
特集|TECH HUB YOKOHAMAが支援するテック系スタートアップ×プロ人材募集!

日本を代表するグローバル企業のR&D(研究開発)部門が集積し、多くの研究者や技術者が居住する横浜市。その地域特性を背景に産学官民の連携基盤を構築し、いま同市が力を入れているのが「テック系スタートアップの創出と成長支援」です。なかでも、横浜ランドマークタワーの敷地内に位置するTECH HUB YOKOHAMAは、2024年の開設以来、テック系スタートアップに特化した支援拠点として重要な役割を果たしています。 TECH HUB YOKOHAMAが目指すのは、横浜からユニコーンクラスの企業を創出することです。スタートアップのニーズに応じて、さまざまなプレイヤーをつなぎながら成長を促進する独自の伴走支援プログラムを提供しています。本記事では、その事業の詳細と、横浜市がスタートアップ創出にかける思いについて、横浜市経済局 ビジネスイノベーション部 イノベーション推進課の本藤 優さんにお話を伺いました。

横浜市経済局 ビジネスイノベーション部 イノベーション推進課本藤 優 氏
民間企業での法人営業・人材コンサルタントを経て、令和2年に横浜市役所へ入庁。現在は経済局イノベーション推進課にて、スタートアップ支援やオープンイノベーション推進を担当。主に新規事業の立ち上げを担い、民間と行政、双方の視点を活かし、横浜から新たなイノベーションを創出するべく日々取り組んでいる。
横浜市では現在、「創出」「成長」「立地」の3つの軸でスタートアップ支援を行っています。
横浜市のスタートアップ支援は、2019年にスタートしました。最初の拠点となったのが、関内にあるYOXO BOX(ヨクゾボックス)です。ここでは次世代の起業家育成を担い、「創出」を軸とした取り組みを進めてきました。その取り組みから5年が経過し、横浜の特性をより活かしながらテック系スタートアップを育成するフェーズへと移行しました。
その中で誕生したのが、成長ステージにあるスタートアップを対象としたTECH HUB YOKOHAMAです。領域もテック系にフォーカスし、より実践的な支援へと舵を切っています。

最大の特徴は、研究開発機能の集積です。TECH HUB YOKOHAMAのあるみなとみらい地区は、モビリティ関連、半導体関連の企業が多く、力のあるグローバルサプライヤーが集まっています。新横浜や京浜臨海部なども併せた横浜市全域には、製造業が約6,000社、IT企業が約3,000社(※1)存在します。近年、工場を海外に移す企業も増えていますが、多くの企業のR&D部門は横浜にあります。
さらに、横浜市の研究者・技術者の人口は約165,000人(※2)にのぼります。特にハードウェア領域のエンジニアに関しては、東京23区全体と比較しても横浜市単体の方が多いというデータ(※3)もあります。
つまり横浜にはプレイヤーが揃っており「技術を生み出す力」においては非常に恵まれた環境にあります。
ただし、プレイヤーが揃っているだけで自然に成長が起きるわけではありません。企業、大学、人材それぞれが十分に結びついていないケースも多くあります。
そこで重要になるのが、「つなぐ」という役割です。TECH HUB YOKOHAMAでは、多様な人材や組織(スタートアップ、民間企業、大学・研究機関、自治体、経済団体など)をつなぎ、交流や人材育成、実証実験などのサポートを行っています。そうした取組により、多様なプレイヤーが有機的につながり、新たな価値が生まれる環境づくりを行っています。
こうした活動を通して、横浜の象徴となるようなテック系スタートアップ、ユニコーン企業を創出することを目指しています。
※1:出典 横浜市の取組(内閣府)
※2:出典 横浜市の取組(内閣府)
※3:出典 令和2年国勢調査 抽出詳細集計(総務省統計局)

