副業でよくある失敗例を徹底紹介!リスク回避方法と副業選びのコツを解説

「本業のスキルを活かして副業を始めたが、思ったように稼げない…」
「副業に挑戦したいけれど、何から手をつけていいかわからず、失敗するのが怖い」
本業で高い専門性を持ち、成果を出してきた方ほど、副業における思わぬ「勝手の違い」に戸惑うことがありますよね。副業は、会社の看板なしに個人の価値が直接問われる世界です。しかし、その本質を理解し、適切な準備をすれば、キャリアの可能性を大きく広げる強みになります。
本記事では、ハイクラス層が陥りがちな副業の失敗例から根本原因、そして失敗を回避し成功へと導くための具体的な戦略までを解説します。
副業に不満を抱える割合は約20%

副業を開始したからと言って、誰もが順風満帆というわけではありません。
HiProが実施した「副業・フリーランス人材白書2025」によると、副業活動者の中で現在の活動に「満足している」「とても満足している」と回答しなかった層が約20%存在します。

また、同調査では、現在活動している人のうち約5%が「継続して活動したくない」と回答しました。

高いスキルを持つハイクラス層であっても、理想と現実のギャップに直面するケースは決して少なくないことがわかります。この結果から、副業を始める前に失敗のパターンを学ぶことの重要性だと言えるでしょう。
副業をする際によくある失敗例
ここでは、特にハイクラス層が陥りやすい典型的な失敗例を8つ紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、リスクを事前に把握しておきましょう。
営業活動が足りず、継続的な案件獲得が難しい
会社員の場合、営業職以外の方については、営業スキルが問われる場面は少ないかもしれません。しかし副業では、自ら動かなければ仕事は獲得できません。自身のスキルや実績をポートフォリオにまとめ、SNSやエージェントを活用して積極的に売り込む姿勢が不可欠です。
特に、マーケティング戦略の立案や事業アドバイザーといった高単価の傾向がある案件は、人脈や紹介から始まるケースも少なくありません。継続的なネットワーキングが、収入の安定に直結するといえるでしょう。
こうした営業活動を行わなければ、継続して案件を獲得することが難しくなる可能性があるため注意が必要です。
単価を安く設定しすぎてしまい、活動時間に見合わず疲弊する
自身の市場価値を客観的に把握できず、相場よりも低い単価で案件を引き受けてしまうケースは少なくありません。結果として、費やした時間と労力に見合わない報酬しか得られず、モチベーションが低下し、疲弊してしまう可能性があります。
副業を始める前に、同業種のプロフェッショナルがどの程度の単価で仕事をしているのか、リサーチを徹底することが重要です。
契約内容が曖昧で、想定外の業務に対応せざるを得なくなる
「お互いの信頼関係で」と、業務範囲や成果物の定義を明確にしないまま口約束でプロジェクトを開始してしまうのは望ましくありません。たとえば、「新規事業のマーケティング支援」という曖昧な依頼に対し、当初想定していなかった競合調査やSNSの日常的な運用まで依頼されるケースがあります。
契約書で業務範囲を明確に定義し、追加業務には別途報酬が発生することを双方で合意することが大切です。
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仕事量のコントロールができず、本業に影響が出てしまう
副業に熱中するあまり、本業のパフォーマンスが低下しては本末転倒です。
特に責任感の強い方ほど、副業のクライアントからの期待に応えようと深夜まで作業を続けたことで、本業で集中力を欠く事態に陥る可能性があります。
副業に割ける時間は有限であることを常に意識し、現実的なスケジュール管理と、時には案件を断る勇気も必要です。
自身のキャパシティを超えた受注は、副業と本業、双方の信頼を失う結果を招く恐れがあるため注意しましょう。
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自分のやりたいことと市場の需要が合わず、仕事が見つからない
自身の持つスキルや経験が、市場で本当に求められているのかという客観的な視点が欠けていると、案件獲得は難しくなります。
たとえば、特定の業界に特化した高度な分析スキルを持っていても、そのスキルを求める企業が副業人材を探していなければ、十分に活かしきれません。
