PoCで終わらせない。AIを事業成果につなげるAXプロフェッショナル

西川 智章
新卒で富士通株式会社に入社し、エンジニアとしてキャリアをスタート。約10年の実務を経た後、PwCコンサルティングやAIベンチャーで、日本・東南アジア地域の金融、製造、農業といった業界に向けて、AIビジネスコンサルティングやビッグデータ解析サービス、先端技術を活用したビジネスモデルの構想や計画策定などを支援。事業会社では中国事業、ビッグデータ事業部、AI事業の立ち上げなどにも携わる。現在は、東北大学 データ駆動科学 AI教育研究センター 特任准教授(客員)を務めるほか、AIコンサルティングとAIエージェント開発を手掛けるAI Librarium株式会社の代表取締役CEOとして、企業のAI活用や経営課題解決を数多く支援している。米国公認会計士(ワシントン州)、人工知能イニシアティブ会員、データサイエンティスト協会会員。
統計解析から生成AIまで、「進化と失敗」の歴史を知り尽くす
私は新卒で富士通株式会社に入社し、システムエンジニアとしてキャリアをスタートしました。当時所属していた部署では、現在のSFA(営業支援システム)に当たるパッケージの開発や導入支援を担当しました。同社では中国・上海に3年間駐在してERP(統合基幹業務システム)の導入に携わったほか、保険会社の基幹システム開発なども経験しています。
その後は米国公認会計士の資格を取得し、PwCコンサルティングへ転職しました。特定の技術やソリューションだけを扱うのではなく、ビジネスコンサルティングやITコンサルティング、戦略コンサルティングなど、幅広い案件を担当しました。エンジニアとしてシステムを開発して導入する側と、経営や事業の課題を整理して解決策を描く側の両方を経験していることが、現在の支援にもつながっています。
AI領域との関わりは、まだ「AI」という言葉が今ほど一般的ではなかった時代にさかのぼります。2010年代前半から、統計解析やデータマイニング、ビッグデータ活用に携わり、機械学習やディープラーニング、生成AIへと技術が進化していく過程を見続けてきました。
2018年には、データサイエンティストの業務を代替するサービスを開発して会社を創業しました。当時のAIは導入コストが高く、扱えるのも一部の専門家に限られていました。しかし、どれほど強力な技術でも、限られた大企業や専門家しか利用できなければ、社会全体の生産性は上がりません。そこで私が掲げたのが「AIの民主化」というコンセプトです。
生成AIが身近になった現在、一般企業や専門知識のない人でもツールを使える環境は急速に広がりました。一方で、AIを使いこなせるかどうかによる新たな格差も生まれています。これから重要になるのは、ツールの民主化だけでなく、運用する力、使いこなす力、技術の進化に追いつく力といった「スキルの民主化」でしょう。
このように、私の強みはAIの最新トレンドだけでなく、歴史を含めて知り尽くしていることにあります。企業のAI活用では、「PoC(概念実証)までは進んだものの、本番導入できない」といった失敗が繰り返されてきました。裁判にたとえるなら、私はこれまでの「判例」を数多く見てきたようなものです。どこでつまずきやすいのか、どんな工夫が必要なのか、AIの進化とともに積み重ねてきた経験から、プロジェクトごとの実現可能性を見極めています。

