創業70年超の製材会社が開発した端材活用商品。
誰に・どこで・どう届けるかをプロ人材と整理し、
販路拡大に向けた準備が完了。
企業
社名:上郷木材株式会社
所在地:長野県飯田市
業務内容:製材業、建築業
従業員数:50名未満
プロ人材
名前:Hさん(フリーランス)
居住地:東京都
経歴:出版社・アパレル・広告代理店など多様な業界でキャリアを重ね、マーケティング、商品企画、事業戦略設計、販路開拓などを一貫して手がける。特に新規事業構想や販売戦略設計においては、生活者視点と現場重視のスタンスを貫き、国内外の市場ニーズに即した提案・実行に強みを持つ。
<プロ人材としての活動>
業務内容:端材活用商品「木の香と」の販売戦略全般(購入導線・ターゲット・見せ方・広報)の提案と設計支援
活動頻度:月20時間程度
活動方法:リモート
- 端材活用の商品は完成したものの、
販売戦略への落とし込みが課題。 - 求めたのは「散らばっている考え」を整理し、
現実的な一歩に落としてくれる伴走者。 - 購入導線・ターゲット・見せ方・広報を
並行して設計し、販売戦略を整理。 - 「誰に・どこで・どう届けるか」を言語化し、
販路拡大に向けた準備が完了。
1)プロ人材活用の背景
端材活用の商品は完成したものの、
販売戦略への落とし込みが課題。
当社は、「地域で育った木を、地域で暮らす人にお届けしたい」という創業者の想いから始まった、創業約80年の製材会社です。丸太の皮剥きから製材、乾燥、加工までの工程を自社で一貫して行い、取り扱う木材は国産材100%。そのうちおよそ7割が長野県産のヒノキです。製材で出るチップは製紙の原料へ、大きな端材はバイオマスボイラーの燃料に活用し、廃棄物を出さない循環型のものづくりを続けてきました。
端材を活用した商品開発に取り組み始めたのは4~5年前。製品としては出荷できないものの、まだ十分に使える木材を前に「どうにかしてお客様にお届けできないか」と考えたのがきっかけです。具体的には、端材から抽出したヒノキ精油や芳香蒸留水を活用したオイル「木の香と(このかと)」や、おもちゃ「ずくみん」といった商品をつくってきました。
ただ、商品は完成したものの、その先の商品をどう届けるかを検討できずにいました。地元のお客様に届ける場面まではイメージができますが、他地域にどう広めるかは検討事項が多く、日々の業務の忙しさもあり意思決定ができずにいました。マーケティングや広報などの知見を持つ人材が社内にはおらず、端材活用係としてやりたいことはたくさんあるのに整理しきれず、具体的な商品企画や販売戦略に落とし込めていないのが課題でした。
2)応募状況・決め手
求めたのは「散らばっている考え」を整理し、
現実的な一歩に落としてくれる伴走者。
プロ人材活用のきっかけは、取引のある金融機関からの紹介でした。専門家の知見を借りることで、現状の行き詰まりを打開できるのではないかと考え、プロ人材との協業を前向きに検討し始めました。
依頼内容は「木の香と」と「ずくみん」の販路開拓と、この先の事業展開に対するサポートです。商品はありますが、それを“どう届けるか”と“どのように広げるか”の設計が追い付いていなかったため、販売戦略作りを伴走してほしいと考えました。
募集を開始すると20名近くの方から応募があり、順次面談を実施。多くの候補者が「端材で新しい商品をつくる」といったアイデアを積極的に提案してくれましたが、当社が本当に求めていたのは、頭の中の「やりたいこと」や散らばった考えを受け止め、整理し、現実的な一歩に落としてくれるパートナーでした。
最終的に依頼したHさんは、こちらの話を丁寧に聞き、論点をわかりやすく整理して返してくれる姿が印象的でした。出版・アパレル・広告など多様な業界での経験に加え、日本と海外をつなぐビジネスにも携わっている方で、当社が拠点を置く地域ではなかなか出会えない人材です。新たな視点でサポートいただけると感じ、お願いすることにしました。
3)依頼した業務、業務を進める上での工夫
購入導線・ターゲット・見せ方・広報を
並行して設計し、販売戦略を整理。
