ジオターゲティングとは｜仕組みや広告配信におけるメリット・デメリットを解説

ジオターゲティングとは

まず、ジオターゲティングについて以下の3点を解説します。

• ジオターゲティングの意味や役割
• ジオターゲティングの仕組み
• ジオターゲティングの活用方法

順番に見ていきましょう。

ジオターゲティングの意味や役割

ジオターゲティングは、ユーザーの位置情報をターゲット設定に用いるマーケティング手法の一つです。主にWeb広告の配信対象を設定する際に用いられ、特定の地域に住んでいる人や、特定の場所を複数回訪れている人などに対象を絞って広告を配信できます。ジオターゲティングを活用したWeb広告をジオターゲティング広告といいます。美容サロンや飲食店、クリニック、不動産業など、地域との関わりが重要なビジネスにおいては、認知度向上や集客に大きな効果を発揮します。

地域を絞ったプロモーションには、従来、ポスティングや折り込みチラシなどが活用されてきました。ジオターゲティングでは「直近3ヶ月の間に特定エリアを3回以上訪れたユーザー」といったように、より詳細に条件を設定できるのが特徴です。

ジオターゲティングの仕組み

ジオターゲティングでは、主に以下のような方法でユーザーの位置情報を取得します。

• GPS
• Wi-Fi
• ビーコン（Bluetooth）
• IPアドレス

GPSは、人工衛星を使って端末の位置情報を特定する技術です。地図アプリなどに活用されており、多くのスマートフォンやタブレットで利用できます。誤差は数メートルから数十メートルほどといわれており、精度の高い位置情報を得られるのが特徴です。

Wi-Fiはインターネットに接続するための通信技術であり、ジオターゲティングでは端末が接続したアクセスポイントの位置を確認します。商業施設内にWi-Fiを設置している場合など、よりターゲットを絞った広告配信が可能です。

ビーコンはBluetooth信号を発信する端末であり、ユーザーのスマートフォンに信号を 受信させることで位置情報の特定を行います。デバイスによる信号の発信は必要なものの、数十センチ単位での検知が可能といわれています。

IPアドレスは、インターネットに接続した端末に割り当てられる住所のようなものです。基地局を経由するため詳細な位置情報はわからないものの、おおよそのエリアは特定できます。

ジオターゲティングの活用方法

ジオターゲティングは、主に広告配信のターゲット設定に活用されています。ユーザーの位置情報と性別などの属性情報を組み合わせることで、商品やサービスのターゲットユーザーに絞って広告を配信できます。

たとえば、ヨガ教室の広告を配信したい場合、「直近1ヶ月以内に3回以上教室の周辺を訪れた20〜40代の女性」といったターゲティングが可能です。ヨガに興味を持ってくれそうなユーザー層に絞り込むため、「近隣のフィットネスジムを頻繁に訪れている女性」といった設定も可能です。

ジオターゲティングを活用するメリット

ジオターゲティングのWeb広告で活用すると、次のようなメリットがあります。

• 効率的に広告を配信できる
• 広告効果を検証できる
• 潜在ユーザーにアプローチできる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

効率的に広告を配信できる

位置情報によってより細かく広告配信のターゲットを絞り込めます。実店舗に足を運んでもらう必要があるビジネスの場合、来店の可能性が低い遠方のユーザーにまで広告を配信しても効果が得られないでしょう。Web広告はユーザーに表示されたりクリックされたりするたびに費用が発生するため、費用対効果を高めるには来店の可能性が高いユーザーにターゲットを絞る必要があります。

ジオターゲティングを活用すると「店舗付近を頻繁に訪問している」「競合店舗への来店頻度が高い」など、アプローチしたいユーザーを細かく絞り込めます。そのため、効率的な広告配信が可能です。

広告効果を検証できる

ユーザーの行動履歴をデータとして蓄積すれば、広告効果の検証も可能になります。たとえば「広告が表示されてから実際に店舗を訪れた」「広告をクリックしてから来店した」など、広告配信後のユーザー反応を細かく分析できます。

Web広告を運用するうえで、広告の効果検証は重要な取り組みです。費用をかけて広告を出稿する以上、その効果を最大限に高めるための工夫が求められます。配信後の来店状況まで含めて効果を検証できるのは、ジオターゲティングを取り入れる大きなメリットです。

潜在ユーザーにアプローチできる

ユーザーの行動履歴から潜在ニーズを想定して広告を配信できる点もメリットです。潜在ニーズとは、ユーザー自身がまだ把握していないニーズを指し、広告配信によってアプローチすることで自社の商品やサービスに興味を持ってもらえる可能性があります。

