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プロボノとは?ボランティアや副業との違いやメリット・注意点を徹底解説

社会貢献のイメージ

2018年に厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をきっかけに「副業解禁」をする企業、そして副業を始める個人が増えています。しかし、まだまだ副業を禁止している企業が多いのも事実です。

本記事では企業が副業を禁止する背景や、副業禁止でもできる可能性がある社外活動の具体例と活動を行う際の注意点について解説します。副業だけではない、「キャリアを広げる活動」の参考にしてください。

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プロボノとは?基本情報を解説

プロボノのイメージ

プロボノとは、仕事で培った専門的な知識やスキルを、非営利組織や社会的なプロジェクトに無報酬で提供する活動のことです。プロボノはラテン語の「pro bono publico」からきていて、直訳すると「公共の利益のために」という意味です。世界各地で、新しい社会貢献の形として広がっています。

もともとはアメリカやイギリスにおいて、弁護士費用を払うのが難しい人に対して法律関連の仕事をする人が無償で行う活動を指していました。現在では、一般企業のさまざまな領域や職種へと広がっています。

プロボノは、期間限定のプロジェクト型や、5人前後のチームで取り組むものなど形式も多様です。自らのキャリア形成の一環として、プロボノ活動を行う方もいます。近年注目されている、複数のキャリアを持つ「パラレルキャリア」の第一歩としても活用できる可能性があります。

無報酬のため、副業禁止の企業に所属している場合でも参加しやすくなっています。ただし、所属する企業の方針や規程を確認し、必要であれば事前の許可を取ると不安なく活動を開始できるでしょう。

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プロボノが社会から注目されている背景

プロボノが広がっている背景には、非営利組織の人材課題だけでなく、社会課題の複雑化やデジタル対応の必要性があります。

ここでは、専門スキルを持つ外部人材が求められている理由を3つの観点から整理します。

  • 特定非営利活動法人の人材不足が深刻化している
  • 社会課題が複雑化し、専門的な知見や戦略が必要になっている
  • 非営利組織でもDX(デジタル化)が急務となっている

以下で、それぞれ具体的に解説します。

特定非営利活動法人の人材不足が深刻化している

プロボノが社会から注目されている理由の一つに、特定非営利活動法人の人材不足が深刻化している点が挙げられます。

内閣府の調査では、NPO法人が当面の課題として挙げた項目のうち、「人材の確保や教育」は認証法人で65.6%、認定・特例認定法人で70.6%に達しました。

出典: 2023年度(令和5年度)「特定非営利活動法人に関する実態調査」概要版(内閣府)

活動を続けるには現場支援だけでなく、広報、会計、運営改善まで担える人材が必要です。しかし、限られた予算の中で常勤人材をそろえるのは簡単ではありません。

そこで、必要な時期に必要な専門性を届けられるプロボノへの期待が高まっています。

社会課題が複雑化し、専門的な知見や戦略が必要になっている

現代の社会課題は、単に人材を増やすだけでは解決しにくくなっています。

貧困や環境問題、地方創生などの分野では、現場活動に加えて、寄付を集める広報・支援者を増やすマーケティング、業務を整理するITや法務の視点が必要とされています。

内閣府の調査でも、企業等との連携やプロボノ受入れを強化したい法人が求める分野は「宣伝・広報」「IT」「マーケティング」が上位でした。

いま非営利活動法人に求められているのは、善意だけでなく組織課題を前に進める実務力といえるでしょう。

出典:2023年度(令和5年度)「特定非営利活動法人に関する実態調査」概要版(内閣府)

非営利組織でもDX(デジタル化)が急務となっている

非営利組織でも、限られた人員で活動を広げるためにDXは欠かせません。先述したとおり、内閣府調査ではプロボノ受入れを強化したい分野として「IT」が上位に入り、活動内容の情報発信やオンラインでの支援提供も広がっています。

特に需要が高い業務は次のとおりです。 

  • リモートワーク環境の構築
  • 支援者(ドナー)管理システムの導入
  • 寄付を集めるためのWebサイト刷新

こうした領域は、現場の思いだけでは進めにくく、設計や運用の経験を持つ人材が必要です。そのため、IT系プロボノの需要は今後も高まる可能性があります。

プロボノは副業やボランティアと何が違う?

プロボノやボランティア活動、副業は似ているようで異なる点がいくつかあります。ここでは、それぞれの違いについて紹介します。

プロボノと副業の違い

プロボノ活動は原則無償で行われます。副業は会社での仕事とは別に仕事を受け、対価として給与や報酬を受け取ります。そのため、副業を禁止する企業は一定割合ありますが、プロボノは副業禁止の企業ではたらく人でも取り組める可能性があります。

パーソル総合研究所の調査「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」によると、副業を容認している企業は64.3%です。このデータから約35%の企業が副業を容認していない、もしくは禁止しているということが分かります。

出典:第四回 副業の実態・意識に関する定量調査(株式会社パーソル総合研究所)

