【2026年最新】公務員の副業は解禁された?できることや注意点を徹底解説|弁護士監修

「公務員だけど、今の収入だけじゃちょっと不安…」「スキルアップのためにも、何か新しいことに挑戦したい」と思っている公務員の方もいるのではないでしょうか。
実は近年、公務員の副業に関するルールが変わりつつあります。2026年4月から国家公務員の副業が緩和されることが決定したほか、総務省の通知(2025年6月)により、地方公務員も一定の条件で営利企業での副業・兼業が許可対象となるなど、副業解禁の流れは加速しています。
本記事では、公務員の副業に関する最新情報から、許可される範囲、注意すべき服務規律、そして具体的な申請方法までを解説します。(2026年4月時点情報)
公務員の副業を制限する法律とは?

公務員は国民全体の奉仕者であり、職務の遂行にあたっては公平性・中立性が求められます。そのため、副業は原則として制限されています。この制限の根拠となる法律は、国家公務員法と地方公務員法です。それぞれの法律で、兼業(副業)についてどのように定められているのか、詳しく見ていきましょう。
国家公務員法における兼業の制限(第103条、第104条)
国家公務員法では、以下の条文で兼業が制限されています。
● 第103条(私企業への従事等の制限):職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
● 第104条(他の事業の関与制限):職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
これらの条文から、国家公務員は、原則として営利企業の役員になったり、自ら営利企業を経営したりすることは禁止されています。ただし、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を得れば、報酬を得て他の事業に従事することが可能な場合もあります。許可を得るには、職務への支障がないことや、公務の信用を損なわないことなどが条件です。
地方公務員法における兼業の制限(第38条)
地方公務員法でも、国家公務員法と同様に、兼業が制限されています。
● 第38条(営利企業への従事等の制限):職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
地方公務員の場合、許可を出すのは「任命権者」です。任命権者とは、通常、地方公共団体の長(知事や市町村長)や、その委任を受けた者(教育長など)を指します。つまり、地方公務員が副業を行うには、この任命権者の許可を得る必要があるのです。許可基準は各自治体によって異なりますが、国の基準に準じている場合が多いようです。
ただし、明確な基準を定めていないか、あっても人事院規則と同様の内容としている団体が多いと思われるため、結果的に、国家公務員と同じ基準で兼業が制限されているケースが多いように考えられます。
これらの法律は、公務員がその職務に専念し、国民全体の利益のために公平・中立な立場で職務を遂行することを目的としています。
公務員の副業が原則禁止される4つの理由
パーソル総合研究所の2025年調査では、公務員の48.9%が「組織で副業が禁止されている」と回答しました。正社員の27.4%と比べても高く、民間より厳しい運用実態がうかがえます。

※ここでいう「公務員」とは、地方・国家公務員のみならず、農協や漁協などの団体職員を含む広義の定義としています。
また、2025年8月時点における公務員の副業実施率は4.8%でした。民間企業の正社員における実施率が9.2%であることを踏まえると、かなり低い水準であることがわかります。
正社員と比べ、公務員の副業実施が進みづらい要因はどこにあるのでしょうか。以下では、その背景を4つの観点で整理します。
理由1:職務専念の義務を負っている
公務員は、その職務に全力を尽くし、国民全体の利益のためにはたらく義務を負っています。国家公務員法第101条、地方公務員法第30条にも明記されている通り、公務員は職務に専念しなければなりません。
第101条:職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
第30条:すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
