パラレルキャリアと副業の違いとは?メリット、注目を集めている理由を紹介

近年、パラレルキャリアというはたらき方が注目を集めています。パラレルキャリアとは、キャリアの開拓を目的に複数の仕事を行うことです。
本記事では、パラレルキャリアと副業の違いや注目されている背景、メリット、パラレルキャリアの始め方などを解説しています。本記事を通して、多様なはたらき方について考えてみましょう。
パラレルキャリアの意味とは?副業と何が違うのか?

パラレルキャリアと副業はどちらも複数の仕事を持ちますが、目的が異なります。
パラレルキャリアは経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱した概念で、スキルアップやキャリアアップなどが主な目的です。ボランティア活動をして社会貢献する、趣味の活動をするなど、収入を目的としない活動も含みます。個人の成長や多面的なキャリアの展開を重視し、仕事だけでなく個人の価値観や生き方にも影響を与えます。
一方の副業は、本業以外で収入を得ることをおもな目的としたはたらき方です。多くの場合、本業に対するサイドビジネスとして位置づけられます。副業はパラレルキャリアと比較すると、経済的な安定を求める手段としての側面が強いといえるでしょう。
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パラレルキャリアが注目を浴びている理由
パラレルキャリアが注目される背景には、はたらき方の多様化と企業寿命の変化があります。
現代では、転職の一般化、リモートワークやフレックスタイム制度の導入など、はたらき方が多様化しています。これにより、企業に勤めながらもさまざまな職業に関わり、キャリアアップやスキルアップを目指すことが可能になりました。
総務省が公表した「令和6年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用型就業者のテレワーク実施率は24.6%、自営型では27.9%に達しています。

また、企業寿命の短命化が進むなか、収入源が本業だけでは、本業の企業に寿命が訪れた際に困ってしまいます。その際に、パラレルキャリアなどで複数のキャリアを持っておくと、突然の転職や再就職にも柔軟に対応できる可能性が高まります。
パラレルキャリアは個々の成長や目標達成に寄与するだけでなく、新たな発想やマネジメントスキルの強化など、企業側にもプラスの効果をもたらします。そのため、パラレルキャリアの導入は、働き方改革の一環として今後さらに広がっていくと考えられるでしょう。
パラレルキャリア3つのタイプ別の違いと具体例
パラレルキャリアは、ベーススキルアップ型、自己実現追求型、新たなキャリア開発型の3種類に大きく分けられます。
ベーススキルアップ型:業種や職種の幅を広げるタイプ
現在のスキルを活用して、業種や職種の幅を広げるタイプです。本業と関連性の高い分野で活動するため、双方に相乗効果(シナジー)が期待できます。
ベーススキルアップ型の具体例は、以下のとおりです。
- ベンチャー企業でのマーケティング戦略アドバイザー(本業の知見活用)
- 業界専門誌への寄稿や、ビジネスセミナーでの登壇
- 技術顧問として他社のプロジェクトマネジメント支援
たとえば、本業で営業職に就いている方が、副業で異なる商材の営業代行をしたり、営業に課題を抱える企業にアドバイスを行ったりするケースが挙げられます。
すでに保有するスキルを活かしながら、新たな知識やスキルの獲得が期待できます。専門性をより深め、スペシャリストとしての地位を確立したい方や、本業での昇進・キャリアアップを加速させたい方に適したスタイルといえるでしょう。
自己実現追求型:趣味やボランティアなども含む幅広い活動をするタイプ
趣味やボランティアなども含む幅広い活動を行い、本業とは異なるはたらき方をするタイプです。本業では得られない精神的な充実感(心理的報酬)を得ることが主な目的となります。
自己実現追求型の具体例は、以下のとおりです。
- NPO法人や社団法人の理事・運営サポート(プロボノ)
- 地域創生プロジェクトやビジネスコミュニティの主宰
- 若手育成のためのメンター活動やキャリア相談
