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【税理士監修】フリーランスの経費はどこまで?計上できるもの一覧と上限

フリーランス経費のイメージ画像

フリーランスとしてはたらく上で、避けて通れないのが「経費」の管理です。「パソコンや自宅の家賃はどこまで経費にできるのか」「上限や税務調査のリスクはないのか」と迷う方も少なくないでしょう。

経費の判断を誤ると、払わなくてよい税金を納めてしまったり、逆に後から否認されて加算税を課されたりするおそれがあります。さらに2026年は、少額減価償却資産の特例や基礎控除の金額が改正されており、以前の情報のままでは正しく計算できません

本記事では、フリーランスが経費にできるもの・できないものを勘定科目別の一覧で整理し、パソコンの計上ルールや家事按分の計算例、電子帳簿保存法への対応まで解説します。

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フリーランスの経費とは?節税メリットと基本ルール

フリーランスとしてはたらく上で、経費を理解することは非常に重要です。経費を正しく計上することで、節税につながり、手元に残るお金を増やせます。ここでは、フリーランスの経費の基本について解説します。

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フリーランスの「経費」とは?なぜ計上が重要なのか徹底解説

フリーランスにおける「経費」とは、事業を行う上で必要な費用のことです。所得税法上では「必要経費」と呼ばれます。

たとえば、エンジニアが業務用のPCを購入した場合、その購入費用は適切な処理をすれば経費として計上可能です。経費を計上することで、所得を減らし、結果的に所得税や住民税などの税金を抑えることが可能です。会社員の場合、経理担当が経費を管理してくれますが、フリーランスは自分で経費を管理する必要があります。適切な経費計上の知識は、フリーランスにとって重要と言えるでしょう。

経費計上のメリットとは?税負担の仕組み

経費を計上するメリットは、節税効果があることです。日本の税制度では、「収入-経費」で算出された所得金額をもとに課税所得を算出し、税金を計算します。つまり、必要経費として認められる支出を正しく計上するほど、所得が減り、結果として税負担も軽減されます。

なお、課税所得は「所得金額-所得控除」で計算されるため、経費だけでなく控除の金額も税額を左右します。2026年(令和8年)度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられ、2026年(令和8年)分は合計所得金額489万円以下の方で104万円となりました(2026年9月時点情報)。

出典:No.1199 基礎控除(国税庁)

また、日本は累進課税制度を使用しているため、所得が高いほど段階的に高い税率が適用されます。そのため、経費を適正に計上して所得金額を減らすことは、節税においても重要です。

「事業との関連性」が経費の判断基準

経費として認められるかどうかの判断基準は、その支出が「事業の遂行上必要であるかどうか」です。たとえば、プライベートでの飲食代や個人的な趣味の費用は、経費として認められません。しかし、事業に必要な書籍の購入費用や、クライアントとの打ち合わせにかかった飲食代などは、経費として計上できます。税務調査が入った際、「なぜこの経費が事業に必要なのか」を説明できるように、領収書を保管し、メモを残しておくことが大切です。人に説明できないような経費は、避けることが望ましいでしょう。

フリーランスが経費にできるもの・できないもの具体例

フリーランスには、必要経費として計上できるものと、できないものが存在します。適切に申告するためには、具体的にどのようなものが必要経費として認められるのかを把握することが大切です。

ここからは、必要経費として認められるのと認められないものを紹介します。

勘定科目別|経費にできるもの早見表

フリーランスが経費として計上できるものは多岐にわたります。主な勘定科目ごとに、具体例とフリーランスが使う際の注意点を一覧にまとめました。いずれも「事業との関連性」を説明できることが前提です。

