副業の単価交渉を成功させるには?タイミングやコツ・交渉例を解説

副業において報酬交渉は単なる「要求」ではありません。お互いのビジネスを健全に継続させるための重要な「調整」です。
本記事では、単価交渉の適切なタイミングや具体的な切り出し方、信頼関係を深める交渉術まで解説します。自信を持って交渉の席に着き、市場価値に見合った適正な対価を得るためにも、ぜひ参考にしてみてください。
副業をする人の14.5%が「単価交渉が難しい」と回答

副業人材のマッチングサービス「HiPro」が発表した「副業・フリーランス人材白書2025」によると、副業を行うハイクラス層※のうち14.5%が「報酬の交渉・やり取りが面倒・難しい」と回答しています。

出典:HiPro副業・フリーランス人材白書2025(HiPro)
※高度な事業課題を解決できる経験・スキルを有する人材層。「副業・フリーランス人材白書2025」における基準として「年収総額(一時的な収入や不労所得除く)が800万円以上」とした。
いかに高いスキルを持っていても、金銭交渉の心理的ハードルは決して低くありません。特に、本業で交渉経験が少ない場合、自分のはたらきに自ら「値付け」することへ戸惑いを覚えるのも無理はないでしょう。
しかし、適正な対価を得ることは、質の高いサービスを提供し続けるための「責任」でもあります。交渉を「ビジネスの課題解決」として捉え直すことが大切です。
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副業で単価交渉をするのに適切なタイミング
単価交渉を切り出す「タイミング」は、クライアントがあなたの価値を強く感じている瞬間や、契約内容の変更が生じる節目を狙いましょう。ここでは、交渉をスムーズに進めやすい5つの「好機」を解説します。
継続発注や追加案件を提示されたとき
継続的な発注や新規案件の相談は、絶好のチャンスといえるでしょう。相手はすでにあなたのスキルを評価し、今後も依頼したい」と考えているためです。
このタイミングなら、多少の単価アップであっても、新たな人材を採用・教育するコストより合理的だと判断されやすいでしょう。
また、すでにクライアント内部の事情に通じている点も、代えがたい資産価値です。感謝を伝えつつ、将来的なパートナーシップを見据えた価格改定を打診してみましょう。
業務範囲や責任が拡大したとき
当初の契約より業務範囲が広がったり、責任が重くなったりした場合、正当な交渉理由になります。元々の依頼業務だけでなく、契約にない進行管理や品質チェックを任されるようになったなどの場合です。
「提供できる価値の幅が広がった」というポジティブな文脈で提案をしましょう。責任範囲の明確化は、プロとしての品質担保にもつながります。
依頼された業務量と費用が釣り合わないとき
想定以上の作業で報酬が割に合わない場合、早急に相談しましょう。無理な安請け合いは納品物の質を落とし、結果的に双方の不利益につながる可能性が高まります。実工数のデータを示し「品質維持・向上のため」という目的で適正価格への修正依頼をしましょう。
健全な取引関係への見直しは、クライアントにとってもリスク回避になります。
同レベルの案件と比較して明らかに単価が低いとき
長い付き合いの中で、いつの間にか市場相場より低くなっているケースも少なくありません。
スキルアップに伴い他社で高単価案件を受注できているなら、それを根拠に交渉可能です。これは「機会損失」を防ぎ、自身の市場価値を再確認する機会でもあります。
「他社は〇〇円」と直接比較するのではなく、現在のスキルセットに対する客観的な価値を伝えましょう。
市場の相場が変動したとき
業界全体の需要増やインフレによる相場上昇も、交渉の余地があるタイミングです。
特に専門性の高いITスキルや法改正に伴う特需など、外部環境の変化は説得力ある材料です。個人の都合ではなく「市場環境の変化」を理由にすれば、クライアントも納得しやすいでしょう。
あなたのスキルが希少であるほど、市場原理に基づいた価格改定は自然な流れといえます。日頃から業界トレンドや相場観をキャッチアップしておきましょう。
副業の単価交渉を避けた方がよいタイミング
交渉には「攻め時」がある一方、避けた方が良いタイミングも存在します。ここでは、副業の単価交渉を避けた方がよいタイミングについて解説します。