自分の「やりたいこと」や「得意なこと」を追求するだけでなく、副業市場で「需要があるスキル」は何かをリサーチし、両者の接点を見つける戦略的な視点が成功の鍵を握ります。
競業避止義務や秘密保持義務に違反し、トラブルに発展する
本業で得た知識やノウハウ、人脈を副業に活かす際には、法的なリスクに細心の注意を払う必要があります。
特に、本業と同じ業界でコンサルティング業務などを行う場合は注意が必要です。意図せず本業の競合他社に利益をもたらす「競業避止義務」や、社外秘の情報を漏らしてしまう「秘密保持義務」に違反する可能性があります。
最悪の場合、本業の会社から損害賠償を請求されるなど、深刻なトラブルに発展しかねません。
確定申告が適切にできず、税務トラブルに発展する
会社員としての給与所得しかない場合、税金の手続きは会社が年末調整で行ってくれます。
しかし、副業で得た所得が年間20万円を超えると、個人で確定申告を行う義務が発生します。この事実を知らなかったり、手続きを怠ったりすると、後から無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。
また、年間の所得が20万円を超えていない場合でも、住民税の申告は必要です。確定申告をしない場合は、自治体に住民税申告を行いましょう。
必要経費の計上方法など、基本的な税務知識を身につけておくことは、副業を続ける上での必須条件です。
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明確な目標がなく、モチベーションが続かない
「少しでも収入の足しになれば」といった漠然とした動機で副業を始めると、モチベーションが保てずに継続が難しくなるかもしれません。
「専門分野の大学院に通うための資金を副業で貯める」
「特定のスキルを実務で磨き、本業での昇進に繋げる」
上記のように、具体的で魅力的な目標を設定することが、困難を乗り越え、継続していくための原動力となります。
副業で失敗する原因は?気をつけたい6つの落とし穴
失敗という「現象」の裏には、必ずそれを引き起こす「原因」が存在します。ここでは、副業がうまくいかない根本的な原因についての落とし穴について解説します。
副業に使える時間を調整せずに案件を獲得している
失敗の多くは、副業に投下できる時間を現実的に見積もれていないことに起因します。
案件を受ける前に、平日の夜や週末にどれくらいの時間を確保できるかを具体的に見積もらず、「なんとかなるだろう」と進めてしまうと、思わぬ負担につながることがあります。
その結果、納期に追われて睡眠時間が減り、本業・副業ともにパフォーマンスが落ちてしまう可能性もあります。
まずは1週間のタイムログを取り、確実に副業に充てられる時間を把握することから始めてみましょう。
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最初から大きな成功を求め、目の前の小さな一歩をためらってしまう
本業で管理職や専門職として活躍している方ほど、副業でもすぐに大きな成果を出そうと焦る傾向があります。
しかし、副業は新しい市場での挑戦であり、誰もが最初は初心者です。過去の実績への自負から、単価の低い仕事や地道な作業を敬遠し、結果として経験を積む機会を失うことがあります。
「まずは実績作りのために、この案件でクライアントの期待を120%超える成果を出そう」といった、目の前の一歩を大切にする姿勢を忘れないようにしましょう。
受け身の姿勢が抜けず、指示待ちになってしまう
会社組織では、上司や他部署からの指示に基づいて動く場面が多くあります。
しかし、副業においてクライアントが求めているのは、単なる作業者ではなく、課題解決に向けた提案や能動的なアクションを起こせるプロフェッショナルです。指示されたことだけに対応する「待ち」の姿勢では、次の契約に繋がりづらくなってしまう可能性があります。
「このプロジェクトを成功させるために自分なら何ができるか」を常に考え、主体的に動く意識への転換が不可欠です。
契約書の内容をしっかりと確認できていない
特に知人からの紹介案件などで、「信頼しているから」と契約書を交わさなかったり、内容をよく確認せずにサインしたりするケースが見受けられます。
契約書は、報酬・納期・業務範囲・知的財産権の帰属といった重要事項を定め、万が一のトラブルから身を守るために重要な拠り所です。少しでも不明瞭な点や不利な条項があれば、必ず契約締結前に確認・交渉をしましょう。この一手間を惜しむことが、後に大きな紛争へと発展する火種となり得ます。
