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プロ人材活用のリアルに迫る。 ~マツダ社におけるプロ人材活用とは~

マツダ株式会社
R&D戦略企画本部 開発管理部 開発業務管理グループ/アシスタントマネージャー横山 暢彦
パーソルキャリア株式会社 鏑木 陽二朗・マツダ株式会社 横山 暢彦 氏

あらゆる業界で人手不足が深刻化するなか、従来の雇用という形に捉われることなく、プロ人材を活用する企業が増え始めています。

「HiPro」では、個人の持つスキルがさまざまな企業で柔軟に活かされ、個人も企業も成長を続ける「スキル循環社会」の実現を目指しています。2023年6月からは「スキルリターン」プロジェクトと称し、都市部で専門的な経験を積んだプロ人材と地域の企業をつなぎ、地域企業・経済発展に貢献する取り組みを開始しました。これまで鳥取、山形、福岡で実施しており、2024年3月から広島での取り組みをスタートしました。

2024年3月12日(火)には、広島でスキルリターン発表会・プロ人材活用を行う広島県内企業の事例詳細(第一部)とトークセッション(第二部)を開催。今回は、当日実施されたトークセッションの様子をご紹介します。ゲストにマツダ株式会社 R&D戦略企画本部 開発管理部 開発業務管理グループの横山氏を迎え、プロ人材の活用について意見を交わしました。

時代の変化に対応するため、社外戦力の活用が不可欠に

パーソルキャリア株式会社 鏑木 陽二朗

鏑木:自動車業界の大手であるマツダさんが人材獲得において直面した課題とは何だったのでしょうか?

横山: 自動車業界では、EV(電気自動車)や自動運転などのニーズが高まって久しいですが、当社は、EVや自動運転などの開発には、あまり長けているとはいえない状況にありました。どちらかというと後発かもしれません。取り組みを強化するにあたっては、当然既存社員も努力をするものの、社外戦力の活用が不可欠な状況でした。 具体的には、非常に多くの派遣社員がいないと仕事が回らないという状況であり、この分野での派遣人材獲得がミッションでした。ですが多くの会社に掛け合い、目標人数の半数程度までは到達したものの、それ以上は難しく、業務が滞るといった事態になっていました。

鏑木:マツダさんでも人材獲得には課題があったのですね。

横山:EVや自動運転といった分野で当社が後発になっている要因の一つに、人材獲得が上手くいっていないということもあると、感じています。広島は決して小さい街ではないものの、東京や大阪、名古屋に比べるとやはり規模は小さいので、人材を獲得しようと思っても計画通りにいかない面がありました。

鏑木:実際に人がいないと業務が滞るという状況のなかで、どのように人材を獲得していくかが非常に重要なテーマだったということですね。

プロ人材の活用によって人材獲得の幅が広がる

マツダ株式会社 横山 暢彦 氏

鏑木:人材獲得には正社員などの採用や派遣などさまざまな選択肢がありますがなぜプロ人材の活用に至ったのでしょうか? 理由や背景を教えてください。

横山:話の流れから考えると、EVや自動運転の開発に長けたエンジニアリングのプロ人材を活用したと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。我々の人材獲得戦略や獲得に向けたアクションが適切であるかをみてもらうため、人事領域におけるプロ人材の方に入っていただくことにしたのです。

これまで、EVや自動運転などの技術領域に強みを持つ会社とコミニケーションし、情報収集や人材獲得を進めてきました。加えて、手段も派遣に留まることなく、業務委託での人材活用の相談や、国内に限らずインドや中国など海外人材の活用も考えました。

ただ、この私どもの人材獲得の取り組みが適切なのか分からない状態でした。実はすごく無駄があるのかもしれないなど、不安に思う部分がありました。そこで、我々の人材獲得戦略やアクションが適切かみてもらおうと思い、プロ人材の方に入っていただき一緒に進めていこうとなりました。

鏑木:人材獲得を含めた人事戦略を適切な方向に持っていくためにプロ人材を活用されたのですね。具体的にはどのようなサポートを受けられたのでしょうか?

