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マーケティングは誰にでもできる。現役引退を決意したマーケターがたどり着いた、マーケティング組織構築コンサルタントの道

明治大学文学部卒業。Webディレクター/Webプロデューサーとしての経験を経て、マーケティング部長として活躍。MarkeZine Day、ad:tech、Web担当者Forumなど、多数のイベントでの登壇実績あり。2018年に独立し、翌年2019年に株式会社Marketer’s Brainを設立。ビジネスの仕組みをデジタル化し、売上につなげるマーケティング組織構築コンサルタントとして、数々のマーケティング課題の解決を支援する。
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終身雇用が形骸化されつつある現代の日本では、企業に属する以外の働く選択肢を持つことは、非常に重要です。

一方、企業では変化の激しい時代に適応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが加速しています。そのうえで新プロダクトの販促や顧客ロイヤルティを上げるデジタルマーケターの重要度は、日に日に高まっているでしょう。

そこで今回は、マーケティング組織構築コンサルタントとして活躍するデ・スーザ氏に、独立の経緯やマーケターとしての活動実績を伺いました。

きっかけは、現実とのギャップだった

――マーケティング業界の第一線で活躍されていたかと思いますが、独立を選ばれた背景には、どのような心境の変化があったのでしょうか?

当時感じていたのは、マネジメント業務が増え、現場を離れたことと、年齢に伴う現場との感性のズレですね。昔なら無意識にできていたことが、少しずつできなくなっていることを、あるときを境に自覚したんです。野球で例えると、ボールを投げた場所が、自分のイメージした位置から1センチずれていたというような感じで……。それは、他人から見ても分からない世界かもしれないですが、自分の中ではハッキリと自覚できるもので、想定と結果に微妙なズレが出るようになっていました。

このままだと近い将来、業界の前線から退くタイミングが来るだろうという予感に対して、「嫌だ」と感じる自分がいる一方で、イベントを通じてさまざまな企業担当者から相談を受けるようになって、「何とかしてあげたい」という気持ちも強くありました。他にも色々な感情が渦巻いていて、何を優先して考えるべきか悩んでいたのかもしれません。

そのようなときに参考にしたのが、プロ野球界です。キャリアにおける野球選手の転身は、「辞める」か「続ける」かの二択しかないわけではないですよね。現役を引退後に、監督やコーチになったり、解説者やタレントとして活躍する道もあります。だとすれば、「自分なら、どういう転身が合っているんだろう?」と考えたときに、選んだのが監督・コーチの道でした。

そのため、最初から「独立しよう!」という意思が固まっていたというより、自分の在りようを求めて現役選手(マーケター)を自称するのを辞め、監督 ・コーチとして色々な企業を支援しようと決めた結果、独立することになったという道筋のほうが正しいかもしれません。

――監督・コーチの道を選ぶにあたって、理想像みたいなものはあったのでしょうか?

遠隔から指示を出すというよりは、現場に介入しながら教える存在をイメージしていました。「私がやるのではなくて、彼らができるようになる」……というのが、ポイントでしょうか。

イベントに登壇するようになって、周りから先生と呼ばれる機会も増えてきたのですが、僕自身は現場が好きで。だから現場と一緒に頑張っていきたいという想いが強くあって、「自分たちでどうにかやりたいけど、知識や経験がなくて分からない」という人を助けたいと思っていたのが、その理由です。

――実際のところ、マーケティング部門からそのような相談を受けることは多いですか?

そうですね。特に僕らが就職氷河期世代だったことも関係していると思うのですが、40代ぐらいの現役選手ってマーケティング部門にも、実はあまりいないんですよね。そうなると、現場にとってはちょうどいい背中がないんです。

しかもマーケティングって、ちょっと小難しいイメージあるじゃないですか。それが余計に現場を混乱させているというか。でも、マーケティングは相手に情報を伝えて、価値を感じてもらうというシンプルなもので、業務で使うという事だけを考えたら、決して難しい話ではないんですよね。

だからこそ、直近まで現役マーケティングのマネジメント層として働いていて、かつ、現場のことも理解できる僕であれば、そこも伝えながら一緒に成長していけるんじゃないかと思ったのが、監督・コーチとしてやっていこうと判断したきっかけでした。今でこそ現場介入型の専門家が増えていますが、当時はまだメジャーではなくて、僕はそこを強みとしてアピールしました。

――独立後に関しても伺いたいのですが、監督・コーチという専門家としての活動を始めてから軌道に乗るまでには、どのくらいの時間を要しましたか?

正直にお伝えすると、独立したのは、副業開始から半年後に本業の収入を超えたことも大きかったです。つまり、独立時点では一定のレベルで収入がありました。ただ、僕の場合は副業からスタートしたので、独立までの準備期間もありました。その期間で場数を踏めたというのも大きかったと思います。

お客様の悩みが、プロダクトを言語化・数値化するための起点になる

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――専門家としての支援実績についてお聞かせください。

個人向け・法人向けを問わず、これまでに30社以上のマーケティング活動を支援させていただきました。サービス・製品で数えると100は優に超えているはずです。

――特に印象に残っている案件はありますか?

大手化学メーカー様で担当させていただいた、デジタルマーケティングの戦略設計ですね。当時、企業様はマーケティングツールを導入したものの、戦略が描けておらず、そこを支援するかたちで関わらせていただきました。

具体的な支援内容としては、初日から研修を設けていただいて、他部署の方も含めてマーケティングの基礎講座を実施しました。他部署の方だと、最初は他人事のように聞いている方もいるのですが、適度に質問をしていって、「自分の部署とも関係あるんだ」ということを分かってもらうことを心掛けるようにしていました。

――マーケティングの基礎というと、どのような内容を教えているのでしょうか?