信頼関係が構築できていない段階
契約直後や、目に見える成果がない段階での交渉は避けましょう。クライアントはまだ実力を把握しておらず、投資対効果を見極めている最中だからです。
まずは期待以上の成果を出し「手放したくない」と思わせる実績を積み上げることが大切です。
クライアント側の予算が少ない・厳しい状況
業績悪化やプロジェクト予算削減のタイミングでは、交渉は通りません。相手の懐事情を無視した要求は「ビジネスパートナーとしての配慮不足」と判断される恐れがあります。
今は耐えるべきか、撤退すべきかなど、経営的な視点での見極めが必要です。むしろ、限られた予算内でどう貢献できるかを提案する方が、信頼構築への近道となる場合もあります。
苦境を支えた実績は、好況時における強力な「交渉カード」となるでしょう。
アウトプットの質が期待値を下回っている状況
納期遅れやミスが続く中での単価アップ打診は、火に油を注ぐようなものです。
まずは業務フローを見直し、品質を安定させるのが先決です。マイナスをゼロに戻し、さらにプラスの評価を得て初めて、交渉のテーブルに着くことができるでしょう。現状の課題を真摯に受け止め、改善策を断行する姿勢を見せましょう。
クライアントの重要な意思決定の直前
決算期や重要なプレゼンを控えた時期も避けるのがマナーです。精神的・時間的な余裕がない時に複雑な交渉を持ち込めば、「面倒だ」と却下される可能性が高まります。
相手の心理的負担を想像し「イエス」といいやすい環境をお膳立てするのもプロのスキルです。相手のスケジュールを把握し、落ち着いて検討できるタイミングを見計らう配慮を忘れないようにしましょう。
副業の単価交渉の具体的な進め方
交渉を成功させるには、いきなり金額を提示するのではなく、綿密な準備と段取りが必要です。論理的に相手を納得させ、お互いがWin-Winになる合意形成を目指しましょう。ここでは、着実に単価アップを実現するための6つのステップを紹介します。
ステップ1|実績を積み重ねてクライアントの信頼を獲得する
交渉をする際は、クライアントからの揺るぎない「信頼」と「実績」が大切です。納期厳守や報連相は当然として、相手の期待を少し上回るアウトプットの継続が欠かせません。
「言われたことだけ対応する」ことを脱し、プラスアルファの提案で代替不可能な存在を目指しましょう。日々の業務で「あなたに頼んでよかった」という評価を蓄積しておくことが重要です。
ステップ2|これまでの実績と貢献度を数値で可視化する
交渉の場では主観的な「頑張り」ではなく、客観的な「数字」で貢献度を示さなければなりません。以下のような指標を用いて、あなたのはたらきがもたらした利益を整理しましょう。
- 売り上げやPV数への貢献度(前年比〇%増など)
- 削減できたコストや工数
- 対応したトラブルの件数や難易度
定量データは、担当者が上司や決裁者を説得するための強力な材料となります。感情ではなく、ビジネスの成果という「事実」を提示しましょう。
ステップ3|交渉の根拠となるポートフォリオや資料を整理する
次に、希望単価が「市場の適正価格」であることを証明する根拠を集めます。ポートフォリオの更新に加え、以下の方法で相場観をリサーチし、資料化しておきましょう。
- マッチングサービスの調査:同職種・同スキルの業務委託案件の報酬レンジを確認する
- エージェントへのヒアリング:登録しているエージェントに現在の適正単価を聞く
- 同業者との情報交換:同じ職種のフリーランス仲間からリアルな単価感を聞く
市場データに基づく提案は正当なビジネスの協議です。客観的な資料準備は、リサーチ能力の高さや論理性のアピールにもつながるでしょう。
ステップ4|交渉の「最低ライン」と「希望額(着地目標)」を設定する
交渉をする際は、譲れない最低ラインと、理想の希望額を事前に決めておくことも重要です。幅を持たせれば、会話の中で柔軟な調整が可能になります。
- 希望額:スキルアップや市場相場を反映した理想の金額
- 最低ライン:これ以下なら契約継続を見直す、または条件を変更するライン
基準が曖昧だと、相手のペースに流され不本意な契約を結んでしまうリスクがあります。
ステップ5|クライアントの予算感・立場を把握する
クライアントの予算策定時期や、決裁権の所在も確認しましょう。
