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地方副業とは?注目されている背景、個人や企業が取り組むメリットとデメリットを解説
政府が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表したことなどを受け、近年、副業を解禁する企業が増えてきています。また、それに伴い、副業に興味を持ち、実際に取り組む個人も増えてきましたそうしたなかで、近年注目を集めているのが「地方副業」です。地方副業は、地方に所在する企業などから案件を受け、副業として業務に取り組むことです。コロナ禍を経てリモートワークが普及したことなどにより、都市部に住みながら地方副業に取り組みたいと考える個人が増えてきました。本記事では、地方副業とは何か、注目される背景や個人と企業それぞれにとってのメリットやデメリットなども含めて解説します。地方副業に興味がある個人の方、副業解禁や副業人材の活用に興味がある企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
複業とは?副業との違いや増加する背景、メリット・デメリットを解説
政府による働き方改革の推進によって副業に取り組む方が増えるなか、近年注目されているのが「複業」というはたらき方です。本業以外の仕事を行う「副業」とは異なり、本業を同時に複数持つ「複業」は、よりよいキャリアの形成や自分に合ったはたらき方の実現につながりやすくなります。 本記事では、複業の定義や副業との違いに加え、複業人口が増加する背景、複業に取り組むメリット・デメリットを解説します。本業以外の仕事を通じてスキルアップや収入アップを実現したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。 複業と副業の違い まずは複業と副業について、それぞれの定義やはたらき方を見ていきましょう。 複業とは 複業とは、端的にいえば「複数の本業を持つはたらき方」です。自身の経験や専門性を活かしながら、複数の業務を引き受け遂行します。特定の企業に在籍しながら他社の仕事を引き受けたり、特定の企業には所属することなく、フリーランスとして複数の取引先から仕事を引き受けたりといったさまざまなはたらき方が可能です。 引き受ける仕事はすべて本業であるため、専門性やプロ意識、コミットメントが求められます。もちろん従来の「副業」なら手を抜いてよいというわけではありません。それでも、複業として引き受ける仕事は、一つひとつを「本業」として扱い、成果を出すことが求められるといえるでしょう。また、複数の仕事を同時にスケジュール管理しながら進めていく必要があるため、より高い自己管理能力が必要になります。 副業とは 一方、従来の「副業」はあくまで本業に対するプラスアルファとして引き受ける仕事を指します。本業の活動時間を最優先に確保したうえで、空いた時間を活用して取り組むものだといえるでしょう。業務内容は、簡単な作業から一定の専門知識やスキルが求められるものまで業務内容はさまざまです。 前述の通り、副業だからといって手を抜いてよいわけではなく、取引先が求める基準を満たす必要があります。ただし、「複業」として取り組む業務に比べると求められる成果、時間や労力の基準は一般的に低い傾向にあるといえます。 その他の“複業”と似た言葉 “複業”に似た言葉は、副業以外にもいくつかあります。ここでは、代表的な例を3つご紹介します。 兼業:本業として2種類以上の仕事行うはたらき方 パラレルワーク:報酬の有無に関わらず、仕事と並行して活動(研究、社会貢献、ボランティアなどの非営利活動を含む)を行うはたらき方 リスクヘッジになる 雇用契約を結ばず、単発や短時間で業務を行うはたらき方 複業に似た言葉にはそれぞれ異なる意味があります。上記で紹介した以外にもさまざまな表現があるため、自分に合ったはたらき方に当てはまるものを、ぜひ探してみてください。 ▼関連記事兼業とは?副業との違いやできる条件・やるべきことを解説 パラレルワークと副業の違いは?急増の理由とメリット・デメリットを解説 複業人口が増加する背景 現代社会では、雇用形態やはたらき方の多様化が進んでいます。