選ばれる酒屋を目指して、
プロ人材とブランドの軸を策定。
差別化への道筋を明確化。
企業
社名:株式会社ウタ
所在地:福井県敦賀市
業務内容:酒類・食品の小売・卸売業
従業員数:50名未満
プロ人材
名前:Hさん(フリーランス)
居住地:東京都
経歴:コンサルティング会社にて、多業種の事業活性化やデューデリジェンス、新規事業等に従事。その後、大手IT企業にて事業オープン化、アライアンス、プロダクト戦略を担当。さらに、大手広告代理店にて事業戦略やブランディング、メディア施策に携わるほか、グループ企業への出向を通じて政策・地政学リスク分析も担当。帰任後は広報体制構築や統合コミュニケーション、ブランディングに従事。
<プロ人材としての活動>
業務内容:店舗ブランディング戦略の策定と浸透に向けた施策立案支援
活動頻度:月20時間程度
活動方法:リモート
- 量販店の台頭による酒販業界の転換期。選ばれる酒屋を目指しブランドの確立へ。
- 25名の応募から選んだのは、他業界の知見と伴走力を兼ね備えたプロ人材。
- 想いの整理と現状分析を通じて、ブランドの方向性を定める。
- ブランドの軸を明確化し、ブランドブックを通じて従業員が共通認識を持てるように。
1)プロ人材活用の背景
量販店の台頭による酒販業界の転換期。
選ばれる酒屋を目指し、ブランドの確立へ。
当社は1922年の創業以来、100年以上にわたり酒類や食品の販売を手掛けてきました。しかし近年、酒類販売業界は大きな転換期を迎えています。全国チェーンの量販店が台頭し、低価格で商品を大量に展開する販売スタイルが主流となる中、地域密着型の酒屋を取り巻く経営環境は年々厳しさを増していました。
こうした状況の中、当社では量販店では販売されていない地域の酒蔵の商品や希少性の高い商品を厳選して扱ってきました。ただ、珍しい商品を揃えるだけでは、他店との明確な差別化にはつながりません。「ウタが選んだお酒なら間違いない」「ここに来れば唯一無二の味わいに出会える」とお客様に感じていただき、目的をもって来店いただける存在になるためには、独自の店舗ブランドを確立する必要がありました。
そこで、数年前から独自のポジションを築くことを目指し、ブランディングについて独学で学び、店舗運営に取り入れてきました。しかし、取り組みを進める中で、我流だけでは視点や知識に限界があることを感じ、より効果的にブランドづくりを進めるため、専門的な知見を持つ方の力を借りたいと考えるようになったのです。
そんなとき、取引のあった地域の金融機関の担当者から「プロ人材活用」という選択肢を紹介いただきました。また、お世話になっている異業種の経営者からも「ウタさんがお酒の専門家であるように、世の中にはそれぞれの分野のプロがいる。専門家の知識を活かすべきだ」と背中を押していただきました。こうした後押しもあり、プロ人材の活用を決めました。
2)応募状況・決め手
25名の応募から選んだのは、他業界の知見と伴走力を兼ね備えたプロ人材。
店舗ブランディング戦略の構築や、マーケティング戦略・施策の立案を支援いただける方を募集したところ、想定を上回る25名もの方からご応募いただきました。その中から複数の候補者と面談をし、最終的にHさんに依頼することを決めました。
面談にあたり、重視していたポイントは二つあります。一つ目は「他業界の知見を持っていること」です。同業他社の成功事例をそのまま当てはめるのではなく、酒屋という業態を客観的に捉えながら、当社ならではのブランドづくりを提案いただける方を求めていました。二つ目は「同じ目線で伴走してくれること」です。当社はこれまでブランディングを独学で学びながら取り組んできました。そのため、専門知識を一方的に教えるのではなく、私たちの理解度や状況に合わせて、基礎から丁寧に伴走してくれる方にお願いしたいと考えていました。
そうした中で、Hさんは豊富な経験を持ちながらも、常に当社の目線に合わせて話をしてくださいました。当社の考えを頭ごなしに否定することはなく、まず受け止めた上で「その方向であれば、こうするとよりよくなりますよ」と前向きな提案をしてくださったことが印象に残っています。また、面談の際、「一緒にブランドを作っていきましょう」と声をかけてくださったことも大きな決め手でした。知識や経験の豊富さはもちろんですが、同じ目線で課題に向き合い、伴走してくれる姿勢に信頼感を抱き、Hさんへの依頼を決めました。
3)依頼した業務、業務を進める上での工夫
