キャリアコンサルタントの副業は可能?案件獲得までの流れや注意点を徹底解説

「キャリアコンサルタントとして副業を始めたいけど、案件の見つけ方がわからない」
「本業とは別に自分の専門性を試せる場が欲しい」
自身の専門性をさらに社会に還元し、キャリアの可能性を広げたいと考えている人は多いのではないでしょうか。キャリアコンサルタントの副業は、単なる収入源の確保に留まらず、自身の市場価値を高めることにも貢献します。
本記事では、キャリアコンサルタントの資格を活かした副業の種類や、具体的な案件獲得方法を解説します。活躍するためのポイントや、始める上での注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
キャリアコンサルタントの専門性を活かせる副業の種類

キャリアコンサルタントの副業は、個人の相談に乗るだけでなく、企業の組織課題解決に貢献するものまで多岐にわたります。自身の経験や興味、目指すキャリアの方向性に合わせて、最適な活動形態を選択することが可能です。
ここでは、代表的な5つの副業の種類を紹介します。
社内向けキャリアコンサルティング
従業員のキャリア開発を支援するため、企業が外部の専門家としてキャリアコンサルタントを業務委託するケースです。
主に、以下のような業務を担当します。
- 従業員との定期的なキャリア面談
- キャリアプランニングのサポート
- 社内研修の企画・実施
本業で人事やマネジメント経験がある方にとっては、これまでの知見を直接的に活かせる領域です。
HRコンサルティング系の新規事業サポート
人材紹介会社やHR-Tech企業が立ち上げる新規事業に、専門家として参画するはたらき方です。たとえば、新しいキャリア支援サービスのコンテンツ監修、キャリア相談サービスの仕組みづくり、ユーザー向けのセミナー企画などが挙げられます。
特に、特定の業界や職種に深い知見を持つコンサルタントは重宝されます。企画段階から関わることで、事業を創り上げるダイナミズムを経験できる点が魅力です。自身のコンサルティングスキルを、個人の支援だけでなく事業開発という形で活かしたい方に向いています。
企業の顧問・アドバイザリー業務
経営層や人事責任者のパートナーとして、組織の人的資本経営に関する課題解決を支援する役割です。採用戦略の立案、人事評価制度の再構築、組織文化の醸成といった、より経営に近い上流工程から関わります。
特定の企業と中長期的に関わることで、組織が変革していくプロセスに深く貢献できる点が大きなやりがいといえるでしょう。自身の経験を活かして、企業の根幹を支えるような影響力の大きい仕事に挑戦したい方におすすめの選択肢です。
▼関連記事
人事職経験を活かせる副業は?必要なスキルや案件の獲得方法・案件例を紹介
組織開発や人材育成に関する研修・セミナー講師
自身の専門知識や経験を体系化し、研修やセミナーの形で多くの人に提供する仕事です。テーマは、新入社員向けのキャリアデザイン研修から、管理職向けのリーダーシップ研修、部下育成のためのコーチング研修など、さまざまなものが存在します。
自身の得意分野を「教える」という形でアウトプットすることで、知識の定着とさらなる探求につながります。人前で話すことが得意で、自身の知見を広く社会に還元したいと考える方におすすめです。
経営層や管理職向けのエグゼクティブコーチング
企業の意思決定を担う経営層や管理職に特化し、1対1の対話を通じて目標達成と成長を支援する、専門性の高い副業です。単なるキャリアの悩みだけでなく、事業戦略や組織マネジメント、リーダーシップの発揮といった複雑な課題を扱います。
クライアントの思考を整理し、内省を促し、新たな視点を提供することで、パフォーマンスの最大化をサポートします。守秘義務を遵守し、深い信頼関係を築くことが不可欠です。豊富なビジネス経験と高度なコーチングスキルを要しますが、組織のトップ層に直接影響を与えられるやりがいの大きい仕事です。
キャリアコンサルタントが副業をする4つのメリット
キャリアコンサルタントが副業に取り組むことは、単に収入を増やす以上の価値をもたらします。本業では得られない経験を通じてスキルを磨き、キャリアの選択肢を広げる絶好の機会です。
ここでは、副業がもたらす4つの具体的なメリットを解説します。