副業を行うことで、本業である公務に費やす時間や集中力が減少し、職務遂行に支障をきたす可能性があります。たとえば、睡眠不足による集中力低下や、副業の業務に気を取られ、本業でのミスが増加するなどが考えられるでしょう。職務専念義務を果たすため、公務員の副業は原則として禁止されています。
理由2:守秘義務を徹底する必要がある
公務員は、職務上知り得た秘密を漏洩してはならない守秘義務を負っています。公務員法には守秘義務が明記されており、違反した場合には罰則もあります。
第100条:職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
第34条:職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
副業の内容によっては、本業で知り得た情報を利用したり、漏洩したりするリスクもあるでしょう。たとえば、自治体の政策に関する情報を、関連する企業に漏らすといったケースが考えられます。守秘義務を遵守し、情報の漏洩を防ぐため、公務員の副業は厳しく制限されています。
理由3:国民からの信用失墜を防止しなければならない
公務員は、その行為が国民からの信頼を損なうことのないよう、常に品位を保たなければなりません。また、政治的な中立性を確保し、特定の利益のために職務を行うことがないようにする必要があります。副業の内容によっては、公務員としての信用を失墜させたり、中立性を疑われたりする可能性があるため注意が必要です。たとえば、特定の政治団体の活動を支援する副業や、社会的に批判を浴びる可能性のある事業への関与などが挙げられます。信用失墜行為の禁止と中立性の確保のため、公務員の副業は原則として禁止されています。
出典:公務員法第99条(e-Gov法令検索)
出典:地方公務員法第33条(e-Gov法令検索)
理由4:中立性の確保が求められる
公務員には、特定の企業や団体に偏らず、公正に職務を行うことが求められます。副業先との関係が職務に近いと、実際に便宜を図っていなくても公平性を疑われるおそれがあります。
たとえば、以下の項目に関わる部署で、関係先と近い事業を行う場合は要注意です。
- 許認可
- 補助金
- 契約
- 監督
- 検査など
業務上知り得た情報や人脈が副業に使われるのではないかと見られるだけでも、説明責任は重くなります。
副業内容そのものが適法でも、国民や住民から見て不信を招く形なら、問題視される可能性があるため注意が必要です。
出典:国家公務員法第103条(e-Gov法令検索)
出典:地方公務員法第38条(e-Gov法令検索)
【2026年4月】国家公務員の副業・兼業はどう変わる?自営兼業制度の見直しを解説
国家公務員の副業は、これまでも全面的に禁止されていたわけではなく、許可・承認を得た範囲で行うことができました。2026年4月に人事院が発表した「自営兼業制度の見直し」以降、この承認・許可の対象範囲がさらに広がります。
特に「職員の有する知識・技能を活かした事業」と「社会貢献に資する事業」が、新たに承認対象へ加わる点が重要です。以下では、新たに承認対象へ加わる2類型の内容を順に見ていきます。
新たに認められる「職員の有する知識・技能を活かした自営兼業」とは
2026年4月以降は、承認基準を満たすことを前提に、趣味で培った知識や技能を生かした事業も承認対象になり得ます。知識・技能を活かした自営兼業の例は、以下のとおりです。
- ハンドメイド品の販売
- スポーツや芸術の教室
- Web制作・プログラミング
- 語学関連の教室や指導
しかし、該当しそうな内容でも自動的に認められるわけではなく、利害関係の有無や職務への支障などの承認基準を満たすことが前提です。
承認審査では、事業内容だけでなく、営業日や営業時間、収入見込み、職務上の利害関係者(許認可先・監督先・取引先など)との関係の有無も見られます。申請時には、自分の技能をどのような形で提供し、勤務時間外で完結できるかを具体的に示すことが重要です。
自分では「副収入の延長」と考えていても、継続して事業として行うなら制度上は開業届の提出や事業計画書の作成を前提とした申請が求められます。
出典:自営兼業制度の見直しについて(人事院)
出典:自営兼業制度の見直しに関するQ&A(人事院職員福祉局)
「社会貢献に資する事業」として認められるケースと条件
新制度では、収益だけを目的にした活動ではなく、地域や住民の課題解決に資する自営兼業も承認対象になり得ます。人事院の資料では、地域振興イベントの主催や、高齢者向けの買い物代行などが例として示されています。