副業禁止の会社でも、自分のスキルを活かして社会貢献をしたいと考える人は、プロボノを選択肢の一つにしてみるとよいでしょう。

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プロボノとボランティアとの違い

プロボノは、法律相談、経営コンサルティング、マーケティング戦略の策定など、専門家としてのスキルが求められる場合が多いです。

一方、ボランティア活動は、専門的なスキルが必ずしも必要とされない、より幅広い活動も含みます。たとえば、目的を「地域交流」や「人とのつながり」に置いた公園の清掃、慈善イベントの運営支援などです。

プロボノに参加することで得られるメリット

プロボノの魅力は、社会貢献ができることだけではありません。本業だけでは得られにくい経験やつながりが生まれ、今後のキャリアを考えるうえでも大きな意味を持ちます。

主なメリットは、以下の4つです。

  • プロボノのメリット1. スキルやキャリアの棚卸しと向上につながる
  • プロボノのメリット2. 自身の経験やスキルが社会貢献につながる
  • プロボノのメリット3. 利害関係のない新たなネットワークを構築できる
  • プロボノのメリット4. リスクを取らずに本業以外のキャリアを築ける

以下で、それぞれ詳細に解説します。

プロボノのメリット1. スキルやキャリアの棚卸しと向上につながる

プロボノ活動では、自分の専門知識やスキルを非営利組織や社会活動に提供します。たとえば、本業でマーケティングをしている人が子育て支援団体のプロジェクト広報に関わるなどのケースがあります。

プロボノ活動の実践者からは「自分が通常業務でしていることが誰かの役に立って驚いた」「自分の思わぬ得意分野を見つけた」などの声が出ています。

自身のスキルの棚卸しや新たな活用機会の発見にもつながっているようです。さらに、未経験だった分野に挑戦し、新たなスキル獲得の機会にしている人もいます。

プロボノのメリット2. 自身の経験やスキルが社会貢献につながる

一般的な副業と異なるのは、社会貢献活動である点です。具体的には、こども食堂の支援や障がい者の就労支援、地方の教育支援プログラムなどがあります。社会課題の解決のために自身の経験やスキルを発揮することで、業務とは異なるやりがいを感じる機会になります。

プロボノのメリット3. 利害関係のない新たなネットワークを構築できる

プロボノでは、会社の同僚や取引先とは異なる立場の人と協働します。共通しているのは、売り上げや評価ではなく、社会課題の解決を前に進めるという目的です。

そのため、職種や業界を超えて、フラットで利害関係のない人間関係を築きやすい点が魅力です。実際の活動では、NPO職員や他社の会社員、フリーランス、地域住民などと一緒に動く場面も少なくありません。

結果、視野が広がったり、将来の協業や転機につながる関係が生まれたりする点は、プロボノならではのメリットといえるでしょう。

プロボノのメリット4.本業以外のキャリアを築ける

新しい分野に挑戦したくても、いきなり転職や独立をするのは不安が大きいものです。プロボノなら、本業を続けながら、NPO支援や地域活動の現場で自分の力を試せます。

たとえば、広報職の人がファンドレイジングに関わったり、エンジニアが非営利組織のDX支援を経験したりすると、将来の選択肢を具体的に考えやすくなります。

本業以外の実績や関心領域を育てられる点は、長期的なキャリア形成において大きな価値があります。

プロボノではどのようなスキル・経験を活かせる?

プロボノで求められるのは、特別な肩書きだけではありません。日々の仕事で培った実務力や調整力も、支援先にとっては大きな助けになります。

ここでは、プロボノで活かせるスキル・経験を紹介します。

情報発信・PR・コンテンツ制作のスキル

広報やマーケティングの経験は、団体の活動を伝え、支援者や寄付者を増やす場面で力を発揮します。発信設計から制作までを一貫して考えられる人材は、少人数で運営する団体ほど重宝されるでしょう。

具体的には、次のような業務で活かせます。

  • 団体の活動を伝えるWebサイトやLPの作成・改善
  • SNS(XやInstagramなど)の運用ルール策定と発信代行
  • イベント集客用のチラシ、ポスター、パンフレットのデザイン
  • オウンドメディアの記事執筆やプレスリリースの作成

「どう見せるか」「どう伝えるか」を整理できる力は、プロボノでも成果につながりやすいです。

プロジェクトマネジメントと進行管理の経験

PMやディレクター、営業企画の経験は、プロジェクトを前に進めるうえで非常に役立ちます。やるべきことは見えていても、優先順位づけや進行管理まで手が回らない団体は少なくありません。

そこで、次のような経験がそのまま活かせます。

  • 新規プロジェクトのスケジュール(WBS)策定と進行管理
  • 多様なバックグラウンドを持つボランティアメンバーのタスク管理
  • 複数ステークホルダー(自治体、協賛企業、地域住民など)間の調整業務
  • 定例ミーティングのファシリテーションや議事録作成

プロジェクトを整えて進める力は、重宝されるでしょう。

業務効率化・バックオフィスのスキル

経理や総務などのバックオフィスの実務経験は、現場を支える仕組みづくりで大きく役立ちます。

主なスキルは、以下のとおりです。

  • クラウド会計ソフトの選定および導入支援、経理フローの構築
  • 契約書や利用規約などのリーガルチェック
  • 属人化を防ぐための業務マニュアル、ドキュメントの整備

