副業を業務委託で始めるには?メリット・デメリットや案件の探し方を解説

業務委託での副業は、個人のスキルを最大限に活かし、自由なはたらき方を実現する大きな可能性を秘めています。しかし、その自由には自己責任が伴う点も忘れてはいけません。
本記事では、業務委託副業のメリットを享受しつつ、潜在的なリスクを回避するための具体的な知識と準備方法を解説します。
そもそも副業で業務委託は可能?

本業の会社で副業が認められていれば、業務委託形式で副業を行うことは可能です。
業務委託とは、特定の業務や成果物の納品を契約に基づき行う形態で、雇用契約とは異なります。雇用契約が「労働力の提供」に対して賃金を支払うのに対し、業務委託では「成果物や役務の提供」に対して報酬が支払われる点が特徴です。
本業で雇用契約を結んで会社員として勤務していても、原則として法律上は業務委託で副業を行うことが可能です。ただし、会社の就業規則や職務内容によって制限される場合があります。
公務員は、国家公務員法(第103条)や地方公務員法(第38条)により、原則として副業が禁止されています。また、一般企業でも就業規則で副業が禁じられている場合は、業務委託による副業は原則できません。
出典:国家公務員法(e-Gov法令検索)
出典:地方公務員法(e-Gov法令検索)
業務委託で副業する人が増えている背景
業務委託で副業を行う人が増加している背景には、企業側の外部人材活用への意欲拡大と、個人側のはたらき方に対する価値観の変化という2つの大きな潮流があります。
企業は、事業環境の急速な変化に対応するため、外部の専門家を柔軟に活用する戦略を強化しています。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務プロセスの改善など、即戦力となる副業人材へのニーズが急速に高まっています。
HiPro Directの調査では、企業の外部人材活用は2023年度から2024年度にかけて、短期活用(数時間~数日程度)で158%、中長期活用(数か月以上の複数回支援)で210%も増加していることが示されました。企業が専門知識や経験が豊富な副業人材を積極的に活用し、革新的なアイデアや知識を取り入れる動きを加速させていることが伺えます。

引用:「副業」における、2024年度の振り返りと2025年度の市場予測(HiProDirect)
一方、個人側のはたらき方に対する価値観も大きく変化しており、自身のスキルアップやキャリアの多様化、より自由なはたらき方を求める声が高まっています。
HiProの調査では、ハイクラス層を中心として以下のように考える人が目立つと発表されています。
- 他人が経営する組織で高い地位に就くよりも起業することを目指す
- 自分のやり方やスケジュールで仕事を進められる自由度の高いはたらき方を目指す
- 周囲に専門家としての意見を求められる分野で成果を上げることを目指す
労働市場が従来の「終身雇用・社内育成」モデルから、「プロジェクトベース・外部専門家活用」モデルへと移行しつつあることがわかります。
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業務委託で副業を始めるメリット
業務委託で副業を始めることは、個人のキャリア形成とライフスタイルの充実において、多くの利点をもたらします。主なメリットは、以下のとおりです。
- はたらく時間や場所の自由度が高い
- 自身のスキルを活かせる
- 幅広い業務・業界を経験できる
- 自分の市場価値を把握・向上できる
以下、それぞれ具体的に解説します。
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はたらく時間や場所の自由度が高い
業務委託契約は、基本的に労働時間やはたらく場所を自由に決めることができます。
本業との両立がしやすくなり、個人のライフスタイルに合わせた柔軟なはたらき方を実現できる可能性が高まります。自由度の高さは、ワークライフバランスを重視する方にとって、大きな魅力となるでしょう。
自身のスキルを活かせる
業務委託の案件は、多くの場合、特定の専門スキルや経験を求めています。そのため、本業で培った専門知識やスキルを直接的に活かし、報酬を得ることが可能です。
たとえば、経営企画の経験があれば経営コンサルタントとして、ITスキルがあればDX推進プロジェクトマネージャーとして活躍することが可能です。
自身の得意分野を深掘りし、その専門性を市場で活かす絶好の機会となるでしょう。
幅広い業務・業界を経験できる
雇用契約では、所属する企業の事業範囲内でしか業務経験を積めません。しかし、業務委託であれば、さまざまな企業や業界の案件に携わることが可能です。