承認を受けるには、以下の条件を満たしましょう。
- 特別な利害関係がないこと
- 職務遂行に支障がないこと
- 公務の公正性・信頼性を損なわないこと
- 事業計画書などで内容を明らかにできること
単に「社会の役に立ちそう」というだけで「社会貢献に資する事業」として認められるわけではありません。営利性が強すぎる場合や、特定団体への利益供与に見える場合は、公益性があっても承認されにくくなります。
公務員でも許可を得ればできる副業
公務員の副業は、事業の内容や収入の見込み、継続性、職務との近さを踏まえて実施可能か個別に判断されます。
ここでは、2026年4月以降に公務員が実施できる副業例と、承認審査で確認される主なポイントを整理します。
不動産投資
不動産投資は、公務員が検討しやすい副業の一つです。もっとも、無条件で自由にできるわけではありません。
国家公務員では、一定規模以上の不動産賃貸が「自営」に当たり、承認が必要になります。2026年4月以降は、賃貸料収入の基準などが見直されますが、室数・収入額・管理方法によって扱いが変わる点は同じです。
物件管理を外部委託しているかなど、職務との利害関係や本業への支障がないかは別途確認されます。入居者対応や修繕手配に平日の時間を取られない体制を作れるかも、実務上の重要な判断材料です。
家賃回収や苦情処理を自ら頻繁に担う計画だと、承認のハードルは上がりやすくなります。
講師・講演活動
講師や講演活動は、専門知識を社会に還元しやすい副業です。内閣人事局・人事院が公表している資料によると「単発的に講演を依頼され講演料を得た場合」や「研究成果等を雑誌等に単発的に発表し報酬を得た場合」は、国家公務員法第104条の兼業には該当しないとされています。
一方で、同じ団体から継続的に依頼を受ける場合や、定期講座として運営する場合は、兼業許可や自営承認の検討が必要です。テーマが所属先の業務と近いときは、守秘義務や利害関係の観点からも慎重な確認が欠かせません。
利害関係者から高額報酬を受ける場面では、倫理面の確認も必要になります。録画配信や教材販売まで広げる場合は、単発謝金ではなく継続事業として見られやすくなるため注意が必要です。
出典:一般職の国家公務員の兼業について(内閣人事局・人事院)
出典:自営兼業制度の見直しに関するQ&A(人事院職員福祉局)
農業・林業
農業や林業も、公務員が認められる余地のある活動です。特に国家公務員では、従来から家業として継承した農業等が承認対象とされてきました。
自家消費が目的の小規模なものであれば、兼業の申請は不要です。しかし、大規模に経営され、営利が主目的であると判断されるものについては、申請・承認が必要な兼業に該当します。
承認審査では、作業時間・販売の継続性・店舗その他の営業設備の有無などが確認されます。週休日中心で運営できることや、公務と利害関係がないことを説明できれば、相談対象になりやすい分野です。
地域貢献性が強い場合は、新制度との関係でも確認しておくとよいでしょう。補助金や許認可と結び付きやすい分野でもあるため、担当業務と農林業との利害関係(補助金の受給・許認可の関係先など)は特に丁寧に確認されます。
「収穫期に平日作業が集中する」「雇用管理が必要になる」といった事情がある場合は、本業への支障や兼業の管理実態が問題視されるため、承認のハードルが上がります。
出典:一般職の国家公務員の兼業について(内閣人事局・人事院)
家業の手伝い
家業の手伝いは、親族の事業を支える目的でも、公務員にとっては慎重な確認が必要です。
無報酬で一時的に手伝うだけであれば、申請が不要となるケースもあります。しかし、継続的に業務へ入り、利益に関与するなら副業や兼業として見なされる可能性があります。
特に、店舗運営や経理、顧客対応などを恒常的に担う場合は注意が必要です。家族経営だから問題ないと考えず、職場の規程と申請要否を先に確認しましょう。
役員就任や名義貸しに近い形になると、承認の審査において許可が得られにくくなる可能性があります。親族からの依頼でも、実態が事業参加なら正式な兼業手続きで整理するのが安全です。
ハンドメイド品の販売
ハンドメイド品の販売は、2026年4月改正で想定例として示された「職員の有する知識・技能を活かした自営兼業」の代表例です。
作品づくり自体が趣味の延長でも、継続して販売し、売上を得るなら自営として判断される可能性があります。フリマアプリやネットショップを使う場合も同様です。
承認を得るには、販売内容・営業日・収入見込み・販売先との関係を整理し、職務と無関係であることを説明できる状態にしておく必要があります。