勘定科目

具体例

フリーランスでの使い方の注意

旅費交通費

電車代、バス代、タクシー代、飛行機代、宿泊費、高速道路料金、駐車場代

打ち合わせ・出張など業務の移動に限ります。プライベートの旅行・移動は含まれません。

通信費

インターネット回線利用料、プロバイダ料金、携帯電話料金、切手代

プライベートと兼用している場合は、家事按分が必要です。

水道光熱費

電気代、ガス代、水道代

自宅兼事務所の場合は、業務で使った割合だけを家事按分で計上します。

地代家賃

事務所・コワーキングスペースの賃料、自宅兼事務所の家賃、更新料

自宅兼事務所は家事按分が必要です。生計を一にする親族に支払う家賃は、原則として必要経費になりません。

消耗品費

文房具、事務用品、コピー用紙、インクカートリッジ、10万円未満のパソコン周辺機器

取得価額10万円以上の備品は、減価償却などのルールに従います(後述)。

新聞図書費

専門書、業界誌、新聞購読料、有料の業界ニュースサービス

娯楽目的のマンガや小説は、原則として経費になりません。

研修費

セミナー参加費、研修受講料、オンライン講座受講料

業務と直接関係のない趣味の講座は経費になりません。

接待交際費

取引先との飲食代、贈答品代、お祝い金、お香典

領収書に相手先・人数・目的を記録しておきましょう。

広告宣伝費

ホームページ作成・サーバー費用、広告掲載料、名刺作成費用

事業の宣伝が目的だと分かる資料を残しておきましょう。

会議費

打ち合わせの会議室利用料、打ち合わせ時の飲食代

日時・相手・内容をメモしておくと説明しやすくなります。

支払手数料

振込手数料、決済手数料、クラウドソーシング・マッチングサービスの利用料

業務の取引で発生したものに限ります。

外注費

Webデザイナー・ライターなどへの依頼料

支払う相手や報酬の種類によっては、源泉徴収が必要な場合があります。

修繕費

パソコンの修理代、事務所の修繕費用

資産価値を高める改良は資本的支出となり、減価償却の対象です。

損害保険料

事業用の火災保険料、賠償責任保険料

生命保険料は経費ではなく、生命保険料控除の対象です。

租税公課

個人事業税、事業用の固定資産税・自動車税、印紙税

所得税や住民税は経費になりません。

減価償却費

パソコン、自動車、コピー機

原則として10万円以上の資産は減価償却の対象です。一括償却資産や少額減価償却資産の特例が適用できる場合もあります。

出典:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁)/No.2210必要経費の知識(国税庁)

必要経費として認められない支出の代表例

経費として認められるのは、あくまで「事業遂行に必要な支出」です。以下のものは、原則として経費として認められません。誤って計上しないように注意しましょう。

  • 個人的な趣味や娯楽のための支出:個人的な旅行、趣味の道具、娯楽雑誌など
  • 家族の生活費:食費、家賃、光熱費(家事按分を超える部分)、家族旅行
  • 税金:所得税、住民税
  • 国民健康保険料、国民年金保険料:社会保険料控除の対象
  • 罰金、過料:交通違反の罰金など
  • 個人的な借入金の返済

ただし、上記に該当するものでも、事業との関連性を明確に説明できる場合は、経費として認められる可能性があります。判断に迷う場合は、税務署や税理士など詳しい人に相談することをおすすめします。

飲食代、スーツ代、書籍代、セミナー参加など判断に迷う経費の境界線は?

経費として計上できるかどうか判断に迷うケースについて、具体的な例を挙げて解説します。ポイントは「事業との関連性」と「客観的な説明ができるかどうか」です。

飲食代

  • 取引先との飲食:接待交際費として経費になります。領収書に相手先の会社名・氏名、目的、人数などを記載しておきましょう。
  • 一人での飲食:原則として経費になりませんが、移動中の食事など、業務遂行上やむを得ない場合は認められる可能性があります。
  • 従業員との飲食:従業員を雇用している場合は、福利厚生費として経費になる場合があります。

スーツ代

  • 仕事で着用するスーツ:原則として経費になりませんが、特定の職種(例:弁護士、講師)で業務上必須である場合は、衣装代として認められる可能性があります。
  • 普段着としても着用できるスーツ:経費として認められません。

書籍

  • 業務に必要な専門書:新聞図書費として経費になります。
  • 自己啓発本、小説:原則として経費になりません。ただし、業務に関連する内容であれば、経費として認められる可能性があります。

セミナー参加費

  • 業務に必要な知識・スキルを習得するためのセミナー:研修費として経費になります。
  • 業務と関係のないセミナー:経費として認められません。

判断に迷う場合は、税理士に相談するのが確実です。また、税務署の個別相談を利用するのも良いでしょう。日頃から領収書やレシートを保管し、支出の内容を記録しておくことが大切です。