業務委託契約を結び複数の企業から案件を受注したり、正社員として企業に勤めながら別の企業の依頼を引き受けたりといったはたらき方が、今後も増えていくでしょう。 ここでは、近年複業人口が増加している背景として、以下の3点を解説します。 政府による働き方改革の推進 リモートワークの普及 企業による人材活用の多様化 順番に見ていきましょう。 政府による働き方改革の推進 まず挙げられるのが、政府による働き方改革の推進です。 少子高齢化によって生産年齢人口が減少するなか、日本経済や日本企業が成長を続けるためには、個人が今以上に能力を発揮できる社会にしていく必要があります。そのため、政府は働き方改革を通じて「多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」を目指しています。 出典:「働き方改革」の実現に向けて(厚生労働省) 企業による副業解禁が進むなど、個人がスキルや経験を存分に発揮できる環境が整ってきたことで、複業というはたらき方も広がりつつあるといえます。 リモートワークの普及 株式会社パーソル総合研究所の調査によると、2020年3月時点では13.2%だった正社員のテレワーク実施率は、2024年7月時点では22.6%に増加しています。 出典:「第九回・テレワークに関する定量調査」(株式会社パーソル総合研究所) 新型コロナ感染症の拡大により、リモートワークが普及したことは、複業人口の増加につながっていると考えられます。 複数の本業を持つ場合、それぞれのオフィスに出社しながら業務を行うのは簡単ではありません。勤務日程をうまく調整できればよいですが、同じ日に複数のオフィスに出社する必要がある場合、移動にかかる時間が長くなってしまいます。 リモートワークが普及したことで、遠隔でも電話やメール、チャットツール、Web会議ツールなどを活用してはたらくことが可能になりました。リモートワークの場合、移動時間を気にすることなくスケジュールを組めるため、これまでに比べ複業を実現しやすい環境になったといえるでしょう。 近年では、政府が推進する「地方創生」の一環として、地方企業が首都圏に居住する人材に業務を委託するといった動きも加速しています。人材が不足する地方企業にとって、リモートワークを活用した人材活用は重要な選択肢の一つとなっています。 企業による人材活用の多様化 複業や副業に取り組む個人が増えるなか、企業の人材活用方法を多様化しています。仕事の機会が増えることで、複業人口の増加がますます加速しているといえるでしょう。 パーソルキャリア株式会社が運営する、プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」が実施した調査によると、2022年度(2022年4月〜2023年3月)に副業人材の活用を開始した企業は、前年度比123%と大きく増加していたことがわかりました。また、すでに副業人材を活用している企業のなかでも、活用人数が増えている割合は62.8%にのぼっています。 出典:副業人材の活用が企業に与える影響を調査(パーソルキャリア株式会社) 副業と複業は異なるものの、各業界で人手不足が深刻化するなか、正社員採用にこだわらず柔軟に人材を確保する企業は今後も増えていくでしょう。企業による人材活用の多様化は、複業人口の増加をさらに加速させるはずです。 複業に取り組む4つのメリット 個人が複業に取り組めば、以下のようなメリットが得られます。 スキルアップにつながる 収入が増える リスクヘッジになる はたらき方の自由度が増す 順番に見ていきましょう。 スキルアップにつながる 複数の本業に取り組むことでより多くの経験が積めるため、スキルアップにつながりやすいでしょう。 一つの企業に長く勤め続けることで、仕事での視野が狭まることがあります。また、同じような業務を長く担当している場合、新たな学びを得られる経験も減ってしまいます。しかし、複業によって新たな仕事先を見つけることで、自身の視野や経験の幅が必然的に広がっていくでしょう。 また、プロフェッショナル人材としての活躍が期待される案件なら、従来の業務と比べてより大きな役割を任せてもらえる可能性があります。たとえば、経営者に近い視点で業務に取り組む経験ができれば、従来の業務にもポジティブな影響をもたらしてくれるはずです。 