育休中に副業は可能?給付金への影響やおすすめの仕事・注意点を解説

育休中に「少しでも収入を増やしたい」「社会とのつながりを持ち続けたい」そう考えて副業に興味を持つ方は多いのではないでしょうか。ただ、「育児休業給付金がもらえなくなるのでは?」などと、不安もつきものです。
この記事では、育休中の副業に関する疑問を解消し、給付金への影響、おすすめの仕事、注意点などを詳しく解説します。(2025年5月現在情報)
育休中に副業することは可能?

結論からいうと、育休中に副業をすること自体は可能です。法律で禁止されているわけではありません。
育児休業は、育児・介護休業法に基づいて取得できる制度であり、育児を行う労働者が仕事と育児の両立を支援することを目的としています。そのため、育児休業中に副業をすること自体は、必ずしもこの目的に反するものではありません。
ただし、育児休業中に副業をする場合には、いくつかの注意点があります。それは、育児休業給付金の受給、会社の就業規則、そして育児との両立です。これらの点について、以下で解説していきます。
育休中に副業を検討する際はこれらの情報をしっかりと理解し、適切な判断をすることが重要です。
育休中に副業をしても「育児休業給付金」はもらえる?
育休中に副業をしたいと思っても、育児休業給付金がどうなるかは気になるところです。
結論、副業をしても育児休業給付金が必ずしももらえなくなるわけではありません。しかし、副業の状況によっては、減額されたり、支給が停止されたりする可能性があります。
そもそも育児休業給付金とは
育児休業給付金とは、育児休業中に雇用保険から支給される給付金です。育児休業を取得することで賃金が低下した分の一定割合を補填し、育児休業中の生活を経済的に支援することを目的としています。
育児休業給付金の受給要件
育児休業給付金を受給するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
- 雇用保険の被保険者であること
- 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得していること(一定の場合、1歳6か月または2歳まで延長可能)
- 育児休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
- 育児休業期間中に就業している場合、その1か月の就業日数が10日以下であること、または就業時間が80時間以下であること。
- 育児休業期間中の賃金が、休業開始時賃金日額の80%未満であること
これらの要件をすべて満たしている場合に、育児休業給付金を受給できます。
引用:Q&A~育児休業等給付~(厚生労働省)
副業の所得によっては減額・支給停止の可能性がある
育児休業中に副業を行った場合、その所得によっては育児休業給付金が減額または支給停止となる可能性があります。具体的には、以下の2つの条件によって判断されます。
- 就業日数:1か月の就業日数(副業を含む)が10日を超える、かつ就業している時間が80時間を超える場合、育児休業給付金は支給されません。
- 賃金額:「育児休業給付金+副業による賃金」の合計が賃金月額の13%を超えて80%未満の場合、賃金月額の80%との差額が支給されます(育児休業給付金の減額)。賃金が賃金月額の80%以上の場合は支給されません。これらの条件に注意して、副業を行うようにしましょう。育児休業給付金を満額受給したい場合は、就業日数と賃金額を調整する必要があります。
より詳細な条件や計算方法については、厚生労働省のQ&Aや、社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
育休中の副業を選ぶ際のポイント
育休中の副業は、育児と両立しながら行う性質上、副業選びは慎重に行う必要があります。ここでは、育休中の副業を選ぶ際に重要なポイントを3つご紹介します。
在宅でできる副業を選択する
育休中は、子どもの世話が最優先です。そのため、移動時間が発生するような副業は避けるべきでしょう。在宅でできる副業であれば、お子様のそばにいながら、スキマ時間を有効活用できます。たとえば、Webライティングや動画編集、Webデザインは、パソコンとインターネット環境があれば、自宅で完結できる仕事です。
体に負担がかからない副業を選択する
