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副業の年末調整はどうすべき?確定申告が必要なケースや注意点を徹底解説

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「副業を始めたけれど、年末調整はどうすればいいの?」「確定申告が必要なケースってどのような時?」
副業をしていると、年末調整や確定申告について疑問に思うことは多いのではないでしょうか。本記事では、副業をしている人が知っておくべき年末調整の基礎知識や、確定申告が必要なケース、注意点を解説します。これから副業を始める方や、年末調整に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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副業をしている人なら知っておくべき「年末調整」とは

年末調整とは、会社員などの給与所得者が、毎月の給与から源泉徴収された所得税の過不足を調整する手続きのことです。通常、会社が従業員に代わって行います。

具体的には、1年間の給与総額から所得控除(扶養控除、社会保険料控除など)を差し引いた金額に税率をかけて所得税額を計算し、年間の源泉徴収額との差額を調整します。払いすぎた場合は還付され、不足している場合は追加で徴収されるのが特徴です。

年末調整は、給与所得者にとって非常に重要な手続きであり、適切に行うことで税金の払いすぎを防ぎ、適正な税金を納められます。

項目

詳細

対象者

・会社員などの給与所得者

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人

・年間を通じて勤務している人や、年の途中で就職し年末まで勤務している人

・年間給与総額が2,000万円以下の人(それ以上は確定申告が必要)

目的

所得税の過不足を調整

実施者

勤務している会社

内容

1年間の給与総額から所得控除を差し引いて所得税額を計算し、年間の源泉徴収額との差額を調整

結果

払いすぎた場合は還付、不足している場合は追加徴収

出典:No.2665 年末調整の対象となる人(国税庁)

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副業所得は本業の年末調整に該当しない

原則として、年末調整は1社のみで行われます。複数の勤務先がある場合でも、「給与所得者の扶養控除等申告書」は1か所にしか提出できないため、副業では年末調整を行いません。 

副業が給与所得(アルバイトやパートなど)の場合、副業先から年末調整関連の書類が渡されることがありますが、提出する必要はありません。一方で、確定申告の条件に応じて、自分で申告をする必要があります。

また、雑所得や事業所得なども年末調整の対象外です。業務委託契約やアフィリエイトサイトなどの副業で得た所得は、本業の年末調整には含まれず、別途確定申告が求められます。

以下の章では、副業で確定申告が必要なケースについて詳しく解説します。

副業所得がある場合の年末調整における注意点

副業所得がある場合、年末調整は本業のみで行い、副業分は確定申告で対応する必要があります。ここでは、年末調整を行う上での注意点を3つ解説します。

年末調整をしない会社から源泉徴収票をもらう

副業先で年末調整をしない場合、必ず「源泉徴収票」を発行してもらいましょう。(副業先で、給与として発生している場合には、源泉徴収票が発行されますが、外注として発生している場合には、源泉徴収票は発行されず、支払調書となります。)

源泉徴収票は、確定申告を行う際に、副業の所得を証明する重要な書類です。源泉徴収票には、1年間の給与収入と源泉徴収された所得税額が記載されています。確定申告の際には、この源泉徴収票に基づいて所得を申告し、所得税を精算します。

源泉徴収票は、通常、翌年の1月末までに発行されます。もし発行されない場合は、副業先に問い合わせて発行を依頼しましょう。確定申告の期限は通常3月15日ですので、それまでに余裕をもって準備することが大切です。

扶養控除・配偶者控除・保険料控除は本業の年末調整で行う

扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除、地震保険料控除などの所得控除は、原則として本業の年末調整でのみ適用できます。これらの控除は、所得税を計算する上で重要な要素であり、控除額が大きいほど所得税が軽減されます。副業先でこれらの控除を申告することはできませんので、注意が必要です。

これらの控除を受けるためには、本業の年末調整時に必要な書類を提出する必要があります。書類は、事前に準備しておきましょう。もし、本業の年末調整でこれらの控除を申告し忘れた場合は、確定申告で修正できます。確定申告を行うことで、正しい所得税額を計算し、払いすぎた税金を取り戻せます。

2か所以上で年末調整をしない

年末調整は、原則として1か所でのみ可能です。複数の会社から給与を受け取っている場合でも、年末調整を行うのは本業の会社のみとし、副業分の所得は確定申告で申告する必要があります。もし誤って2か所以上で年末調整を行ってしまった場合は、確定申告で正しい所得税額を計算し、精算する必要があります。

2か所以上で年末調整を行うと、所得税が過少に計算される可能性があります。その場合、税務署から指摘を受け、追徴課税や加算税が課されることもありますので、注意が必要です。確定申告を正しく行うことで、このようなリスクを回避できます。

副業で確定申告が必要なケース

一定の条件に当てはまる場合は、本業の年末調整だけでなく副業の確定申告も必要になります。ここでは、副業で確定申告が必要になるケースを具体的に解説します。

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【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要?20万円以下でも申告する必要があるケースとは

本業・副業ともに年末調整を受けていない場合

本業と副業の両方で年末調整を受けていない場合は、確定申告が必要です。会社員の場合、通常は会社が年末調整を行ってくれますが、何らかの理由(12月31日時点で退職されていて、無職の方など)で年末調整を受けられなかった場合は、自分で確定申告を行う必要があります。副業についても同様で、年末調整を受けていない場合は確定申告が必要です。