収入が増える 現在の仕事に加え、本業として新たな仕事に取り組むことで、収入を増やせる可能性が高まります。 「複業」として求められる水準の高い仕事にチャレンジすれば、ある程度まとまった収入を得ることができるでしょう。「副業」として募集されている仕事のなかには、専門的な知識や経験が必要ないため、報酬が低く設定されたものもあります。「複業」では、本業として業務に取り組むため、ハードルは低くないものの、報酬水準は一般的に高い傾向にあると考えられます。 また、複業を続けるなかで「別の業務で培った経験や知識が高く評価される」といった機会も増えるでしょう。本業を複数持つことで、それぞれの業務が相乗効果を生み出し、収入アップにつながることも期待できます。 リスクヘッジになる 複数の本業を持つ「複業」というはたらき方を選べば、一つの勤務先に依存することがなくなります。終身雇用に対する企業の姿勢が変化しつつあるなか、自身のキャリアを安定させるうえで重要な意味を持つでしょう。一社の経営環境が悪化し、仕事の継続が難しくなった場合でも、その他の仕事先の業務を増やすといった調整が可能です。また、複数の本業を持つことで人脈形成の機会が広がり、新たな仕事を紹介してもらえる可能性も高まります。 はたらき方の自由度が増す 複業に取り組むことで、結果的にはたらき方の自由度が増す傾向にある点もメリットといえるでしょう。複数の企業ではたらくためには、ワークライフバランスを考える必要があります。業務に費やせる時間や労力が限られているなか、複数の案件を行いながら最適なバランスを追求する必要があるからです。その結果、固定観念にとらわれることなく自由なはたらき方を選択できる可能性が高まります。 複業に取り組む3つのデメリット 一方、複業に取り組むうえでは以下のようなデメリットも理解しておく必要があります。 自己管理能力が求められる プロフェッショナルとしての活躍が期待される 確定申告などの対応が必要になる こちらも順番に見ていきましょう。 自己管理能力が求められる 複数の本業を同時並行で進める必要があるため、高い自己管理能力が求められます。多少のトラブルがあっても進行に支障が出ないよう、それぞれ余裕を持って進める必要があります。特にリモートで案件に取り組む場合は、上司や同僚のように同じ空間で業務に取り組む仲間がいません。進捗やスケジュールの管理は自分次第であるため、効率や優先順位を常に意識して業務に取り組む必要があります。 プロフェッショナルとしての活躍が期待される 複業に取り組む場合、すべての仕事が本業として扱われるため、高い専門性やコミットメントが必要となります。副業のなかには専門知識がなくても行える業務もありますが、複業では基本的にプロフェッショナルとして成果を出すことが求められます。 片手間のような感覚で臨むと、依頼元からの要求にうまく応えられないケースも出てくるでしょう。過去に培った知識や経験が活かせる案件を選び、適切にコミットメントしていくことが大切です。 確定申告などの対応が必要になる 収入源も複数になることが多い複業では、確定申告などの対応が必要になることがあります。複数の業務を行いながら、収入や・支出の管理や納税のための手続きを行う必要があるため、業務が煩雑になる可能性があります。 複数の業務を遂行しながら、さらにさまざまな対応が必要になる点には注意が必要です。 ▼関連記事【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要?20万円以下でも申告する必要があるケースとは 複業を始めるには? 初めて複業に挑戦する際、どのように始めれば良いのか迷うことも多いでしょう。以下では、複業を始めるための方法をご紹介します。 複業をする目的や目標を設定する まずは、複業をする目的や目標を明確にすることが重要です。たとえば、収入を増やしたい、スキルを磨きたい、新しい人脈を広げたいなど、複業を通じて得たいものを具体的に考えましょう。目的が明確になることで、仕事選びやスケジュール管理がしやすくなり、モチベーションも維持しやすくなります。 スキルを棚卸し、複業する仕事を決める 自分の持っているスキルや経験を棚卸しして、複業として取り組む仕事を決めましょう。