TECH HUB YOKOHAMAでは、「スタートアップメンバー」と「パートナーメンバー」(スタートアップを支援する企業)という形で会員を募集しており、両者に対してコミュニティマネージャーがコーディネートしていきます。その他、イベントなどの場を通じたメンバー間のつながり形成、テーマごとのコミュニティ形成などの取組を行っています。
TECH HUB YOKOHAMAには、現在、「スタートアップメンバー」が137社、「パートナーメンバー」が100社ほど登録しています(2026年3月時点情報)。
昨年度からは、成長加速化の支援プログラムを実施しています。スタートアップの状況はさまざまで、資金調達に課題がある企業もあれば、販路開拓や組織づくりに悩む企業もあります。そのため、画一的なプログラムではなく、アクセラレーションマネージャーがスタートアップと個別に関わりながら、必要な支援をカスタマイズして提供しています。
また現在、スタートアップ支援には官民さまざまな支援機関が立ち上がっており、それに伴い窓口もばらばらになっています。相談や申請手続きなど、そのコミュニケーションコストの高さはスタートアップにとっては大きな負担になってしまうので、それらをシームレスにつなげられるようTECH HUB YOKOHAMAでもサポートを進めています。

メンバーとしてはAI関連の会社が多く、全体の約3割を占めています。そのほかにも、ものづくりや半導体、量子分野など、いわゆるディープテック領域のスタートアップが中心となりつつ、地熱などの資源エネルギー関連、モビリティ関連のスタートアップもメンバーとして活躍しています。
共通する課題という観点から言うと、やはり経営人材やエンジニアをはじめとする人材確保が挙がります。テック系のスタートアップは、技術部門の責任者やCTOがそのままCEOを兼務しているケースも少なくありません。その結果、資金調達や事業戦略といった経営機能が十分に発揮できないこともあります。
技術と経営、この両輪が噛み合ったときに初めて、スタートアップは大きく成長します。そのギャップを埋める存在として、外部の経営人材(CxO)の重要性が高まっています。
また、研究開発を加速させようとした場合、AIやロボティクス、化学などのエンジニアの確保が求められます。データ上、横浜に居住しているエンジニアは多くいますが、まだまだスタートアップに結びついていないのが課題です。
外部人材の参画によって機能が補完され、スタートアップの成長が一段と加速する再現性のある成功モデルを、横浜市としても確立していきたいと考えています。
プロ人材に特に期待しているのは、3つの領域です。
1つ目が、経営人材(CxO)です。先ほども述べた通り、経営を専門に担う人材が入ることで、企業の意思決定や成長戦略が大きく変わる可能性があります。副業という関わり方であっても十分に価値を発揮できるポジションです。むしろ、外部視点だからこそ見える課題や打ち手もあると考えています。
2つ目は、開発エンジニアです。TECH HUB YOKOHAMAのメンバー企業は、ものづくり、ハードウェア領域が大半を占めるので、技術力そのものが競争力になります。いかに優れた製品・サービスを作り、他社が追随できないような技術で前進させるかにかかっていますから、即戦力として開発をリードできる人材が求められています。
先ほども触れたように、横浜はR&Dではたらく研究者や技術者の人口が多いため、横浜ではたらくエンジニアが副業でスタートアップに参画し、成長を後押ししてくれることにも期待しています。
そして最後に、実務型専門人材です。営業支援や販路拡大、資料作成、助成金・補助金の申請などは、技術先行で走っているスタートアップからするとおろそかになりがちな部分ですが、こうした地道な作業こそ前に進むために重要な業務だと考えています。
TECH HUB YOKOHAMAは、横浜発のユニコーン企業を創出することを目標にしています。大きな目標ですが、光は見えていると私たちは考えます。世界水準の技術力・開発力を持ち、その可能性のあるスタートアップがTECH HUB YOKOHAMAのメンバーにいるからです。
しかし、優れた技術をグローバルビジネスへとスケールさせるには、海外を見据えたチームを組成し事業を拡大していく必要があり、そこにはまだ多くの課題が残されています。だからこそ今、多様な経験を持つプロ人材の力が求められています。
プロ人材のみなさまにとっても、TECH HUB YOKOHAMAとつながることが、新たなチャレンジの場を広げるきっかけになると思います。スタートアップ支援に関わる機会として、ご参画いただけたら嬉しいです。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。