STP分析とは?具体的な進め方や得られる効果、注意点を詳しく解説

STP分析とは?具体的な進め方や得られる効果、注意点を詳しく解説
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STP分析は、マーケティング領域で活用される機会の多いフレームワークです。

しかし、STP分析のフレームワークを活用しようと思っても、「そもそもSTP分析がどのようのものかわからない」「具体的な進め方を知りたい」と考える方もいるのではないでしょうか。

本記事では、STP分析の概要や具体的な進め方をまとめています。マーケティング戦略に活用していきたい方はぜひ参考にしてください。

STPとは

stp分析

STPとは、以下3つの言葉の頭文字をとった、マーケティング戦略を立案する際に使用する分析方法のことです。

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジショニング)

Segmentation(セグメンテーション)

セグメンテーションとは、市場の細分化によって顧客の分布状況を明確化することです。セグメンテーションでは、ユーザーの考え方や行動パターンなどの要素を指標にすることで、市場の細分化と全体像が把握できます。

Targeting(ターゲティング)

ターゲティングとは、セグメンテーションにより細分化が進んだ顧客層を参考にしながら、自社が狙うべき対象を明確に選定することです。

セグメンテーションが市場を分類する作業であるのに対して、ターゲティングは自社のビジネスと親和性の高い市場を特定する作業となります。

Positioning(ポジショニング)

ポジショニングとは、自社が市場内でより優位になれる立ち位置を探すことです。先行企業によるポジショニングがなされている場合、先行企業を含めた競合他社よりも自社が優位に立てるポジションの選定が重要な意味を持ちます。競合他社と自社が提供する製品やサービスの比較も有効です。

STP分析の進め方

STP分析は、以下6つのステップにしたがって進めます。

  1. 目的の明確化
  2. 市場の分析
  3. ターゲットの選定
  4. 位置関係の把握
  5. マーケティング戦略の策定
  6. 効果測定

1.目的の明確化

まずは、事業の目的を明確にします。事業において提供する顧客体験や状態目標などを言語化できていないと、STP分析の観点がずれてしまい、結果的にマーケティング施策を効果的に実施できない可能性があります。

事業の目的やゴールが共通認識化できると、誰に対して何を届けるべきなのかというポイントが明確になり、STP分析を進めやすくなるでしょう。

2.市場の分析

セグメンテーションは、自社のビジネスが価値発揮できる領域に基づき、市場を分類します。具体的には以下4つの指標を用いることが有効です。

デモグラフィック(人口統計的変数) 年齢・性別・学歴・職歴・家族構成など
ジオグラフィック(地理的変数) 居住地・宗教・行動様式・気候など
サイコグラフィック(心理的変数) 性格・趣味嗜好・価値観・ライフスタイルなど
ビヘイビアル(行動変数) 購入の頻度や時期・利用の目的など

例えばデモグラフィック領域では、男女どちらの市場を狙うか、どの年齢層を狙うかなど、指標によって狙うべき市場が変わってくるでしょう。

以下4つの観点でセグメンテーションを実施する4Rの法則もあります。

Rank(優先順位) 顧客にとって優先度が高いか
Realistic(有効性) 売り上げにつながるターゲットや市場の有無
Reach(到達可能性) 商品やサービスを顧客が手にできるか
Response(測定可能性) 顧客が受ける影響の計測の可否

例えば、優先順位が高くとも到達可能性が低ければ、顧客に知られることなく終わってしまいます。

セグメンテーションを実施する際には、自社に適した指標を組み合わせながら進めることが重要です。

3.ターゲットの選定

セグメンテーションで細分化した市場の中から、自社が狙っていくべきターゲットを選定します。

ターゲティングのポイントは、市場全体が成長中かつ参入している競合企業が少ない市場を選定することです。ターゲティングを実施する際には、以下3つのパターンで考えると良いでしょう。

無差別型マーケティング 市場間の違いを無視し、同じ商品をすべての市場に投入する方法
差別型マーケティング 細分化された市場ごとに、ニーズにあった商品を投入する方法
集中型マーケティング 少数の市場に集中して商品を投入する方法(ニッチなジャンルなど、コアなファンにフォーカスする場合に適している)

例えば、今までにないような商品やサービスを市場に発信するときは、集中型マーケティングの手法を活用し、特定の市場でシェアを拡大していくことが効果的です。性別ごとに商品を販売するケースでは、無差別マーケティングを活用してニーズに合った市場へ投入すると良いでしょう。

このように、ターゲットに合わせたアプローチが重要です。

4.位置関係の把握

市場を決めたあと、自社が狙える立ち位置を把握します。ポジショニングは、今までの分析をもとに競合他社との差別化を図ることがポイントです。

差別化を図るためには、競合他社と比較する必要があり、自社の製品・サービスの軸を決めておく必要があります。軸は、価格・スピード・品質・独自性などがありますので、さまざまな視点で判断することをおすすめします。