パソコン・スマートフォン・周辺機器

パソコンやスマートフォンは、取得価額によって経費にする方法が変わります。10万円未満なら購入した年に全額を経費にできます。10万円以上の場合は、取得価額や申告方法に応じて、一括償却資産・少額減価償却資産の特例・通常の減価償却のいずれかで処理します。

取得価額ごとの処理方法は、以下のとおりです。

取得価額(1台あたり)

経費にする方法

利用できる人

10万円未満(または使用可能期間1年未満)

購入して使い始めた年に全額を経費にする

白色申告・青色申告とも

10万円以上20万円未満

一括償却資産として、3年間で3分の1ずつ経費にする

白色申告・青色申告とも

10万円以上40万円未満(2026年(令和8年)3月31日までの取得分は30万円未満)

少額減価償却資産の特例で、購入した年に全額を経費にする(年間合計300万円まで)

一定の要件を満たす青色申告者(2029年〔令和11年〕3月31日までの取得分)

上記以外

耐用年数に応じて減価償却する(パソコンは4年)

白色申告・青色申告とも

取得価額に消費税を含めるかどうかは、経理方式によって変わります。免税事業者は税込の金額で判定するため、本体価格が10万円未満でも税込で10万円以上になるパソコンは、全額を一度に経費にはできません。ただし、一定の要件を満たす青色申告者は、少額減価償却資産の特例を利用できる場合があります。

出典:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁)

フリーランスの経費「いくらまで」OK?

フリーランスとして活動する上で、経費は節税に繋がる重要な要素です。ここでは、経費の上限や経費率の考え方について解説します。

経費に上限はある?経費率の考え方

結論から言うと、経費に明確な上限はありません。事業に必要な支出であれば、金額に関わらず経費として計上できます。たとえば、エンジニアが業務に必要なPC用のキーボードを購入した場合、その購入費用は経費として計上可能です。

また、支出が「事業の遂行上、合理的であるかどうか」が判断基準となるため、用途や目的を明確に記録しておきましょう。経費率とは、売り上げに対する経費の割合を示すものです。高い経費率であっても、それだけで問題視されることはありませんが、不自然な内容や妥当性に欠ける支出が含まれている場合には、税務調査において説明を求められるケースがあります。

たとえば、以下のような場合が挙げられます。

  • 接待交際費が多すぎる
  • 事業関連性が説明できない経費が計上されている
  • 仕入額や原価率が例年に比べ、極端に差異がある

重要なのは、経費として計上するすべての支出について、事業との関連性を明確に説明できるようにしておくことです。領収書を保管し、必要に応じて「なぜこの経費が事業に必要だったか」を説明できるよう準備しておきましょう。特に、接待交際費などは、相手の氏名や商談内容をメモに残しておくと、税務調査時にもスムーズです。また、経費の集計は確定申告の直前にまとめて行うのではなく、日々の業務の中でこまめに記録しておくことが、正確な申告と節税につながります。

なお、「業種別の経費率は◯%が目安」といった数値を見かけることがありますが、公的に定められた基準はありません。大切なのは割合そのものではなく、一つひとつの支出を事業との関連性で説明できるかどうかです。

自宅兼事務所の家賃などを経費にする「家事按分」の計算方法と注意点

自宅を事務所として使用している場合、家賃や光熱費などを経費として計上できる「家事按分」といった方法があります。家事按分とは、家事(プライベート)と事業の両方で使用している費用を、事業で使用している割合に応じて経費として計上する方法です。

たとえば、100㎡の自宅のうち40㎡を仕事場所として利用している場合、家賃の40%を経費として計上できる可能性があります。家賃が20万円であれば、20万円×40%=8万円が経費となります。

家事按分の計算方法には、明確な基準はありません。一般的には、以下のいずれかの方法が用いられます。

  • 使用面積按分:事業に使用している面積の割合で計算する方法
  • 使用時間按分:事業に使用している時間の割合で計算する方法
  • その他合理的な方法:業務内容や状況に応じて、より適切な方法で計算する方法

実務でよく用いられる按分基準の例と計算例は、以下のとおりです。

費用

按分基準の例

計算例(月額)

家賃

使用面積の割合(仕事部屋の面積÷住居全体の面積)

家賃10万円×事業用の面積割合30%=3万円

電気代

使用時間の割合(在宅時間のうち業務に使う時間)

電気代1万円×業務時間の割合40%=4,000円

通信費(スマートフォン・インターネット回線)

