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研究者の「知」とプロ人材の「事業化力」で社会を変える。PARKSで加速する大学発スタートアップ創出の最前線

研究者の「知」とプロ人材の「事業化力」で社会を変える。PARKSで加速する大学発スタートアップ創出の最前線

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九州・沖縄圏の大学発スタートアップ創出を加速させるプラットフォーム「PARKS」では、優れた研究シーズを持つ大学の研究者と、経営的視点を持つプロ人材をマッチングし、研究成果の事業化や社会実装を強力に支援しています。 今回、九州工業大学でロボティクス・福祉工学の研究に取り組み、学生時代から2つの会社を立ち上げてきた山﨑 駆さんにお話を伺いました。立ち上げ当初からPARKSに注目し、研究成果の事業化やCxO人材との協業を経験してきた立場から、大学発スタートアップを取り巻く環境の変化や、研究者とビジネス人材が共創する価値について語っていただきました。

山﨑 駆

九州工業大学ケアXDXセンター助教、博士(工学)山﨑 駆 氏

九州工業大学情報工学部卒業、同大学大学院生命体工学研究科博士後期課程修了。ロボティクス・福祉工学を専門とし、人とロボットの共生技術の研究・開発に従事。学生プロジェクト「すぐ創る課」の立ち上げなど地域課題の解決にも取り組む。九州工業大学未来思考実証センターの客員起業家、研究職員を経て、2026年8月より現職。合同会社共創テクノロジー代表、Human Physical Intelligence株式会社CTOも兼任。

PARKSができて、研究者にとって「起業」が身近な選択肢に

まずはPARKSについて教えてください。

PARKSは、九州・沖縄地域全体で大学発スタートアップを継続的に創出するための広域プラットフォームです。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の支援を受け、2022年にスタートしました。

九州・沖縄の大学や支援機関、ベンチャーキャピタルなどが連携し、起業家育成から事業化、資金調達までを一体的に支援しています。九州大学と九州工業大学(以下、九工大)が主幹機関となり、2026年度は23機関で九州・沖縄圏のスタートアップ・エコシステムづくりに取り組んでいます。

山﨑さんが拠点を置く九州工業大学若松キャンパス。

2022年にPARKSが始まってから、大学発スタートアップを取り巻く環境や研究者の意識に変化がありますか?

大きく変わってきたと思います。私は博士課程1年だった2022年に合同会社を設立したのですが、その頃は「会社を作るなんて珍しい」と驚かれました。それが今では、大学でスタートアップを目指す人が増え、起業という選択肢が身近になってきました。

PARKSを通じて支援体制が整い、起業に挑戦しやすいカルチャーが醸成されてきたのでしょう。私自身も合同会社に加えて、今年新たに株式会社を立ち上げました。研究テーマごとに会社を立ち上げていて、以前より気負わずに挑戦できるようになったと感じています。

地域課題にマッチした、認知症予防支援ロボットの事業化

山﨑さんはPARKSで令和7年度にStep1に採択されました。研究の概要を教えてください。

テーマは「会話型生成AIを用いた認知症予防支援ロボットの開発と施設実証」です。認知症の非薬物療法として知られる「回想法」という会話アプローチに生成AIを組み合わせ、高齢者と自然に対話できるシステムを開発しています。

専門的な会話の技術をAIに学習させ、高齢者との自然な会話を通じて記憶を引き出すことで、認知機能の維持やQOLの向上につなげることを目指しています。試作開発やビジネスモデルの原案作成を行う「Step1」を終えて、現在は研究成果が事業として成立するかを検証する段階「Step2-1」に採択され、社会実装へ向けた開発をさらに進めているところです。

「医療分野と違って、介護福祉分野には投資が集まりにくい」と山﨑さん。

この研究に取り組むことになった背景について聞かせてください。

もともとは九工大の柴田教授の研究室で後輩が取り組んでいた研究であり、私が引き継ぎました。私の祖母が認知症だったので、個人的にも思い入れのある分野です。

九工大のある北九州市は私の地元で、政令指定都市の中で最も高齢化率(※)が高いまちです。この地域で実証実験を重ねて、地域の課題解決に貢献できることは大きな魅力です。さらに、ここで生まれたモデルが将来的に全国、そして世界中で役立つ可能性もあり、ビジネスチャンスが広がっていると考えています。

※出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和7年1月1日現在)(総務省)

パートナー選びで重視したのは、アカデミックへの敬意

PARKSを通じて、CxO人材のKさんとマッチングされました。パートナー選びで何を重視しましたか?

