隙間時間を「資産」に変える副業戦略

なぜ今、ハイレベルな専門スキルを持つ人材が副業に注目するのか？

副業に注目している主な理由は、隙間時間を有効に使えることです。 

HiProの調査によると、副業に取り組んでいるハイクラス層※は「生活費を稼ぐ」（25.5pt）「自由に使えるお金を稼ぐ」（37.5pt）のほか、「余っている時間を活かす」（26.8pt）を目的に副業活動をしていることが分かります。

さらに、「自身の経験・スキルの専門性をさらに高める」など、自身の成長や自己実現にも目的を置いているようです。

副業は単なる収入源ではなく、キャリアを前に進める「もうひとつのフィールド」として機能し始めています。時間が限られているからこそ、自分の強みを活かせる場を持つことが大きな意味を持つといえるでしょう。

※：「副業・フリーランス人材白書2025」において、高度な事業課題を解決できる経験・スキルを有する人材層を指す。

出典：「副業・フリーランス人材白書2025」副業・フリーランスの活動目的（ハイクラス層・メンバークラス層比較）（HiPro）

▼関連記事
なぜ今副業がおすすめなのか？副業を始める際の注意点を解説

本業とのシナジーを生む、隙間時間でできる副業案件の選び方

隙間時間を活かす副業を選ぶには、「短時間でも質の高いアウトプットができるか」「本業と相乗効果があるか」を軸に考えると効率的です。

以下に、スキマ副業ならではの案件の選び方をまとめました。

• チャットやメールで進められるタスクベースの案件を選ぶ
• 成果に対して報酬が発生するタイプを選択する
• 短時間でも価値を出せる案件を選ぶ
• スケジュール調整が柔軟な案件に絞る
• 自動化・テンプレ化できる仕事を選択する

たとえば、SEOライターであれば、自身の専門ジャンルの記事構成をテンプレート化し、隙間時間で執筆を進めることで高単価案件にも対応できます。案件を選ぶ段階から、本業の経験を活かせるかどうか、短時間で成果が出せるかどうかを見極めていきましょう。

▼関連記事
自分に合った副業の探し方とは？選ぶ際のポイントや注意点も解説
代表的な副業の種類を一覧で紹介！メリットや探し方、注意点も解説

専門性を活かしてキャリアに活かせるスキマ副業7選

スキマ副業をするなら、専門的なスキルや知識を活かしながら、キャリアアップにもつながる仕事がおすすめです。ここでは、短時間で取り組める7つの副業を紹介します。

スポットコンサル

スポットコンサルは、特定のテーマについて1時間程度のアドバイスを提供する仕事です。

「製造業の出身者が中国工場の選定方法について話す」「広告代理店経験者がWeb戦略の改善点を提案する」など、事業課題の解決や業界動向に関する意見を行います。

あらかじめ日時が決まっており、ヒアリング中心の仕事内容が多いため、あまり時間がかからない点が特徴です。また、オンラインミーティングの対応が中心のため、隙間時間との相性が良い副業といえます。

▼関連記事
スポットコンサルが副業におすすめの理由と注意点を解説！案件の探し方も紹介

事業計画の壁打ち

事業計画の壁打ちは、起業家や経営層の相談役として、アイデアの検証や改善アドバイスを行う副業です。仕事内容は、事業戦略の立案やKPI（最終目標）設計、営業方針の設定など多岐にわたります。

フリーランスや経営経験のある人材、あるいはコンサルティングファーム出身者が、案件を引き受ける傾向にあります。アドバイスを求められるタイミングは限定的であり、週1回1時間の定例ミーティングなど、時間が決まっている場合がほとんどです。

仕事の時間をコントロールしやすく、かつ非対面で進められることから、隙間時間に適切な仕事といえるでしょう。

記事監修

記事監修は、専門分野の知識をもとに、ライターが執筆した記事の内容をチェックする業務です。医療・不動産・金融・士業関連など、専門性が求められるジャンルで需要があります。

業務内容は、事実確認、表現の正確性チェック、専門用語の用い方の確認などです。リモートワークが基本であるため、時間のあるときに取り組めます。

知識を活かしながら、効率良く報酬を得たい人におすすめです。

資料作成

資料作成は、営業資料やプレゼン資料、社内マニュアルなどをPowerPointなどのツールを用いて制作する副業です。デザイン性だけでなく、論理構成や伝わりやすさも求められます。

普段の業務で資料を作成する機会が多い、営業職やマーケティング経験者が活躍しやすいジャンルです。依頼者の指示に沿って構成や内容を整えることが多く、業務の流れもシンプルです。