これまでの職務経験や保有スキル、資格など自分の強みを活かせる分野の仕事を選ぶことが大切です。また、需要のあるスキルや今後の成長が期待される分野に目を向けることも有効です。 さらに、興味のある分野の仕事を選ぶとモチベーションを保ちやすく、複業を継続しやすくなるでしょう。 “副業”から始める選択肢もある いきなり複数の本業を持つことが難しい場合、まずは“副業”から始めるのも良い選択肢です。副業は本業の合間に取り組めるため、時間管理や体力の調整もしやすく、複業へ向けた準備として役立ちます。 副業を通じて得た経験や収入をもとに、次のステップとして複業に挑戦することも可能です。 ▼関連記事副業の始め方を4ステップで紹介|メリット・デメリットや注意点も解説 まとめ 本記事では、複業の定義や副業との違いに加え、複業人口が増加する背景、複業に取り組むメリット・デメリットを解説しました。 政府による働き方改革の推進やリモートワークの普及、企業による人材活用の多様化などにより、複業に取り組む人は今後も増えていくでしょう。スキルアップや収入アップ、キャリアの安定性向上など、さまざまなメリットがある複業ですが、自身の経験や知識を活かせる案件選びが重要になります。 パーソルキャリア株式会社が運営する、プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」では、副業・兼業案件から経営領域の高度な案件まで、自分のスキルにあったプロジェクトを探せます。自身の専門性を活かし、新たなはたらき方を検討したいという人はぜひチェックしてみてください。
副業の始め方を4ステップで紹介|メリット・デメリットや注意点も解説
政府による働き方改革や副業・兼業の推進により、副業を解禁する企業や副業を始める個人が増えています。働き方改革によって残業や休日出勤が減ったり、リモートワークによって通勤時間が減ったりしたことで、時間的な余裕が出てきた方も少なくありません。しかし、副業を始めたいと考えていても、「どのような副業を選ぶべきか」「最初に何をやればよいのか」などが分からず、なかなか一歩を踏み出せないものです。本記事では、副業の始め方を4ステップで紹介するとともに、副業に取り組む際のメリット・デメリットを解説します。時間を有効活用して副業を始めたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
はたらき方にはどんな種類がある?雇用形態や勤務時間による違いを解説
働き方改革が進み、ワークライフバランスの見直しやリモートワークが普及してきたことで、自分に合ったはたらき方を選べる環境が徐々に整備されてきました。子育てや介護、自己実現などのため、自分に合ったライフスタイルを構築したい人には追い風といえるでしょう。 そこで気になるのが、雇用形態や勤務時間といった諸条件による違いです。本記事でははたらき方の種類について、雇用形態や勤務時間などの観点から解説します。はたらき方を見直したいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。 はたらき方の種類にはどのようなものがある? はたらき方の種類や条件を知るうえで、最初に把握しておきたいのが以下の2点です。 雇用形態別のはたらき方 社会保険の適用有無 順番に見ていきましょう。 雇用形態別のはたらき方 主な雇用形態としては、以下の5種類があります。 正社員 契約社員 派遣社員 アルバイト・パート 業務委託(副業・フリーランス) ここでは、雇用形態別の特徴やメリット、注意点を見ていきましょう。なお、上記のうち業務委託は雇用形態ではなく契約形態の一種ですが、ここでは多様化するはたらき方の一つとして解説します。 正社員 厚生労働省の資料によると、正社員は以下3つの条件に該当する労働者を指すとされています。 労働契約の期間の定めがない 所定労働時間がフルタイムである 直接雇用である 出典:勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて(厚生労働省) 正社員としての勤務では、雇用が安定していることや、他の雇用形態と比べて収入が高い傾向にあること、福利厚生や待遇が充実している傾向にあることから、比較的安定した労働環境を得られるのがメリットです。