【活用事例あり】マーケティングの4C・4Pとは?実際の商品4C分析例とともに解説
「マーケティング」というワードを調べると、必ずと言っていいほど出てくるのが「4C」というワードです。
事実、「4C」抜きにマーケティングを語ることは難しく、顧客のニーズを真に理解するうえで必要不可欠な考え方となります。
当コラムでは、「4C」の基礎から、実際の商品をもとにした「4C分析」の例までをご紹介します。
マーケティングの4Cとは?
4Cとは、下記4つの要素の頭文字でできた、「マーケティングに必要な考え方」のことです。4つを軸に商品特性を整理することで、商品の強み・弱みが分かります。
- 顧客価値(Customer Value)
- コスト(Cost)
- 利便性(Convenience)
- コミュニケーション(Communication)
4Cを重要視すべき理由を理解するには、4Cの概念が誕生した背景を理解する必要があります。マーケティングトレンドの遷移とともに、詳しく見ていきましょう。
4C誕生の背景
4P時代(1960年代〜1980年代)
4Cが生まれる以前は、「商品」を主語にして考える「4P」の考え方が主流でした。
- 商品(Product)…商品戦略のこと。商品の価値そのものの確立や、ブランディングなど
- 価格(Price)…価格、支払の手段など。
- プロモーション(Promotion)広告宣伝、販売促進の手法など
- 流通(Place)…販売ルート、場所など
当時はモノ自体の流通が少なく、「他より安ければ買う」「すぐ手に入るから買う」といった商品へのスペックを何より重視する時代だったため、商品目線で特性を語る4Pが重要だったのです。
4C時代(1990年代)
時代が変わって社会が豊かになり、モノの種類もあふれかえるようになると、買い手と売り手のバランスも逆転しはじめます。この流れに伴い、ユーザーは購入基準において、スペックに留まらない「付加価値」を求めるようになりました。
こうなると、単なるスペック競争だけで市場を勝ち残ることはできません。そこで、経済学者のロバート・ラウターボーン氏は、時代の変化に合わせて、マーケティングにおける主語を「商品目線」から「顧客目線」へ移す必要があると考え、4Pに変わる考え方として「4C」を定義しました。
つまり4Cは、商品に求められる価値観の変容によって生み出された、「顧客重視」のマーケティング手法と言えます。
補足:4Cと4Pを混合した「マーケティングミックス」
話が少し脇道にそれますが、そもそも「4P」の考え方そのものが時代錯誤というわけではなく、実は「4C」が普及した今も「4P」は活用されています。
たしかに、視点が「4P」に偏ると、顧客のインサイト(行動・心理)の視点には欠けており、売る側から買う側へのコミュニケーションが一方通行となってしまいます。
しかし、「4C」から導いた特性を「4P」に落とし込むと、売る側と買う側に相互の共通認識が生まれるため、より根拠をもって、商品の売り込み方を設定することができるようになるのです。
「4P」に「4C」を組み込むことでマーケティングの精度を高めるように、複数の視点・フレームワークを活用することで、顧客ニーズと商品の強みをより細分に把握し、戦略を導き出す考え方を「マーケティングミックス」と呼びます。
今回は代表例として「4P」×「4C」をご紹介しましたが、他のフレームワークを活用することもあります。
4Pから4Cへの遷移、そしてマーケティングミックスの考え方をご理解いただいたところで、以下からは本題である、各4Cの詳細を解説します。
顧客価値(Customer Value)
顧客側が対象のモノ・サービスに感じとる価値観のことです。「使いやすい」「心地がよい」「オシャレ」「先進的」など、単なる機能性だけでなく定性的な情緒も意味に含まれます。
コスト(Cost)
対象のモノ・サービスに対して顧客側に発生する負担のことです。金銭面だけでなく、そのモノ・サービスを購入するまでの作業負担なども含まれます。
利便性(Convenience)
顧客側がどれだけ最短でモノ・サービスを入手できるかの工数のことです。「場所」「時間」「エリア範囲」などのアクセス面から、「決裁の利便性」などの購入手法、さらに主流となっているWebページ上では「検索粒度」「操作性の高さ」も挙げられます。
コミュニケーション(Communication)
顧客側と接点を持つ手段のことです。「対面」「イベント」「SNS」や、間接的なものでは「お問い合わせフォーム」なども含まれます。
4C分析をマーケティングで活用する方法
4C分析は、さまざまなシチュエーションで役立ちます。
新規事業
新商品やサービスの企画時、「差別化ポイント」を洗い出すうえで役立ちます。企画の発端は主観的なアイデアがベースとなりがちですが、4C分析によって、市場で本当に勝ち残れるのかどうか、またどう勝ち残っていくべきかを、顧客視点から客観的に検証できます。
既存事業の見直し