これにより、本業では得られない幅広い知識や経験を習得し、自身のキャリアの選択肢を広げることが可能です。問題解決能力や適応力を高め、多角的な視点を養うことにつながるでしょう。
自分の市場価値を把握・向上できる
業務委託の報酬は労働時間ではなく、提供するスキルや成果物の価値に基づきます。さまざまな案件に挑戦し、複数のクライアントから評価されることで、自分の市場価値を客観的に把握できます。
また、成功体験を積むことでスキルアップのモチベーションにもつながります。
業務委託で副業を始めるデメリット
業務委託での副業は多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。主なデメリットは、以下のとおりです。
- 副業において労働基準法は適用外
- 労働法や社会保険が適用されない
- 案件獲得までに時間がかかる
- 本業との両立が難しくなる可能性がある
- 本業の規則違反によるトラブルのリスクがある
これらの点を十分に理解し、対策を講じることが重要です。ここからは、それぞれ具体的に解説します。
副業において労働基準法は適用外
業務委託契約で副業をする場合、雇用契約とは根本的に異なるため、労働基準法の適用を受けません。業務委託ではたらく人々にとって、労働者を保護するための法的恩恵が適用されないことを意味します。
たとえば、法定労働時間の制限がないため、過重労働に陥るリスクが高まります。また、残業代の支払い義務がないため、長時間はたらいたとしても、報酬が労働時間に見合わない可能性も考慮する必要があるでしょう。
さらに、有給休暇の付与もないため、病気や個人的な事情で仕事を休む場合でも、その間の収入は保証されません。解雇規制も適用されないため、契約解除のリスクも雇用契約に比べて高くなります。
労働保険や社会保険が適用されない
業務委託契約で副業を行う場合、労働者に該当しないため、労働保険(雇用保険・労災保険)は適用されません。また、社会保険(健康保険・厚生年金保険)についても、業務委託収入は直接の加入対象外です。そのため、副業を開始する前に、これらのリスクを自己責任で管理するための準備が必要です。
本業で会社員としてはたらいている場合は、引き続き会社を通じて健康保険・厚生年金に加入したままになります、副業で得た収入については社会保険料の算定には含まれません。ただし、副業収入は確定申告を通じて住民税・所得税の対象となります。
案件獲得までに時間がかかる
業務委託の副業は、自ら案件を探し、クライアントとの交渉を行う営業活動を行うケースが多いです。
安定した収入を得るためには、継続的に案件を獲得し続ける必要があります。実績が少ないうちは、案件獲得までに時間や労力がかかる場合があるでしょう。
収入が不安定になる可能性も考慮し、計画的な資金管理が重要です。
本業との両立が難しくなる可能性がある
業務委託というはたらき方は、自身の裁量で仕事を進められる自由度の高さが魅力である一方で、自己管理能力が強く問われます。本業と副業のバランスを適切に保つためには、徹底した自己管理が不可欠です。もし自己管理を怠れば、本業に支障をきたし、結果として全体のパフォーマンスを低下させるリスクがあります。
特に注意すべき点は、睡眠不足や過労による健康への影響です。無理なスケジュールで副業を詰め込みすぎると、心身の健康を損なうだけでなく、本業での集中力や生産性にも悪影響を及ぼしかねません。長期的に副業を継続し、かつ本業も充実させるためには、適切な時間管理と体調管理を徹底することが極めて重要です。
規則違反によるトラブルのリスクがある
本業の会社、副業先どちらにも言えますが、契約上・法律上のルールに違反するリスクに注意が必要です。契約内容や組織の規則を事前に確認し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
特に注意すべき点は以下の通りです。
- 競業避止義務:契約先や取引先と競合する事業に関わる業務は禁止される場合があります。
- 守秘義務:契約先や業務で知り得た機密情報を無断で使用することは禁じられています。
これらの義務に違反すると、懲戒や損害賠償請求の対象になる可能性があるため、細心の注意が必要です。
また、「住民税の課税通知を通じて、副業収入が本業の会社に把握される場合があります。もし本業が副業を禁止している場合は、就業規則に基づいたペナルティが課される可能性があります。 このような事態を避けるためにも、副業を始める前に必ず本業の就業規則を詳細に確認し、不明な点があれば人事部などに相談することが重要です。