自身のカウンセリングスキルや知識の向上につながる
副業では、本業とは異なる業界、職種、年齢層の多様な相談者と向き合うことになります。それぞれの個人や組織が抱える独自の課題に触れることで、自身の知見の幅が広がり、コンサルティングスキルを磨くことが可能です。
たとえば、IT業界のマーケターと製造業の管理職では、キャリアの悩みや組織の課題も全く異なります。数多くのケーススタディを経験することで対応できる領域が広がり、より質の高い支援を提供できるようになるでしょう。
実践経験を積み重ねることで、コンサルタントとしての実力向上が期待できます。
本業以外の業界・企業から新たな知見を得られる
副業は、本業の組織の枠を超えて新しい知識やスキル、人脈を獲得する「越境学習」の機会となります。
パーソル総合研究所の調査によると、副業経験者は「本業の仕事の視野が広がった」「新しいスキル・知識がついた」といったポジティブな影響を実感しています。

出典:第三回 副業の実態・意識に関する定量調査(パーソル総合研究所)
たとえば、副業で成長が著しいスタートアップの組織開発を支援することで得た知見は、本業の組織の活性化に活かせます。副業で得た学びを本業に還元することで、本業でのパフォーマンス向上も期待できるでしょう。
本業の所属企業にとってもメリットがあるといえます。
▼関連記事
スキルアップにつながる副業選びのポイントとは?本業のスキルを副業に活かすメリットも紹介
収入の柱を増やし経済的な安定につながる
副業は、本業の給与に加えて新たな収入源を確保できるため、経済的な安定につながります。
HiProが発表した「副業・フリーランス人材白書2025」によると、1か月あたりの副業報酬の中央値は、メンバークラス層で8万円、マネジメントや専門職などのハイクラス層では13万円に達しています。

専門性を活かした副業は、収入の増加につながりやすい有効な手段です。将来の独立や自己投資のための資金を準備する上でも、副業による収入は大きな助けとなるでしょう。
独立やキャリアアップに向けた人脈と実績を作れる
副業を通じてクライアント企業の経営層や他社のプロフェッショナルと協業する機会は、質の高い人脈を構築する絶好のチャンスです。独立を目指す際や、よりよい条件で転職を考える際に、重要な資産となります。
また、副業で「〇〇社の組織開発プロジェクトを成功させた」「〇〇名のキャリア相談を実施した」といった具体的な実績を積み上げることで、自身の市場価値を証明するポートフォリオになります。本業の看板に頼らず、個人の名前で価値を提供した経験は、キャリアを切り拓く上で大きな自信となるでしょう。
▼関連記事
独立したいなら副業から始めるのがおすすめの5つの理由|注意点や必要なステップも解説
キャリアコンサルタントが副業案件を獲得する方法
専門性を活かせる案件を獲得するためには、受け身の姿勢ではなく、戦略的かつ能動的なアプローチが不可欠です。自身のスキルや経験を効果的にアピールし、潜在的な顧客との接点を作ることが重要になります。ここでは、具体的な4つの案件獲得方法を紹介します。
▼関連記事
自分に合った副業の探し方とは?選ぶ際のポイントや注意点も解説
自身のネットワークを活かして案件を紹介してもらう
信頼に基づいた案件獲得につながりやすいのが、自身の人的ネットワークです。
同僚や上司、取引先、セミナーで知り合った仲間などに、副業を始めたい旨を伝えてみましょう。専門性や人柄を理解している人からの紹介は、クライアントからの信頼を得やすく、スムーズに契約につながる可能性が高まります。
日頃から自身の活動や専門性を周囲に発信し、「キャリアのことで困ったらあの人に相談しよう」と第一想起される存在になっておくことが重要です。
プロフェッショナル人材向けのマッチングサービスを活用する
専門的なスキルを持つプロフェッショナル人材と企業を繋ぐマッチングサービスは数多く存在します。これらのプラットフォームに自身の経歴やスキル、実績を登録することで、企業側からスカウトを受けたり、公開されている案件に応募したりすることが可能です。
マッチングサービスで効果的に案件を獲得するためには、自身のスキルセットや希望するはたらき方に合ったサービスを選び、プロフィールを充実させることが大切です。まずは複数のサービスに登録し、どのような案件があるのか市場感を掴むことから始めるとよいでしょう。