横山:プロ人材の方に、当社のこれまでの人材獲得の取り組みや、人材の獲得状況を詳しく説明し、適切な人材会社を選定できているのか、人材会社に対し適切なアプローチ方法をとっているか、人材獲得のソリューションとして派遣会社以外にも選択肢があるのかといった点をすり合わせました。結果として良いアドバイスをいただけたと思っています。

鏑木:プロ人材の方からのアドバイスというのは、現場の皆さんから見てもやはり納得度の高いものだったのでしょうか?

横山:プロ人材を活用するのは初めてだったこともあり、評価というと難しいのですが、これまで当社が人材獲得のアプローチ先としていたのは40社ほどでしたが、プロ人材の方に相談したところ、追加で30~40社ほど提案いただきました。

鏑木:これまでよりも選択肢が大きく広がったということですね。

横山:はい。人材獲得の方法自体は、大きく間違っていないことが分かり自信が持てました。加えて、視野を広げるという意味では、プロ人材の方に入っていただいた価値は大きかったと感じています。

鏑木:さまざまなプロ人材の方が候補として存在したなかで、今回の方を選んだ決め手としてはどのようなものがあったのでしょうか?

横山:EVや自動運転といった領域の人材流通に詳しく、実際に当社が求めるような人材を企業に紹介した経験をお持ちだったところですね。特定領域における深い知見をお持ちだったというのが、決め手になりました。

鏑木:横山さんから見ても、その知見は確かなものだったということですね。

プロ人材と「一つのチーム」になり協働することが、期待以上の成果をもたらす

パーソルキャリア株式会社 鏑木 陽二朗・マツダ株式会社 横山 暢彦 氏

鏑木:プロ人材との協働によって具体的な成果が出ている状況かと思いますが、今後の人材活用における見通し・展望などがあれば教えていただけますか?

横山:まず、人材獲得の領域ではプロ人材の方を頼る価値はとてもあると感じています。人材獲得のために既にお付き合いのある人材会社など40社程度にアプローチしてきましたが、そこからさらに追加で30社を探すというのは社内リソースだけでは困難です。実際にアプローチしてコミュニケーションをとっていくことを考えると、時間がかかりますし、そもそもどうやって新規の取引先を発掘すればよいのかもわかりません。プロ人材の場合は既に持っている知見や人脈をもとにアドバイス・サポートしていただけるため、スピーディーに結果につながり、コスト的にもメリットは大きかったです。

鏑木:なるほど。さまざまなメリットがあるのですね。

横山:プロ人材活用では、課題に取り組むなかで、お互いが対等な立場で問題点についての議論を重ねていくことが重要です。発注者である企業とプロ人材のコミュニケーションが円滑に取れれば、結果として、当初描いていたものよりも高いアウトプットが出てきます。その点は非常に良いと思いました。

そのほかのメリットとしては、プロ人材の方は特定の領域で豊富な経験を持つ方が多く、ビジネススキルがとても高いと感じました。そのため、私自身もやりとりのなかで学ぶことが多々あり、仕事の結果だけでなく、協業を通じて自身の成長にもつながりました。関わる人材の成長につながるのも、プロ人材活用の良いところだと感じています。今後も、人材獲得戦略の領域ではどんどん活用していきたいと考えています。

また人事的な領域での活用だけではなく、純粋なエンジニアリングの領域においても、プロ人材の活用は費用対効果は高いと思っており、これから試験的に導入し、検証していく段階です。

鏑木:プロ人材を活用する場合、ただアドバイスをもらうというよりは、チームのなかで一緒にワークするという印象が強いです。やはり体感的にもそう感じるものでしょうか?

横山:完全に「チームとして」という動き方になっていますね。一つの問題に対して、対等な立場で議論し進めています。言い換えれば、お互いに「チームのメンバー」という意識でやらないとうまくいかないという注意点がありますね。同じチームとしてうまく協働できれば、とても良い成果につながります。

鏑木:今後のテーマとしては、プロ人材の活用を積極的に行っていきながら、人材獲得そのものを今の社会に合うように最適化していくといった動きが重要になるのでしょうか?

横山:おっしゃる通りだと思います。

鏑木:本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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