使用時間やデータ通信の割合

通信費8,000円×業務利用の割合50%=4,000円

どの基準を使う場合も、「なぜその割合にしたのか」を説明できる資料を残しておくことが大切です。

いずれの方法でも、合理的な説明ができるように根拠を残しておくことが重要です。たとえば、使用面積按分の場合、間取り図に事業で使用しているスペースを明示したり、写真を残しておいたりすると良いでしょう。

また、家事按分で経費を計上できるのは、実際に支払った金額が上限となります。以下、家事按分をする際の注意点をまとめました。

注意点

  • 按分比率の妥当性:税務署から指摘を受けたときに合理的な説明ができるよう、客観的な根拠に基づいた按分比率を設定しましょう。
  • 記録の保存:家賃、光熱費などの領収書や、按分計算の根拠となる資料は、確定申告後も一定期間保存する必要があります。

家事按分は、適切に行えば節税効果の高い方法ですが、不適切な計算や根拠のない計上は税務調査で指摘を受ける可能性があります。不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。

出典:No.2210必要経費の知識(国税庁)

減価償却とは?パソコン・スマホ・車などの購入費用と関連経費の計上ルール

使用期間が1年以上で、かつ取得価額が10万円以上の固定資産を購入した場合、その購入費用は「減価償却」によって、複数年にわたって経費として計上します。

減価償却とは、固定資産の価値が時間経過とともに減少していく考え方に基づき、その減少分を各年度の経費として計上する会計処理です。固定資産の購入費用を一度に全額経費として計上するのではなく、耐用年数(資産の種類ごとに法律で定められた使用可能期間)に応じて分割して計上します。

出典:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁)

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法には、主に以下の2種類があります。

  • 定額法:毎年同じ金額を計上する方法
  • 定率法:初期に多く、徐々に少なくなる金額を計上する方法

原則として、個人事業主は定額法を選択します。定率法を選択したい場合は、税務署に届け出が必要です。

減価償却の対象となる資産

  • 建物
  • 機械装置
  • 船舶
  • 車両運搬具
  • 工具
  • 器具備品(パソコン、スマホなど)

減価償却の注意点

  • 耐用年数:資産の種類によって耐用年数が異なります。国税庁のウェブサイトなどで確認しましょう。

主な資産の耐用年数は、以下のとおりです。

資産

耐用年数

パソコン

4年(サーバー用として使用する場合は5年)

普通自動車(一般用)

6年

コピー機

5年

減価償却は、計算が複雑になるため、会計ソフトを利用したり、税理士に相談したりすることをおすすめします。

出典:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)

少額減価償却資産の特例(取得価額10万円以上40万円未満・2026年〔令和8年〕4月1日以後の取得分)

青色申告をしているフリーランスは、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。2026年(令和8年)4月1日以後に取得した取得価額10万円以上40万円未満の減価償却資産は、年間合計300万円までを、使い始めた年に一括で経費にできます(2026年9月時点情報)。

2026年(令和8年)3月31日までに取得した資産は、従来どおり取得価額10万円以上30万円未満が対象です。特例の適用期限は2029年(令和11年)3月31日までの取得分となっているため、購入時期によって上限額が異なる点に注意しましょう。

出典:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁)

フリーランスの経費管理と確定申告

フリーランスとして活動するなら、適切な経費管理と確定申告への理解が欠かせません。とくに、領収書・レシートの保存期間や保存方法、収入額控除は誤解が生じやすい項目です。

ここからは、領収書・レシートの正しい保存期間・方法と紛失時の対処法や、フリーランスの経費処理と仕入税額控除の注意点を解説します。

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領収書・レシートの正しい保存期間・方法と紛失時の対処法

フリーランスにとって、領収書やレシートは経費を証明するための重要な証拠書類です。これらを適切に管理することは、確定申告において必要不可欠であり、節税にも繋がります。ここでは、領収書・レシートの正しい保存期間・方法と、紛失時の対処法について解説します。

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領収書・レシートの保存期間

領収書・レシートの保存期間は、青色申告か白色申告かで異なります。青色申告の場合、領収書などの現金預金取引等関係書類は原則7年間(前々年分の事業所得等が300万円以下の方は5年間)、白色申告の場合は5年間です(2026年9月時点情報)。