セミナー登壇やコミュニティ活動で潜在顧客と接点を持つ
セミナーやコミュニティ活動は、自身の専門性を広く認知させ、見込み顧客との接点を創出する効果的な方法です。
キャリア関連のイベントや勉強会で講師として登壇したり、関連するオンラインコミュニティで積極的に情報発信やコメントをしたりすることで、専門家としての信頼性を高められます。有益な情報を提供し続けることで、参加者や他のメンバーから「もう少し詳しく話を聞きたい」「自社の課題について相談したい」といった声がかかるようになる可能性が高まります。
直接的な営業活動とは異なり、自身の知識や経験に興味を持った相手から自然な形で相談が舞い込み、理想的な流れを生み出すことが可能です。
自身の経験が活かせる成長企業に直接営業をする
自身の経験が特に活かせると考える業界や企業に対し、直接アプローチする方法も有効です。特に、人事部門がまだ確立されていない成長段階のスタートアップやベンチャー企業は、採用や組織開発に関する課題を抱えているケースが珍しくありません。
企業のWebサイトやプレスリリースから課題を推測し、「貴社の〇〇という課題に対し、私の△△という経験を活かして貢献できます」など具体的な提案型の営業を行うことで、経営層の目に留まりやすくなるでしょう。
リサーチと仮説構築に手間はかかりますが、成功すれば他者と競合することなく、独自のポジションで案件を獲得することが可能です。
キャリアコンサルタントが副業で活躍するために大切なこと
副業案件を獲得することはスタートラインに過ぎません。継続的に活躍し、クライアントから高い評価を得るためには、意識すべき重要なポイントがあります。
自身の専門分野と掛け合わせて差別化をする
キャリアコンサルタントの資格保有者は年々増加※しており、資格を持っているだけでは他者との差別化は困難です。そこで重要になるのが、自身の本業での経験や得意分野を掛け合わせ、独自の強みを打ち出すことです。
「IT業界のエンジニアのキャリア支援に特化」や「外資系企業のマーケターのキャリアアップを支援」のように、専門領域を明確にしましょう。
自身のユニークな価値を定義することで、クライアントはあなたに依頼する明確な理由を見つけられます。ニッチな領域での活躍を目指すことが、選ばれるコンサルタントになるために重要な要素です。
※出典:キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会報告書(厚生労働省)
小さな実績を積み重ねて「紹介されるコンサルタント」を目指す
副業をするうえで、「信頼」は重要な資産です。一つひとつの案件に真摯に取り組み、常にクライアントの期待を超える成果を出すことを心がけましょう。
たとえ小さな案件であっても、丁寧なコミュニケーションと質の高いアウトプットを徹底することで、顧客満足度は高まります。満足したクライアントは、リピートして発注してくれるだけでなく、「よいコンサルタントがいる」と別のクライアントを紹介してくれる可能性も高まるでしょう。
常に学び続け、スキルと知識をアップデートする
労働市場のトレンドや企業のはたらき方、個人のキャリア観は、時代と共に常に変化しています。プロフェッショナルとして活躍し続けるためには、常に学び続ける姿勢が不可欠です。最新の人事関連のニュースをチェックする、新しいコーチング理論を学ぶ、関連法規の改正点を把握するなど、自己投資を怠らないようにしましょう。
知識とスキルを常にアップデートし続けることで、クライアントに対して常に最新かつ最適なソリューションを提供できるようになります。
キャリアコンサルタントとして副業を始める際に知っておきたい注意点
キャリアコンサルタントとしての副業は多くのメリットがある一方で、無用なトラブルを避けるために押さえておくべき注意点も存在します。
特に、本業との関係性や、専門家としての倫理観に関わる部分は重要です。活動を始める前に、以下の2点を確認しておきましょう。
- 本業の競業防止義務に違反していないか確認する
- 顧客情報の管理と守秘義務の遵守を徹底する
本業の競業防止義務に違反していないか確認する
