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副業に職務経歴書・ポートフォリオは必要?求められるケースや注意点を徹底解説

副業の職務経歴書のイメージ

「副業を始めたいけど、職務経歴書は必要なのだろうか?」「ポートフォリオの提出を求められたけれど、何を書けばいいかわからない」

副業案件を探す中で、職務経歴書やポートフォリオの準備に戸惑うことがありますよね。本業とは別に、副業のためだけに書類を作成するのは手間がかかると感じるかもしれません。

本記事では、副業で職務経歴書やポートフォリオが求められる理由や、具体的な書き方のコツ、実績を載せる際の注意点などを解説します。

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副業に職務経歴書やポートフォリオは必要?

副業であっても職務経歴書やポートフォリオの提出を求められるケースは存在します。必ずしもすべての案件で必須ではありませんが、良質な案件や高単価な案件ほど、その重要性は高まる傾向にあります。

職務経歴書はビジネス上の経歴を証明する書類で、ポートフォリオはスキルや実績を具体的に示すものです。企業があなたの能力を客観的に評価し、安心して業務を任せられるかを判断するための重要な資料となります。

適切に準備しておくことで、応募できる案件の幅が広がり、獲得の可能性を高められるでしょう。

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企業が副業にも職務経歴書やポートフォリオを求める理由

なぜ企業は、副業人材に対しても職務経歴書やポートフォリオの提出を求めるのでしょうか。その背景には、企業側が抱える副業人材活用に対する特有の懸念や不安があります。

ここでは、主な2つの理由を解説します。

求める仕事内容と齟齬がないかを懸念している

企業は、副業人材のスキルが自社の課題解決に本当に貢献してくれるのかを慎重に見極めたいと考えています。口頭での説明だけでは、スキルのレベルや過去の実績が具体的に伝わりにくいため、依頼後のミスマッチを懸念しています。

HiProが実施した調査では、副業・フリーランス人材を活用しない理由として「副業人材の活用によって課題解決ができるか不安」と回答した企業は約12%です(メンバークラス層で11.6%、ハイクラス層で12.1%)。

出典:副業・フリーランス人材白書2025(HiPro)

職務経歴書やポートフォリオがあれば、スキルや経験を客観的な事実として提示することが可能です。企業の課題解決への不安を払拭するための重要な判断材料となるでしょう。

副業人材の継続性や責任感に不安を感じている

企業は、副業人材が本業の傍らで業務を行うことに対して、「責任を持って最後までやり遂げてくれるだろうか」といった不安を抱えています。

HiProの同調査では、副業・フリーランス人材を活用しない理由として「業務に責任を持ってもらえるかどうか不安」と回答した企業は、約2割にのぼりました(メンバークラス層で17.3%、ハイクラス層で18.4%)。

出典:副業・フリーランス人材白書2025(HiPro)

整えられた職務経歴書や質の高いポートフォリオは、あなたのプロフェッショナル意識の高さを示す証拠となります。丁寧な書類作成を通じて、業務に対する真摯な姿勢や責任感を伝えることが、企業の信頼を得るための第一歩となるでしょう。

副業で職務経歴書やポートフォリオが求められるケース

具体的に、どのような場面で職務経歴書やポートフォリオの提出が求められるのでしょうか。ここでは、代表的な4つのケースを紹介します。

大企業や官公庁などの案件に応募する場合

大企業や官公庁の案件では、コンプライアンスの厳格さから、職務経歴書の提出が求められることがあります。

たとえば、大手メーカーの新規事業開発に関するマーケティングコンサルタントの募集などでは、これまでの経歴や類似プロジェクトでの実績が厳しく評価されやすい傾向があります。書類選考の段階で、求めるスキルレベルに達しているかを判断されるため、質の高い職務経歴書が不可欠です。

副業エージェントやマッチングサービスに登録する場合

副業エージェントやマッチングサービスを利用して案件を探す場合、登録時に職務経歴書やポートフォリオの提出を求められるのが一般的です。サービス側は、登録された情報をもとにあなたに最適な案件を紹介したり、企業に推薦したりします。