また、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるために保存する請求書等や、インボイス発行事業者として交付したインボイスの写しは、7年間の保存が必要です。これらの書類は、税務調査が入った際に提示を求められる可能性があるため、しっかり保管しておきましょう。

出典:帳簿の記帳のしかた(国税庁)

領収書・レシートの保存方法

領収書・レシートは、以下の方法で保存することをおすすめします。

  • 月別・勘定科目別に整理する
    領収書・レシートを月ごとに分け、さらに勘定科目(例:交通費、通信費、消耗品費など)別に分類することで、確定申告の際に集計作業がスムーズになります。
  • ファイルやバインダーに保管する
    領収書・レシートを紛失や劣化から守るために、ファイルやバインダーに保管しましょう。100円ショップなどで購入できる領収書ファイルなどを活用すると便利です。
  • スキャンしてデータ化する
    領収書・レシートをスキャンしてデータ化しておくと、紛失のリスクを減らせます。また、会計ソフトと連携することで、経費処理を効率化することも可能です。

領収書・レシートを紛失した場合の対処法

領収書・レシートを紛失してしまった場合は、以下の方法で対応を試みましょう。

  • クレジットカード明細や銀行口座の取引明細を確認する
    クレジットカードや銀行振込で支払った場合は、これらの明細が領収書の代わりになることがあります。ただ、本来は領収書の代替とは認められにくいため、あくまで補完的な資料であることを忘れないようにしましょう。
  • お店に再発行を依頼する
    可能であれば、お店に領収書の再発行を依頼してみましょう。ただし、再発行に応じてくれるかどうかはお店の判断によります。
  • 出金伝票を作成する
    どうしても領収書が手に入らない場合は、出金伝票を作成して、支払った内容を記録しておきましょう。出金伝票には、日付、金額、用途、支払先などを記載します。出金伝票だけでは支出内容の確認が難しい場合もあるため、メモや利用履歴など、支出の事実を説明できる資料も併せて保管しておきましょう。

領収書やレシートを紛失した場合でも、諦めずにできる限りの対応をすることが大切です。税務署に問い合わせて、どのような書類で経費を証明できるか確認するのも有効な手段です。

電子帳簿保存法への対応|電子取引データは「データのまま」保存する

メールで受け取ったPDFの請求書や、ECサイトからダウンロードした領収書は、紙に印刷して保存するだけでは足りません。電子帳簿保存法により、電子データで受け取った取引情報は、電子データのまま保存することが義務付けられています(2026年9月時点情報)。

これは青色申告・白色申告を問わず、帳簿書類の保存義務があるすべての個人事業者が対象です。

対象になるもの(メール添付のPDF請求書・ECサイトの領収書・電子契約書など)

対象となるのは、書面でやり取りしていれば保存が必要だった書類に相当するデータです。フリーランスの場合、主に以下のようなものが該当します。

  • メールに添付されて届いたPDFの請求書・見積書
  • ECサイトやクラウドサービスの管理画面からダウンロードした領収書
  • 電子契約サービスで締結した業務委託契約書
  • クレジットカードの利用明細データや、キャッシュレス決済の利用履歴

なお、紙で受け取った領収書をスキャンして保存する「スキャナ保存」は任意の制度で、電子取引データの保存義務とは別のルールです。

満たすべき要件(真実性の確保・可視性の確保)と現実的な運用方法

電子取引データは、改ざんを防ぐ措置(真実性の確保)と、必要なときにすぐ確認・検索できる状態(可視性の確保)を整えて保存します。国税庁が示す原則的なルールは、以下の3つです。

  • 改ざん防止の措置をとる:タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存、改ざん防止のための事務処理規程の策定・運用のいずれかを行う
  • ディスプレイやプリンタを備え付ける:保存したデータをすぐに画面表示・印刷できるようにしておく
  • 検索できるようにする:「日付・金額・取引先」で検索できる状態で保存する

基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の方は、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、3つ目の検索要件は不要です。多くのフリーランスは、この条件に当てはまるでしょう。

会計ソフトを使わない場合でも、ファイル名に「日付_取引先_金額」(例:20260915_株式会社〇〇_110000)を入れて、年別・月別のフォルダに集約する方法で対応できます。改ざん防止は、国税庁のサンプルを参考に事務処理規程を作成して運用する方法が、費用をかけずに始めやすいでしょう。