育児は体力勝負です。睡眠不足や疲労が蓄積すると、育児にも支障が出てしまいます。そのため、肉体労働や長時間労働が必要な副業は避けるべきでしょう。短時間で集中してできる仕事や、自分のペースで進められる仕事を選ぶのがおすすめです。たとえば、アンケートモニターやデータ入力などは、比較的短時間で完了できます。
低リスクの副業から始める
育休中の副業は、あくまで育児の合間に行うものです。初期費用がかかる副業や、必ずしも収入が得られるとは限らない副業は、リスクが高いと言えます。まずは、初期費用がかからず、比較的簡単に始められる副業からスタートするのがおすすめです。たとえば、ポイントサイトやフリマアプリなどは、手軽に始められる副業として人気を集めています。
ポイント | 詳細 | おすすめの副業 |
在宅でできる | 移動時間を削減し、育児との両立を容易にする | Webライティング、動画編集、Webデザイン |
体に負担がかからない | 育児に支障が出ないよう、無理のない範囲でできる | アンケートモニター、データ入力 |
低リスク | 初期費用を抑え、気軽に始められる | ポイントサイト、フリマアプリ |
育休中にもできるおすすめの副業
育休中に副業を始めるにあたって、どんな仕事があるのか気になりますよね。ここでは、育休中でも取り組みやすいおすすめの副業を5つご紹介します。
スポットコンサル
スポットコンサルとは、自分の知識や経験を活かして、企業や個人に対してアドバイスを提供する仕事です。特定の分野に特化したスキルや経験を持つ方におすすめです。たとえば、過去に営業職を経験していた方が、営業戦略についてアドバイスをしたり、人事経験者が採用戦略についてコンサルティングをしたりするケースがあります。
- メリット:自分のスキルや経験を活かせる、短時間で高収入を得られる可能性がある
- デメリット:専門知識や経験が必要、案件獲得に時間がかかる場合がある
▼関連記事
スポットコンサルが副業におすすめの理由と注意点を解説!案件の探し方も紹介
BtoB向けの資料作成・プレゼン支援
企業向けの資料作成やプレゼンテーション資料の作成を代行する仕事です。Microsoft PowerPointなどのソフトスキルに自信がある方や、デザインの知識がある方におすすめです。企業の営業資料、企画書、研修資料など、さまざまな資料作成のニーズがあります。
- メリット:在宅で完結できる、比較的高単価な案件が多い
- デメリット:一定レベルのスキルが必要、納期に追われる場合がある
動画編集
YouTubeなどの動画コンテンツの編集を行う仕事です。動画編集ソフトの知識やスキルがある方におすすめです。企業PR動画やVlogなど、さまざまなジャンルの動画編集のニーズがあります。
- メリット:スキルアップにつながる、クリエイティブな仕事
- デメリット:編集スキルが必要、根気が必要
Webデザイン
Webサイトのデザインを行う仕事です。PhotoshopやIllustratorなどのデザインソフトの知識や、HTML、CSSなどのコーディングスキルがある方におすすめです。企業のホームページ、ランディングページ、バナー広告など、さまざまなWebデザインのニーズがあります。
- メリット:専門スキルが身につく、在宅で完結できる
- デメリット:デザインスキルやコーディングスキルが必要、常に新しい技術を学ぶ必要がある
▼関連記事
Webデザイナー副業について徹底解説|現実や案件獲得方法を紹介
Webライティング
Webサイトやブログの記事を作成する仕事です。SEOの知識や、特定の分野に関する知識があると有利です。企業のブログ記事、商品紹介記事、ニュース記事など、さまざまなジャンルの記事作成のニーズがあります。
- メリット:未経験でも始めやすい、自分のペースで仕事ができる
- デメリット:単価が低い場合がある、文章力が必要
▼関連記事
Webライターの副業の始め方を解説|案件の探し方や収入を高めるコツを紹介
これらの副業は、育児の合間を縫って在宅でできるものが多く、育休中の限られた時間を有効活用できます。ご自身のスキルや興味に合わせて、挑戦してみてはいかがでしょうか。
育休中に副業を始める手順
育休中の副業は、収入の足しになるだけでなく、社会とのつながりを保ち、スキルアップにもつながる良い機会です。しかし、何から始めたら良いか分からない方もいるのではないでしょうか。ここからは、育休中に副業を始めるための具体的な手順を解説します。