提出された書類は、あなたのスキルや経験をエージェントやプラットフォームが把握するための基本情報です。情報が充実しているほど、あなたの強みが伝わりやすくなり、より条件の良い非公開案件などを紹介してもらえる可能性が高まります。

サービスを有効活用するためにも、登録情報は常に最新の状態に保ち、具体的で魅力的な内容に更新しておくことが重要です。

実績を重視して選考を行うクライアントの場合

特に専門性の高い職種では、候補者の「過去の実績」を重要な判断基準としているクライアントも少なくありません。

たとえば、特定の業界における経営戦略コンサルタントでは、過去にどのような課題をどう解決し、どれだけの成果を上げたかが問われます。このようなクライアントは、職務経歴書に書かれた経歴だけでなく、ポートフォリオで具体的な成果物やプロジェクトの詳細を確認したいと考えます。

実績を具体的に示すことで、他の候補者との差別化を図り、案件の獲得を有利に進めることが可能です。

企業に直接営業して案件を獲得する場合

まだ募集が出ていない企業に対して直接営業をかけ、案件を獲得しようとする場合、職務経歴書やポートフォリオは重要な営業ツールとなります。あなたのことを全く知らない企業に対して、自分が何者で、どのような価値を提供できるのかを簡潔かつ効果的に伝えなければなりません。たとえば、ある企業のマーケティング戦略に課題があると感じた場合、以下のような形でアプローチします。

「私は〇〇の経験を持つマーケティングコンサルタントです。こちらの資料(ポートフォリオ)にあるように、過去に△△という課題を解決し、売り上げを〇〇%向上させた実績があります。貴社の□□という課題解決に貢献できると考え、ご連絡いたしました」

説得力のある提案には、実績の裏付けが必須です。

職務経歴書やポートフォリオの副業経験を書くコツ

副業で使う職務経歴書やポートフォリオは、本業の転職活動で使うものとは少し異なる視点が必要です。企業の不安を払拭し「この人に任せたい」と思わせるには、どのような点を意識すればよいのでしょうか。

ここからは、項目別に書き方のコツを解説します。

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職務要約

職務要約は担当者が最初に目にする部分であり、あなたの第一印象を決定づける重要な項目です。ここでは「何ができる人物なのか」が簡潔に伝わることを最優先にしましょう。本業での経験に加え、副業でどのような役割を担い、どのようなスキルを活かせるのかを200〜300字程度でまとめます。

「〇〇業界で10年間、法人営業とマーケティングを経験。現在は、スタートアップ企業を中心に、副業で新規事業立ち上げのマーケティング戦略立案支援を行っています」

上記のように、本業と副業の経験を関連付けて記載すると、専門性がより伝わりやすくなるでしょう。

職務経歴

職務経歴は、事実を時系列で淡々と記載するだけでなく、応募する案件に合わせた「見せ方」を意識することが重要です。すべての経歴を羅列するのではなく、応募案件と関連性の高い業務内容や実績を重点的に記載しましょう。特に経験については、「どのような立場で」「どのような業務を」「どのくらいの期間」担当したのかを具体的に書きます。

「2023年4月〜現在:株式会社△△にて、BtoBSaaSプロダクトのマーケティングコンサルタントとして、リード獲得数の最大化に従事。コンテンツマーケティング戦略の再設計を行い、半年でオーガニック流入数を150%増加」

上記のように、具体的な役割と成果をセットで示すと効果的です。

活かせる経験・スキル

この項目では、あなたが持つ経験やスキルが、企業の課題解決にどう直結するのかを具体的に示します。

単に「マーケティングスキル」と書くだけではなく「データ分析に基づき顧客解像度を高め、具体的な改善施策を立案・実行するスキル」など、どのような場面でどのように使えるスキルなのかを詳細に記述しましょう。

応募する案件の募集要項を読み込み、求められているスキルや人物像を正確に把握した上で、合致する自身の強みをアピールすることが重要です。専門スキルだけでなく、プロジェクトマネジメント能力やコミュニケーション能力など、ポータブルスキルも忘れずに記載すると評価が高まります。

