5W1Hとは?具体的な活用方法や他の手法との違いも解説
5W1Hは、情報共有をスムーズにするフレームワークです。5W1Hの活用で、ビジネスにおけるコミュニケーションをわかりやすく進めていけます。
しかし、いざ5W1Hのフレームワークを活用しようと思っても、どのように活用すべきか悩む方もいるのではないでしょうか。
本記事では、5W1Hの使い方、さらに発展させた6W2Hなどのフレームワークをまとめました。5W1Hの活用で迷われている方はぜひ参考にしてください。
5W1Hとは?ビジネスパーソン必見のフレームワーク
5W1Hは、コミュニケーションにおいて、相手に情報を過不足なく伝えるためのフレームワークです。5W1Hは、以下6つの要素で構成されます。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
When(いつ)
「When」は伝えたい情報の期限やタイミングなどの時間に関する事柄を表します。仕事を進めるとき、いつまでに実施すべきかの情報は重要です。
例えば、上司が部下に仕事を頼む際、対応期限を伝えなかった場合、上司と部下の間に認識のずれが生まれやすくなります。上司は「明日までにやってくれるだろう」と思っていても、頼まれた部下は「今週中にやろう」ととらえてしまうかもしれません。
こうした認識のずれが生まれないよう、5W1Hのなかの「When」で、期限や期間を正しく伝える必要があります。
Where(どこで)
「Where」は場所や環境を表します。場所が明らかになることで、移動手段や出発時間などをイメージできるため、事前に知っておきたい情報です。
例えば、会議を実施する場合、実施場所は社内/カフェ/Web会議とい うさまざまな選択肢があるため、場所を明確にしておく必要があります。
Who(誰が)
「Who」は主要となる人物を指します。行動を起こす人やターゲットを、明確にするための要素です。
会議でいくつかのタスクが出てきた際に「Who」を決めておかないと、誰がそのタスクを実施すべきかがわからず、計画どおりに進まない可能性が高くなるでしょう。
What(何を)
「What」は対象となるものを表します。人や物に加えて、価値やコンセプトなどの概念も対象です。
「What」を定めていない場合、対象を判別することが難しいため、業務を進められない、あるいは間違った解釈で進行してしまうリスクがあります。
Why(なぜ)
「Why」は物事の理由のことです。コミュニケーションのなかで「Why」を明確にすることで、業務の目的や背景を正しく理解できます。
例えば、日々の業務のなかでなぜ実施しているのかわからない業務があったとします。その業務に対して、昔から実施しているからやるのではなく、目的や背景を正しく理解することが大切です。目的や背景を理解することで、さらに効率的な代替案や、無駄な業務をなくすこともできるため、業務効率化につながるでしょう。
How(どのように)
「How」は目的を達成するための手段や方法のことです。「How」を明確にしないと、依頼者と実行者でアクションの考え方が異なり、最終的なアウトプットにも影響を与える可能性があります。
例えばある作業を自動化したい場合、「How」を明確にしないと目標達成に向けたルートを絞り込めません。結果として組織内での意思統一が上手く行えず、当初の想定とは異なる方向に進んでしまう可能性もあります。そのため、事前にどのような手段で実現するのかを明確に定めておきましょう。
5W1Hの目的
5W1Hは、ビジネスにおけるコミュニケーションを円滑に進めるためのフレームワークとして活用されています。なぜなら、5W1Hを活用することで物事が段階的に整理され、情報をわかりやすく伝えられるためです。5W1Hのひとつが欠けるだけでも、認識の齟齬が生じ、コミュニケーションロスが発生してしまいます。
以下の例文で考えてみましょう。
「明日(When)、社内の会議室A(Where)でミーティングをおこないます。そのため、本日中(When)に今までの取り組み(What)を確認しておいてください。」
上記の例文は、「誰が(Who)」「何のために(Why)」「どのように(How)」が抜けているため、本来の対象者に伝わらない可能性があります。
以下は5W1Hを盛り込んだ例文です。
「明日(When)、社内の会議室A(Where)でミーティングをおこないます。ミーティングは業務改革プロジェクトの課題を洗い出し、解決に向けてさまざまな施策を考える(Why)のが目的です。ミーティングのなかで、ざっくばらんに感じている課題を話していきます(How)。そのため、業務改革プロジェクトのメンバー(Who)は、本日中(When)に今までの取り組み(What)を確認しておいてください。」