要件への対応が間に合わない場合の猶予措置もあります。税務署長が相当の理由があると認め、税務調査の際にデータのダウンロードや印刷した書面の提示に応じられるようにしていれば、データを保存しておくだけで足ります。まずは、受け取ったデータを消さずに保存することから始めましょう。

出典:電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について(国税庁)

フリーランスの経費処理と仕入税額控除の変更点・注意点

フリーランスの経費処理は、確定申告において重要なプロセスです。特に、消費税の仕入税額控除は、納税額に大きく影響するため、正確な理解が必要です。ここでは、フリーランスの経費処理と仕入税額控除の変更点・注意点について解説します。

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、消費税の納税額を計算する際に、売り上げにかかる消費税額から、仕入れや経費にかかった消費税額を差し引ける制度です。この制度を利用することで、消費税の納税額を減らせます。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入

2023年10月1日から、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されました。この制度は、仕入税額控除の適用を受けるために、適格請求書(インボイス)の保存を義務付けるものです。

インボイスとは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者が発行できる請求書です。従来の請求書に加えて、登録番号、適用税率、消費税額などが記載されています。

なお、仕入税額控除を受けるには、「消費税の課税事業者」である必要があります。免税事業者は消費税を納めていないため、仕入税額控除の対象外です。

出典:インボイス制度について(国税庁)

インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった方は、納付税額を売上税額の2割にできる「2割特例」を利用できます。ただし適用は2026年(令和8年)9月30日を含む課税期間まで、つまり個人事業者は2026年(令和8年)分の申告までです。2026年(令和8年)度税制改正により、個人事業者は2027年(令和9年分)・2028年(令和10年)分に限り、納付税額を売上税額の3割とする「3割特例」を利用できるようになりました(2026年9月時点情報)。

また、免税事業者など、インボイス発行事業者以外から仕入れた経費の消費税を一定割合控除できる経過措置も、2026年10月1日から控除割合が80%から70%に下がりました。取引先がインボイス発行事業者かどうかによって、控除できる消費税額が変わる点に注意しましょう。

出典:令和8年度税制改正特集(国税庁 インボイス制度特設サイト)

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フリーランスのためのインボイス制度を解説|対策・登録・請求書作成のポイント総まとめ

経費処理の注意点

経費処理を行う際には、以下の点に注意しましょう。

  • 事業に関係のない支出は経費にしない
    プライベートな支出は、経費として計上することはできません。
  • 領収書・レシートは必ず保管する
    経費を証明するために、領収書・レシートは必ず保管しましょう。
  • 家事按分を適切に行う
    自宅兼事務所の場合など、プライベートと事業の両方で使用する費用は、家事按分を行い、事業で使用した割合のみを経費として計上します。
  • 会計ソフトを活用する
    会計ソフトを活用することで、経費処理を効率化し、正確な帳簿を作成できます。

インボイス制度は、フリーランスの経費処理に大きな影響を与える制度です。制度の内容を正しく理解し、適切な対応を行うようにしましょう。

フリーランスが経費で失敗しないための重要ポイント

フリーランスが必要経費の計上で失敗しないためには、不正計上とみなされる行為や、適切な証拠書類の準備が欠かせません。

ここからは、フリーランスが必要経費で失敗しないためのポイントを解説します。

「節税」と「脱税」の違いは?不正計上とみなされるNG行為とペナルティ

フリーランスにとって、経費を計上することは節税に繋がる重要な手段です。しかし、その線引きを誤ると「脱税」とみなされ、ペナルティを課せられる可能性があります。「節税」と「脱税」は、どちらも税負担を軽減する点では同じですが、その手段と結果は大きく異なります。

節税は、税法で認められた範囲内で、合法的に税負担を軽減する行為です。たとえば、事業に必要な経費を適切に計上したり、控除制度を活用したりすることが挙げられます。一方、脱税は、意図的に収入を隠したり、架空の経費を計上したりするなど、不正な手段で税金を逃れる行為です。