自己PR・志望動機

副業における自己PR・志望動機では「なぜこの企業で、この業務に携わりたいのか」という熱意と貢献意欲を伝えることが不可欠です。収入目的だけでなく、その企業の事業内容やビジョンに共感し、自身のスキルを活かして貢献したいという姿勢を示しましょう。

「貴社の〇〇という事業領域は、私が本業で培ってきた△△の知見を最大限に活かせると考えております。特に、□□という課題に対し、私の□□という経験がお役に立てると確信しております」

上記のように、企業の課題と自身の経験を結びつけて語ることで、説得力が増します。企業のホームページやプレスリリースなどを読み込み、企業理解を深めた上で作成することが大切です。

副業の職務経歴書やポートフォリオに実績を載せる際の注意点

自身のスキルを証明するために不可欠な実績の提示ですが、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。特に本業や過去の副業で得た情報を公開する際は、契約や法律に抵触しないよう、ルールを遵守しなければなりません。

ここからは、副業の職務経歴書やポートフォリオに実績を載せる際の注意点を解説します。

本業の実績・情報を利用する際は取り扱いに注意する

本業での実績をアピール材料にしたい場合、まずは自社の就業規則を確認しましょう。

多くの企業では、社員が業務上知り得た情報を外部に開示することを禁止しています。実績を公開する際は、企業の機密情報や顧客情報、未公開のプロジェクト情報などが含まれていないか、慎重にチェックすることが大切です。

特に、「〇〇社の新規事業立ち上げプロジェクトで、マーケティング責任者として参画」などの具体的な記述は、情報漏洩とみなされるリスクがあるため、企業名やサービス名を伏せ、業務内容を一般化して記載する工夫が求められます。

副業先と結んだ業務契約や機密保持契約(NDA)を確認する

過去に副業を行ったクライアントとの間で締結した契約内容も見直しましょう。

特に機密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)を結んでいる場合、契約で定められた情報を外部に漏らすことは固く禁じられています。契約書には、どの情報が機密情報にあたるのか、どの範囲まで公開が許可されるのかが具体的に定められています。

既に契約が終了している案件であっても、守秘義務は継続することが一般的です。安易に実績として公開してしまうと、契約違反として損害賠償を請求されるなどの深刻なトラブルに発展する可能性があります。不明な点があれば、元のクライアントに確認しましょう。

出典:営業秘密~営業秘密を守り活用する~(経済産業省)

社名やクライアント名を記載する場合は許可を得る

職務経歴書やポートフォリオに、取引先の企業名やクライアント名を記載すると、実績の信頼性が格段に高まります。

しかし、無断で名称を使用することは、相手企業の権利を侵害する行為になりかねません。特に企業のロゴなどを使用する場合は、商標権の問題も関わってきます。

商標法第78条

商標権又は専用使用権を侵害した者(第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行った者を除く。)は、10年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用:商標法(e-Gov 法令検索)

クライアント名を公開したい場合は事前に担当者に連絡を取り、書面やメールなど、記録に残る形で許諾を得るようにしてください。丁寧に確認し、許可された範囲でのみ記載することが、トラブルを未然に防ぐための鉄則です。

成果は公開可能な範囲で具体的に記載する

守秘義務などの制約がある中で、いかに成果を具体的に伝えるかが腕の見せ所です。「売り上げを〇〇円から△△円に向上させた」といった具体的な金額の記載が難しい場合でも、工夫次第で成果をアピールできます。

たとえば、以下のように比率やパーセンテージを用いて成果を示す方法があります。

「担当期間中に、担当事業の売り上げを前年同期比で150%成長させた」
「マーケティング施策の改善により、顧客獲得単価(CPA)を30%削減した」

また、次のように実績に至るまでのプロセスや貢献内容を具体的に記述することも有効です。

「業界内で前例のなかった新しいアプローチを導入し、〇〇という成果の基盤を構築した」

副業の職務経歴やポートフォリオで有利にはたらくアピール戦略

多くの応募者の中から選ばれるためには、職務経歴書やポートフォリオを戦略的に作成し、自身の価値を最大限にアピールする必要があります。

ここでは、担当者の目に留まり、案件獲得につながる効果的なアピール戦略を5つ紹介します。

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実績は数値を使って定量的に記載する

実績を伝える際は曖昧な表現ではなく、具体的な数値を用いて定量的に示すことが極めて重要です。数値は、客観的な事実としてあなたの成果の大きさを伝え、説得力を飛躍的に高めます。