本業の就業規則を確認せずに副業を始めている
副業を始める前の最低限の準備として、本業の就業規則の確認は必須です。副業が解禁されている企業は少なくありませんが、「許可制」であったり、競合他社での業務を禁止していたりと、一定のルールが設けられている可能性は高いです。
就業規則を確認せずに副業を行って後から発覚した場合、懲戒処分の対象となるリスクもあります。自身のキャリアを守るためにも、まずは社内ルールを正確に把握することが第一歩です。
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税務・法務知識を身につけずに副業を始めている
税務・法務知識を身につけずに副業を始めることにも注意が必要です。「とりあえず始めてみて、問題が起きたら考えよう」という姿勢はリスクを伴います。
確定申告や必要経費といった税務知識がなければ、本来であれば支払う必要のない税金を納めすぎたり、追徴課税や延滞税といったペナルティを課されたりするリスクを負う可能性が高まります。
また、クライアントとの契約で注意すべき点や、報酬が支払われない場合の対処法などの法務知識を身に付けておくと、大きなトラブルに見舞われる可能性を回避できるかもしれません。
副業の失敗を回避するために大切なポイント
これまでの失敗例と原因を踏まえ、ここでは副業を成功の軌道に乗せるための具体的なアクションプランを7つご紹介します。
本業との両立の可能性を具体的に試算する
まず、副業に充てられる時間を現実的に算出しましょう。
本業の通勤時間や家族との時間、自己投資の時間、そして十分な休息時間を確保した上で、残った時間が副業に使える純粋なリソースです。その時間内で、どの程度の業務量をこなせるのか、目標とする収入を得るには時給換算でいくら必要なのかを具体的にシミュレーションします。
この試算が、無理のない副業計画の土台となるでしょう。
契約内容・業務範囲は明確になっているかを確認する
クライアントと契約を結ぶ際は、できるだけ書面で契約を交わしましょう。その際、以下の項目が明確に定義されているかを確認することが重要です。
- 業務範囲(何をどこまで行うのか)
- 成果物(納品するものは何か)
- 納期(いつまでに納品するのか)
- 報酬(金額・支払日・支払方法)
- 知的財産権の帰属(制作物の権利は誰に帰属するのか)
- 秘密保持義務(どこまでの情報を秘密にする必要があるのか)
これらの項目を曖昧にせず、双方の認識を一致させることで、後のトラブルを未然に防げます。
客観的な分析により自身の市場価値と提供スキルを明確にする
自身の経験やスキルを書き出し、「何ができるのか(Can)」を明確にします。次に、副業市場でどのようなスキルが求められているのかを調査し、自分のスキルセットと照らし合わせます。
その上で、同様のスキルを持つ人材がどの程度の単価で活動しているのかをリサーチし、自身の適正な報酬単価を設定します。
この客観的な自己分析と市場分析が、安請け合いを防ぎ、自信を持って価格交渉に臨むための根拠となります。
まずは「単発案件」や「スポットコンサル」で小さく始める
いきなり大規模で長期的なプロジェクトに挑戦するのは、リスクが高い選択です。まずは、1回数時間で完結するスポットコンサルや、数週間で完了する小規模な単発案件から始めてみましょう。
これにより、副業の進め方やクライアントとのコミュニケーションの感覚を掴めます。小さな成功体験を積み重ねて自信と実績を構築し、徐々に大きな案件に挑戦していくことが大切です。
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本業とのシナジーや利益相反リスクを事前に洗い出す
副業を選ぶ際は、本業とのシナジー効果を意識すると、キャリア全体にとってプラスにはたらきやすいでしょう。たとえば、本業で得たマーケティング知識を、異業種のスタートアップで活用することで、新たな知見を得て本業に還元できるかもしれません。
一方で、本業のクライアントと競合する企業を支援するなど、利益相反にあたる可能性がないかは徹底的に確認する必要があります。法務的なリスクだけでなく、倫理的な観点からも慎重な判断が大切です。
プロフェッショナルとしての意識を持って仕事をする