表に出にくい仕事でも、組織運営を安定させる力はプロボノで高く評価されます。

プロボノに参加する方法

ここでは、プロボノの探し方、参加方法を紹介します。

コーディネート団体に登録する

プロボノ活動を紹介する専門のプラットフォームやウェブサイトがあります。これらのサイトでは、非営利団体や社会的企業がプロジェクトを投稿しており、個人はそれらのプロジェクトに応募できます。スムーズにプロボノ活動に参加できるようなフォロー体制が整っている場合もあるため、活用してみましょう。

所属企業や公的機関の募集を探す

企業によっては、プロボノ制度を作り、社員から人材を募集している場合があります。また、行政機関や非営利団体が募集していることもあるでしょう。専門的な支援を必要としていないか直接問い合わせをし、プロボノとして参加するというケースもあります。

プロボノに参加する際の注意点

プロボノのような社外活動を行う際には、大きく分類して4つの注意点があります。

所属する企業の就業規則や方針を確認する

まず、所属する企業の就業規則や方針を確認し、社外活動が許可されていることを確かめることです。

前述したように、企業は社員が社外で活動することにリスクがあることを懸念しています。本業でも社外活動でも信頼されるためには、就業規則の確認が必須です。

特に、職務に関連する活動や競合する可能性のある活動には細心の注意が必要です。

本業に影響を与えないように時間管理を徹底する

次に、社外活動が本業に影響を与えないように時間管理を徹底することです。本業の業務時間中に社外活動を行わない、本業のパフォーマンスに悪影響を及ぼさないようにすることが求められます。

▼関連記事
副業の時間管理はどうする?気をつけるべき法律や副業活動の実態などを解説

プロボノで得た機密情報を漏洩しないようにする

社外活動によって得た機密情報を本業やSNSで公開しないように注意が必要です。また、本業で得た機密情報などを社外活動で発信しないことも徹底しましょう。

プロボノで得た知見やスキルは本業に還元する

社外活動を継続させていくには、本業の企業の理解や応援が必須です。

そのため、社外活動を通じて得られた知見やスキルを、本業へ還元することを心掛けましょう。社外活動は個人の成長と、職場でのパフォーマンス向上にもつながります。

プロボノ以外の社外活動の種類

ここからは、プロボノのほかに副業禁止でも活動しやすい社外活動について、具体的に紹介していきます。

ボランティア活動

地域社会の団体や非営利組織でのボランティア活動に参加することで、新たな経験を積むことができます。ボランティア活動には、地域の清掃活動、フードバンクでの支援、社会福祉施設での支援なども含まれます。

コミュニティへの参加

本業の業界や専門分野に関連する団体やネットワークに参加することで、同じ分野の専門家と交流する機会が得られます。専門的な知識やスキルを持ったさまざまな専門家が運営しているオンラインサロンやコミュニティも数多くあります。参加者同士の交流によって、新たな知見を得られることもあるでしょう。

講座やワークショップへの参加

さまざまなオンライン教育プラットフォームを通じて、新しいスキルを学んだり、既存の知識を深めたりすることができます。たとえば言語学習、プログラミング、プロジェクト管理などの講座があります。

これらの活動は、学習や成長、社会貢献を目的としており、副業禁止の環境でも参加ができるでしょう。

プロボノに関するよくある質問

プロボノへの参加を検討する段階では、「特別なスキルが必要なのか」「報酬はあるのか」が気になる人は多いです。最後に、よくある疑問を整理しておきましょう。

Q1.プロボノは特別なスキルがなくても参加できる?

プロボノは、専門的な資格がなくても参加可能です。

プロボノというと、高度なITや法務の知識が必要だと思われがちです。しかし実際には、Word・Excel・PowerPointなどの基本的なパソコン操作、リサーチ・データ入力・コミュニケーションといった基礎的なビジネススキルで貢献できるプロジェクトも多くあります。

最初から難しい案件を選ぶ必要はありません。まずは自分の本業経験を整理し、短期案件やサポート業務から参加すると、無理なく始められるでしょう。

Q2.プロボノに報酬が出ることはある?

プロボノは、基本的には無報酬のボランティア活動です。

しかし、プロジェクトによっては現地への交通費や活動に伴う通信費、備品代などの実費が支給されることがあります。

報酬を得ること自体を目的とする副業とは異なり、プロボノは社会貢献を通じたスキルアップや人脈形成が主目的です。

条件は団体や案件ごとに異なるため、応募前に活動時間、実費負担の有無、求められる役割を確認しておくと、参加後のミスマッチを防ぎやすくなります。

自分に合うプロボノを選んで無理なく始めよう

自身のスキルアップやキャリアにつながる、副業以外での社外活動を幅広く紹介しました。なかでも、「プロボノ」は自身の専門性を活用し社会貢献したい人におすすめです。

副業ができない環境であっても、キャリアの幅を広げられる機会はあるため、ぜひ副業以外の社外活動への参加を検討してみてください。

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