※本案件は、NEDO「大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)」の一環として、山形大学学術研究院 理工学研究科 杉本俊之教授の研究シーズを起点に、大学発スタートアップの創出・事業化を目指すプロジェクトです。
◆依頼背景
橋梁、鉄塔、プラント、建築物などのインフラでは、構造物の腐食を防ぐために塗装が施されています。しかし、塗膜の点検や塗り替えの判断は、現在も目視や作業者の経験、塗膜を切る・剥がす破壊試験に頼る場面があります。
杉本教授の研究チームでは、塗膜表面を帯電させた際の電位変化を測定し、塗膜を傷つけることなく硬化・劣化状態を捉える「非接触式塗膜センサー」を開発しています。塗装直後の硬化状態から、使用中の劣化、塗り替えまでを一つの技術で追跡できる技術となります。
現在は、本技術を用い、鉄塔や橋梁などの実環境でデータ取得を進めており、技術の基本原理と装置構成は固まりつつあります。一方、 塗膜の状態が現場で数値化されることで 、橋梁、鉄塔、プラント等を保有する施主、塗料開発をする塗料メーカー、塗装を施工する業者、塗料を販売する卸売などの多様なプレーヤーに対してそれぞれにメリットがあることから、事業化に向けてどのプレーヤーに、どのような形と価格で提供し、どうやって多くの市場に広げてゆくか検証する必要があります。
目指すのは、センサーの販売だけではありません。測定データに塗料の種類、施工条件、気象条件、写真、位置情報、工事履歴などを紐づけ、塗料選定、施工品質管理、塗り替え判断を支援する「塗膜データプラットフォーム(仮)」の構築です。
そこで今回、顧客候補のターゲティング、開拓・ヒアリング、実証提案、ターゲット市場の選定、収益モデルの構築等を研究チームと共に推進するCXO候補を募集します。
将来的には、双方の意向と事業の進捗を踏まえ、大学発スタートアップの創業メンバー・経営人材として継続的に参画いただくことを想定しています。
◆シーズ概要
本シーズは、塗膜表面に非接触で電荷を与え、その後の電位変化を測定することで、塗膜の硬化・劣化状態を数値化するセンシング技術です。
塗料は、塗布直後から乾燥・硬化、長期間の使用による劣化に伴い、電気的な特性が変化します。本技術は、その変化を捉えることで、塗膜を傷つけずに状態を評価します。
【技術の特徴】
・塗膜を切る・剥がすことなく、非破壊・非接触で測定
・塗装直後の硬化から、使用後の劣化まで評価可能
・約30秒程度で測定可能
・金属に加え、コンクリートや木材上の塗膜にも応用可能
・施工条件や環境条件を含めた品質管理への展開が可能
現在、電力インフラ事業者の鉄塔や、大規模橋梁の現場で測定データを蓄積しています。塗膜の劣化状態と測定結果の関係が確認されつつあり、日常点検や塗料選定への活用可能性を検証しています。
【想定する活用領域】
・橋梁、鉄塔、プラント、建築物の塗膜点検
・インフラ保有者による塗り替え時期の判断
・塗装業者による施工品質管理
・塗料メーカーによる硬化・劣化特性の評価
・工業製品や自動車における塗膜仕様の最適化
・将来的な保守計画、品質保証、保険サービスへのデータ活用 等
◆シーズへの想い
山形大学学術研究院 理工学研究科 杉本俊之教授
現在の塗装業界では、高品質な塗料を使ったことや、丁寧な施工を行ったこと、その結果として塗膜が長く機能したことを客観的に示すことが難しい状況があります。
そのため、品質よりも初期価格が優先され、高品質な塗料や施工の価値が正しく評価されない場合があります。しかし、塗膜が早期に劣化すれば、再塗装だけでなく、足場、交通規制、作業員の確保などにも大きな負担が生じます。
私たちは、塗膜の硬化・劣化状態と施工履歴をデータ化することで、「良い塗料」「良い施工」「良い仕事」が正しく評価される仕組みをつくりたいと考えています。
塗った直後から、硬化、使用、劣化、塗り替えまで。塗膜のライフサイクル全体をデータでつなぎ、インフラ維持管理のあり方を変えることが本プロジェクトの目標です。
この構想に共感し、研究チームや現場の方々とともに、事業を一からつくっていただける方を求めています。