景品表示法や特定商取引法に基づく表示義務など、販売者としての基本的な法令順守も大切です。
Webサイト制作・プログラミング
Webサイト制作やプログラミングも、新制度で認められうる知識・技能型の副業です。自分の技術を使って制作物を提供する形なら、承認対象として検討しやすくなります。
しかし、民間企業から継続的に業務を受託する場合は、国家公務員法第104条の兼業許可に関わる可能性があります。
受注相手が所属部署の監督対象や取引関係である場合は利益相反の懸念も強くなるため、開始前の相談が欠かせません。
納期対応で夜間や勤務中の連絡が常態化しない設計も、承認の現実性を左右します。個人情報や行政分野に近い案件では、守秘義務との線引きを明確にすることも重要です。
語学・芸術・スポーツ教室の運営
語学・音楽・美術・スポーツなどの教室運営も、人事院資料で想定されている知識・技能型の一例です。自分の経験や資格を活かしやすく、地域貢献とも結び付きやすい分野といえます。
しかし、授業日が勤務日に食い込んだり、生徒募集の発信が公務の信用を損なうといった事情があったりすると、承認は難しくなります。
基本は週休日中心で無理のない計画を立てることが前提です。会場の確保や受講料の設定も含め、継続運営の形を事前に整理しておくことが求められます。
地域復興イベントの企画・運営
地域復興イベントの企画や運営は「社会貢献に資する事業」の典型例となる活動です。地域産品のPR・交流人口の拡大・住民参加の促進など、公益性を説明しやすい場面が多いためです。
しかし、自治体補助金や許認可、公共施設利用などと深く結び付くこともあるため、自分の職務と近い領域で行う場合は慎重な確認が必要です。公益性が高くても、利害関係があると承認が難しくなる点は押さえておきましょう。
外部から見て説明可能な運営体制かどうかも、信頼性の面で重要です。企画段階から行政との関与が深いほど、どの立場で参加するかを明確にしておく必要があります。
高齢者向けの支援・買い物代行サポート
高齢者向けの支援や買い物代行は、人事院の見直し概要でも例示された社会貢献型の活動です。日常生活の困りごとを補う活動は公益性を示しやすく、地域課題の解決という観点でも説明しやすいでしょう。
一方で、利用者情報の管理や移動中の事故対応、報酬設定の妥当性など、運営面の整理は欠かせません。福祉や地域支援に関わる公務を担当している場合は、職務との近接性が高くならないかを確認する必要があります。
善意だけで始めず、責任範囲を明確にして申請することが大切です。有償で継続提供するなら、料金体系や対象者を明らかにし、恣意的な運用を避ける配慮も重要です。
NPO法人での活動
NPO法人での活動は、公益性が高く、公務員の経験を活かしやすい分野です。
しかし、無償ボランティアなのか、報酬を得て継続的に従事するのかで扱いは変わります。報酬が発生し、一定期間その団体の事業や事務に関与するなら、兼業許可の対象になり得ます。
そのため、公益目的でも手続きなしで進めるのは避けましょう。肩書の出し方や発信内容によっては、公務の立場と誤解されない工夫も必要になります。
理事就任や対外窓口を担う場合は、役職の有無も含めて事前に確認しておきましょう。
原則として許可されない副業の種類
公務員の副業で問題になりやすいのは、収益性の高さそのものより、職務との近さや公務への悪影響です。特に、次のような副業は原則として許可されにくい傾向があります。
- 営利企業の役員や名義貸しに当たるもの
- 許認可、補助金、契約、監督先などと近い利害関係があるもの
- 深夜業務や長時間作業で本業に支障が出やすいもの
- 過度に射幸心をあおる活動や、SNSで強い反発を招きやすい発信を伴うもの
しかし、「副業先が民間企業だから即禁止」「NPOだから即安全」とは言い切れません。実際には、継続性・収入・役職・職務との関係を踏まえた個別判断になります。
迷う場合は、始める前に相談することが大切です。
公務員が副業を始める前に|服務規律違反とならないための重要知識と影響
公務員が副業を始めるにあたっては、服務規律を遵守することが非常に重要です。無許可で副業を行ったり、服務規律に違反するような副業を行ったりした場合、懲戒処分などの重い処分を受ける可能性があります。ここでは、服務規律違反とならないための重要な知識と、違反した場合の影響について解説します。
無許可・違反の副業が明らかになった場合の影響は?
