愛知 株式会社コメ兵ホールディングス

中計と連動したサクセッションプラン策定に向け、
計画的な人材育成に必要なコア人材の定義が完了。
知見を得て、自立し戦略を推進できる人事に成長。

株式会社コメ兵ホールディングス

Profile

企業

社名:株式会社コメ兵ホールディングス
所在地:愛知県名古屋市
業務内容:ブランド・ファッション事業とタイヤ・ホイール事業等をおこなうグループの経営計画・事業推進サポート・管理など
従業員数:1,000~2,000名未満(連結)

プロ人材

名前:Kさん(フリーランス)
居住地:東京都
経歴:26年間にわたり人事労務部門を担当(小売業14年、メーカー12年)。部門責任者も経験。
<プロ人材としての活動>
業務内容:人事サクセッションプラン策定支援
活動頻度:月3回
活動方法:対面・リモート

  • 中期経営計画と連動した、計画的な人材育成の必要性を実感。
  • 伴走型の姿勢と小売業界の経験が決め手。
  • 他社事例とプロ人材の知見が、コア人材定義の大きなヒントに。
  • 土台となる知識を習得し、今後は自社での推進を目指す。

1)プロ人材活用の背景

中期経営計画と連動した、
計画的な人材育成の必要性を実感。

 当社は、日本最大級のリユースデパート「KOMEHYO」等を運営するコメ兵ホールディングスグループの持ち株会社として、グループ全体の経営計画や事業推進のサポート・管理などを行っています。
 ここ数年、当社グループはM&Aや海外進出を積極的に進め、市場と共に大きく成長してきました。こうした事業計画は「中期経営計画」として掲げられており、社内の共通認識としてありました。一方で、人事として振り返ったときに、「中期経営計画」と連動し、計画的に人材を抜擢したり育成したりできていれば、さらにドライブできていたのではないかという想いもありました。成長する事業に対する人材の計画――どのような人材が必要で、いつまでに、どのくらいの人材をプールしておかなければならないのかというプランが作れていなかったのです。
 事業成長には人材が不可欠であり、先を見据えて計画的に育成する必要があります。たとえば「Aさんの後継者はBさんだろう」とバイネームで後継者をイメージすることはできても、事業計画から逆算して必要な人材をどのように定義するかについては知見が不足していました。

戦略的にプロ人材を活用し、「重要だが緊急ではない」課題の推進力を高める。

 サクセッションプラン自体は2020年から取り組み始めていましたが、当時は経営層の範囲に留まっていたため、社内のリソースで対応できていました。一方今後、その範囲を「事業計画の実現に必要な人材」にまで広げるには、多くの工数と時間がかかるためリソースが足りません。加えて、サクセッションプランは、重要度が高い一方で緊急性は低く、正直後回しになっていた部分もあるように思います。知見不足、リソース不足、緊急性の低さといったさまざまな事情を踏まえると、戦略的に外部の力を借り、一気に推進力を高めるのが有効だと考えるに至りました。

2)プロ人材の選定と決め手

求めたのは、「引っ張る」より「引き出して」くれる人材。

 プロ人材の選定にあたって重視したのは、コミュニケーションのスタンスです。プロジェクトの進め方としては、プロ人材にどんどん提案してもらい、提案の中から当社が判断するという方法もあります。しかし今回に関しては、社内の想いや考えをしっかり反映しながら進めることがとても重要だと感じていたため、「プロ人材主導型」では最終的なアウトプットがズレてしまうのではないかという懸念がありました。そのため、求めたのはできる限り当社に寄り添ってくださる方です。私たちがどのように考えているのか、現時点ではうまく言語化できていないような想いも含め、引き出してもらえるような方にお願いしたいと考えていました。

伴走型の姿勢と小売業界の経験が決め手。

 候補者2名と面談をして、最終的に依頼を決めたのがKさんです。Kさんは程よいフランクさがあり、当社は言いたいことを臆せず言うことができました。また、Kさん自身も自然と相手に寄り添うことができる方という印象を持ちました。加えて、小売業界の経験者だったことも大きかったと思います。当グループのコア事業や人材の特性などについて、キャッチアップのスピードが速そうという期待感も決め手になりました。