具体的にどのような行為がNGとなるのでしょうか。

NG行為の例

詳細

架空の経費計上

実際には存在しない経費を計上する。

私的な支出の経費計上

プライベートな支出を事業の経費として計上する。

収入の隠蔽・過少申告

売り上げの一部を除外する、売上金額を少なく申告する。

経費の二重計上

同じ経費を二度計上する。

二重帳簿の作成

実態と異なる申告用の帳簿を別に作る。

これらの行為は、税務署の調査で発覚する可能性が高く、発覚した場合には、追徴課税や加算税などのペナルティが課せられます。さらに、悪質な場合には刑事罰が科せられることもあります。

経費の計上は、あくまで事業に必要な支出のみに限定し、領収書などの証拠書類をしっかり保管しておくことが重要です。判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

フリーランスが日頃から実践すべき経費管理と証拠書類の準備

正確な経費計上は、適正な節税を行う上で不可欠です。そのためには、日頃から適切な経費管理を徹底し、証拠書類を準備しておくことが重要になります。以下に、フリーランスが実践すべき経費管理のポイントをご紹介します。

事業用の口座とプライベート用の口座を分ける

事業に関するお金の流れを明確にするために、事業用の銀行口座を開設し、プライベートの口座と分けて管理しましょう。

経費が発生したら、必ず領収書やレシートを受け取る

領収書やレシートは、経費を証明するための重要な証拠書類です。紛失しないように保管しておきましょう。

領収書やレシートに日付、金額、支払先、用途をメモする

領収書やレシートだけでは、何の目的で使用したのかが分からない場合があります。必ず用途をメモしておきましょう。

会計ソフトやアプリを活用する

経費の入力や管理を効率化するために、会計ソフトやアプリを活用しましょう。自動で仕訳を行ってくれる機能などもあり、経費管理の負担を軽減できます。

定期的に経費の集計を行う

月に一度など、定期的に経費を集計し、収支状況を把握しましょう。無駄な支出がないか確認することで、改善に繋げられます。

証拠書類は整理して保管する

領収書やレシート、請求書などの証拠書類は、種類別、月別など、分かりやすく整理して保管しましょう。確定申告の際にスムーズに準備できます。

これらのポイントを実践することで、経費管理が簡素化され、確定申告の準備もスムーズに進められます。

経費の使いすぎは要注意?事業成長と節税の適切なバランスとは

経費を計上することで節税効果が得られるのは事実ですが、経費を使いすぎることは必ずしも良いとは限りません。なぜなら、経費はあくまで事業に必要な支出であり、無駄な経費は事業の利益を圧迫するからです。

たとえば、節税のために必要のないものを購入したり、高額な接待を繰り返したりすることは、逆効果になりかねません。節税効果は得られても、手元に残るお金は減ってしまい、事業の成長を妨げる可能性があります。

重要なのは、事業の成長と節税の適切なバランスを見つけることです。そのためには、以下の点を意識しましょう。

  • 経費は本当に事業に必要なものかを見極める
    経費を計上する前に、それが本当に事業に必要な支出なのかを自問自答しましょう。
  • 費用対効果を意識する
    経費をかけることで、どれだけの効果が得られるのかを考えましょう。
  • 無駄な経費を削減する
    定期的に経費を見直し、無駄な支出を削減しましょう。
  • 将来への投資も忘れずに
    節税だけでなく、将来の事業成長のために必要な投資も行いましょう。

経費は、事業を成長させるための手段の一つです。賢く活用することで、節税効果を得ながら、事業の成長を後押しできます。経費の使いすぎには注意し、常に費用対効果を意識することが大切です。

フリーランスの経費に関するよくある質問

フリーランスとして活動するうえで、必要経費について悩みを抱える人は多いです。ここからは、フリーランスによくある必要経費に関する質問に回答します。

Q1.フリーランス1年目で売り上げが少ない場合でも、経費は計上すべきですか?

売り上げが少ない場合でも、経費はしっかり計上しましょう。経費を計上することで、所得を圧縮し、所得税や住民税を抑える効果があります。特にフリーランス1年目は、事業を立ち上げるための初期費用がかさむことも多いはずです。これらの費用をしっかりと経費として計上することで、税負担を軽減できます。

青色申告の場合には、損益通算の規定を適用してもなお、控除しきれない損失がある場合には、その損失額を翌年以後の3年間繰り越すこともできます。

売り上げが少ないからといって経費計上をためらう必要はありません。正当な経費は、しっかりと計上することが節税の第一歩です。

出典:No.2070 青色申告制度(国税庁)

Q2.クレジットカード明細や銀行振込の記録は領収書の代わりになりますか?