公務員が副業を行う場合、原則として許可が必要です。無許可で副業を行った場合や、許可を得ていたとしても服務規律に違反するような副業を行った場合、以下の様な影響が考えられます。
影響 | 詳細 |
懲戒処分 | もっとも重い処分として、免職(解雇)となる可能性があります。その他、停職、減給、戒告などの処分が科されることもあります。 |
信用失墜 | 公務員としての信用を失い、職場や地域社会からの信頼を損なう可能性があります。 |
法的責任 | 副業の内容によっては、法的責任を問われる可能性もあります。たとえば、情報漏洩や利益相反行為などが該当します。 |
昇進・昇給への影響 | 懲戒処分を受けた場合、昇進や昇給に影響が出る可能性があります。 |
退職金への影響 | 免職などの処分を受けた場合、退職金が減額されたり、支給されなくなる可能性があります。 |
隠れて行う副業の危険性:正直な申請と適切な手続きが最善策
「バレなければ大丈夫」と考え、無許可で副業を行うことはやめておきましょう。近年、SNSの普及などにより、個人の情報が漏洩しやすくなっています。また、税務署からの情報や、同僚からの報告や指摘など、さまざまなルートで無許可の副業が発覚する可能性があります。隠れて副業を行っていたことが発覚した場合、上記のような処分を受けるだけでなく、職場での人間関係が悪化したり、精神的な負担が大きくなることも考えられます。
公務員が副業を行う上で重要なことは、正直に申請し、適切な手続きを踏むことです。副業を検討する際には、まずは所属する自治体や官庁の服務規程をよく確認し、上司や人事担当者に相談するようにしましょう。許可が得られる可能性のある副業なのか、服務規律に違反する可能性はないかなど、専門的なアドバイスを受けることが大切です。
総務省は今後、どのような副業が認められるのかどうかの基準や事例を明確にし、職員と自治体の両方が安心して副業申請できる体制を整える見込みです。今後の動向にも注目し、常に最新の情報を把握するように心がけましょう。
【ステップ解説】公務員が副業を始めるための許可申請と手続きの流れ
公務員が副業を始めるには、法律と服務規程に沿った適切な手続きが不可欠です。ここでは、具体的なステップを解説します。無許可で副業を行った場合のリスクについても理解し、正しい手順で申請を進めましょう。
ステップ1:自分の職場の服務規程を確認する
副業を検討するにあたり、最初に確認すべきは、所属する自治体や官庁の服務規程です。副業に関する規定、許可基準、申請方法などが明記されています。これらの規則は、国家公務員法や地方公務員法に基づいて定められていますが、具体的な内容は組織によって異なる場合があります。不明な点があれば、人事担当部署に問い合わせて確認しましょう。
ステップ2:上司・人事担当者に相談する
服務規程を確認したら、上司や人事担当者に副業の意向を相談しましょう。副業の内容、目的、はたらく時間などを具体的に説明し、許可を得られる可能性や必要な手続きについてアドバイスを求めます。事前相談は、スムーズな申請プロセスを進める上で非常に重要です。職場の理解を得ることで、副業に対する協力やサポートも期待できます。
ステップ3:兼業許可申請書の準備・作成する
事前相談の結果を踏まえ、兼業許可申請書を作成します。申請書には、一般的に以下の項目を記載します。
- 氏名、所属部署、役職
- 副業の内容(業務内容、はたらく時間、報酬など)
- 副業を行う理由・目的
- 本業への支障がないことの説明
- 副業先に関する情報(会社名、所在地、代表者など)
申請書の様式は、所属する組織によって異なります。人事担当部署から入手するか、組織のウェブサイトからダウンロードできる場合があります。申請書は正確かつ具体的に記入し、虚偽の記載は絶対に避けましょう。
ステップ4:兼業許可申請書を提出して審査を受ける
作成した申請書は、所属する組織の定める方法で提出可能です。提出先は人事担当部署であることが一般的です。申請書が受理されると、組織内で審査が行われます。審査では、以下の点が考慮されます。
- 副業が本業に支障をきたす恐れがないか
- 副業が公務員の信用を損なう恐れがないか
- 副業が法令や服務規程に違反しないか
審査には時間がかかる場合があります。審査期間や結果の通知方法についても、事前に確認しておきましょう。
公務員の副業の許可を得た後に注意するポイント
公務員の副業の許可を得た後に注意するポイントは、以下のとおりです。
- 許可範囲を超えない
- 内容変更時は再相談する
- 勤務時間・体調管理を徹底する
- 守秘義務・利益相反に注意する