スポーツや音楽などのサークル活動、地域のイベントの手伝いなどのボランティアに参加することも、自己実現追求型のパラレルキャリアの一つです。自身が保有する専門的な知識やスキルを社会貢献に役立てたいという方は「プロボノ」への参加もおすすめです。
利害関係のないフラットな人間関係の構築や、社外のサードプレイスを持つことで視野が広がる効果が期待できます。また、ここでの人的ネットワークが、将来的に予期せぬビジネスチャンスにつながることも少なくありません。
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新たなキャリア開発型:本業とは異なる新たな分野に取り組むタイプ
本業とは異なる活動を通して、新たな分野に取り組むタイプです。本業では経験できないことに挑戦したい人や、将来的なキャリアチェンジ(転職・独立)を見据えた準備期間を設けたい人に適しています。
新たなキャリア開発型の具体例は、以下のとおりです。
- 営業職がAI・プログラミングを学び、DX推進プロジェクトに参画
- 人事マネージャーが個人でコーチング事業を開始
- 将来の起業や事業承継を見据えた、異業種での実務経験
自身の対応領域を広げることで、本業の産業構造の変化や定年後のリスクに備えることが可能です。「ゆくゆくは独立したい」「全く新しい分野で自分の可能性を試したい」という、中長期的な視点を持つ方はぜひチャレンジしてみてください。
パラレルキャリアの5つのメリット
パラレルキャリアによって得られるメリットを5つ紹介します。
新たな人脈を築ける
パラレルキャリアは、新たな人脈を築く絶好の機会です。本業だけでは限られた範囲の人としか接しませんが、さまざまな環境で活動することによって人脈が大幅に広がります。
新しい場所でのつながりは、新しい知識や視点を得られるだけでなく、人生を豊かにしてくれるでしょう。新たなビジネスチャンスや、利益をもたらす可能性もあります。
スキルや経験をたくさん積める
複数の場所ではたらくと、さまざまな経験を積めます。パラレルキャリアを通じて得た知識やスキルは、本業にもプラスの影響を与えるでしょう。
また、パラレルキャリアの導入によって、売上が発生したり人を雇用したりした場合には、経理やマネジメントなどの専門的なスキルを身につけることも可能です。これらのスキルは、あらゆる職種やはたらき方に応用できるため、大きな価値があります。
収入がアップする可能性がある
パラレルキャリアを追求すると、収入がアップする可能性があります。本業を続けながら、さまざまな知識やスキルを積み重ねられるため、転職や起業に伴う経済的なリスクを抑えることも可能です。
また、パラレルキャリアを通じて得た新しいスキルや知識を本業で活用すると、業績向上や昇進の機会が生じることも考えられます。
視野が広がる
パラレルキャリアで新たな経験を積み、異なる背景や価値観を持つ人々と交流する過程で、自然と視野が広がる可能性があります。特に、異なる価値観を持つ人々と接すると、新たな視点を得る機会が増え、柔軟な発想力を養うことが可能です。
キャリアを見直すきっかけを作れる
パラレルキャリアでは、本業により金銭的な不安を軽減しつつ、新たな分野への挑戦やスキルアップに集中することが可能です。
また、パラレルキャリアを通じて経験を積んだあとに、転職や起業を考えることもできます。安定した収入源があるため、自己実現や新たなキャリアへの転換をスムーズに実現できるでしょう。さらに、収入の分散によりリスクヘッジも可能です。
パラレルキャリアに向いている人の特徴
ここでは、パラレルキャリアで成果を出せる人の共通点を紹介します。主な特徴は、以下の3つです。
- 主体的にキャリアを設計したい人
- 知的好奇心や学習意欲が高い人
- 自己管理能力が高い人
以下、それぞれ具体的に解説します。
主体的にキャリアを設計したい人
自分の市場価値を自らコントロールしたい人はパラレルキャリアに向いているといえるでしょう。たとえば、本業では大手企業の管理職を務めながら、社外ではスタートアップの経営顧問として腕を振るうケースなどが挙げられます。
パラレルキャリアには、組織の看板がない場所で「何ができる人か」を問われる環境を楽しめるマインドセットが不可欠です。自分の専門性が社外でどこまで通用するかを客観視し、戦略的にキャリアを構築する姿勢が求められます。