上記の例文は5W1Hを盛り込んでいるため、必要な情報が過不足なく伝わります。5W1Hを満たすことで、ビジネスでのコミュニケーションがよりスムーズになるでしょう。また、新たな課題の発見ができる、認識のずれが起こらなくなるという 効果も期待できます。
5W1Hを活用するメリット
ここでは、5W1Hを活用することの具体的なメリットについて、詳しく解説します。
必要な情報を過不足なく伝えられる
前述のとおり、5W1Hを活用することで情報を体系的に整理し、過不足なく伝えることができます。情報の漏れや重複を防ぎ、受け手が理解しやすい形で情報を提供できる点がメリットとして挙げられます。
課題の特定や解決策の検討がしやすくなる
5W1Hは、課題の特定や解決策の検討にも役立ちます。たとえばプロジェクトが遅延している場合、5W1Hを活用し「いつから遅延が始まったのか(When)」「どこで遅延が発生したのか(Where)」「誰が遅延の原因になっているのか(Who)」「何が原因で遅延したのか(What)」「なぜ遅延が発生したのか(Why)」「どのように遅延を解消できるのか(How)」を分析することで、課題の特定および具体的な解決策を見つけやすくなります。
5W1Hを活用するデメリット
情報の整理やビジネス上のコミュニケーションに役立つ5W1Hですが、デメリットもあります。
5W1Hを過度に意識しすぎると、情報が細分化されて情報量が多くなり、伝わりにくくなることがあります。特に、簡潔に情報を伝える必要がある場面では、5W1Hの全てを詳細に説明すると冗長になり、要点がぼやけてしまう可能性があります。状況に応じて5W1Hの各要素を適切に取捨選択することが重要です。
5W1Hを活用できるビジネスシーンの例
5W1Hは、さまざまなビジネスシーンで活用できます。5W1Hを活用できるビジネスシーンの例と活用時のポイントを解説します。
上司への業務進捗の報告
業務の進捗を上司へ報告する際も、5W1Hが役立ちます。進捗報告の際は、特にWhen(いつ)とHow(どのように)の要素が重要になります。進捗報告では、定点での進捗状況(When)を明確にし、スケジュール通り順調に業務が進行しているかわかるように報告しましょう。
遅延している場合は要因を分析し、改善案やスケジュールの組み直し(How)を提案することで、上司が適切な判断やサポートを行えるよう心掛けましょう。
企画書の作成
企画書の作成時に5W1Hを活用することで、企画の全体像を明確に示すことができます。企画の目的(Why)、ターゲット(Who)、内容(What)、実施時期(When)、場所(Where)、実施方法(How)を具体的に記載し、提案の妥当性を示します。
企画書は説得力が求められるため、各要素は論理的に繋がるように構成し、読み手が情報を理解しやすいように配慮することがポイントです。
新商品の開発
新商品を開発する過程において、5W1Hはアイデアの具体化やプロセスの明確化に役立ちます。商品開発での5W1Hの使い方の例は次の通りです。
商品を必要とするターゲット(Who)、商品のコンセプトや機能(What)、開発スケジュール(When)、開発の場所や市場(Where)、開発する理由(Why)、技術やリソース(How)。
新商品開発は複数の部門が関わることが多いため、5W1Hを用いて各部門間で共通認識を持てるように情報を漏れなく、わかりやすく整理することが大切です。
5W1Hの具体的な活用方法
5W1Hをビジネスで活用するためには、以下のポイントを意識するのが重要です。
- 5W1Hの要素ごとに書き出す
- コミュニケーションを図る
5W1Hを要素ごとに書き出す
まずは6つの要素ごとに書き出してみましょう。5W1Hを書き出すことで、それぞれの要素に抜け漏れがないかを判断でき、相手へのコミュニケーションロスを減らすことができるからです。
例えば、以下のように書き出します。
- When(いつ):1ヵ月後から
- Where(どこで):社内で
- Who(誰が):情報システム部が
- What(何を):セキュリティ対策を
- Why(なぜ):サイバー攻撃の被害に遭わないため
- _How(どのように):セキュリティコンサルを活用して
5W1Hの各要素でコミュニケーションを図る
5W1Hを要素ごとに書き出したあとは、文章や口頭で相手に伝えていきます。ポイントは、簡潔にわかりやすいコミュニケーションを意識することです。例えば、先ほどの書き出した要素で考えると、以下のようになります。