私が最も重視したのは「アカデミックの領域をしっかり尊重してくれる人かどうか」です。研究者は、お金を稼ぐことよりも、研究を通じて社会をより良くすることに価値を置いています。そのマインドを共有できることが大前提でした。

素晴らしい候補者を4人ご紹介いただき、お話をして「この人しかいない」と思ったのがKさんでした。博士号を取得され、大企業で有名な生活支援ロボットの研究開発から新規事業化、海外展開まで携わってこられた実績もあります。それでいて非常に腰が低く、大学の先生や研究者の考えを深く理解されていました。

研究室には、介護福祉の現場で活用されているロボットが並んでいました。

Kさんと事業化に取り組んだプロセスと役割分担を教えてください。

採択後は、研究開発以上に、事業開発に注力しました。まずは介護福祉の分野でヒアリングを重ね、本当に必要とされているニーズを整理した上で、開発の仕様を決めていきました。それまで積み上げてきた研究技術をもとに、市場ニーズを踏まえて一から設計し直したのです。

私がプロジェクト全体を見て、Kさんには市場性や事業性の調査、事業化に向けたアドバイスをいただき、研究室の学生に開発をしてもらっています。

Kさんと協業したことで、新たな気づきはありましたか?

たくさんありました。特にリサーチ力や情報収集力は圧倒的で、大企業の第一線でやってきた事業化のプロはこんなにすごいのかと感動しました。また、コア技術を起点に新たな市場へ展開するアイデアや、PARKSへの申請書類の書き方なども、研究者の私には持ち合わせていない多くの視点をいただき、本当に勉強になっています。

互いの強みを生かし対話を重ねる、理想の共創スタイル

Kさんからはどんな声を聞かれていますか?

Kさんは、企業での経験を大学の研究成果の社会実装や地域課題の解決に生かしたいと考えていらっしゃいました。PARKSでは単に助言を行うのではなく、研究者と継続的に対話しながら、事業モデルなどを一緒に検討する伴走型の仕組みに魅力を感じて、応募してくださったそうです。

これまでの研究成果をより広い事業構想として再定義し、今後の開発や事業展開の道筋を具体化して次のフェーズに進めたことに、大きなやりがいを感じたと言われていました。

研究者とCxO人材が組むことには、どんな価値があると思われましたか?

研究者ひとりで研究も事業化も全て担うのは現実的ではありません。私は好きな研究に専念して、事業化のプロセスや経営はプロに任せた方がいいと思っています。PARKSでは、研究者は研究開発に集中し、事業のプロが事業化を推進するという、大学発スタートアップの理想形を実現できることがありがたいです。

Kさんとはお互いへのリスペクトが根底にあり、仲間のようにフラットな関係で議論しながら事業化を進めることができています。Kさんは、研究の独自性を保ちながら、顧客や提供価値、事業の仕組みなどを整理できたことは、研究者とビジネス人材が対話を重ねたからこそ生まれた成果だとおっしゃっていて、私も全く同感です。

目先の利益にとらわれず、世界を見据えて社会を変える

山﨑さんのご経験から、研究開発型のスタートアップでCxO人材が活躍するためには、どんな姿勢が大切だと思いますか?

経済合理性だけで研究を判断しないことです。一見すると利益につながらない研究でも、将来の社会を大きく変える可能性があります。研究者は自分なりの哲学を持ち、その可能性を信じて挑戦しています。「今は儲からないから意味がない」と決めつけず、長い時間軸で歴史と未来を見ながら考えられる方と一緒に取り組めたら心強く、良い相乗効果を生めると思います。

「大学にはユニークな先生がたくさんいて、ユニークな思考・思想・哲学を学べることが、一般の会社やスタートアップでは得られない面白さだと思います」と山﨑さん。

研究の事業化でこれから求められることは何でしょうか?

海外を意識することだと思います。国内の市場にとどまらず、海外の市場や外貨を獲得していく視点が大切です。価値を広げるために世界へと技術を届けようというグローバルな視野や高い志を持って関わっていただけるとうれしいです。

最後に、PARKSへの参画を検討しているCxO人材へメッセージをお願いします。

九州・沖縄には、おいしいご飯と温かい人柄、そして挑戦する人を応援する文化があります。そんな魅力あふれる地域に、ユニークな研究者が数多く集まり、新しい価値を生み出す土壌があります。

PARKSでは、研究者とビジネス人材がそれぞれの強みを生かしながら、新たな事業づくりに挑めます。経営経験がなくても新しいチャレンジをしたい方や、自身のビジネススキルを生かして社会の役に立ちたい方、これまでにない価値を生み出したいという情熱をお持ちの方には、エキサイティングな世界が待っています。

また、大学のユニークな研究者たちと交わることで、新しい見方や価値観に触れて視野が大きく広がり、本業や従来のビジネスでは味わえない特別なやりがいを感じられるはずです。ぜひPARKSに飛び込んで、私たちと一緒に社会を変えるチャレンジをしませんか。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

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