知的好奇心や学習意欲が高い人
新しい知識や技術を習得することに喜びを感じる人は、パラレルキャリアを通じて急速に成長することが可能です。
本業で培ったマーケティングの知見をNPO法人の活動で活かしたり、逆に社外活動で得た最新のAI技術を本業に還元したりと、相乗効果が期待できます。
異なる業界や職種のコミュニティに飛び込み、そこで得た刺激を自身の知識に変えていける人にとって、これほど魅力的なはたらき方はありません。学びを「コスト」ではなく「投資」と捉えることが大切です。
自己管理能力が高い人
パラレルキャリアでは、複数の役割を並行して対応する必要があるため、高度なタイムマネジメント能力とセルフコントロールが必須となります。
本業の繁忙期やプライベートの予定を俯瞰し、無理のない範囲でプロジェクトを進行させる調整力が欠かせません。単にスケジュール帳を埋めることではなく、自分のエネルギー配分や健康状態を含めてマネジメントできるかが重要です。
限られた時間の中で最大のパフォーマンスを発揮する規律を持つ人であれば、長く活動を継続できるでしょう。
パラレルキャリアでよくある失敗例と対策
理想的なはたらき方に見えるパラレルキャリアですが、見切り発車で始めると予期せぬトラブルに見舞われることもあるでしょう。
ここでは、優秀なビジネスパーソンでも陥りやすい失敗例と、それを未然に防ぐための対策を紹介します。
本業が疎かになる
パラレルキャリアに熱中するあまり、生活基盤である本業のパフォーマンスが低下することは避けるべき事態です。「睡眠時間を削って対応する」「本業の仕事中にもう一方の仕事の連絡を返す」といった行動は、周囲の信頼を失う原因となります。
対策としては、本業の就業規則を遵守することはもちろん、作業可能な時間を厳格に設定することが重要です。本業での成果があってこそのパラレルキャリアであるという優先順位を常に意識しておきましょう。
タスク過多でモチベーションが下がる可能性がある
初期段階では意欲が高くても、想定以上の業務量に圧迫されて精神的に疲弊してしまうケースも少なくありません。
まずは「週に数時間」や「スポット契約」など、スモールスタートから始めて様子を見ましょう。自分のキャパシティを正確に把握してから、徐々に活動の幅を広げていくことが大切です。
目的がブレて中途半端になる恐れがある
「何のためにパラレルキャリアを行うのか」という軸が定まっていないと、案件選択を誤って時間を浪費することになる恐れがあります。
パラレルキャリアをする際は、「知見を広げるため」「人脈を作るため」「収入の柱を作るため」など、目的を明確に言語化することから始めましょう。
判断に迷ったときは、その活動が自分の長期的なキャリアによい影響を与えるかどうかを基準に取捨選択するとよいでしょう。
家族の理解を得られず、家族関係に影響を及ぼす可能性がある
週末や平日の夜を社外活動に充てることで家族と過ごす時間が減少し、家族の不満が蓄積されるリスクもあります。
また、独断でパラレルキャリアを進めてしまうと、「家事や育児を軽視している」と捉えられ、家庭内の不和を招きかねません。
事前に「なぜこの活動が必要なのか」「どのくらいの時間を割くのか」を丁寧に説明し、理解を得ることが不可欠です。
パラレルキャリアに関する4つの注意点
パラレルキャリアにはメリットが多くありますが、いくつか注意点もあります。トラブルや失敗を避けるためにも、よく確認しておきましょう。
勤務先企業の就業規則を事前に確認する
パラレルキャリアを始める前には、企業の就業規則を確認しましょう。企業によっては、副業を禁止しています。 副業を許可している企業であっても、情報漏洩のリスクやセキュリティを考慮して、同業他社の仕事は禁止としている場合があります。企業の就業規則をよく確認し、迷った際には上司や人事部に相談しましょう。
また、パラレルキャリアでの報酬は基本的に副業として扱われますが、無報酬の活動でも副業と誤解されることがあります。パラレルキャリアに対する認識は企業と社員間でずれが生じやすいため、認識のずれを避けるためにも就業規則を遵守することが重要です。
本業に支障が出ないよう気をつける
