設計レビューや技術者との面談への同席を求められることもあります。
プロダクト開発の責任者としての経験や、内製と外注の切り分けを判断してきた経験が評価されます。
CHRO領域|人事制度の設計・組織開発
等級・評価・報酬制度の設計、人材の定着支援、組織課題の可視化などが中心です。設計のフェーズに集中的に関与し、その後は運用の伴走に移る形が多く見られます。
制度を設計するだけでなく、運用に乗せて定着させた経験があると任されやすくなります。
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CMO領域|マーケティング戦略とブランドの再構築
市場と顧客の再定義、マーケティング戦略の立案、KPI設計、広告投資の最適化、ブランド戦略の見直しなどが依頼されます。施策の実行は社内メンバーや外部パートナーが担い、方針の決定を支える形が多く見られます。
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COO・CSO領域|事業戦略の策定と業務改革の推進
新規事業の仮説検証、事業ポートフォリオの整理、業務プロセスの改善などが中心です。現場のヒアリングから改善案の設計までを担うケースもあります。
HiProの「副業・フリーランス人材白書2026」でも、副業をしているハイクラス層の担当業務は「経営・経営企画」「新規事業創出・推進」「業務プロセスの改善・効率化」が上位に挙がっています。
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大学発スタートアップで広がる副業CxOの案件
副業CxOの案件先は、事業会社だけではありません。近年は、大学の研究成果を事業化する「大学発スタートアップ」でも、経営を担うCxO人材の募集が行われています。
ここでは、大学発スタートアップで副業CxOがどのような関わり方ができるのかを紹介します。
大学発スタートアップでは経営人材のニーズが高い
大学発スタートアップでは、研究成果を事業化する過程で経営人材が不足するケースが少なくありません。
研究者は高度な専門知識や技術を持つ一方で、事業計画の策定や資金調達、マーケティング、組織づくりといった経営実務の経験を持つとは限りません。そのため近年は、研究開発は研究者が担い、事業化や経営を外部のプロ人材が支援する形が広がっています。
特に大学発スタートアップでは、CEOやCFO、CTO、COOなどの役割を担う人材へのニーズが高く、事業立ち上げの初期段階から副業・業務委託で参画するケースも見られます。
関わり方は「副業・リモート」が増えている
特徴的なのは、移住や転職を前提とせず、副業・リモートで関われる形が採られている点です。大学発スタートアップは地方大学から生まれるケースも多く、経営人材を地域内だけで確保することが難しい場合があります。
そのため近年は、転職や移住を前提とせず、副業や業務委託としてリモートで参画する形も一般的になりつつあります。
実際の募集では、事業計画の策定支援や資金調達支援、市場調査、新規事業開発、組織づくりなどが求められることが多く、月数時間から数十時間程度の関与でスタートするケースもあります。
求められるのは経営経験だけではない
大学発スタートアップで評価されるのは、経営や事業開発の経験だけではありません。
研究には長い年月をかけて積み上げられた知見や技術があり、その価値を理解しながら事業化を進める姿勢も重要です。
実際には、市場調査や事業計画の策定、顧客開拓戦略の立案、資金調達資料の作成などを外部人材が支援し、研究者と協力しながら事業化を進めるケースが多く見られます。
本業を持ちながら参画する場合でも、事業計画のレビューや経営会議への参加など、限られた時間で専門性を発揮できる案件もあります。そのため、副業CxOにとって大学発スタートアップは経験を活かしやすい領域の一つといえるでしょう。
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副業CxOに求められる経験・スキル
副業CxOは、限られた活動時間の中で経営の意思決定を支える役割です。常勤の役員と同じ量の情報を持てない前提で成果を出す必要があります。
ここでは、案件で共通して求められる3つの力を解説します。
経営判断に責任を持った経験
副業CxOでは、経営課題に対して方針を示すだけでなく、その判断が事業に与える影響まで見据えることが求められます。過去に事業責任者や部門責任者として、目標設定から実行、改善まで担った経験は大きな強みになります。
職務経歴を伝える際も、担当した役職名ではなく「どの経営課題を、どう決めて、どうなったか」を語れるようにしておきましょう。
限られた情報で優先順位を決める力
副業CxOは常勤メンバーのように日々の情報へ接することが難しいため、限られた情報から課題の本質を見極める必要があります。何を優先して取り組むべきか整理し、経営陣に示せる力が求められます。
初回の面談で、依頼元が言語化できていない課題を整理して返せるかどうかが、その後の関与の質を左右します。
期待値をを調整するコミュニケーション力
副業CxOは企業の外部人材として参画するため、役割や権限が曖昧なまま活動すると認識のずれが生じやすくなります。着任時に成果目標や意思決定権限、関係者との役割分担を確認しながら進めるコミュニケーション力が重要です。
CxOの副業を始める4つのステップ
経営経験を副業に活かすには、案件を探す前に整えておくべきことがあります。
進め方は、次の4つのステップに分けられます。
- STEP1. 本業の就業規則と競業避止義務を確認する
- STEP2. 「役職」ではなく「解いた経営課題」で実績を棚卸しする
- STEP3. 関与範囲と活動量を先に決める
- STEP4. マッチングサービスや人脈から案件を獲得する
STEP1. 本業の就業規則と競業避止義務を確認する
最初に確認するのは、本業の就業規則です。厚生労働省のモデル就業規則では「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」とされていますが、実際の規定は企業ごとに異なります。