協業が始まってからは、「木の香と」を中心にマーケティングと販売設計についてサポートをお願いしました。まずは商品の現物や詳細情報をお渡しし、実際に当社に来訪いただいて工場を見学してもらうことで、現場の前提を共有。その上で、販売戦略に必要な要素を並行して検討していきました。
現状は対面販売のみで、SNSを見て興味を持っていただいてもすぐに購入できない点が課題でした。「より多くの人に手に取ってもらいたい」という思いに対し、「オンライン上の受け皿が必須」とのアドバイスを受け、WebサイトやSNSからスムーズに購入できる導線の整備を検討し始めています。これは、オフラインのチャネルを広げる議論(道の駅など)とも連動しており、オンライン・オフラインの両面で“買える場所”を増やす方向で認識を揃えました。
ターゲットについては、従来の30代から50代の女性像に加え、男性のギフト需要や近年増加する外国人観光客も含める方針で一致しました。これに合わせて、売り方・見せ方の再検討を進め、外国人観光客向けについては、商品や説明文のローマ字表記など、海外の方にも伝わりやすい見せ方のポイントを共有いただき、訴求の幅を広げることになりました。
また、協業のタイミングで、県内の観光地である木曽地域の施設でも販売することになりました。「せっかく木曽で販売するからには、この場所ならではの特別感を演出したい」という思いに対して、地名入りの木札をセットにするというアイデアを提案いただきました。自社のレーザー加工技術を使い地名入りの木札を作り、木曽とのつながりも深いヒノキの商品とセットにして販売することで世界観を統一。新商品を増やすのではなく、セットや演出で価値を高める方向性を固めました。併せて、この取り組みを外へ伝える広報として、プレスリリースの発信を提案いただきました。プレスリリースの経験がほとんどなく、作り方もわからない状態でしたが、「情報を外に伝えていくことが大事です」と背中を押していただき、骨子づくりの支援を受けながら準備に着手しています。
Hさんとのコミュニケーションはチャットツールとメールが中心です。最初は活用イメージが湧かず、うまく相談できていない時期がありました。その状況をくみ取ったHさんが「気軽にご相談くださいね」「今週ミーティングできますよ」など積極的な働きかけをいただき、リズムをつかむことができました。
4)得られた成果
「誰に・どこで・どう届けるか」を言語化し、
販路拡大に向けた準備が完了。
Hさんとの協業を通じて、社内で抱えていた論点が整理され、「誰に・どこで・どう届けるか」の骨子を言語化できました。ターゲットは従来の女性中心に加えて男性・外国人観光客を含める方向が明確になり、販売チャネルはオンラインの受け皿整備が必要であることを確認。見せ方の方向性も定まり、今後実行に移すための準備が整ったと感じています。
こうした方針を整理していく過程で、現場の反応も並行して確かめることができました。気づきとして大きかったのが、インバウンド対応の重要性です。協業開始後まもなく、イベントで販売する機会があり、来場者に海外の方が多く、日本語だけでは伝わりにくい場面があること、そもそも「ヒノキ」に馴染みのない方もいることを実地で体感しました。商品名のローマ字表記や簡易な英語説明、海外の方に伝わる見せ方の工夫が必要だということが、Hさんからの示唆とも重なり、確信を持てました。
普段得られないアドバイスをいただけたことは非常に貴重な経験でした。現時点では数値の成果はこれからですが、実行に向けた判断材料と方針が揃い、次のステップに移る準備が整ったのは、Hさんという心強いプロ人材と出会えたからだと感じています。
実地で試しながら着実に広げる。
端材商品の価値を地域内外へ。
近々、大規模な展示会への出展を控えています。これまでHさんと詰めてきた「見せ方」を展示会で試し、来場者の反応を確かめるよい機会だと捉え、出展に向けた準備を進めていきます。その後も、プレスリリースをはじめとする情報発信や、WebサイトやSNSからスムーズに購入できる導線の整備を着実に進め、端材商品の価値を地域内外へ届けていきたいと考えています。今後も長野県産のヒノキにこだわり、生活者に寄り添った商品開発を続けながら、小さくとも日々の暮らしに寄り添う製品をお届けしていきます。