納期までの期間に余裕がある依頼もあるため、1日1時間ずつ進めるといった柔軟なはたらき方が可能です。資料のテンプレート化を進めれば、より短時間での対応も実現できます。

人事採用支援

人事採用支援は、企業の採用業務を外部から支援する副業です。具体的には、スカウトメールの作成や、候補者との日程調整、面談の実施などがあります。

人事経験のある人はもちろん、営業職やキャリアアドバイザー出身者にも適した領域です。業務はオンラインで完結しやすく、メールやチャット中心で進行します。

夜間や早朝でも対応可能な作業もあるため、家事や育児の合間でも進めやすいのが特徴です。業務を標準化しやすい分野でもあるため、効率化しやすい副業といえます。

▼関連記事
人事職経験を活かせる副業は？必要なスキルや案件の獲得方法・案件例を紹介

デザイン作成

デザイン作成は、バナー、SNS画像、スライド用ビジュアルなどを制作する仕事です。Photoshopなどのツールを活用して、要望に合ったデザインを仕上げます。

依頼内容は明確な指示がある場合が多く、複雑な打ち合わせを必要としない案件も増えています。

納期にゆとりのある案件を選べば、隙間時間を使って対応できます。デザインセンスとスピード感を活かせる副業といえるでしょう。

▼関連記事
Webデザイナー副業について徹底解説｜現実や案件獲得方法を紹介

営業代行

営業代行は、企業の代わりに商談獲得やアポイント調整などを行う副業です。架電、メール営業、フォーム送信などの手段を使ってリードを獲得します。

営業経験のある人にとっては、スクリプトを活用しながら効率的に成果を出しやすい分野です。成果報酬型の案件も多く、目標達成によって収入アップを目指せます。

「朝の1時間で10件のアプローチ」「昼休みに返信対応」などと分割しながら対応しやすいため、隙間時間に収入を得たい人に適した選択肢といえるでしょう。

隙間時間を活用した副業の始め方｜案件獲得までのロードマップ

隙間時間を副業にあてたいと考えていても、何から始めれば良いか分からない人は多いかもしれません。ここでは、案件を獲得するまでのステップを順番に解説します。

▼関連記事
副業の始め方を4ステップで紹介｜メリット・デメリットや注意点も解説

ステップ1：自分の時間とスキルの棚卸し

最初に、自分の生活リズムとスキルを整理するところから始めましょう。「どの時間帯に、どのような作業ができるか」を明確にすることが大切です。

まず、一週間のスケジュールをざっくり書き出し、仕事・家事・育児などを除いた空き時間を確認します。次に、自分がこれまで経験してきた業務や得意なことを書き出します。

職務経歴書のように時系列で整理すると、アピール材料が明確になりやすいです。

時間とスキルの整理は、副業選びや自己PRの土台になります。準備段階として、丁寧に進めていきましょう。

ステップ2：副業マッチングプラットフォームなどを活用して探す

仕事ができる時間とスキルの棚卸しができたら、次に副業マッチングプラットフォームなどを活用して仕事を探します。

副業マッチングプラットフォームには、隙間時間に対応しやすい案件も多く登録されており、未経験からでも始めやすい案件も見つかります。

登録時にはプロフィールや経歴を丁寧に入力し、実績や強みをわかりやすく伝えることが案件獲得の第一歩です。信頼できるサービスを選び、自分の条件に合った案件を探していきましょう。

ステップ3：小さく始めて実績を作る

最初は小さな案件からスタートし、実績を積み上げていくことが成功の近道です。いきなり高単価な案件に挑戦するよりも、まずは納品経験を重ねる方が信頼につながります。

たとえば、Webライティングであれば、単価の低い案件でも、しっかり納品・フィードバック対応を行えば次の案件の評価に直結します。バナー作成でも、数千円の案件から着実にクオリティを出していくことで、継続依頼が発生する可能性を高められるでしょう。

実績は、単に「件数」だけでなく「納品内容」「納期遵守」「レスポンスの早さ」なども評価対象になります。できる範囲で確実に成果を出すことが、次の仕事へのステップになるでしょう。

ステップ4：隙間時間の効率化を行い複数の案件を獲得する

副業に慣れてきたら、隙間時間の使い方をさらに最適化し、複数の案件に対応できる体制を整えていきましょう。

以下のような工夫が効果的です。

• 作業を時間帯ごとに固定する
• テンプレートや定型文を用意する
• 効率化ツールを活用する
• タスクを分解する

効率化によって「1案件を短時間で対応する力」が高まると、複数の案件を同時に進めても無理がありません。結果的に、報酬も安定していきます。

「時間の使い方」自体を改善することで、副業の生産性は大きく変わります。日々の改善を意識していきましょう。

隙間時間を活用した副業をする上で気を付けるべきポイント

限られた時間の中で副業に取り組むには、やみくもに作業を増やすのではなく「効率」と「目的」を意識することが欠かせません。ここでは、具体的な4つの注意点を紹介します。

