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宇宙につながる港“スペースポート”を手掛けるASTRO GATE。数百年先にも残る宇宙インフラ事業への挑戦

宇宙につながる港“スペースポート”を手掛けるASTRO GATE。数百年先にも残る宇宙インフラ事業への挑戦

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国家中心の巨大プロジェクトから民間主導のビジネスへと大転換した宇宙産業。アメリカを中心にIT企業が参入し、機器の小型化や低コスト化などの革新的技術によって市場を拡大させています。 日本においても国が民間宇宙ビジネスを後押し、内閣府の宇宙基本計画(※)では2030年代早期には現在の規模を倍増させる約8兆円市場を目指しています。宇宙空間を新たな形で利用するビジネスが拡大してく中、重要なプレイヤーとなっているのが先駆的な事業に取り組むスペースベンチャーです。 2024年に創業したASTRO GATE株式会社は、ロケットを打ち上げる宇宙港「スペースポート」の企画、運営を国内外で支援している会社として注目を集めています。世界各地でスペースポートが当たり前に存在する未来を見据えている同社の事業について、CEO を務める原田 悠貴さんにお話を伺いました。

原田 悠貴

ASTRO GATE株式会社 CEO原田 悠貴 氏

新卒で入社した民間シンクタンクで宇宙分野を中心に大手企業や政府機関へのコンサルティングを経験。本業以外にもプロボノとしてさまざまな宇宙関連の業務に参画。2024年12月、ASTRO GATE株式会社に入社しCCO(最高執行責任者)とCSO(最高戦略責任者)を兼務。2025年4月より現職。

事業直結型宇宙コンサルティングサービスを展開するASTRO GATEの事業内容とは

2024年3月に創業されたASTRO GATE株式会社は、宇宙産業の中でどのような立ち位置の会社なのか、教えてください。

端的に言うとロケットの射場、離発着の拠点となるスペースポートを世界中で手掛けようとしている会社になります。一つの射場を運営している民間企業は他にもありますが、世界中で複数の射場を手掛けている会社は私が知る限りは例がなく、当社の強みとなります。現在、およそ15か国でスペースポートに関わる事業が進行中です。

当社の特色は、スペースポートの企画から運営、技術分野の支援まで一気通貫で対応できるところです。代表の大出は、北海道のスペースポートで射場整備や打ち上げサポートなどをゼロから推進してきた実績を持ちます。また、当社のCTO(最高技術責任者)である中尾は、元JAXA射場エンジニアであり、ロケットの開発、打ち上げ運用に従事してきた有数の技術者です。

私は宇宙政策や宇宙戦略策定を専門として多角的に経験を積み、国内外で広げてきたネットワークを業務に活かしています。創業して間もないので完成形の射場を運用するための人材については採用を進めているところですが、スペースポート事業を包括的に実行できるという意味でも稀有な総合力を備えた組織だと自負しています。

「スペースポートは、空港としての役割だけを担っているわけではありません。企業や研究機関、観光客など人が集まるきっかけにもなり得ます。スペースポートの設置を通して、まちづくりにも携われるのです。」と原田さん。

スペースポート事業を起点とした地域創生にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。宇宙×まちづくりではどんな活動をされていますか?

地域創生と言っても国ごと地域ごとに課題感が違うので活動はケースバイケースです。ただ、国内での例としては、当社が現在連携協定させていただいている福島県南相馬市のケースが一つあげられます。

南相馬市は、東日本大震災で津波の被害を受け、新たに住宅を作ることも難しい空地ができてしまいました。その土地を活用して新たな産業を興し、人口を呼び戻す「福島イノベーション・コースト構想」が立ち上がり、その一環として南相馬市からのロケット打上げ活動の実施を当社が支援しました。

2024年12月には、福島県南相馬市において、神奈川大学(工学部機械工学科航空宇宙構造研究室および宇宙ロケット部)の超小型ハイブリッドロケットの打ち上げ実証実験を行いました。当日は県外からの来訪も含め数百名規模の観覧者集まりました。今後も宇宙産業の集積地としてのスペースポートづくりを進め、地域発展につながる取り組みをしていきます。

南相馬市からのロケット打上げの様子 (c)Photo_Naoto Michiura

躍進する宇宙産業の全体像と未来、ASTRO GATEが描くビジョン

宇宙産業の市場規模は拡大の一途をたどっています。宇宙基本計画(内閣府/経済産業省)では2030年代早期には現在の規模を倍増させる約8兆円市場*を目指していますが、そもそも宇宙産業にはどのようなビジネス領域があるのか教えてください。

ビジネス領域で言うと第一に挙げられるのは輸送系の分野で、ロケットの開発や製造とロケットを打ち上げるインフラである射場です。次に人工衛星を製造する領域があります。人工衛星も小型、中型、大型と種類があり、その製造は共通規格の部分「バス」と、何を目的とするかによって搭載する機器が変わってくる部分「ミッション」とで分かれます。それぞれに強みのある専門メーカーがあります。

目的ごとに作られた人工衛星は、ロケットによって宇宙空間に運ばれます。そこで取得された観測データや測位データなど、さまざまな宇宙空間データは地球に下ろされ、加工してさまざまなサービスに活用されます。それが、いわゆるソリューションビジネスです。

近年、非宇宙分野からの参入が増大し、大きなビジネス領域を構成しています。測位データを使ったデジタル地図、観測データを使った気象予報、農漁業など、宇宙で取得したデータはすでに一般消費者である私たちの生活に欠かせません。

国内における宇宙産業の市場規模として、8兆円を目指すという数字が出ていますが、これは数年前の見通しをもとにした数値で、実際のポテンシャルとしてはもっと大きいのではないかと個人的には考えています。