クレジットカード明細や銀行振込の記録は、領収書の代わりになる場合があります。領収書を紛失してしまった場合や、そもそも領収書が発行されない支払い(クレジットカードの利用や銀行振込など)の場合、これらの記録が経費を証明する証拠となります。

ただし、クレジットカード明細や銀行振込の記録だけでは、具体的な内訳がわからないことも珍しくありません。たとえば、飲食代の場合、誰とどのような目的で食事をしたのかなどを記録しておくと、税務調査の際に説明しやすくなります。

また、クレジットカード明細や銀行の記録だけでは「証拠力が弱い」とみなされる可能性もあります。可能であれば、レシートや領収書を保管し、補助的な証拠としてクレジットカード明細や銀行振込の記録を活用するのがおすすめです。事業用のクレジットカードで経費を支払うと確定申告が楽になります。

Q3.「税金が戻ってくる」は誤解?

「税金が戻ってくる」との表現は、必ずしも正確ではありません。経費を計上することで税金が安くなるのは、所得が減ることで課税対象となる金額が少なくなるためです。つまり、すでに払い過ぎた税金が還付されるよりも、納めるべき税金が減額されるイメージです。

たとえば、源泉徴収されている場合や、予定納税を行っている場合には、確定申告によって払い過ぎた税金が還付されることがあります。しかし、これはあくまで結果として税金が戻ってくるだけであり、経費を計上すること自体が「税金を取り戻す」行為ではありません。

Q4.経費が多すぎるとどんなリスクがありますか?

経費を過剰に計上すると、税務調査の対象になるリスクが高まるため注意が必要です。税務署は、不自然に経費が多い場合や、事業との関連性が低い経費が計上されている場合に、調査を行うことがあります。税務調査の結果、経費として認められないものが発見された場合、追徴課税や加算税が課される可能性があるでしょう。

また、経費を増やしすぎて利益が少なくなると、状況によっては事業用融資や住宅ローン・マイカーローンなど金融機関からの融資を受けにくくなる可能性も考えられます。金融機関は、企業の収益性や安定性を重視しており、利益が少ない企業への融資は慎重になる傾向があるためです。

経費は、正当な範囲内で計上し、事業の成長に必要な投資と賢い節税のバランスを保つことが重要です。

Q5. 開業前に購入したパソコンや書籍は経費にできますか?

開業準備のために特別に支出した費用は、「開業費」として経費にできます。開業費は繰延資産として計上し、開業した年以降に償却して経費にしていきます。

開業費は、60か月で均等に償却する方法のほか、任意の年に任意の金額を経費にする「任意償却」も認められています。売り上げが少ない年は償却せず、利益が出た年に多めに経費にするといった調整ができる点が特徴です。

なお、開業前に購入したものでも、取得価額10万円以上のパソコンなどは開業費ではなく減価償却資産として扱い、事業に使い始めた日から減価償却します。いずれの場合も、開業準備のための支出だと分かる領収書を保管しておきましょう。

出典:所得税法施行令 第7条・第137条(e-Gov法令検索)

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Q6. 副業(会社員との兼業)の場合も同じように経費を計上できますか?

副業でも、収入を得るために必要な支出は経費として計上できます。ただし、副業の所得が事業所得になるか雑所得になるかによって、青色申告特別控除や赤字の損益通算などの扱いが変わります。

事業所得と認められるかどうかは、収入の規模や継続性、帳簿の記帳・保存の状況などから総合的に判断されます。副業で経費にできる範囲や所得区分の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。

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副業が事業所得になるケースとは?雑所得との違いや判断基準まで解説

経費のルールを押さえて、正しく節税しよう

フリーランスの経費は、「事業との関連性」を説明できるかどうかが判断基準です。金額の上限はありませんが、家事按分の根拠や領収書・電子データの保存など、説明できる状態を整えておく必要があります。2026年4月以降に取得した減価償却資産は、一定の要件を満たす青色申告者であれば40万円未満まで少額減価償却資産の特例を利用し一括で経費にできる可能性があります。

まずは口座を分け、日々の支出を記録する習慣から始めましょう。

(監修日:2026年10月13日)

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山本 聡一郎氏

山本聡一郎税理士事務所(https://nagoya-soutax.com/)|税理士

山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。

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