短時間で行うタスクを決めておく

隙間時間を効果的に使うためには、事前にやるべきタスクを明確に決めておくことが基本です。計画がないまま作業を始めると、毎回「何をやるか」で迷ってしまい、時間を浪費します。

まずは、副業に使える時間帯を把握し、その時間に向いている作業を整理しましょう。たとえば、朝の30分はチャット対応、昼休みはリサーチ、夜は記事執筆など、時間帯ごとに作業内容を固定します。

作業を決めておけば、少しの時間でも手が止まりません。結果的に、短時間でも集中して成果を出せるようになります。

毎日の作業をルーティン化し、迷いなく動ける状態をつくりましょう。

時間とコストのバランスを考える

隙間時間で副業をする場合、「どの案件に時間を使うか」の判断が収入に直結します。時給換算で収益が見合っていない仕事を続けると、長期的にモチベーションが下がります。

たとえば、1時間あたりの報酬が300円のタスクを毎日2時間続けても、月収は1万8千円です。一方、専門スキルを活かした仕事では、1時間あたりの報酬が1万円以上になることもあります。

自分のスキルに対する報酬の相場感を把握し、「かけた時間に対してリターンが見合うか」を定期的に見直すことが大切です。最初は副業の経験不足から報酬が安くても、継続するほど時間価値は上がっていくため、意識的に案件を選ぶようにしましょう。

業務のテンプレート化・ルーティン化を意識する

副業の作業を毎回ゼロから始めていては、時間がいくらあっても足りません。よく使う手順や資料、メール文面などは、テンプレート化して効率を高める工夫が必要です。

たとえば、ライター業務では以下のようなテンプレートを事前に用意しておくと便利です。

• 記事構成案のフォーマット
• 執筆チェックリスト
• 納品時のメッセージ文面

業務を「型」にしておけば、どの案件でもすぐに作業に着手できます。作業スピードも安定し、時間の節約にもつながるでしょう。

結果的に、隙間時間でも複数案件を無理なくこなせるようになります。

最初に決めた目的や目標を見失わないようにする

副業に取り組む上で、もっとも見落とされがちなのが「そもそも何のために副業を始めたのか」という点です。忙しさに流されて目的が曖昧になると、作業が苦痛に感じやすくなります。

たとえば、「将来的に独立したいから」「スキルアップしたい」「趣味に使えるお金を増やしたい」など、最初の動機を明文化しておきましょう。メモ帳に書いておくだけでも意識が変わります。

目標が明確であれば、やるべき仕事と断るべき仕事の判断もつきやすくなります。継続の力を生むのは、行動ではなく動機です。自分が副業に取り組む理由を忘れずに、軸を持って進めていきましょう。

契約前に必読！副業で注意すべきこと

副業を始める前には、契約や法律の知識も最低限押さえておく必要があります。ここでは、本業との兼ね合いや情報管理、契約書の確認ポイントについて解説します。

本業の会社に迷惑をかけないための「競業禁止義務」の確認ポイント

副業を始める前に、まず確認すべきなのが「競業禁止義務」です。

たとえば、広告代理店ではたらいている人がライバル企業の広告運用を副業で引き受けた場合、情報漏洩のリスクや信頼性の低下につながる可能性があります。こうした行動は、会社の就業規則に違反する可能性が高く、最悪の場合は懲戒対象になるため注意が必要です。

以下のような観点で、本業と副業の関係をチェックしましょう。

• 本業と副業の業界が競合していないか
• 本業の取引先や顧客と関係がないか
• 社内規定で副業が禁止されていないか

また、本業の会社が副業を禁止していないかも事前に確認しておく必要があります。副業を長く続けるには、トラブルの芽を最初から潰しておくことが大切です。会社に迷惑をかけないはたらき方を意識しましょう。

「情報漏洩」を絶対に防ぐ、プロとして徹底すべき守秘義務管理

副業において、情報漏洩のリスクは無視できません。複数の企業とやりとりをする場合、それぞれの業務で知り得た情報を適切に管理しなければ、信頼を失うだけでなく法的な責任も問われる可能性があります。