1.会社の就業規則を確認する
まずは、会社の就業規則を確認することが大切です。副業が許可されているか、許可されている場合にどのような条件があるのかを確認しましょう。副業を禁止している会社もありますし、許可制の場合もあります。無許可で副業を始めてしまうと、後々トラブルになる可能性があるので注意が必要です。
就業規則に副業に関する規定がない場合でも、念のため人事担当者に確認することをおすすめします。口頭での確認だけでなく、記録に残るようにメールなどで確認しておくと、より安心です。
2.副業に必要な申請や報告を行う
会社の就業規則で副業が許可されている場合、または許可を得られた場合は、会社が定める申請や報告の手続きを行いましょう。副業の内容や就業時間などの報告が必要な場合があります。必要な書類や手続きについては、人事担当者に確認してください。
申請や報告を怠ると、就業規則違反となる可能性があるので、必ず会社の指示に従って手続きを行いましょう。
3.自分に合いそうな副業を選択する
育休中にできる副業はさまざまです。自分のスキルや経験、興味関心、そして育児との両立が可能かどうかを考慮して、自分に合った副業を選びましょう。どのような副業があるかは、「育休中にもできるおすすめの副業」のセクションで詳しく解説していますので、参考にしてください。
初めて副業に挑戦する場合は、ハードルの低いものから始めるのがおすすめです。たとえば、クラウドソーシングサイトで簡単なタスクをこなしたり、スキルシェアサービスで自分の得意なことを活かしたりするのも良いでしょう。
▼関連記事
自分に合った副業の探し方とは?選ぶ際のポイントや注意点も解説
4.収入目標・作業時間の計画を立てる
副業を始める前に、具体的な収入目標と作業時間の計画を立てましょう。育児との両立を考えると、無理のない範囲で計画を立てることが重要です。たとえば、「月に〇万円稼ぎたい」「1日に〇時間まで作業時間を確保できる」といった具体的な目標を立てることで、副業のモチベーションを維持しやすくなります。
計画を立てる際には、育児の状況や自分の体調も考慮しましょう。無理な計画を立ててしまうと、育児に支障が出たり、体調を崩したりする可能性があります。
5.副業先を探して仕事を始める
副業の内容が決まったら、実際に仕事を探します。副業マッチングプラットフォーム、クラウドソーシングサイト、求人サイト、スキルシェアサービスなど、さまざまな方法で副業先を見つけられます。応募する際には、自分のスキルや経験、希望する条件などを明確に伝えましょう。
副業先が見つかったら、契約内容をしっかりと確認することが大切です。報酬、納期、作業内容など、不明な点があれば必ず質問し、納得した上で契約を結びましょう。
育休中の副業は、新たな収入源となるだけでなく、自己成長の機会にもなります。計画的に進めることで、育児と両立しながら充実した時間を過ごせるでしょう。
育休中に副業をする際の注意点
育休中の副業は、収入アップや社会とのつながりを保つ上で魅力的な選択肢ですが、注意すべき点もいくつか存在します。知らずにいると、育児休業給付金が減額されたり、会社とのトラブルに発展したりする可能性もゼロではありません。ここでは、育休中に副業をする際に特に注意すべき3つのポイントを解説します。
年間所得20万円以上の場合は確定申告をする
副業による所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、税務署に申告する手続きのことです。育児休業給付金は非課税所得ですが、副業による所得は課税対象となるため、忘れずに申告を行いましょう。
引用:確定申告が必要な方(国税庁)
確定申告を怠ると、加算税や延滞税が課される可能性があります。確定申告の手続きは、税務署の窓口や郵送のほか、e-Taxを利用してオンラインで行うことも可能です。確定申告について不安な場合は、税理士に相談することも検討しましょう。
▼関連記事
【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要?20万円以下でも申告する必要があるケースとは
育児と両立できる範囲に抑える