業務委託でできるおすすめ副業
業務委託で副業を検討する際、自身のスキルや経験を活かせる分野を選ぶことが成功の鍵となります。ここでは、特に需要が高く、高単価も期待できるおすすめの副業を紹介します。
経営企画・経営戦略アドバイザー
経営企画・経営戦略アドバイザーは、企業の経営層に近い立場で、事業計画の策定や新規事業立ち上げ、組織戦略の立案などを支援する役割です。
高度な分析力と戦略的思考が求められますが、その分、高単価の案件が多く、企業の成長に直接貢献できるやりがいがあります。
本業で経営企画や事業開発の経験がある方に適しています。外部人材ならではの新たな戦略的視点や分析手法を提供できる点が強みです。
DX推進プロジェクトマネージャー
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進プロジェクトマネージャーは、企業のDX化を成功に導く上で重要な役割を担います。単にITシステムを導入するだけでなく、ビジネスプロセス全体の変革を視野に入れ、組織文化の変革までを推進するのが仕事です。
深いIT知識に加え、ビジネス全体を見渡す視点と、業務プロセスを根本から改善するための提案力が必要です。各部門のニーズを正確に把握し、テクノロジーを活用して適切なソリューションを導き出す能力が求められるでしょう。
近年、多くの企業が競争力強化のためにDX化を経営の重要課題と位置付けており、経験豊富なDX推進プロジェクトマネージャーに対する需要は高まっています。特に、クラウド・AI・IoT・データ分析といった最新テクノロジーを活用し、新たなビジネスモデルを創出できる人材は市場価値が高くなりやすい点が特徴です。
人事制度設計・組織開発コンサルタント
人事制度設計・組織開発コンサルタントは、企業の最も重要な資産である「人」に焦点を当て、その成長と発展を戦略的に支援する専門家です。主に、以下のような人事領域における広範な課題解決をサポートします。
- 採用戦略の立案から実行
- 公平で効果的な評価制度の設計と運用
- 従業員のモチベーションと生産性を高める組織文化の醸成
- 労働関連法規に準拠した労務管理
人事実務の経験があるだけでなく、労働市場の動向や最新の法規制といったトレンドに常に対応できるかどうかも重要です。また、適切なアドバイスを提供できるコミュニケーション能力も求められます。
マーケティング戦略立案・実行支援
マーケティング戦略立案・実行支援の業務は、企業の成長を加速させるための重要な役割を担います。具体的な業務内容は以下のとおりです。
- 市場分析
- 競合調査
- 顧客インサイトの把握
- 具体的なマーケティング目標の設定
- 目的達成のための戦略立案
デジタルマーケティング全般に関する深い知識と、膨大なデータから意味のあるインサイトを導き出すデータ分析能力が求められます。さらに、クライアントのビジネスモデルや業界特性を理解して適切な提案を行うためには、顧客との円滑なコミュニケーションスキルも大切です。
コンバージョン率の向上や売り上げの拡大など、具体的な数字として自身のはたらきが可視化されるため、やりがいを感じやすい仕事といえるでしょう。常に最新のトレンドや技術を学び続ける姿勢が求められる一方で、自身の成長を実感できる分野です。
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財務・資金調達アドバイザー
財務・資金調達アドバイザーは、企業の持続的な成長を支援するために必要なアドバイスを提供する仕事です。
具体的には、企業の財務状況を詳細に分析し、キャッシュフローや収益性、流動性などを評価します。企業の強みと弱みを特定し、経営陣に客観的な視点を提供します。
資金調達戦略の立案も重要な役割の一つです。企業の事業計画や資金ニーズに応じて、銀行融資や株式発行、クラウドファンディングなど、適切な資金調達手段を検討・支援します。
財務・資金調達アドバイザーは、CFO(最高財務責任者)経験者や公認会計士、税理士など会計・金融分野の専門知識を持つ方に適しています。複雑な財務データを読み解き、将来を見越した戦略的な視点から企業をサポートする能力が求められるためです。
企業の経営基盤を支え、持続的な成長を可能にする上で、財務・資金調達アドバイザーは不可欠な存在といえるでしょう。
保有資格を活かした仕事
業務委託の副業では、現在保有している資格を最大限に活用できる機会も豊富に存在します。特に、特定の専門知識や技術を証明する国家資格や民間資格は、専門性をアピールしやすく、案件獲得につながりやすい点が魅力です。