AIはあくまでも手段。事業を変え、再現可能な方法論で実装する「AX」に伴走
近年では、企業に求められる変革として「AX(AI Transformation)」の必要性が盛んに議論されるようになりました。AIを活用して事業やビジネスプロセスを変革するためには、目的と手段を明確に整理し、AI活用そのものではなく、その先にある業務や事業の変革を見据えることが重要です。
そのため企業への支援では、AI時代に対応する戦略策定や既存サービスへのAI実装はもちろん、業務効率化や新規事業構築、人材育成、ナレッジマネジメント、ガバナンス強化など幅広いテーマに対応しています。
支援を始める際には、企業が取り組みたいテーマや現在の状況、中期経営計画などを踏まえて年間ロードマップを作成。その後は現状把握と設計、一部導入やトライアル、本格導入と運用上の課題への対応、定着化という流れを基本に、週次または隔週で壁打ちを重ねながら進めます。
「HiPro Biz」を通じて支援している、あるSIerは、AIによって開発や実装がコモディティ化し、従来ほどの収益を生まなくなる可能性を懸念していました。要件定義に強みを移すのか、それとも開発スピードを競争力にするのか。こうした収益源と競争優位性の変化を見据えて、事業そのものを作り変えていく必要があったのです。
そこで私は、5つの部門とともに顧客価値や提案プロセスを見直しました。「AIによって従来の仕事がなくなるかもしれない」という危機感のもと、顧客満足につながる品質を担保するためのプロセスやチェック項目を整備し、必要な人材の育成にも取り組んでいます。幹部約600人が集まるキックオフでは、SI業界や顧客が今後どう変わり、自社は何を変革すべきかをお話ししました。一部門の業務改善ではなく、会社の生き残りをかけた変革を支援している事例です。
こうした支援を迅速に行えるのは、約15年かけて培ってきたAI・AX領域の知見や、コンサルティングのノウハウを、課題整理のフレームワークやロードマップ、確認項目などの方法論として体系化しているからです。顧客のテーマに応じたロードマップの骨子を早い段階で提示し、検討だけに時間を費やさず、具体的な行動へ移すことができます。

AIで「仕事が半分になる時代」に、企業と人が進むべき方向を照らしたい
最近では、AIを使って業務プロセスそのものを見直すBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、業務改革)や、AI時代に必要な人材の育成に関する相談が増えています。たとえば製造業などでは、高齢化するベテランや専門家の知見をどのように資産化するかというナレッジ活用のニーズも多いですね。また、AIの利用が広がるにつれて、社員が会社の管理外で独自に導入するAIをどう統制するかといったガバナンスも重要なテーマになっています。
AIによって変わるのは、定型業務だけではありません。たとえばPMやPMOの仕事ではこれまで、ガントチャートや議事録、報告書などの作成に多くの時間が使われてきました。こうした作業をAIへ任せれば、人は関係者との調整や意思決定など、本来向き合うべき仕事へ集中できます。調整内容を記録し、認識のずれを抽出する部分にもAIを活用できるため、従来は何十人も必要だった体制が大きく変わることも考えられます。
私は、AIによってホワイトカラーの仕事が大きく減り、週に2〜3日だけはたらくような世界も、そう遠くない未来に訪れるかもしれないと考えています。「正社員だから安定している」という前提も崩れ、AIを使いこなせる人と、そうでない人の所得格差はさらに広がっていく可能性があります。
企業にとっても、業務効率化だけで話は終わりません。業務が大きく減ったとき、そこではたらいていた人に何を担ってもらうのか。人材を企業価値の向上につながる領域へ配置転換するのか、それとも新たなスキルを身につけてもらうのか。AXと人材戦略をセットで考える必要があるのです。
だからこそ、現在の業務をAIへ置き換えるだけではなく、業務が変わった後の組織体制や人材配置、必要となるスキルまで見据えて支援しています。
このように、企業が向き合うべきテーマはさらに広がっていくでしょう。そのテーマに対応すべく、私自身は今後、プロ人材と「デジタルエージェント」が一緒に企業を支援する形を広げたいと考えています。
経理や人事、コンサルティング、エンジニアリングなどの仕事は、それぞれに必要なスキルや暗黙知の集合体で成り立っています。それらをデジタルエージェントとして実装すれば、これまで3人で行っていた支援を、1人のプロ人材と2つのデジタルエージェントで担うことも可能になります。これによって、さらに多くの企業を、効率的かつ効果的に支援できるようになるはずです。
私が掲げているコンセプトは、「Lead Always」。変化の先が見えず、暗闇の中を歩いている企業のために、進む方向を照らすたいまつを渡したいと考えています。何を依頼すべきか、どう相談すべきか、まだ明確に見えていなくても大丈夫です。「5年後、10年後に自社や業界がどう変わるのかを知りたい」といった、ざっくりとした構想段階のご相談でも構いません。ともに未来を考え、進むべき方向を照らし、手段としてのAIを活用しながら本質的な変革を支援する伴走者であり続けます。
初めてのプロ人材サービス利用の方にも丁寧に案内します。 お気軽にお問い合わせください。
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