クライアントは、プロとして価値を提供してくれることを期待して報酬を支払います。報連相を徹底する、納期を厳守する、常に期待を超えるアウトプットを目指すといった、ビジネスの基本原則を徹底することが信頼獲得の第一歩です。
「副業だから」という意識を切り替え、一人の独立したプロフェッショナルとして業務に臨む覚悟が必要です。
税務・法務リスクを専門家に確認する
契約書のレビューや就業規則の解釈、複雑な税務処理など、自分一人での判断に不安が残る場合は、専門家の助けを借りるのも一つの手です。弁護士や税理士への相談費用は、将来起こりうる大きなトラブルを未然に防ぐための「保険」と捉えることもできます。
リスクを正確に把握し、専門家の知見を活用することが、賢明な副業戦略と言えるでしょう。
失敗のリスクを抑えるために重要な副業選びのコツ
どのような副業を選ぶかという入り口の段階で、失敗のリスクは大きく変わります。ここでは、自身のキャリアと価値を最大化するための、戦略的な副業選びの視点を3つ紹介します。
専門性・実績を活かせるかどうかを意識する
失敗のリスクを抑えるためには、自信の専門性や実績を活かせるかどうかを意識することが大切です。たとえば、事業開発の経験が豊富な方が、スタートアップの事業戦略アドバイザーを務めるケースなどが典型例です。全くの未経験分野に挑戦するよりも、すでに持っている強みを活かす方が、高単価案件を獲得しやすく、クライアントにも価値を提供しやすくなります。
まずは自身の「コアスキル」が何かを定義し、それを求めている市場を探すことから始めましょう。
自分のキャリアプランの延長線上にあるかを考える
5年後、10年後に自分がどのようなキャリアを築いていたいかを考え、その目標達成に貢献するような副業を選ぶと、自信にとって価値の高い経験となりやすいでしょう。
たとえば、「将来は独立してコンサルティングファームを立ち上げたい」という目標があるなら、副業でさまざまな業界のコンサル案件を経験し、実績と人脈を築くことが近道となり得ます。副業を、未来の自分への戦略的投資と位置づける視点が重要です。
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求める収益性と時間的コストが見合っているかを確かめる
副業に投下できる時間は限られています。その貴重な時間を、最大限の価値に転換するためには、収益性と時間的コストを冷静に分析する必要があります。
時給換算で考えた時に、その仕事が自分の専門性に見合っているか、もっと効率的に稼げる方法はないかを常に問い続けましょう。時には、目先の収入よりも、新しいスキル習得や有益な人脈構築といった「無形の資産」を優先する判断も戦略の一つです。
副業の失敗に関するよくある質問(FAQ)
最後に、副業の失敗に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で回答します。
副業で赤字が続く場合、どのタイミングで辞めるべき?
副業の種類にもよりますが、交通費や調査費用がかさみ赤字が続く場合は、撤退のタイミングを事前に決めておくことが重要です。具体的には、「3か月連続で赤字の場合」や「累計の赤字額が10万円を超えた場合」など、期間や金額で明確な損切りラインを設定しましょう。
ただし、その活動が将来の大きなリターンにつながる自己投資であると判断できる場合は、計画の範囲内で継続するのも一つの選択肢です。
契約書なしで案件を受けるのは危険?
契約書なしで案件を受けるのはできるだけ避けましょう。
契約書がないと業務の範囲が不明確になり、後から想定以上に業務が増えるリスクがあります。また、報酬の未払いトラブルが発生した際、支払いを法的に請求する根拠も弱くなる可能性があります。さらに、成果物の著作権など、権利関係のトラブルに発展する可能性も否定できません。
たとえ相手が信頼できる知人であったとしても、ビジネスとして案件を受ける以上、お互いを守るために出来る限り契約書の締結は行うようにしましょう。
副業の失敗例を自身のキャリアに活かそう
本記事では、ハイクラス層が陥りがちな副業の失敗例とその原因、そして具体的な回避策と副業選びのコツを解説しました。
副業の失敗は、スキル不足よりも、準備不足やマインドに起因するケースが多いです。まずは、本業の就業規則を確認し、ご自身のスキルの棚卸しから始めてみてください。
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