たとえば、弁護士・税理士・行政書士などの「士業」と呼ばれる資格は、専門性の高さから差別化を図れるうえ、高い報酬が期待できます。企業の顧問業務、書類作成、コンサルティングなど、多岐にわたる業務を引き受けることが可能です。
まずは、自身の保有資格と、その資格が活かせる業務委託の案件がないか、副業マッチングサイトやクラウドソーシングサービスなどで情報収集を始めてみましょう。資格を棚卸しし、どのような業務が自分に合っているか、市場にはどのようなニーズがあるかを具体的に検討することが大切です。
業務委託の副業案件の探し方と始め方
業務委託の副業案件を見つけて実際に仕事を始めるには、いくつかの効果的な方法があります。主な方法は以下のとおりです。
- 副業マッチングサービスを使用する
- クラウドソーシングサイトを活用する
- エージェントサービスに登録する
- SNS・ブログ経由で仕事を獲得する
- 企業に直接営業をかける
ここからは、それぞれ具体的に解説します。自身の状況や希望に合わせて、適切な方法を選択しましょう。
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副業マッチングサービスを使用する
副業マッチングサービスは、個人のスキルや経験、希望するはたらき方に合わせて企業とマッチングしてくれるプラットフォームです。
なかには、プロフィールを登録すればスカウトが届いたり、エージェントがサポートしてくれたりするサービスもあります。
高単価案件やリモート案件が豊富で、効率的に案件を探せる点がメリットです。
クラウドソーシングサイトを活用する
クラウドソーシングサイトは、多種多様な案件が豊富に掲載されているサービスです。未経験者でも始めやすい案件から専門性の高い案件まで、さまざまな案件を見つけられます。
未経験者向けの案件が豊富で実績を積むのに適していますが、低単価案件が多い傾向がある点には注意が必要です。徐々に高単価案件へ移行する戦略を立てることが大切でしょう。
エージェントサービスに登録する
フリーランスエージェントは、専門分野に特化した高単価案件を多く保有し、営業活動や契約交渉を代行してくれるサービスです。
自身のスキルや経験に合った非公開案件を紹介してもらえる可能性が高く、クライアントとのトラブル回避や報酬の未払いリスク軽減にもつながります。
経験者向けですが、手厚いサポートを受けたい方におすすめです。
SNS・ブログ経由で仕事を獲得する
SNSや自身のブログを活用して専門知識や実績を発信することで、企業から直接業務の依頼を受ける方法も一つです。これまでの実績やスキルを視覚的に分かりやすく提示することで、クライアントに安心感を与え、信頼を得られる可能性が高まります。
また、SNSやブログ上でフォロワーと交流することで、価値観を共有できるクライアントとの出会いも期待できます。コメントへの返信や質問への丁寧な対応を通じて関係性を構築すれば、潜在的なクライアントからの依頼も期待できるでしょう。
企業に直接営業をかける
自身のスキルや経験を活かせる企業に直接アプローチする方法は、副業で業務委託案件を獲得する上で効果的な戦略の一つです。
直接営業をかけることで、一般的な副業サイトなどを介するよりも自身の強みをストレートに伝えられます。ミスマッチが少なく、より質の高い業務委託へと繋がりやすい傾向があるでしょう。
しかし、そのためには高い営業スキルと、自身の価値を効果的に伝え、相手に納得してもらうための提案資料作成能力が不可欠です。「何ができるか」を羅列するのではなく「どのようなメリットをもたらすか」という視点で、説得力のある資料を作成するよう心がけましょう。
副業開始前に確認すべきポイント
業務委託で副業を始める前には、潜在的なリスクを回避し、安心して活動を継続するために、重要なポイントを確認しておく必要があります。
主なポイントは、以下のとおりです。
- 業務委託契約書の記載事項をしっかり確認する
- 本業の就業規則・副業届の有無をチェックする
- 本業との両立が可能か見極める
- インボイス制度について理解しておく
- 確定申告・納税・帳簿管理の基礎知識をつける
- 本業の競業避止・守秘義務などを確認する
それぞれ、具体的に解説します。
業務委託契約書の記載事項をしっかり確認する
業務委託契約書は、トラブルを未然に防ぐための最も重要な書類です。一般的に、以下のような内容を記載します。
- 業務内容
- 報酬額
- 支払い方法
- 納期
- 成果物の品質基準
- 知的財産権の帰属
- 損害賠償条項
- 契約解除の条件
全ての記載事項を隅々まで確認し、不明な点があれば必ず発注元に確認しましょう。曖昧な表現や一方的な内容があると、将来の認識相違や紛争の原因となる可能性があるため注意が必要です。