このとき、どのような競合他社が存在するのかを確認し、自社と比べて規模や特徴がどのようなものかを調査しましょう。

例えば、すでに大手企業が存在する市場を選択した場合には、同じ強みで勝負をしても、認知度の差で負けてしまいます。そのため、今までの分析で明らかとなった自社の強みを洗い出し、競合他社と比較したうえで、最も差別化を図れる要素でポジションニングしなければなりません。

5.マーケティング戦略の策定

ここまでのSTP分析で得られた結果をもとに、具体的なマーケティング戦略を策定します。

ここで重視することは、自社の強みを活かした差別化と、それに合わせたアプローチ戦略を考えることです。マーケティング戦略にはさまざまな種類があるため、市場に合った方法を選ばなければなりません。

例えば、若者に向けた市場で勝負するなら、SNS運用は欠かせないマーケティング戦略となるでしょう。高齢者に向けた市場は、テレビや新聞などの広告を活用すると、マーケティングの効果を得られやすくなります。

6.効果測定

マーケティング戦略は計画的に実践して、定期的に効果測定をすることが大切です。どのような効果が得られたのかを判断しなければ、効果的な施策であったかどうかを判定できません。

効果が出ていればそのまま継続していき、思ったような効果を得られていなければ新たな施策を考えると良いでしょう。

STP分析で得られる3つの効果

STP分析では、主に以下3つの効果を得られます。

  • 顧客層の把握ができる
  • 自社の強みを理解できる
  • 他社との差別化を図れる

顧客層の把握ができる

STP分析は、セグメンテーションによって市場の細分化を進めることから、それぞれの市場に存在する顧客とニーズを把握できます。顧客層を把握することで、自社の商品やサービスが狙える市場を判断できるようになります。

例えば、ある商品を市場へ投入しようと思ったときに、当初は男性をターゲットにしていました。しかしSTP分析よって男性のなかでもシニア世代へのアプローチが効果的だとわかった場合、より効果的で費用対効果の高いマーケティングが実施可能です。

自社の強みを理解できる

STP分析は、自社が提供する製品やサービスが占める市場内での立ち位置や強みを理解できます。多くの業界で新規参入する企業が増えているため、自社の強みを活かしたマーケティング戦略が重要です。

例えば、自社の強みが品質と明らかになれば、品質を全面に押し出したPR活動を打ち出していけます。結果、品質を重視している顧客の目に留まり、商品の成約につながる可能性が高まるでしょう。

他社との差別化を図れる

STP分析は、ポジショニングの工程で自社と他社の比較を実施するため、差別化を図れます。競合他社との争いが激化している昨今では、差別化による生存戦略は欠かせません。

例えば、市場全体が拡大して参入する企業が増えてきても、他社にはない自社だけの魅力があれば、コアなファンがリピートしてくれます。差別化の要素を磨いていくことで、新たなファンの獲得にもつながるかもしれません。

このように、STP分析はマーケティング戦略へ活用できるようなさまざまな情報を得られます。

STP分析の注意点

STP分析では、以下3つの点に注意が必要です。

  • STP分析は順番を意識しすぎない
  • STP分析以外の分析手法も組み合わせる
  • 収益性が見込める市場かを確認する

STP分析は順番を意識しすぎない

STP分析の各項目は連動しているため、実施する順番が前後していても結果には大きく影響しません。そのため、着手しやすいところからはじめられます。

ただし、STP分析に慣れていない頃は、市場の全体像を把握するためにも、セグメンテーションからはじめると良いでしょう。

STP分析以外の分析手法も組み合わせる

STP分析は、マーケティング戦略の立案に役立つための手法で、PEST分析やSWOT分析なども組み合わせることでさらなる効果が期待できます。

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

PEST分析とは、これらの頭文字を取った、環境による影響を分析する手法です。

また、別の要素で分析を行う、SWOT分析と呼ばれる手法もあります。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

STP分析で市場の全体像を把握し、自社内の強みや弱みを知るための手法として、PEST分析やSWOT分析の活用をおすすめします。

収益性が見込める市場かを確認する

ビジネスは、収益性を見込めるかどうかが重要なポイントです。そのため、STP分析では市場の細分化を進めると同時に、規模が大きく今後も拡大が見込まれる市場かを判断しなければなりません。

自社に適した市場でも、規模が小さく収益が見込めないのであれば、ビジネスが成功する可能性は低いです。

まとめ

本記事では、STP分析の概要や具体的な進め方を解説しました。

STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の観点で進めていき、自社に適した市場を見極めるための手法です。取り入れることで、効果的なマーケティング戦略を立てていけるでしょう。

STP分析だけでなく、他のビジネスフレームワークと組み合わせることで、より詳細な分析が可能なのでぜひお試しください。

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