想いの整理と現状分析を通じて、ブランドの方向性を定める。
まず取り組んだのは、ブランドの核となる想いや現状の整理です。Hさんからは、創業の経緯から経営理念、どんな店舗を目指したいのかといった考えを問われました。同時にHさんには、当社が所在する敦賀市の市場環境や競合分析、北陸新幹線開通に伴う観光客の動向など、外部環境の分析を進めていただきました。
印象的だったのは、「こうすべき」と結論を押し付けるのではなく、まず当社の想いや考え方を丁寧に受け止めてくださったことです。その上で客観的な分析結果を踏まえながら議論を重ねた結果、「日本酒を核とした専門店になること」「福井を中心に地域のお酒を扱い、酒蔵や地域のつくり手の魅力を発信する存在になること」をブランドの軸として定めました。
方向性が決まった後は、それを形にしていく取り組みを進めました。創業年である1922年や人とのつながりを表現した新たなロゴマークを制作したほか、店舗の存在意義や目指す姿をまとめたブランドブックも作成しました。ロゴの制作には従業員の意見も取り入れながら進め、ブランドづくりを社内で共有する機会にもなりました。
Hさんとの協業は主にリモートで行いましたが、想定以上のスピード感でプロジェクトが進みました。4か月の契約期間を予定していた中、ブランドの方向性は約2か月半で整理することができました。残りの期間では、その方向性をどのように発信していくかの検討にも着手。SNSごとの特性やターゲットに応じた発信手法、Googleビジネスプロフィールの活用方法についてアドバイスいただいたほか、お客様との接点づくりにつながるイベント企画も進めました。当初想定していたブランド戦略の整理にとどまらず、今後の実践に向けた基盤づくりまで伴走支援していただきました。
4)得られた成果
ブランドの軸を明確化し、ブランドブックを通じて
従業員が共通認識を持てるように。
今回のプロジェクトにおける最大の成果は、当社の想いや目指す方向性を整理し、ブランドの軸を明確にできたことです。さらにその内容をロゴやブランドブックとして可視化したことで、従業員やお客様にもわかりやすく伝えられるようになりました。以前から「どのような店を目指したいのか」は社内で共有されていましたが、言葉だけでは十分に伝えきれない部分もありました。しかし、ブランドブックとして整理されたことで、当社が大切にする価値観や目指す方向性を、従業員全員が共通認識として持てるようになったと感じています。現在では、接客や商品選定などで判断に迷った際にも、「ウタらしさとは何か」という視点で考えられるようになりました。ブランドの軸が明確になったことで、従業員にとっても日々の判断や行動の基準となる“物差し”ができたと感じています。
また、私たちが目指す姿を言語化できたことで、お客様に対しても店舗の特徴や価値を伝えやすくなりました。当社が何を大切にし、どのような価値を提供する店なのかを、社内外に分かりやすく示せるようになったことは大きな成果です。
お客様との関係にも変化。ブランドを体現する取り組みがスタート。
変化は、お客様との関係にも少しずつ表れ始めています。以前は地域の固定客が中心でしたが、最近は県外から足を運んでくださるお客様も増えてきました。また、お客様の購入商品を見ると、日常的な商品は量販店で購入しながら、日本酒やこだわりの商品は当店で選ぶという使い分けも見られるようになっています。売上にも少しずつ変化が表れており、当社ならではの価値がお客様に伝わり始めている手応えを感じています。
SNSについても、これまでの商品紹介が中心だった発信を見直し、料理との相性や味わい、お酒の楽しみ方などを伝える発信に向けて準備を始めています。また、お客様との接点づくりにつながるイベントも少しずつ実施しており、ブランドの方向性を体現する機会づくりに取り組んでいるところです。
「ここがスタートライン」。ブランドを磨き、唯一無二の価値を届ける。
Hさんからは「ここがスタートラインです」との言葉をいただきました。今回の取り組みでブランドの方向性が明確になり、今後の判断基準となる基盤を築くことができました。それをもとに今後はSNS発信の強化やイベントなどの取り組みを継続しながらPDCAを回し、一つひとつ形にしていきたいと考えています。
私たちは、単にお酒を販売するだけでなく、地域のお酒やつくり手の価値をお客様に届ける存在でありたいと考えています。今回築いた基盤をもとに、唯一無二の価値を提供し続ける酒屋を目指して挑戦を続けていきます。