大型機械生産体制の見直しにプロ人材を活用。
「受注状況の見える化」と「空間の有効活用」で
最大半年の納期短縮を達成。
企業
社名:株式会社中山鉄工所
所在地:佐賀県武雄市
業務内容:破砕機・選別機・製砂機・コンベヤなどの設計・製作
従業員数:100~300名未満
プロ人材
名前:Oさん(フリーランス)
居住地:滋賀県
経歴:大手重工業企業の工作機械部門を中心とした生産管理・製造部門・品質部門において多岐にわたる業務に携わる。
<プロ人材としての活動>
業務内容:現状の課題点と要因分析支援、生産計画を踏まえた生産体制構築と工程の改善へのアドバイス、工場の建設計画に関するアドバイス
活動頻度:月16時間~24時間
活動方法:対面、リモート
- 受注・売上は伸長するも、納期の長さが課題。
- プロ人材選定の決め手は、製造現場の知見と
大型機械の生産改革での実績。 - 受注状況の可視化、工場スペースの有効活用、
部門横断の取り組みで「徹底した無駄の排除」を追求。 - 主力製品の納期を約1年から最短6か月に短縮。
1)プロ人材活用の背景
受注・売上は伸長するも、
納期の長さが課題。
当社では1908年の創業以来、「礎を誠で拓く、技術の中山鉄工」を経営理念に、破砕機や製砂機といった大型機械の設計・製作、砕石プラントやリサイクルの設計・製作を手がけてきました。特に、砕石プラントとリサイクルプラントにおいては、リーディングカンパニーとしての技術力を強みに、順調に受注額や売上高も伸びています。
一方で、納品スピードにおいて課題を抱えていました。同業他社が納期短縮を進める中、当社は思うように改善が進まず、当時の平均納期は約1年でした。原因には、敷地面積の制約で組立や仕上げの同時稼働が難しいことや、工場・倉庫間での頻繁な「横持ち(在庫移送)」による生産性の低さがありました。お客様から「もう少し早く納品できないか」といった要望を受けることもありましたが、当時の生産体制では応えられない状況でした。
そこで、合理的かつ効率的な生産による納期短縮と顧客満足度の向上を目指し、生産体制の抜本的な見直しを決めました。しかし、自社だけの視点では客観的な課題の抽出や、画期的な解決アプローチを導き出すことの難しさも感じていました。
2)応募状況・決め手
プロ人材選定の決め手は、製造現場の知見と
大型機械の生産改革での実績。
プロ人材活用という手段を知ったのは、県のプロフェッショナル人材戦略拠点からの紹介がきっかけです。自社だけでは客観的な課題の抽出や、画期的な解決策の導出が難しいと判断し、外部の知見を取り入れたいと考えました。これまでにも外部コンサルタントと連携した経験があり、社外との協業への抵抗感はなかったため、すぐにプロ人材への依頼を決めました。
プロ人材に期待したのは、現状把握とボトルネックの要因分析、生産計画に基づく最適な生産体制・工程の構築、さらには必要に応じた工場新設の計画策定へのアドバイスです。これらの要望をもとに3名の候補を紹介いただき、最終的にOさんに依頼しました。
決め手は、豊富な経歴と実績です。機械製造に関するさまざまな分野に携わられていました。特に、当社と同様に大型機械を製造する環境での経験が豊富であったこと、そして生産性改革といった、まさに当社が課題として抱えている領域での実績をお持ちだったことが大きな理由となりました。
3)依頼した業務、業務を進める上での工夫
受注状況の可視化、工場スペースの有効活用、
部門横断の取り組みで「徹底した無駄の排除」を追求。
まずOさんと現状の課題を整理しました。そこから「限られたスペースでの非効率な運用」や、「横持ちによるタイムロス」といった課題が見つかったため、「無駄の排除」を目標に掲げ、施策に取り組みました。
最初に着手したのは、月別の受注状況を可視化する「月別山積み表」の作成です。これまでも生産部門内ではガントチャートを用いて製造負荷率を予測していました。しかし営業側には共有できていなかったため、営業が受注状況を把握できず、過密な月に追加受注してしまうという事態が発生していました。そこで、可視化した情報を営業側にも共有し、生産の平準化を図りました。
続いて取り組んだのは、限られた工場スペースの効率的な活用です。クレーンの使用が主体の組立作業に対し、Oさんから「クレーン下の滞留時間をいかに短くするかが生産性向上の鍵」というアドバイスをいただきました。これをもとに、工期順に製品の土台部分をクレーン下に配置し、クレーン作業終了後は速やかに製品を工場外に出して仕上げるというサイクルを確立しました。また、完成品は新設したテント倉庫に一時保管し、納期に合わせて出荷する工夫や、製品構造自体の見直しを行い、クレーン作業そのものを減らす対策も行いました。
加えて、営業、技術、製造など、各部門の担当者が集う社内CFT(Cross Functional Team)活動を推進し、営業から製造までのプロセスを最速かつ最適にするための継続的な議論を交わしました。
Oさんには約2年間伴走いただき、1年目は毎月来社、2年目は来社とリモートを組み合わせて、生産体制の改善を継続的にサポートいただきました。
4)得られた成果
主力製品の納期を約1年から
最短6か月に短縮。
当初の課題であった納品短縮は、主力製品である自走式破砕機で約1年から6~8か月へと短縮できました。これは、今回着手した施策が確実に効果を生み出した結果だと言えます。
まず、受注状況を可視化する「山積み表作成」により、営業は製造の負荷を理解した上で受注工期を調整できるようになりました。その結果、営業はお客様に対して自信を持って納期を確約できるようになり、信頼関係の構築や、受注・売上の安定と拡大を後押ししています。売れ筋製品の計画的先行生産も、根拠のある情報をもとに適切に進められるようになりました。
工場スペースの活用改善については、クレーン下の滞留時間短縮や工場外での仕上げ作業、テント倉庫の活用などにより、新たに工場を建設することなく生産能力を大幅に向上させることができました。
さらにCFT活動は、組織の風土に変化をもたらしました。部署横断で一つの課題に向き合う機会が増え、社内の風通しもよくなったことで、「上流工程」での調整がスムーズにできるようになりました。
自走しながら、さらなる効率化と
最適化を目指す。
Oさんは私たちのどのような問いにも的確に回答くださり、大変心強い存在でした。外部の知見を取り入れて改善を進めたいという当社の期待に応える、とてもよい出会いだったと感じています。
Oさんとのプロジェクトは一区切りつきましたが、顧客満足度の向上に終わりはなく、どのような製品を販売していくか、そのために設計や製造はどうあるべきかを検討し続ける必要があります。今回構築した仕組みを基盤に自走し、今後もCFT活動を継続して各部署が一体となり、さらなる効率化と最適化を目指していきます。