- 確定申告や税務も確認する
副業は、許可を得たら終わりではありません。許可時の前提条件が崩れた場合は、再相談や再承認が必要になることがあります。
国家公務員の自営兼業制度の見直し後でも、知識・技能型や社会貢献型の自営兼業は2年を超えない期間で承認され、内容変更時には事前に改めて承認を得るよう記載されています。たとえば、営業日を増やしたり、収入見込みが大きく変わったり、取引先が増えたりといった変更は、自己判断で進めないようにしましょう。
副業の透明性を保ち、本業への影響を防ぐためにも、許可後こそ記録と相談を丁寧に続けることが大切です。
出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」の一部改正について(人事院)
公務員が副業で成功するために意識すべき5つのこと
公務員が副業を成功させるためには、本業に支障をきたさないことはもちろん、職場の理解を得ながら、着実にステップアップしていくことが重要です。ここでは、副業を始める前に意識すべき5つのポイントを解説します。
本業に支障をきたさないよう時間・体調管理を徹底する
副業を始める上で重要なことは、本業に支障をきたさないことです。時間管理を徹底し、十分な睡眠時間を確保するなど、体調管理にも気を配りましょう。本業がおろそかになってしまうと、職場の信頼を失うだけでなく、副業の許可が取り消される可能性もあります。
具体的には、以下の点に注意しましょう。
- 副業に費やす時間を事前に決め、必ず守る
- 本業の業務時間中は、副業のことを一切考えない
- 休日や休憩時間を利用して副業を行う
- 疲労が蓄積しないように、十分な休息を取る
職場の理解と信頼関係を維持する
副業を行うことは、職場に理解してもらうことが大切です。事前に上司や同僚に相談し、副業の内容や時間配分などを説明することで、理解を得やすくなります。また、日頃から良好なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いておくことも重要です。
副業が許可された後も、本業に対する責任をしっかりと果たし、周囲の期待に応えるように努めましょう。
常に最新の法律・規則を確認する習慣をつける
公務員の副業に関するルールは、変更される可能性があります。そのため、常に最新の法律や規則を確認する習慣をつけましょう。所属する自治体の服務規程や、人事担当部署からの通達などを定期的にチェックし、違反行為がないように注意することが大切です。
特に、以下の点に注意して確認しましょう。
- 副業の種類に関する制限
- 労働時間に関する制限
- 収入に関する制限
- 許可申請の手続き
副業で得たスキルや経験を本業に活かす視点を持つ
副業で得たスキルや経験は、本業にも活かせます。たとえば、Webライティングの副業で文章作成能力が向上すれば、報告書や企画書の作成にも役立ちます。プログラミングのスキルを習得すれば、業務効率化のためのツールを開発することも可能です。
副業で得た知識やスキルを積極的に本業に活かすことで、自己成長を促進し、組織への貢献にも繋げられます。
小さく始めて、リスクを管理しながらステップアップする
副業を始める際は、最初から大きな利益を求めるのではなく、小さく始めてリスクを管理することが大切です。まずは、自分のスキルや経験を活かせる範囲で、無理のない範囲で始めましょう。徐々に慣れてきたら、少しずつ規模を拡大していくのがおすすめです。
また、副業に関するトラブルが発生した場合に備えて、事前にリスクを想定し、対策を講じておくことも重要です。
意識すべきこと | 詳細 |
本業への支障を出さない | 時間管理、体調管理を徹底し、本業を優先する。 |
職場の理解と信頼関係を維持する | 事前に相談し、日頃から良好なコミュニケーションを心がける。 |
常に最新の法律・規則を確認する | 服務規程や人事通達を定期的にチェックし、違反行為を防ぐ。 |
副業で得たスキルや経験を本業に活かす | 自己成長を促進し、組織への貢献に繋げる。 |
小さく始めて、リスクを管理しながらステップアップする | 無理のない範囲で始め、徐々に規模を拡大する。 |
公務員が副業を行うことは、収入アップやスキルアップの機会になるだけでなく、自己成長を促進する良い機会にもなります。上記のポイントを参考に、正しい知識と手順で、副業に挑戦してみてはいかがでしょうか。
公務員の副業に関するよくある質問
ここからは、公務員の副業に関するよくある質問に回答します。事前に悩みやすいポイントを把握し、対策を練っておきましょう。
Q1.公務員の副業は何時間までなら可能?