- 日々発生するサイバー攻撃に対応するため(Why)、1ヵ月後から(When)社内で(Where)セキュリティ対策(What)を実施します。主担当は情報システム部(Who)です。セキュリティコンサルを活用(How)しながら進めていきます。
このように、5W1Hの各要素を洗い出してから文章化を進めることで、5W1Hに過不足なく、効果的なコミュニケーションができるでしょう。
5W1Hに関連するフレームワーク
5W1H以外にもビジネスのコミュニケーションを円滑にするフレームワークには、以下のようなものが活用されています。
- 5W2H
- 5W3H
- 6W2H
- 7W2H
それぞれのフレームワークの意味や使い方を解説します。
5W2H
5W2Hは、5W1Hの要素に「How Much(いくらで )」を加えたフレームワークです。具体的には、以下の要素となります。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How Much(いくらで )
5W2Hは、5W1Hに数値的な要素を加えるため、よりわかりやすく相手に伝えられます。事業計画書や販売計画という 、数値的な目標を明確に定めるケースで活用できるでしょう。
数値を明らかにしたいときには5W2Hを活用し、明らかにしなくてもよいときには5W1Hを利用するのがおすすめです。
5W3H
5W3Hは、5W1Hの要素に「How Much(いくらで )」と「How Many(規模)」を加えたフレームワークです。以下は、5W3Hの各要素を表しています。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How Much(いくらで )
- How Many(規模)
5W2HにHow Many(規模)が加わったため、規模や在庫などの数値を情報に含められます。
例えば、先述したセキュリティ対策で考えてみましょう。How Many(規模)が加わることで、業界全体でサイバー攻撃が横行しているという背景を加えられます。
6W2H
6W2Hは、5W1Hの要素に「Whom(だれに)」と「How much(いくらで)」を加えたフレームワークです。6W2Hは、以下の要素で構成されています。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- Whom(だれに)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How Much(いくらで )
6W2Hは、主にマーケティング領域での活躍が期待されます。5W1Hは人物に関わる要素がWhoのみのため、対象をひとつに絞らなければなりません。一方で6W2Hは、Whom(誰に)が加わったことにより、誰かに影響を及ぼすときにその対象を明確にできます。
7W2H
7W2Hは、5W1Hの要素に「Which(どちらを )」「Whom(だれに)」「How much(いくらで )」を加えたフレームワークです。7W2Hは以下の要素から成り立っています。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- Whom(だれに)
- What(何を)
- Which(どちらを )
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How Much(いくらで )
Whichは、比較対象や選択肢があるときに、どちらを選択するか示したものです。そのため、7W2Hは新規事業などに活用できます。
例えば、新しい飲食店を開店するとしましょう。このとき、Whichはどの食べ物を看板メニューとして売り出すかを選択する要素です。普段の会話だけではなく、より詳細な事業計画を立てるときなどに7W2Hは活躍します。
まとめ
5W1Hは、各要素の過不足がないように伝えるだけで、コミュニケーションを円滑に進められるフレームワークです。要素ごとに要点を洗い出し、文章や言葉にしてコミュニケーションを図りましょう。
5W1H以外にも、以下のようなさまざまなフレームワークが存在します。
- 5W2H
- 5W3H
- 6W2H
- 7W2H
それぞれのメリットやデメリットを理解し、場面に応じたものを活用していくのが大切です。この記事を参考に、コミュニケーションスキルを高め、ビジネスをより円滑に進めていきましょう。
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