副業の所得が20万円を超えている場合

副業で得た所得(収入から必要経費を差し引いた額)が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。これは、所得税法で定められています。ここでいう「所得」とは、売り上げから仕入れ費用や経費を引いた金額のことです。

たえば、副業で得た収入が30万円でも、経費が15万円かかっていれば、所得は15万円となり、確定申告は不要です(医療費控除や寄付金控除など年末調整で対応できない申告をする場合には20万円以下でも申告は必要)。しかし、収入が30万円で経費が5万円だった場合、所得は25万円となり、確定申告が必要になります。

なお、副業が給与所得(アルバイト・パート)の場合も、副業に該当する部分の所得の合計金額が20万円を超えるのであれば確定申告が必要です。

出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)

誤って年末調整を2か所以上で行った場合

年末調整は、原則として1つの会社でしか行えません。誤って2か所以上の会社で年末調整を受けてしまった場合は、確定申告をして正しい所得税額を申告する必要があります。これは、二重に年末調整を受けることで、所得税が過少に計算されてしまう可能性があるためです。

副業で確定申告が必要な人必見!申告の流れを解説

確定申告は、副業で得た所得を正しく申告し、納税するために必要な手続きです。ここでは、確定申告の流れをステップごとに解説します。

1. 確定申告に必要な書類を準備する

確定申告を始める前に、必要な書類を揃えましょう。主な書類は以下の通りです。

書類名

概要

入手方法

確定申告書

所得金額や所得控除額、税額などを記載する書類

税務署、国税庁のウェブサイトからダウンロード

収入がわかる書類

給与所得の場合は源泉徴収票、事業所得の場合は収入と経費がわかる書類(青色申告決算書や収支内訳書など)

副業先から受け取る、自分で保管

所得控除に関する書類

社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書、医療費控除の明細書など

加入している保険会社、医療機関などから発行

マイナンバーカード(またはマイナンバー通知書と本人確認書類)

本人確認のために必要

-

還付金受取口座の情報

還付金がある場合に、振り込み先の口座情報を記載

-

 これらの書類は、確定申告の種類や副業の内容によって異なる場合があります。国税庁のウェブサイトで確認するか、税務署に問い合わせて確認しておきましょう。

2. 確定申告書などを作成する

必要な書類が揃ったら、確定申告書を作成します。確定申告書は、手書きで作成することもできますが、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで簡単に作成可能です。

確定申告書作成コーナーでは、源泉徴収票などの情報を入力すると、自動で税額が計算されます。所得控除に関する情報も忘れずに入力しましょう。

3. 確定申告書と必要書類を提出する

作成した申告書と必要書類を税務署に提出します。提出方法は、以下の3つがあります。

  • 税務署に持参する:税務署の窓口で直接提出します。
  • 郵送する:税務署に郵送します。
  • e-Taxで提出する:インターネットを通じてオンラインで提出します。

e-Taxで提出する場合は、事前にマイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。e-Taxを利用すると税務署に行く手間が省けます。また、24時間いつでも提出できます。

4. 納付する・還付を受ける

確定申告の結果、所得税を納付する必要がある場合は、納付期限までに納付します。納付方法は、以下のいずれかを選択できます。

  • キャッシュレス納付:口座振替、インターネットバンキング、クレジットカード、スマートフォンアプリでの納付方法があります。
  • キャッシュレス以外:コンビニエンスストアでQRコードによる納付、金融機関又は税務署の窓口で現金による納付方法があります。

確定申告の結果、還付金がある場合は、指定した口座に還付金が振り込まれます。

副業の年末調整でよくある質問

Q. 2か所以上で年末調整をしてしまった場合の対処法は?

2か所以上で年末調整をしてしまった場合、確定申告が必須となります。年末調整は、原則として1人1か所でしか行えません。複数の会社で年末調整を行うと、所得税が正しく計算されず、追徴課税が発生する可能性があります。確定申告を行い、正しい所得税額を申告・納税するようにしましょう。確定申告の際には、すべての会社から発行された源泉徴収票が必要になります。

Q. 副業で確定申告を忘れるとどうなる?

副業で確定申告が必要であるにもかかわらず申告を忘れた場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられる可能性があるため注意が必要です。無申告加算税は、納付すべき税額に対して、原則50万円までは15%、50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%の割合で課税されます(2025年4月時点情報、税務署からの調査を受けた後の加算税の場合)。また、延滞税は、納期限の翌日から納付日までの期間に応じて課税されます。確定申告は忘れずに行いましょう。

出典:「加算税制度の概要」(財務省)

副業収入と年末調整の関係を理解して適切に申告しよう

副業をしている方にとって、年末調整と確定申告は避けて通れない重要な手続きです。この記事では、副業所得がある場合に確定申告が必要となるケースや、年末調整における注意点、確定申告の流れなどを詳しく解説しました。

副業の種類や所得額によって対応は異なりますが、ご自身の状況を正しく理解し、適切な手続きを行うことが大切です。

もし、年末調整や確定申告について不安な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。正確な知識を持って、副業収入と年末調整の関係を理解し、適切に申告を行いましょう。

(監修日:2025年5月12日)

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山本 聡一郎氏

山本聡一郎税理士事務所(https://nagoya-soutax.com/)|税理士

山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。

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