本案件でいうと、事業部ごとに多種多様なプロダクトを抱えている一方、「なぜ、それが売れるのか?」というところまでは、上手く結びついていませんでした。そこで、まずはお客様目線で考え、従業員の皆様にニーズを言語化・数値化する場として研修を活用して、少しずつ「お客様目線」の本当の意味を自覚していただくことを目指していきました。

お客様が何を求めているのかが分かれば、そこから1つずつアクションを設定していって、じゃあ最初は何をしたら良いのかが分かるようになります。このユーザーの行動理由・心理状態に基づいて、実際に訴求していただくことで、各人の理解が体験を通じて深まり、やがてその成果や評判が組織に波及していくことで、「会社全体としても支援をしてほしい」という大口の問い合わせが、頂けるようになっていきました。

――この取り組みの中でオンライン展示会を開催しているようですが、そちらはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

実はこの取り組みの途中でコロナ禍に突入してしまい、当初予定していたオフラインでの展示会が開催できなくなってしまったんです。でも、せっかく準備を進めていたのに、何もしないのは勿体ないと思い、企業様に「オンライン展示会をやってみませんか?」と提案しました。

――当時、まだオンライン展示会を実施する企業は少なかったと思いますが、開催にあたってどのような点に注力しましたか?

繰り返しになりますが、各プロダクトではなく、お客様がどのような悩みを抱えていて、そこに対して企業として何ができるのかを重視しました。

世の中にあるサービスは何かを解決するためのものだと考えているので、困りごとや悩みごとを特定することが大事です。それらは「ゴムの代わりになる良い樹脂ないかな」と顕在化していることもあれば、「何か良いゴムないかな」と不明瞭になっているケースもあります。そこに対して、どのようなコミュニケーション設計をして、受注まで持っていくのかという点に注力しました。

結果として、過去の展示会と比べて約3~4倍の方が来場し、資料ダウンロードや問い合わせ件数も大幅に増加させることができました。さらに会社としてできることにフォーカスした結果、クロスセルの成功率もアップしています。

仕組みを創造するために、どこまで約束できるか

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――専門家の立場からみて、企業が外部人材を活用することには、どのようなメリットがあると思いますか?

社内のリソースを入れ替えることなく、今まで以上に有効活用できる点だと思います。外部人材という潤滑油を取り入れることで、営業にマーケティングのスキルが身に付くなど、今までできなかったことが少しずつできるようになります。つまり、外部人材の活用は、人を雇うのではなく、仕組みを創造し、社員を成長させるということなんです。

もちろん、雇用でも同様のことは実現できますが、仮に優秀なマーケターを雇ったとしても、その企業の持つ独自の文化に馴染めないなど、業務適性とは別の理由で退職してしまうケースもあります。そういったミスマッチを抑制する意味でも、明確に期間を設定できる外部人材の活用は効率的だと思います。

――では、個人の視点ではどうでしょう。近年では個人の活躍できるフィールドが広がっていると思いますが、このフィールドを広げていくうえで、必要なスキルやマインドは何だと考えていますか?

結果にコミットする覚悟ではないでしょうか。個人として企業と関わることは、1人のプロとして接するという意味だと思います。そこでは過去の肩書は関係ありません。プロは能力だけでなく、責任と結果も求められるので、企業に対して何を約束できるのかが重要になってきます。

――対価として何を約束するのか、という点を重視した場合、やはり自分の専門領域で仕事をしていくことが一般的になるのでしょうか?

必ずしもそうとは言い切れないかもしれません。この仕事をして、結果を出していると、8割はできるけど、2割は未経験の領域という案件相談もあります。こういった相談が来たら、不安になりますよね?でも、「それでも、あなたを信じるからやってみてほしい」と言ってくれるクライアントもいるんです。

そういった一面もあるので、そこにチャレンジする勇気さえ忘れなければ、最初は自分の得意分野で勝負していきますが、その専門性は仕事をしていくうちに広がっていくと思います。だからこそ、大人になってからも成長意欲を持ち続けることは大切かもしれません。

――とはいえ、案件を安定して獲得していくのは、人によってはかなりの時間がかかるかと思います。安定化させるという点で、大切なポイントなどはありますか?

個人的な交友関係や、過去の人脈などは大事だと思います。でも、何より重要なのは、言葉より行動じゃないでしょうか。「副業やろうと思ってるんだよね」と言う方より、「副業始めました」と名刺を渡してくる方のほうが、本気度が伝わります。役所に開業届を出して、名刺を刷るという工数はかかりますけど、それをやる価値は十分にあります。その一歩を踏み出す人って意外と少ないんですよ。

とはいっても、個人事業主として活動する場合は、半年から1年ぐらいは余剰資金を確保しておいたほうが良いとは思います。簡単にはいかないことが多いので、リスク対策は必須です。

取材後記
今回の取材で最も驚いた点は、マーケティングの専門用語が全く出てこないことです。USPやLTVなど、日常的に使っているマーケティング用語が出てこないことで、こんなにも分かりやすく伝わるというのは意外な発見でした。個人がスキルを発揮し、企業と関わっていくうえで、専門知識がない方でも「明日から試せる」と思えることは、非常に重要なポイントであると感じました。明日から、「分かりやすく伝える」を意識したいと思います。
and HiPro編集部
パーソルキャリア株式会社
and HiPro(アンドハイプロ)は、「『はたらく』選択肢を増やし、多様な社会を目指す」メディアです。雇用によらないはたらき方、外部人材活用を実践している個人・企業のインタビューや、対談コンテンツなどを通じて、個人・企業が一歩踏み出すきっかけとなる情報を発信してまいります。

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