*出典:宇宙基本計画(内閣府)

ASTRO GATEは、宇宙産業の根幹である輸送系の分野を事業の柱としていますが、その他の領域でのビジネスにも取り組もうとされています。将来のビジョンを含め、目指している事業の内容について教えてください。

最初にメインの事業である輸送系の話をしましたが、それ以外にも宇宙産業のサプライチェーンに外部から関わっていくことも想定しています。スペースポートを拠点とするまちづくり、地域振興の文脈で言えば、地元の学校との連携、教育プログラムの構築なども私たちが目指すところです。

理想像になりますが、2、3日に1回 ロケットが発射されるスペースポートを起点として宇宙関連会社が集まる工業都市を作り、宇宙科学館などの施設も建設することで、多くの人を惹きつけたいと考えています。ロケットの発射見学ツアーや、子どもたちが宇宙に関心を持つ教育プログラムを企画すれば、将来的には宇宙エンジニアを目指す子どもたちの育成につながると考えています。

射場については、ビジネスとしてどのような構想を持っていますか?

宇宙産業が拡大していく中で、射場の需要は伸びていくものの、今のところ射場はビジネスとして成り立ちにくい領域ではあります。そのため、国の予算を使うことが多いわけですが、当社としてはビジネスとして自立させることを目標としています。スペースポートの運営会社として、射場を利用するロケット会社から利用料を頂くなどして、収益を立てていく必要があります。

一方で射場というのは、地理的な制約が強く、必須要件の一例にはなりますが(地球の自転エネルギーを利用してロケットを発射させるために)東側が開けた広い土地がないと作れません。こういった土地はどこにでもあるというわけではなく、せっかくの地理的ポテンシャルをどうやって活かし、どうやってスペースポートビジネスを成り立たせるかは、今後の課題と言えます。

宇宙×コンサルティング、英語でコミュニケーション。リサーチ力のある人を求める

今回は、「宇宙・地方創生コンサルタント」と「パートナーとの英語コミュニケーション支援」の2つのポジションでの募集となりますが、それぞれのポジションを募集する背景や、募集人材が参画することによって期待する成果を教えてください。

一つ目のコンサルタントについては、お客様からスペースポートの企画における調査依頼や宇宙産業への参入に関するご相談が増える中で、コンサルティング経験がある人材を募集しています。理想としては宇宙×コンサルの経験のある方ですが、戦略系のコンサルティングファームや会社で経験を積まれてきた方であればご活躍いただけると思いますし、お任せしたい仕事がたくさんあります。

二つ目の英語コミュニケーションの支援については、世界中で受託している案件について語学力を活かしつつプロジェクト推進を支援してほしいと考えています。宇宙業界の経験がある方がベストですが、そうでなくても海外の政府の方々と英語で直接コンタクトを取り、ネゴシエーションをしたことがある方は即戦力としてご活躍いただけると思います。

具体的な業務内容を教えてください。

コンサルタントに関しては、どんなプロジェクトに入ってもらうかによって業務内容は異なります。たとえばスペースポートのプロジェクトであれば、最初にフィジビリティスタディ(実現可能性調査)を実施することになります。どこに射場が作れるのか、どんなロケットが打てるのか、設備には何が必要か、その維持にはどのくらい費用が見込まれるのかなどの調査研究です。

また、英語のコミュニケーション支援の場合は、ロケット会社など関係企業との交渉を実際にお任せすることになると思います。いずれのポジションにおいてもリサーチ能力が最も求められるところだと考えます。

ASTRO GATEではたらくという点で、どのような方がマッチしやすいとお考えでしょうか?

冒険心のある人、主体的に仕事ができる人でしょうか。今まで知らなかった分野、他に例のない仕事に飛び込める人は、仕事を楽しめると思います。

「宇宙が好き」という要素も、個人的には重要だと感じます。私自身が幼少期より、宇宙が大好きで、宇宙に関する仕事に対しては損得なしでチャレンジしてきたこともあり、宇宙への想いが強い方とはたらけると嬉しいですね。

ただ、個人的な想いは別にして、宇宙ビジネスの将来性、拡大する宇宙産業の市場全体を理解して自分のキャリアにつなげたいという方も活躍できると思います。

ASTRO GATEは、宇宙という新たな市場へ挑戦するプロ人材との出会いに期待しています。

宇宙産業の最前線で見る景色、数百年先の未来に関わる仕事の意義

宇宙産業に未経験でチャレンジすることを検討している方に向け、メッセージをお願いします。

私自身もともと宇宙が専門ではなく法学部出身です。新卒で入った会社で宇宙産業をゼロから学んできましたから、ハードルを高く感じるのもわかります。しかし、宇宙業界には、ロケットエンジンや人工衛星の電気系や推進系など多くの専門分野があり、「宇宙が専門です」という人はあまりいません。つまり、ジェネラルにいろいろなことを知っている人は多くないので、宇宙の専門家になるという観点で言うとまだまだブルーオーシャンなのではないかなと思います。

しかも、宇宙産業の中にいると、宇宙空間を利用した高速輸送や、人類が宇宙に滞在するといった未来は、どんどん近づいていると確信できます。スペースポートは今後、間違いなく宇宙インフラの根幹となり、人類が他の惑星に行く時代も来ると思っています。

今の航空機の空港と同じように、スペースポートを介して物や人が行き来し、宇宙旅行の準備施設、医療施設などが周囲にできて、新しい町が形成される未来も見えています。

これから開発されるスペースポートは、数百年先にも残るインフラ事業になるでしょう。こんな仕事に立ち合えることに私は幸運を感じています。それだけの魅力、面白さを一人でも多くの方に知って欲しいと思います。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

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