本業の就業規則・副業届の有無をチェックする
副業を始める前に、必ず本業の会社の就業規則も確認しておきましょう。副業が許可されているか、どのような条件があるか、副業届の提出が必要かなどを把握することが大切です。
規則に違反した場合、懲戒処分につながるリスクがあります。不明な場合は、人事部門や上司に相談し、トラブルを回避するための透明性を確保することが重要です。
本業との両立が可能か見極める
過度な副業は、本業のパフォーマンス低下や健康状態の悪化につながる可能性があります。自身の体力や時間的リソースを客観的に見極め、無理のない範囲で副業の計画を立てましょう。
本業に支障が出ないよう、十分な休息を確保し、厳格な時間管理と体調管理を徹底することが重要です。
インボイス制度について理解しておく
2023年10月に開始されたインボイス制度は、業務委託で副業を行う個人にも大きな影響を与えます。特に、取引先が課税事業者である場合、適格請求書発行事業者への登録を求められる可能性がある点にも注意が必要です。
登録すると消費税の納税義務が発生し、事務負担も増えますが、未登録だと取引の継続を断られる可能性がある点も考慮しなければなりません。
自身の売上規模や取引先の状況を踏まえ、慎重に判断しましょう。
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確定申告・納税・帳簿管理の基礎知識をつける
業務委託による副業収入は、原則として「事業所得」または「雑所得」に区分され、年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
収入から必要経費を差し引いた「所得」で判断するため、何が必要経費になるか(家事按分含む)を理解し、領収書を保管し、帳簿を適切に管理する義務があります。
また、2024年からは電子帳簿保存法により、電子取引データの保存が義務化されている点にも注意が必要です。
出典:確定申告が必要な方(国税庁)
出典:電子帳簿保存法の内容が改正されました(国税庁)
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本業の競業避止・守秘義務などを確認する
多くの雇用契約には、在職中の競業避止義務や守秘義務が信義則上、または就業規則で定められています。
本業と同じ業界や競合する企業で副業を行う場合、企業秘密の漏洩や顧客の奪取など、本業の正当な利益を害するリスクがあります。副業の内容がこれらの義務に抵触しないかを事前に十分に確認し、疑義があれば本業の人事部門に相談するなどの対応が必要です。
また、本業のもしくは副業で得た機密情報は、本業もしくは副業へ漏らさないように注意が必要です。守秘義務違反や情報漏洩が起きた場合、大きなトラブルへ発展する可能性があるため、情報の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
業務委託で副業をしたい人によくある質問
業務委託での副業を検討する中で多くの人が抱く疑問に、専門的な視点から回答します。
Q1.副業収入が20万円以下なら確定申告は不要?
副業所得(業務委託など)が年間20万円以下の場合、原則として所得税の確定申告は不要です。
ただし、住民税の申告は所得金額にかかわらず求められます。確定申告は不要な場合であっても、住民税の申告が必要なことは理解しておきましょう。
Q2.副業の収入はどこまで経費にできる?
副業で得た収入のために支出した費用は、基本的に必要経費として計上できます。
自宅の一部を仕事場にしている場合の家賃や光熱費なども、「家事按分」によって業務に使用した割合分を必要経費に計上可能です。
ただし、所得税や住民税、交通違反の罰金、健康診断費など、事業と直接関係のない支出は必要経費にできません。
安心して業務委託で副業を始められるよう準備を整えよう
本記事では、業務委託での副業を検討する方に向けて、メリット・デメリットや具体的な案件の探し方を解説しました。
業務委託は、時間や場所の自由度が高く、自身の専門スキルを活かして市場価値を高める絶好の機会です。しかし、本業との両立や税務・法務上の複雑な手続きなど、多岐にわたる自己管理が求められます。
まずは、副業が許可されているか、どのような条件があるかを明確に把握し、必要であれば会社に相談しましょう。また、案件を受注する際は、契約内容を細部まで確認し、不明点を解消してから契約を締結することが大切です。
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