副業を始める前に、まず本業の就業規則を確認しましょう。多くの企業では、副業に関する規定が設けられています。特に「競業避止義務」や「利益相反」に関する条項には注意が必要です。
本業の競合企業でコンサルティングを行ったり、本業で得た機密情報を利用したりする副業は、懲戒処分の対象となる可能性があります。少しでも判断に迷う場合は、事前に人事部や上司に相談し、許可を得てから活動を開始するのが賢明です。
誠実な対応が、本業と副業の双方で信頼を維持する基盤となります。
顧客情報の管理と守秘義務の遵守を徹底する
キャリアコンサルタントには、国家資格者としての厳しい守秘義務が課せられています。
職業能力開発促進法 第30条の27第2項
キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。キャリアコンサルタントでなくなった後においても、同様とする。
副業においても、相談者の個人情報やクライアント企業の内部情報といった機密情報を扱う機会が多くあります。
情報管理を徹底することは、プロフェッショナルとしての最低限の責務です。以下のような対策を取りましょう。
- セキュリティ対策が施されたパソコンを使用する
- 公共のWi-Fi環境での作業を避ける
- 情報を安易に外部に持ち出さない
一度でも情報漏洩を起こせば、信頼が失墜し、活動の継続は困難になる可能性があるため、細心の注意を払いましょう。
キャリアコンサルタントの副業に関するよくある質問
ここでは、キャリアコンサルタントの副業を検討している方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。具体的な疑問を解消し、スムーズなスタートを切りましょう。
顧問契約のような長期的な副業案件はどのように見つければいい?
長期的な顧問契約は、単発のプロジェクト案件で実績を出し、クライアントとの信頼関係を構築した結果として、自然な流れで提案されるケースが一般的です。
まずは短期・単発の案件で確実に価値を提供し、「この人にもっと長く関わってほしい」と思ってもらうことが重要です。また、経営層とのネットワークを持つエージェントや、顧問紹介に特化したマッチングサービスを活用することも有効な手段といえます。
多忙な本業と副業はどのように両立すべき?
多忙な本業と副業を両立するためには、時間管理と期待値の調整が重要です。
まず、副業に充てられる時間を現実的に見積もり、その範囲内で確実に遂行できる案件を選びましょう。契約時には、クライアントに対して「週〇時間程度の活動」「連絡は平日の夜間と土日が中心」といったように、活動条件を明確に合意しておくことが不可欠です。
また、タスク管理ツールを活用して効率的に作業を進めたり、本業の繁忙期には副業のペースを調整したりと、柔軟な計画性が求められます。無理のない範囲で始めることが、長く続けるための秘訣です。
キャリアコンサルタントの副業は土日や週1日からでも可能?
キャリアコンサルタントの副業は、土日や週1日からでも可能です。特に、個人のキャリアカウンセリングや、単発のセミナー講師、記事の監修といった業務は、週末や平日の夜間だけでも対応可能です。クライアント側も、平日日中の活動を前提としないスポットでの依頼を希望するケースは少なくありません。
「週1日」「土日のみ」といった条件で始められる案件は多く存在するため、まずは自分のライフスタイルに合わせてスモールスタートを切るのがおすすめです。
キャリアコンサルタントの副業を通して、自身の市場価値を高めよう
本記事では、キャリアコンサルタントの副業について、その種類から案件獲得方法、成功のポイント、注意点までを解説しました。
副業は、社内キャリアコンサルティングから経営層へのアドバイザーまで多岐にわたり、スキル向上や収入の増加、人脈形成といった多くのメリットをもたらします。ただし、成功のためには専門性を掛け合わせた差別化と、継続的な学習が不可欠です。
まずは、自身の経験・スキルの棚卸しから始めてみましょう。そして、副業でどのような価値を提供できるのかを言語化してみることが大切です。
▼関連記事
なぜ今副業がおすすめなのか?副業を始める際の注意点を解説
副業の始め方を4ステップで紹介|メリット・デメリットや注意点も解説
この記事が気に入ったら「シェア」