特に注意すべき場面は、以下の通りです。

• チャットで社外情報を誤送信する
• 他案件の資料を第三者に誤ってアップロードする
• クラウドサービスのアクセス権を第三者に設定する

対応策としては、案件ごとにフォルダを分ける、パスワード付きのファイルで管理する、機密情報は必ずクライアントに確認してから使用する、などが挙げられます。

副業でも、プロとしての情報リテラシーは欠かせません。信頼を得るためにも、守秘義務の管理には常に注意を払いましょう。

業務委託契約書で必ず確認すべき5つの項目

副業では、業務委託契約で仕事を受けるケースがほとんどです。契約書を交わす際には、以下の5つの項目を必ず確認してください。

中でも「成果物の定義」があいまいだと、納品後のトラブルにつながりやすくなります。また、報酬の支払い条件や支払い期日も、トラブル回避のために細かくチェックしておくことが必要です。

安心して副業を続けるためにも、契約書は必ず最後まで読み、気になる点があれば事前に確認してから契約しましょう。

スキマ副業に関するよくある質問

スキマ副業に興味はあっても、「確定申告は必要なのか」「本業と両立できるのか」「キャリアに役立つのか」など、気になる疑問は多いはずです。ここでは、よく寄せられる質問にわかりやすく回答します。

Q1. スキマ副業でも確定申告は必要ですか？

スキマ副業でも、条件を満たせば確定申告が必要です。申告が不要になるのは「年間の副業所得が20万円以下」のケースに限られます。

たとえば、報酬が20万円を超える場合は、所得税の確定申告対象になります。

必要経費として計上できる項目（通信費、備品、ソフト利用料など）もあるため、毎月の収支をExcelや家計簿アプリで記録しておくと安心です。

報酬を得る以上、税金の知識は避けて通れません。後から困らないように、早めに準備しておきましょう。

出典：確定申告が必要な方（国税庁）

▼関連記事
【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要？20万円以下でも申告する必要があるケースとは

Q2. 本業が非常に忙しいのですが、効率的な時間管理のコツはありますか？

本業が忙しい人こそ、時間の使い方を工夫することでスキマ副業を継続しやすくなります。重要なのは「時間の見える化」と「作業の分割」です。

最初に、1週間の中で使えそうな時間帯を30分単位で洗い出します。次に、その時間に向いているタスクを決めておきます。通勤中は情報収集、昼休みは構成づくり、夜は執筆など、時間をブロック化するとよいでしょう。すきま時間を「断片のまま」使うのではなく、「目的ある時間」として使うことが、副業継続のカギになります。

一方で、副業を行うことで忙しさが増し、本業がおろそかになったり体調不良などにつながる可能性がある場合は、「副業をしない」という選択をする必要もあるでしょう。

Q3. 短時間の副業でも今後のキャリアにつながりますか？

短時間の副業でも、積み重ねればキャリアにつながる可能性は十分にあります。とくに、成果物や実績が「見える形」で残る副業は、将来的な転職や独立の際に役立ちます。

たとえば、SEOライターとして50本の記事を執筆した実績は、「検索流入を意識した記事設計ができる人材」として評価されやすいです。資料作成やWeb制作でも、ポートフォリオとして成果をまとめておけば、実力の証明になります。

また、副業で得た知見を本業に活かしたり、逆に本業の経験を副業に応用したりすることで、スキルのかけ算が生まれます。結果として、社内外での評価が高まり、次のキャリアの選択肢が広がっていくことが期待できます。

時間の長さではなく、積み重ねた実績の質がキャリアにつながるという意識を持って取り組んでいきましょう。

Q. スキマ副業で高単価案件は受注できますか？

スキマ副業でも、高単価案件の受注は可能です。とくに、スポットコンサルや記事監修など、経験や専門性を活かせる分野では、1案件あたりの単価が高く設定されているケースがあります。

こうした案件では「即戦力」「過去の実績」「信頼性」が重視されます。プロフィールの充実、実績の提示、過去の成果の可視化がポイントです。

スキルを明確に伝え、信頼を積み重ねていけば、短時間でも高単価案件の受注は十分に可能です。

隙間時間を活用して効率よく副業しよう

隙間時間を活用した副業は、限られた時間でも自分のスキルや経験を活かしながら、収入を得られる手段として注目されています。スポットコンサルや資料作成など、短時間で取り組める仕事もあるため、時間管理や業務の効率化を工夫すれば本業との両立も十分に実現可能です。

まずは、自分のスキルや使える時間を棚卸ししてみましょう。そして、副業マッチングサービスに登録し、小さな案件から着実に実績を積み上げていくことが第一歩です。副業を始める前には契約や守秘義務の確認も忘れず、安心して取り組める環境を整えてください。

隙間時間を「ただの空き時間」で終わらせるか、「資産を生む時間」に変えるかは、自分次第です。自分に合った副業を見つけ、無理なく、そして継続的に取り組んでいきましょう。