「公務員の副業は1日何時間まで」と一律に決まっているわけではありません。
しかし、国家公務員の兼業許可の目安では、原則として週8時間以下・月30時間以下・平日3時間以下といった運用基準が示されています。また、所属先ごとの服務規程が優先されるため、時間だけでなく疲労や本業への影響まで含めて判断されます。
地方公務員でも一律の数字があるとは限らないため、自分の勤務先の基準確認が欠かせません。申請済みでも、繁忙期や残業増加で支障が出れば、見直しを求められることがあります。
Q2.公務員のYouTube活動は副業に該当する?
YouTube活動は、内容次第で副業に該当する可能性があります。
内閣人事局・人事院のQ&Aによると、アフィリエイト収入を得ることだけですぐに兼業とはされません。一方で、営利目的、投稿の継続性・反復性、規模などによっては、承認又は許可が必要な兼業に該当する可能性があります。
また、過激な発信や職務と近いテーマの解説は、公務への信頼という面でも注意が必要です。個人の見解と公的立場が混同されないよう、発信内容の設計も重要になります。
出典:自営兼業制度の見直しに関するQ&A(人事院職員福祉局)
Q3.みなし公務員・準公務員も副業は禁止?
みなし公務員・準公務員とは、独立行政法人や公益法人、公営企業、外郭団体の職員など、法律の規定によって公務員に準じる扱いを受ける職員のことです。
みなし公務員や準公務員は、国家公務員法や地方公務員法がそのまま適用されるとは限りません。そのため「必ず同じ規制がかかる」とは言えませんが、勤務先の就業規則や個別法、委託契約上の守秘義務などで副業が制限されるケースは多くあります。
独立行政法人・公益法人・外郭団体・指定管理者などでは扱いが分かれるため、肩書だけで判断せず、まず所属先の規程と人事担当者の案内を確認することが重要です。
病院や学校、福祉法人などでも独自ルールがあるため、一般論だけで進めないことが大切です。副業可否は雇用形態より規程次第であるため、就業規則も確認しておきましょう。
公務員の副業は正しい知識と手順で可能性を広げよう
本記事では、公務員の副業に関する法規制から、許可される副業・されない副業の具体例、申請手続き、そして成功するためのポイントまで、幅広く解説しました。原則として副業は制限されているものの、許可を得れば可能な範囲も存在し、働き方改革の流れの中で、一部自治体では解禁の動きも見られます。
重要なのは、公務員が副業を行う上で、関連する法律や服務規程を遵守し、適切な手続きを踏むことです。無許可での副業は、懲戒処分の対象となる可能性もあります。事前に職場への相談を行い、理解を得ながら、本業に支障をきたさない範囲でスキルアップや収入アップを目指しましょう。
副業を通じて得た経験やスキルは、本業にも活かせる可能性があります。小さく始めて、リスクを管理しながら、公務員としての可能性を広げていきましょう。
副業に関する規則は常に変化する可能性があります。常に最新の情報を確認し、不明な点があれば、人事担当者や専門家へ相談することをおすすめします。
▼関連記事
プロボノとは?ボランティアや副業との違いやメリット・注意点を徹底解説
会社員の副業の実態は?副業市場が伸びている理由や成功のコツ・注意点を徹底解説
副業の始め方を4ステップで紹介|メリット・デメリットや注意点も解説
はたらき方にはどんな種類がある?雇用形態や勤務時間による違いを解説
(監修日:2026年4月8日)

法律事務所アルシエン(https://www.kawano-law.net/ )|弁護士
弁護士として、主にクリエイターの方をメイン顧客とし、著作権、フリーランス法務、エンターテイメント法務などを取り扱っております。 情報発信にも力を入れており、Xのフォロワー数は1万人を超えております(@kawano_lawyer)。
この記事が気に入ったら「シェア」






