研究開発にも注力したい製紙メーカー。
経験と知見が豊富なプロ人材を活用し、
研究テーマの整理と体制強化を実現。
企業
社名:興亜工業株式会社
所在地:静岡県富士市
業務内容:段ボール箱用の原紙、雑誌・チラシ・ペーパータオルなどに用いられる原紙の製造・販売
従業員数:100〜300名未満
プロ人材
名前:Hさん(フリーランス)
居住地:東京都
経歴:大手製紙会社の研究開発部門に15年間、営業開発部門に23年間従事。研究テーマ・新規事業の立ち上げに加え、営業組織の構築や取締役・顧問も経験。
<プロ人材としての活動>
業務内容:研究テーマの仕分け、報告体制の整理、新テーマの探索に関する支援、研究開発の基盤知識に関する講義
活動頻度:月32時間程度
活動方法:対面
- 将来を見据えて研究開発に力を入れるも、
リーダー人材やノウハウが不足。 - 依頼の決め手は、製紙業界に留まらない
幅広い経験・知見と寄り添う姿勢。 - 既存研究の棚卸・仕分けから、
新たな研究テーマの探索、知識習得まで幅広く実施。 - 研究テーマの仕分けにより、
選択と集中が実現。
1)プロ人材活用の背景
将来を見据えて研究開発に力を入れるも、
リーダー人材やノウハウが不足。
1941年に創業した当社は、現在古紙を主原料とした段ボール原紙や更紙の製造・販売を主力として事業を展開しています。近年、社会の変化が加速度的に進む中、持続的な成長を実現するには、既存の紙製品にとらわれずに、新領域への挑戦や、既存事業から派生した新たな価値創造を模索する必要があると考え、2023年に開発課を新設。本格的な研究開発に取り組み始めました。
当課は、研究開発の種(シーズ)を探索し、基礎研究から試作までのプロセスを担っています。しかし、社内には研究開発を主導できるリーダー人材やノウハウが不足しており、何から着手すべきか、どの領域に注力すべきか、研究開発の方向性そのものが定まりきらない状況でした。
社内では、理系大学院卒のメンバーを開発課に配置し、専門家の講義や研修などを受講しながら、製紙業界に関連するテーマに取り組んでいましたが、社内だけで研究全体を主導するには限界がありました。「現在進行中の研究は継続すべきか」「自社の強みを最大化できる研究テーマは他にあるのか」といった根幹となる問いを改めて考え直す必要があると感じていた折、「プロ人材活用」という手法を知り、専門的な知見を持つ方の力を借りるべく、相談することにしました。
2)応募状況・決め手
依頼の決め手は、製紙業界に留まらない
幅広い経験・知見と寄り添う姿勢。
プロ人材に依頼するにあたり、社内で議論していた研究テーマの整理や、今後の研究開発の方向性について、外部の専門的な視点から助言をいただきたいと考えていました。既存技術を深掘りすべきか、保有設備を最大限に活用できる新領域を模索すべきかなど、検討を進める上で客観的な意見が不可欠でした。
こうした要望を踏まえ、候補者の中から最終的に面談を経て選ばせていただいたのが、製紙会社ではたらいていた経験を持つHさんです。決め手は大きく二点です。一つ目は、製紙業界に限らず、幅広い領域に精通されていることです。新事業の検討にあたり、多角的な視点から実現可能性の高い提案が期待できると感じました。二つ目は、当社との相性のよさです。面談では、ご自身の経歴紹介に留まらず、当社の状況を丁寧にヒアリングし、親身に相談に乗ってくださる「寄り添う姿勢」が非常に印象的でした。特に、抱えている課題に対して、具体的な解決策や進め方をわかりやすく、かつ当社の目線に合わせて説明してくださる姿に、信頼感と期待感を抱きました。
社外の方との協業は、技術的な社外秘情報や機密事項に触れる部分もあるため、当初は不安もありました。しかし、Hさんの誠実で信頼のおける人柄に触れ、「この方なら安心してお任せできる」と確信できました。
3)依頼した業務、業務を進める上での工夫
既存研究の棚卸・仕分けから、新たな研究テーマの探索、知識習得まで幅広く実施。
契約後は、まずHさんに当社の事業や現在の研究テーマ、設備などのユーティリティを含む状況を説明し、当社の立ち位置を正確に共有することから始めました。状況を理解いただいた上で、最初に着手したのが、社内で既に並行して進めていた研究の「中止」「保留」「継続」の3区分による仕分けです。製紙会社として一般的に取り組むテーマにも着手していましたが、当社にとって継続価値があるのか判断がつかない案件も少なくありませんでした。そこで、当社の規模やリソース、実行可能性を踏まえて仕分けを進めるとともに、判断のための進め方(どの観点で研究を進めるか)について助言を受けました。「中止」については「ここまでやったら終わり」というゴールを設定し、保留・中止の理由付けや、経営陣への報告の仕方についても整理しました。
仕分け後は、新たな研究のテーマ探索に移りました。約1か月かけて議論を重ね、「既存の事業や設備を活用する研究」と「新領域に挑む研究」という二つの方向性からテーマを設定。これまで当社は原紙の改良やカスタマイズが中心で、ゼロから製品・事業を立ち上げることには積極的ではありませんでしたが、紙の需要が減少する中では「紙の用途を広げる」ことが重要です。この観点でHさんから多角的なアイデアをいただいています。研究開始後も、委託先企業の選定や関わり方、情報の集め方、AI活用の方針など、実務面の助言を受けながら研究を進めています。
加えて、新規事業の採算性判断の枠組み、特許出願・知的財産に関する基本、契約ガバナンスなど、研究開発を進める上で不可欠な知識についても教えていただきました。
Hさんとの協業は現在も継続中で、月4回ほど来社いただき、対面で助言を受けています。合間にはメールや電話でも連絡を取り、次回に向けた準備事項の確認や、進捗や課題の共有などを迅速に行っています。
4)得られた成果
研究テーマの仕分けにより、選択と集中が実現。
最大の成果は、研究テーマの仕分けを実現できたことです。限られた人員体制の中で、多岐にわたる研究に広く手を広げるのは現実的ではありませんでしたが、当時は中止・継続の明確な基準がなく、経営層への説明方法も定まっていませんでした。Hさんから客観的な視点に基づく助言を受け、「どの観点で中止・継続を判断するか」「どのように報告するか」の指針を確立。この「選択と集中」が最も重要な転換点となり、時間やコストの無駄を抑え、限られた人員の中で研究開発を効率的に進めるためのリソース配分を実現できました。
現在は絞り込んだ複数のテーマで研究を進行しています。昨年(2025年)12月には社内で研究報告会を開催し、各テーマの現在地や今後の展望を共有。試作品の展示も行い、進捗が早い案件では関係部門と次の打ち手についての議論を始めています。
Hさんのサポートによって、これまで社内に不足していた知見を得られたことは大きな収穫でした。Hさんは幅広い知見をお持ちで、当社が「どう進めるべきか」と迷う場面で常に適切な助言をくださいます。得られた知見は、研究開発を推進する上での確かな土台となり、体制強化につながっています。
「VISION 2030」を策定。
リサイクル技術を活用した新規事業創出を目指す。
当社は、2030年に向けた行動指針「VISION 2030」を策定しました。「社会から必要とされ、携わる人々が誇りを持てる会社」を目指し、当社の最大の強みである古紙再生技術を活かした新規事業の創出を通じて、社会に貢献していきたいと考えています。その達成には開発課の取り組みが欠かせません。今後もHさんにサポートいただきながら、体制と実行力を強化し、新たな価値を生み出していきます。