一般的に年度替わりや四半期の区切りは予算が見直されやすく、交渉には好機です。企業の会計サイクルを理解し、次期予算への組み込みを狙いましょう。もし担当者に決裁権がないなら、上司を説得するための材料(決裁用資料の素案など)を渡すのも一つです。
担当者を「味方」につけ、社内稟議を通しやすくするサポート視点を忘れないようにしましょう。
ステップ6|適切なタイミングで単価を交渉する
準備が整えば、いよいよ実行に移します。用意した材料を手に、前述の「適切なタイミング」で切り出しましょう。
唐突に「単価を上げてください」と切り出すのはNGです。「今後の契約についてご相談のお時間はありますか?」とアポイントを取り、落ち着いた環境で話し合うことが求められます。
また、認識のズレを防ぐためにも、メール一本で済ませず対話の場を設けることも重要です。真剣な姿勢を見せることで、ビジネスパートナーとしての信頼感を高められるでしょう。
副業で単価交渉をする際に重要な4つのポイント
単価交渉は、どちらかが損をする「ゼロサムゲーム」ではありません。目指すべきは、双方の価値を高め合う「プラスサム」の関係です。
独りよがりな要求に終始せず、クライアントにとってもメリットのある提案にするためにも、以下4つの視点を持ちましょう。
- 値上げではなく「価値の適正化」というマインドを持つ
- クライアントの予算・社内事情も考える
- 付加価値をつけて単価アップのメリットを提示する
- 代替案を複数用意してクライアントの選択肢を増やす
以下、それぞれ具体的に解説します。
値上げではなく「価値の適正化」というマインドを持つ
単なる「値上げ」は、相手に「コスト増」というネガティブな印象を与えかねません。交渉の際は、「提供価値と対価のズレを調整する(適正化)」というマインドセットを持ちましょう。
品質維持のための「投資」であると理解してもらうためにも、あなたの成長がクライアントの利益に直結すると自信を持って伝えることが大切です。
クライアントの予算・社内事情も考える
どれだけ正当な理由があっても、相手に支払う予算がなければ交渉は成立しません。
「今回は予算的に難しい」と言われた場合は無理に食い下がらず、次回の予算策定時での検討を約束に取り付けることも大切です。
ビジネスは短距離走ではなく、長距離走です。あえて一歩引く配慮が、長期的な信頼関係を維持し、将来の利益につながる場面もあると覚えておきましょう。
付加価値をつけて単価アップのメリットを提示する
価格改定とセットで、クライアントへの「新たなメリット(プラスα)」を提示しましょう。単価アップ分のコストを相殺し「高くても頼む価値がある」と思わせる心理的効果を狙えます。
- 業務手順やチェックポイントを整理し、簡易マニュアルを作成する
- 新規メンバーのオンボーディングや若手の成果物レビューを引き受ける
- 会議の議事録作成・タスク整理など、ミーティングの前後作業を代行する
- 品質基準を整備し、手戻りを減らすためのチェックリストを作成する
こうした付加価値は、単価アップ分のコストを相殺する心理的な効果があります。「高くても頼む価値がある」と思わせるための、具体的なカードを用意しておきましょう。
代替案を複数用意してクライアントの選択肢を増やす
「単価アップか、契約終了か」という二択を迫るのは危険です。クライアントが検討しやすいよう、いくつかの選択肢(松竹梅のプランなど)を用意しましょう。
- A案:単価アップ+業務範囲の拡大
- B案:単価据え置き+業務範囲の縮小(時間単価の実質アップ)
- C案:単価アップ+優先対応枠の確保(緊急対応や初動対応の保証)
選択権を相手に委ねることで、こちらの主導権を握りつつ、相手の顔も立てられます。柔軟な姿勢を見せることで、ビジネスにおける調整能力の高さを示す証明にもなるでしょう。
クライアントとの関係性を壊さないための単価交渉の例
実際の現場で使える、角を立てずに要望を伝える具体的なトーク例を紹介します。言葉選び一つで、相手の受け取り方は劇的に変わります。
ここでは、クライアントとの関係性を壊さないための単価交渉の例を紹介します。
貢献度とスキルアップをアピールする場合の例
貢献度とスキルアップをアピールする場合は、以下のように提案しましょう。