パラレルキャリアを実践する際は、本業に支障をきたさないように注意しましょう。パラレルキャリアは本業と並行して行うものであり、スケジュール管理やタイムマネジメントが欠かせません。
また、パラレルキャリアによって得られる新しい経験やスキルは、本業にも良い影響を与えます。負担が大きくなって本業のパフォーマンスが低下しないよう、自分の体調管理やメンタルヘルスにも注意を払いましょう。
休息も含めしっかりとした時間管理が必要
パラレルキャリアを成功させるためには、ワークライフバランスを考慮することが重要です。
パラレルキャリアを始めるために休息を削ってしまう人もいるかもしれませんが、ワークライフバランスを保つためには、仕事以外の自由時間も大切にする必要があります。休息時間を削ってしまうと、将来的に健康や生活の質へと悪影響をおよぼすことになりかねません。最初は短時間からスタートし、徐々に自分に合ったペースを見つけていきましょう。
健康的なライフスタイルを維持することが、充実したキャリアを築くポイントです。
パラレルキャリアは続けることが大切
パラレルキャリアの成功の鍵は、継続にあります。好きなことややりたいことを単なる趣味の範囲に留めず、他者に価値を提供できるレベルまで高めるためには継続が必要です。
ただし、無理に続ける必要はありません。自分に合っていないと感じたら、その経験を本業の転職やキャリアの再考に活かすなどで、方向転換も可能です。
パラレルキャリアの始め方
ここでは、パラレルキャリアを始めるための具体的なステップを紹介します。
目標やゴールを明確にする
パラレルキャリアを成功させるためには、明確な目標やゴールを設定することが大切です。単に「知人がやっているから」「収入を増やしたいから」などの漠然とした理由では、成功は難しいでしょう。特にパラレルキャリアは本業と異なり、自分自身の力だけで成果を出さなければならず、本業以上の努力が必要となる場合もあります。
途中で挫折しないためには、「本業ではできないことを実現する」「キャリアアップするためのスキルを磨く」などの明確な目標設定が必要です。
目標を立てたらゴールから逆算し、すべきことを明確にしましょう。徐々に成功体験を積みながらキャリアを築くことで、目標を達成しやすくなります。急いで高みを目指すのではなく、着実なステップアップが成功のポイントです。
自分の強みや弱み、伸ばしたいスキルなどを知る
自己分析を通じて、自分の強みや弱み、伸ばしたいスキルなどを明確にしましょう。自己分析は仕事だけでなく、趣味やプライベートの経験も含めて行うのがポイントです。日常的にこなしていることが、ほかの環境では貴重なスキルとして評価される可能性があります。
自己分析を行うと、自分がどのような環境や仕事に適しているか、どのような分野に挑戦できるかの見極めが可能です。将来のキャリアパスを描きやすくなり、パラレルキャリアでの成功への道がより明確になるでしょう。
なお、自己分析は一人で行うのは難しい場合もあるため、キャリアアドバイザーなどの専門家に相談することもおすすめです。
パラレルキャリアを実現できる環境を準備する
パラレルキャリアを実現するには、適切な環境を整えることが大切です。現在の職場でパラレルキャリアの実現が難しい場合は、副業や兼業に理解のある企業への転職を検討するのも一つの手段です。
転職エージェントに希望のはたらき方やキャリアプランを伝えれば、それに適した職場を紹介してもらうことも可能です。具体的なキャリア目標を明確にしておくと、より自分に合った提案を受けられます。
パラレルキャリアについて理解し、自身のキャリアに取り入れよう
パラレルキャリアは、はたらき方の多様化を実現し、新しい視野と人脈の構築などのメリットをもたらします。複数の仕事を通してさまざまな経験を積み、自分の可能性を広げることが可能です。
パラレルキャリアを始める際には、明確な目標とゴール設定が重要で、適切な環境作りも欠かせません。パラレルキャリアを継続できるよう、本業とのバランスを保ちながら、慎重に計画を進めていきましょう。
andHiProでは、パラレルキャリア実践者のインタビュー記事を掲載しています。自分に合ったはたらき方を選ぶ際の参考に、ぜひご覧ください。
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