たとえばコンサルタントであれば「業務プロセスの改善提案を行い、クライアントの年間コストを15%削減することに成功しました」といった形です。具体的な数値を盛り込むことで、あなたの貢献度が明確に伝わります。

自発性・スピード感・柔軟性をアピールする

企業が副業人材に期待することの一つに、正社員とは異なる外部の視点や、迅速な課題解決能力があります。自ら課題を発見し、解決策を提案・実行できる自発性は高く評価されます。

本業の傍らで成果を出すために必要なスピード感や、予期せぬ変更にも対応できる柔軟性をアピールすることも、副業人材としての価値を高める上で有効です。

市場のニーズが高いスキルをアピールする

自身の経験を棚卸しする際は、現在の市場でどのようなスキルが求められているかを意識することが重要です。ニーズの高いスキルを保有していることを示せれば、案件獲得の可能性は大きく高まります。

HiProの調査によると、企業が副業人材に依頼したい仕事(案件)の職種別ランキングでは「営業・販路拡大」が1位でした。続いて、2位が「マーケティング/PR」、3位が「新規事業開発/事業企画」となっています。

出典:「副業」における、2024年度の振り返りと2025年度の市場予測(HiPro)

消費者のニーズが多様化する現代において、柔軟なマーケティング戦略や新しいサービスを企画できる人材の需要は高いです。

SNSや個人サイトなど、誰でもアクセスできる環境を構築する

職務経歴書やポートフォリオを用意するだけでなく、Webサイトやブログ、SNSなどで自身の活動や実績を公開しておくことも効果的です。オンライン上に情報があることで、担当者はいつでも手軽にあなたの詳細な情報を確認できます。

たとえば、自身の専門領域に関する考察をブログで発信したり、SNSで業界の最新情報についてコメントしたりすることで、専門性や情報感度の高さを示せます。

URLを職務経歴書に記載しておけば、書類だけでは伝わらないあなたの人柄や熱意を補完する追加のアピール材料となるでしょう。

副業の職務経歴書やポートフォリオに関するよくある質問

ここでは、副業の職務経歴書やポートフォリオに関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。事前に疑問点を解消し、自信を持って書類作成に臨みましょう。

Q1.副業をする際は職務経歴書とポートフォリオの両方が必要?

応募する案件や職種によりますが、両方準備しておくのが理想です。

職務経歴書はあなたの経歴やスキルを網羅的に伝える役割、ポートフォリオは実績を具体的に証明する役割を担います。両方あることで、あなたの能力を多角的に、説得力を持って伝えられます。

コンサルタントやマーケター、企画職など、成果物の形が見えにくい職種であっても、過去に作成した企画書や提案書、分析レポートなどをまとめることが可能です。

まずは職務経歴書を作成し、その内容を裏付ける形でポートフォリオを充実させていくと良いでしょう。

Q2.守秘義務で実績を公開できない場合のアピール方法は?

具体的な企業名や数値を公開できない場合でも、アピール方法はあります。比率やパーセンテージを用いて成果を示したり、課題解決のストーリーを語ったりすることで、貢献度と能力を伝えることは可能です。

「どのような課題に対して具体的に何を実行し、その結果どのような状態になったか」というプロセスを具体的に記述することが重要です。

戦略的に職務経歴書やポートフォリオを作成して副業に役立てよう

本記事では、副業における職務経歴書やポートフォリオの重要性から、企業の視点、具体的な作成のコツや注意点、そして有利にはたらくアピール戦略までを詳しく解説しました。

副業であっても、職務経歴書やポートフォリオはあなたのスキルと経験を客観的に証明し、企業との信頼関係を築くための重要なツールです。

単に経歴を羅列するのではなく、応募する案件に合わせて内容を最適化し、数値を用いて定量的に実績を示すなど、戦略的な視点を持って作成しましょう。

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