育休中の副業は、あくまで育児の合間に行うものです。無理なスケジュールで副業を行うと、体力的にも精神的にも負担が大きくなり、育児に支障をきたす可能性があります。副業を始める前に、1日の作業時間や週の作業日数を明確に決め、育児と両立できる範囲に抑えるようにしましょう。
特に、乳幼児のお世話は24時間体制であり、睡眠不足になりがちです。副業に集中しすぎて、自分の休息時間を削ってしまうことのないように注意が必要です。家族の協力を得ながら、無理のない範囲で副業に取り組みましょう。
社会保険の加入条件を満たす副業は避ける
育休中は、会社の社会保険に加入したまま、保険料が免除されています。しかし、副業で社会保険の加入条件を満たすと、副業先でも保険料の支払い義務が発生します。育児休業給付金にも影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ控えることが望ましいです。
社会保険の加入条件は、週の労働時間や月の収入によって決まります。学生でない人が以下のいずれの条件も満たすと、副業先で健康保険・厚生年金保険への加入義務が生じます。
- 週の所定労働時間:20時間以上
- 企業の従業員数:51人以上
- 所定内賃金(月額):8.8万円以上
- 雇用期間の見込み:2か月を超える
引用:社会保険適用拡大特設サイト(厚生労働省)
副業を始める前に、社会保険の加入条件を確認し、加入条件を満たさない範囲で副業を行うようにしましょう。具体的な条件については、加入している健康保険組合や年金事務所に問い合わせることをおすすめします。
育休中に副業をすることは、経済的なゆとりを生み出すだけでなく、社会とのつながりを保つ上でも有効な手段です。しかし、育児休業給付金への影響や確定申告、育児との両立など、注意すべき点もいくつか存在します。上記の注意点を参考に、無理のない範囲で副業に取り組み、充実した育休期間を過ごしましょう。
育休中に副業をしたい人によくある質問
Q1.育休中の副業は会社に申請しないといけない?
育休中の副業を会社に申請する必要があるかどうかは、会社の就業規則によって異なります。法律上、育児休業中の副業は禁止されていませんが、多くの会社では就業規則で副業に関する規定を設けています。そのため、まずは自社の就業規則を確認し、副業に関する規定があるかどうかを確認しましょう。
就業規則に副業に関する規定がある場合、申請が必要なケースや、許可が必要なケースなど、さまざまなパターンが考えられます。申請が必要な場合は、会社の定めた手続きに従って申請を行いましょう。許可が必要な場合は、副業の内容や時間などを具体的に伝え、許可を得ることも大切です。
就業規則に副業に関する規定がない場合でも、念のため会社に相談しておくことをおすすめします。育児休業中に副業を行うことは、会社によっては好ましく思われない場合もあります。事前に相談しておくことで、後々のトラブルを避けられるでしょう。
Q2.保育園への申し込みに副業の影響はある?
保育園への申し込みに副業が影響するかどうかは、自治体によって異なります。
保育園の入園選考(利用調整)は、保護者の就労状況が重要な判断基準です。フルタイムではたらいている方が優先される傾向にありますが、なかには育児休業中でも副業によって就労状況が認められる自治体も存在します。
ただし、自治体によっては、育児休業中の副業を認めていない場合や、副業の収入額や労働時間によって選考に不利になる場合があります。そのため、保育園への申し込みを検討している場合は、事前に自治体の保育課などに確認し、副業が選考にどのように影響するかを確認しておきましょう。
育休中の副業について理解を含めて適切に行動しよう
育休中の副業は、収入を得ながら社会とのつながりを保ち、スキルアップも目指せる魅力的な選択肢です。しかし、育児休業給付金への影響や会社の就業規則、確定申告など、注意すべき点もいくつか存在します。本記事では、育休中に副業を行う際の注意点やおすすめの副業、始める手順を解説しました。
育休中に副業を検討する際は、本記事の内容を参考に、ご自身の状況や希望に合った副業を選び、無理のない範囲で取り組むようにしましょう。育児と副業のバランスを取りながら、充実した育休期間を過ごしてください。
▼関連記事
副業の始め方を4ステップで紹介|メリット・デメリットや注意点も解説
女性におすすめの副業!スキルアップ可能な仕事も紹介
この記事が気に入ったら「シェア」