既存商品・サービスが今の市場ニーズと合致しているかをチェックするうえで役立ちます。具体的な活用のシチュエーションとしては、売上低下時の原因分析や、再販時の反響のシミュレーションを行いたい時などが想定されます。
競合他社の分析
競合他社の市場ポジションを正確に把握するうえでも、4C分析は効果的です。後述のSTP分析では、自社と競合他社と比較するシチュエーションが発生しますが、4C分析の活用によって、客観的に競合他社をポジショニングでき、マーケティングの精度を高められます。
マーケティングでは事前にSTP分析を行う
4C分析がターゲット(メイン顧客)にとってのメリットを洗い出すのに対し、STP分析は そもそものターゲットと、競合と比較した際の自社の立ち位置を洗い出す役割を持ちます。
したがって、4C分析を行う前にSTP分析を行う方が、より効率的にマーケティングを進められるといえます。
なお、STPはそれぞれ下記の意味を持ちます。
- S…セグメンテーション。市場顧客をいくつかのグループに分類すること。
- T…ターゲティング。分類したグループから、真にモノ・サービスを購入してくれそうな顧客を選定すること。
- P…ポジショニング。自社が競合と比較して、どの立ち位置にいるかを把握すること。
4C分析の事例
以下からは、実際に世に流通されているモノ・コトをベースに、競合を意識した4C分析の例をご紹介します。
A社:トクホの緑茶
顧客価値(Customer Value) |
コスト(Cost) |
---|---|
体内脂肪を減らせる |
平均よりやや高め |
利便性(Convenience) |
コミュニケーション(Communication) |
自販機、コンビニで購入可能(手頃) |
広告で目にしたことがある(安心感) |
「トクホ」でおなじみ、特定保健用食品。緑茶という手ごろな商品で口にできるとあり、販売時には大きな話題を呼びました。
比較対象は、自販機の一般的なペットボトル緑茶が考えられます。値段はやや張るものの、効能(顧客価値)と手頃さ(利便性)の優位性で、顧客からの評価を集めたと考えられます。
B社:地元で愛されるフランチャイズカフェ
顧客価値(Customer Value) |
コスト(Cost) |
---|---|
レトロでどこか懐かしい(安心感) |
400円代〜(平均相場程度) |
利便性(Convenience) |
コミュニケーション(Communication) |
駅前から住宅街中まで幅広く設立 (自宅から近所) |
店員のアットホームさ(地域密着型) |
続いての例は、海外を本店に構える非日常的なカフェが一世を風靡した中で、あえて昭和のレトロスタイルを貫き、一種のブランドとして確立した喫茶店です。
「地域密着型」のなつかしさと親しみやすさに加えて、現代ではあまり見かけなくなった「レトロな雰囲気」が、若い世代にとっては逆に新鮮なものとして目に移った結果、年配層だけでなく幅広い年代層の獲得にひと役買っています。
C社:缶で飲むホワイトビール
顧客価値(Customer Value) |
コスト(Cost) |
---|---|
本家に劣らぬ本格的な味わい |
100円代(割安) |
利便性(Convenience) |
コミュニケーション(Communication) |
インターネット販売 |
SNSを活用した認知拡大 |
ホワイトビールは海外からの購入が主流だった中、いかに手頃に購入できる缶で、本場の味に近づけるかを突き詰めたのが、缶ビール型のホワイトビールです。
メインターゲットを若手に設定し、本場のホワイトビールに近づけるため研究開発を重ねたうえで、「本格的な味」が「低価格で手頃に飲める」ことを強みとした結果、業界でも唯一無二の立ち位置を確立しました。
D社:かゆいところに手が届くオークションサイト
顧客価値(Customer Value) |
コスト(Cost) |
---|---|
ニッチな領域まで手が届く (豊富な品揃え) |
出店者に負担をかけない(低コスト出店) |
利便性(Convenience) |
コミュニケーション(Communication) |
オンライン+ワンクリック決裁を導入 |
ユーザー同士のコミュニティサイトを設置 |
すでにECサイトが市場にあふれかえっている中で、とくに「品揃えの豊富さ」と「決裁の手っ取り早さ」を差別化ポイントとして見出した事例です。
現代人の多くが、常に時間に追われている中で、「イチ早く、ほしいものが確実に手に入る」点がベネフィットに合致し、多くのユーザーから選ばれるサイトとなったのです。
まとめ
世に出回るどのような商品にも、必要とする顧客がいて、ニーズがあります。「4C」はまさに対象となる顧客とニーズを洗い出し、商品を客観的に見つめなおせる有用性を持ち合わせた、便利なフレームワークです。
「4C分析」をうまく活用すれば、商品はよりブラッシュアップされ、効率よく売れるようになります。ぜひマスターして、今後の販売・営業活動にひと役立てていただければ幸いです。
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