また、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、裁判例をもとに、企業が副業を制限できるのは次の場合と整理されています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
経営に関与する副業は、本業と同じ市場・顧客を扱うと3つ目の競業に触れやすくなります。支援先の事業領域が本業と重ならないかを、案件を受ける前に自分で線引きしておくことが欠かせません。
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STEP2. 「役職」ではなく「解いた経営課題」で実績を棚卸しする
経営人材の実績は、役職名では伝わりません。「取締役を5年」より、「粗利率が低下していた主力事業で、価格体系と受注基準を見直し、2年で粗利率を改善した」のほうが、依頼元は自社に当てはめて考えられます。
課題・打ち手・結果の順で、3〜5件ほど整理しておきましょう。
STEP3. 関与範囲と活動量を先に決める
副業では、想定以上に活動時間が増えてしまうケースがあります。実際に「副業・フリーランス人材白書2026」でも、「業務にかかる時間が想定よりも長い」は副業・フリーランス活動における課題の一つとして挙げられています。
月の活動上限、定例の頻度、意思決定にどこまで関わるかの3点は、契約前に決めておきましょう。特に「緊急時の対応」をどう扱うかを決めておくと、本業への影響を抑えられます。
STEP4. マッチングサービスや人脈から案件を獲得する
経営レイヤーの案件は、これまで人脈経由で決まることが多い領域でした。現在は、HiPro Directのような経営・事業開発の案件を扱うマッチングプラットフォームサービスを通じて探す方法もあります。
副業でCxOを担う前に確認したい3つの注意点
経営に関わる副業は、一般的な業務委託よりも扱う情報の機密性が高くなります。ここでは、案件を受ける前に確認しておきたい3つの注意点を解説します。
業務委託契約で業務範囲・報酬・秘密保持を確認する
確認すべきポイントは、業務の範囲と成果物、報酬額と支払時期、秘密保持義務、契約期間と解約条件の4点です。特に経営支援の案件は成果を数値化しにくいため、「誰に対して何を提供するのか」「どこまでが責任範囲なのか」を契約書に明記しておくとトラブルを防ぎやすくなります。
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利益相反と未公開情報の扱いに配慮する
複数社の経営に関与する場合は、利益相反の有無を事前に確認しましょう。本業と支援先だけでなく、支援先同士が競合関係にないか、同じ顧客や市場を対象としていないかも重要な確認ポイントです。
また、経営会議資料や資金調達情報、M&A計画などの未公開情報に触れる機会もあります。守秘義務契約の有無にかかわらず、取得した情報を他社で利用したり第三者へ共有したりしないことが重要です。
副業所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要
1か所から給与を受けている会社員で、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。ここでの所得は、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。
なお、所得が20万円以下の場合でも、住民税の申告は別途必要になる点に注意が必要です。
出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
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CxOの副業に関するよくある質問
最後に、CxOの副業を検討する方からよく寄せられる質問に回答します。
Q1.CxOの経験がなくても経営支援の案件は受けられますか?
CxOの経験がなくても、事業責任者や部門責任者として成果を上げた経験があれば、経営支援に関わる案件へ参画できる可能性があります。
実際には、資金調達、人事、マーケティング、新規事業開発など、特定領域の専門性を求める案件も少なくありません。まずは、自身が責任を持って解決してきた課題や実績を整理し、強みを活かせる領域から挑戦するとよいでしょう。
Q2.副業CxOは、その会社の「役員」になるのですか?
業務委託契約で関わる場合、会社法上の役員(取締役・会計参与・監査役)に就任するわけではありません。CxOはあくまで社内の呼称であり、登記上の役員就任とは別のものです。
ただし、案件によっては役員就任を求められることもあります。その場合は負う責任の範囲が大きく変わるため、契約前に必ず確認しましょう。
Q3.CxOの副業にはどのくらいの活動時間が必要ですか?
活動時間は案件によって異なります。月数時間程度のアドバイザー型の案件もあれば、月数十時間以上関与する案件もあります。
副業CxOは経営課題の解決や意思決定支援を担うため、活動時間だけでなく求められる責任範囲も確認することが重要です。本業との両立を考えながら、無理のない範囲で参画しましょう。
まとめ|経営で培った経験は、副業でも活かせる
CxOは、財務・技術・人事・マーケティングなど、自らが担当する領域の経営責任を担うポジションです。近年は常勤ではなく、業務委託契約を通じて企業の経営課題を支援する「副業CxO」というはたらき方も広がっています。
副業CxOとして活躍するためには、肩書よりも「どのような経営課題を解決してきたか」を説明できることが重要です。これまでの経営経験や事業推進経験を活かしたい方は、自身の専門領域を整理したうえで、副業や業務委託の案件から挑戦してみるとよいでしょう。
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