「いつも大変お世話になっております。昨年からの実績として、〇〇プロジェクトでは売り上げ〇%増に貢献でき、大変光栄に思っております。またこの1年で××の資格を取得し、より専門的な分析業務も可能となりました。つきましては、提供価値の向上に合わせて単価を〇〇円に見直していただくことは可能でしょうか。今後とも貴社の事業成長に、より一層貢献したいと考えております。」
ポイントは、過去への感謝と未来への意欲をセットにすることです。単なる「要求」ではなく、「今後も貢献し続けるための提案」というスタンスを崩してはいけません。
業務範囲の拡大を理由にする場合の例
業務範囲の拡大を理由にする場合は、以下のように提案するとよいでしょう。
「現在担当している〇〇業務に加え、先月より××の進行管理も拝命しております。業務と責任の範囲が広がりましたため、あらためて契約内容の見直しをご相談させていただけないでしょうか。具体的には、従来の〇〇円から〇〇円への変更をご検討いただけますと幸いです。この変更により、私が進行管理を完結させることで、社員の皆様のリソースをコア業務に集中していただけるかと存じます。」
業務範囲の拡大は、クライアントにとっても管理コスト削減というメリットがあります。その利点を言語化し、正当な対価として報酬変更を促すロジックが効果的です。
市場相場との乖離を根拠に伝える場合の例
市場相場との乖離を根拠に伝える場合は、以下のように伝えましょう。
「現在、〇〇様の案件を優先して作業させていただいておりますが、最近の市場変動により、他社様からは同等の業務を〇〇円程度でご相談いただくケースが増えております。私としては、信頼関係のある貴社と長くお付き合いを続けたいと考えております。つきましては、市場の適正価格に合わせて、単価を〇〇円にご調整いただくことは可能でしょうか。引き続き高い品質でコミットさせていただきますので、ご検討をお願いいたします。」
他社の引き合いを出す場合は、あくまで「貴社を優先したい」というロイヤリティ(忠誠心)を示しつつ、市場原理を伝えることが大切です。
副業の単価交渉に関するよくある質問
ここでは、副業の単価交渉に関するよくある質問に回答します。単価交渉で失敗をしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
Q1.業務委託契約の途中で単価交渉は可能?
基本は「契約更新時」がベストですが、状況次第では途中交渉も可能です。
業務内容が当初の想定と大きく乖離したり、緊急度の高い追加対応が発生したりした場合は、その都度相談しましょう。我慢して受け入れれば、それが「既成事実」になりかねません。
ただし、理由なき変更打診は契約違反のリスクもあります。まずは契約書の条項を確認しておきましょう。
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Q2.交渉はメールと対面(Web会議)のどちらが適切?
複雑な条件交渉や、相手の反応を見たいなら「対面もしくはWeb会議」が良いでしょう。ニュアンスが伝わりやすく、その場での代替案提示もスムーズに行えます。
文字では伝わらない熱量や誠実さをアピールできるのも、直接対話のメリットです。一方、単純な単価改定ならメールやチャットでも構いません。
「言った言わない」のトラブルを防止するためにも、決定事項を必ずテキスト(メールや議事録)で残しましょう。
Q3.一度交渉に失敗した場合の対処法は?
交渉が通らなくても、「今回は難しかったですが、どのような成果や条件が揃えばご検討いただけますか?」などとフィードバックを求めましょう。
クリアすべきハードルを知ることで、次の目標が明確になります。次回の合意に向けたゴール設定ができれば、それは失敗ではなく未来への「布石」です。
断られた後の振る舞いにこそ、ビジネスパーソンとしての器量が表れると覚えておきましょう。
適切に単価交渉をして副業のキャリアアップを目指そう
本記事では、副業における単価交渉のタイミングや進め方を解説しました。単価交渉は、単なる「報酬アップ」の手段ではありません。自分の市場価値を客観視し、クライアントとのパートナーシップをより強固にするための、重要なプロセスです。
まずは、現在の「時間単価」と「直近半年間の実績」を書き出すことから始めましょう。理想のキャリアに近づくためには、客観的な事実を整理することが大切です。
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