たとえば、保育園や幼稚園を頻繁に訪れているユーザーの家庭には小さな子どもがいる可能性が高いでしょう。子ども用の衣類やおもちゃなどの広告を出せば、通常よりも高い反応率が期待できると考えられます。

ほかにも、同様のユーザー層をターゲットとしている施設や競合店舗への訪問回数が多いユーザーは、潜在ニーズを持っている可能性が高く、広告配信による需要の喚起を狙えます。

ジオターゲティングを活用するデメリット

ジオターゲティングはメリットの多いマーケティング手法ですが、Web広告に活用する際には次のようなデメリットにも注意が必要です。

• 購入率や申し込み率は低い場合がある
• 十分なターゲット数を確保できない場合がある

こちらも順番に見ていきましょう。

購入率や申し込み率は低い場合がある

ジオターゲティングをWeb広告に活用すると、ニーズが顕在化していないユーザーにもアプローチできる点から、認知の拡大に適した手法といわれています。一方で、まずはターゲットに商品や店舗を知ってもらうことが主な目的となるため、購入や申し込みにつながる割合は低い場合があります。

広告配信を売上などの成果に直結させたい場合は、ジオターゲティング以外の施策にも取り組みましょう。顕在ユーザーへのアプローチには、特定のキーワードで検索したユーザーに向けた「リスティング広告」や、一度自社サイトを訪問したユーザーに向けた「リターゲティング広告」などがあります。

十分なターゲット数を確保できない場合がある

ジオターゲティングの活用は広告の配信対象を絞り込めるメリットがあるものの、条件を細かく設定しすぎると広告配信の機会が限られてしまいます。認知拡大を目指すには多くのユーザーに広告を見てもらう必要があるため、条件設定によっては期待した効果が得られないかもしれません。

広告の配信対象となるユーザーが少なすぎると、そもそも配信が開始されない可能性もあります。ジオターゲティングを活用する場合は、広告配信の対象ユーザー数を確認し、「十分な広告効果が見込めるか」「条件を緩和する必要がないか」などを検証したうえで行いましょう。

ジオターゲティング活用のポイント

ジオターゲティングを活用して広告の効果を高めるためには、以下の2点が重要です。

• 目的に合わせて使用する
• 分析や検証を繰り返して精度を高める

それぞれのポイントを解説します。

目的に合わせて使用する

ユーザーの位置情報を活用するジオターゲティングは、実店舗を持つビジネスに適したターゲティング手法です。ECサイトのようにエリアを限定せずに集客したい場合は、別の手法を用いるのがよいでしょう。また、顕在ユーザーよりも潜在ユーザーへの広告配信に適した手法であるため、認知拡大を目的とする場合におすすめです。

広告の配信目的がジオターゲティングに適していない場合、 期待した効果を得られる可能性は低くなります。まずは広告配信の目的を明確にし、その達成に向けてジオターゲティングが適切な手法である かどうかを確認しましょう。

分析や検証を繰り返して精度を高める

ジオターゲティングに限らず、Web広告の運用では分析や検証を繰り返して精度を高めていくことが重要です。Web広告では、配信回数やクリック数といった細かいデータを確認できます。広告の配信を始めたら、定期的に分析や改善を実施しましょう。

「配信ターゲットの条件設定は適切か」「訴求力の高い広告クリエイティブになっているか」「想定する効果は出ているか」など、さまざまな視点から効果を検証することが大切です。PDCAサイクルを回しながら細かい改善を繰り返すことで、広告効果の拡大や費用対効果の改善が図れます。

まとめ

本記事では、ジオターゲティングの意味や仕組み、メリットや デメリット、活用のポイントを解説しました。

ユーザーの位置情報を活用するジオターゲティングは、主にWeb広告のターゲット設定に用いられています。特定のエリアや施設への訪問回数や頻度からユーザーの属性やニーズを想定し、自社の商品やサービスに関心を持つ可能性が高いユーザー層に絞って広告を届けられるのがメリットです。

位置情報を活用するという特性から、美容院や飲食店など実店舗を持つビジネスで特に大きな効果を発揮します。潜在ユーザーへのアプローチに役立つため、認知度や来店客数の向上を課題としている場合は活用を検討してみてください。

認知向上や来店数の増加に課題をお持ちの際は、外部の専門家（プロ人材）の支援を受けるのも一つの方法です。状況に応じてさまざまな手段を取り入れながら、認知拡大や集客の増加を目指しましょう。