3)依頼した業務、業務を進める上での工夫

一人ひとりの想いや意見を引き出し、的確にファシリテート。

 プロジェクトが始まると、最初にスケジュールやゴールを設定しました。ゴールとして定めたのは大きく二つです。一つは、会社の成長に必要なコア人材を定義すること。もう一つは、コア人材の定義を踏まえたサクセッションプランの策定まで完了することです。プロジェクトは月3回のペースでミーティングを行い、そのうち1回は対面で実施しました。
 基本的にはミーティングごとにKさんに論点を用意していただき、当社が中心となって議論、その結果を資料としてまとめていただくという流れです。
 ある程度議論が進むと、役員への提案のフェーズに移りましたが、「コア人材の定義」は経営の根幹に関わる部分ということもあり、役員からさまざまなフィードバックを受けました。それらを持ち帰って再び議論し、改めて役員に提案をするというフローを何度も繰り返していくことで、徐々に精度を高めていきました。
 Kさんはプロ人材として「答え」を持っていたかもしれません。しかし、答えを教えることはなく、あくまで伴走者として、当社の想いや意見を引き出そうとしてくれました。「言いたいことを言ってください」と口癖のようにおっしゃってくださったこと、プロジェクトメンバーの一人ひとりに「あなたはどう思いますか?」と声をかけてくれていたのが印象的でした。

他社事例とプロ人材の知見が、コア人材定義の大きなヒントに。

 プロジェクトが進んでいくにつれて、Kさんにファシリテーションしていただくだけでなく、私たちからKさんに問いを投げかけて、Kさんの知見を共有してもらうことも増えていきました。他社事例を集めてもらったのはその一つです。事業計画から逆算したコア人材の定義は初めてだったため、進め方含め、正直イメージがわいていない部分もありました。自分たちで事例を探そうともしたのですが、大枠こそ見つかるものの、具体的な進め方はなかなか見つけることができなかったのです。Kさんに相談すると、すぐに他社事例をいくつも持ってきてくださり、プロ人材としての見解と共に共有してくれました。それがきっかけでイメージを掴めるようになっただけでなく、当社のコア人材定義の方向性を決める上でも大きなヒントとなりました。

株式会社コメ兵ホールディングス

4)得られた成果

スピードも担保しながら納得度の高いアウトプットに。

 プロジェクト開始から8か月程度で、一つ目のゴールである「コア人材の定義」までたどり着き、大きく3タイプの人材を定義することができました。当初の想定よりも時間はかかりましたが、他社事例では「コア人材の定義」だけで一年かかるケースもあったので、Kさんに支援いただいたことで、スピード感と納得感の両方を損なうことなく、コア人材を定義できたと感じています。成長スピードが加速し、人事部門にも迅速な対応が求められている中、プロ人材の知見やプロ人材が持つ第三者としての視点を活かし、適切なアウトプットを出せたことはとてもよかったです。

土台となる知識を習得し、今後は自社での推進を目指す。

 二つ目のゴールとして設定していた「サクセッションプランの策定」については、現在自分たちで試行錯誤しながら進めているところです。
 サクセッションプランは一度作ったら終わりではなく、定期的に見直し、改善を繰り返す必要があります。だからこそ、この先ずっと伴走してもらうことは当初から想定しておらず、知見やノウハウを習得した後は、自立したいと望んでいました。今回、「プロ人材の知見や意見を活かしながら、コア人材の定義に臨む」という経験を通し、サクセッションプランに必要な土台となる知識を習得できたと感じています。Kさんの支援は一つ目のゴールまでに留まりましたが、ここからは自分たちで推進・運用していけそうだと思えているのは、Kさんの支援があったからこそです。

経営課題が複雑・高度化する今、プロ人材の活用は有効な選択肢の一つ。

 近年、経営課題が複雑・高度化する中で、当社では2018年頃から複数の部署でプロ人材の活用が進められてきました。人事の領域は幅が広く、課題も多種多様のため、その都度求められるスキルや知見が異なります。だからこそ、今回のように未知の領域に取り組む必要が生じた際には、プロ人材の活用も検討すべき選択肢の一つになると思いますし、今後活用する場面は増えていくように感じました。採用など従来の選択肢もありますが、コスト面や柔軟性など、それぞれのメリット・デメリットを考慮しながら、課題解決のためのよりよい手法を選択していくことが必要だと思います。