一方、はたらく年数が長くなると給与が上がっていく傾向にあるため、短期的に収入を伸ばすのが難しいとされます。努力や結果に応じた収入を望む人は成果報酬制度がある企業などを探すと良いでしょう。 契約社員 契約社員は、期間が定められた「有期労働契約」による雇用形態を指します。労働基準法により、契約期間の上限は原則3年と定められています。ただし、専門的な知識や技術などを有する労働者、または満60歳以上の労働者と労働契約を結ぶ場合の上限は5年です。 契約社員のメリットは、正社員に近い待遇を得られることや、企業によっては転勤や異動の可能性が低いこと、労働期間の定めが明確なことなどです。しかし、有期契約であることから長期的な安定性があるとはいえず、計画的なキャリア設計が必要です。 派遣社員 派遣社員は、人材派遣会社(派遣元)などと雇用契約を結んだうえで、人材派遣会社を通じてほかの会社に派遣されるはたらき方をいいます。派遣期間の上限は原則3年となっており、賃金は派遣元の会社から支給されます。ただし、派遣社員に対して指揮命令を行うのは派遣先の会社です。 派遣社員のメリットは、ライフスタイルに合わせて派遣先を選びやすいことや、アルバイトやパートと比べると賃金が高い傾向にあることなどです。一方、派遣期間に上限があるため、契約社員と同じく安定性があるとはいえないでしょう。 アルバイト・パート アルバイトやパートは、1週間あたりの所定労働時間が同一事業所における通常の労働者よりも短い雇用形態を指します。給与は時間単位で計算されるのが一般的です。 アルバイトやパートとしてはたらくメリットは、自分のライフスタイルに応じて労働時間を調整できることや、転勤や異動が基本的に発生しないことなどです。一方、一般的には責任のある仕事を担当できる機会が少ないとされているため、キャリアアップにつながりにくい点を理解しておく必要があります。 業務委託(副業・フリーランス) 業務委託は、副業を行う個人やフリーランスが企業などと業務委託契約を結び、業務に従事するはたらき方です。雇用関係はないため、厳密には雇用形態ではなく契約形態の一つです。副業の場合、本業を続けながら空いた時間で業務に取り組むのが一般的で、フリーランスの場合は個人事業主として業務を受託し、複数企業と契約することも珍しくありません。 業務委託のメリットは、自分のペースで業務に取り組みやすいことや、努力した分がそのまま収入につながりやすいことです。一方、雇用関係ではないため、案件が単発で終了するものもあります。事前に単発案件なのか継続案件なのか確認しましょう。 社会保険の適用有無 はたらき方を選択する際は、社会保険の適用有無を確認しておくことも重要です。社会保険とは、健康保険や厚生年金保険などの公的な保険制度を指します。また、雇用保険と労災保険を含む「労働保険」の適用有無も確認しておきましょう。 社会保険や労働保険の適用有無は、雇用形態の違いだけによって決まるものではなく、業種や雇用人数、労働時間などさまざまな要素によって決まります。一般的には、正社員であれば健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険などの適用対象となるケースが多いため、より安心してはたらける環境だといえるでしょう。短時間勤務の正社員や契約社員、パート・アルバイトの場合は適用条件が定められており、勤務先への確認が必要です。 勤務時間・勤務地・給与制度におけるはたらき方の違い ライフスタイルに合わせてはたらき方を考える場合、雇用形態のほかに以下の3つの要素にも着目するとよいでしょう。 勤務時間 勤務地 給与制度 ここでは、それぞれの観点ではたらき方の種類やメリット、注意点をご紹介します。 勤務時間による違い 勤務時間という観点では、大きく4つのはたらき方が挙げられます。 固定時間制 変形労働時間制 フレックスタイム制 裁量労働制 順番に見ていきましょう。 固定時間制 固定時間制は、会社が定める所定の曜日や時間に勤務する形態のことです。後述するフレックスタイム制などの導入も最近では進んでいますが、正社員としての雇用であれば固定時間制が基本となっているケースはまだ多いでしょう。予定が立てやすい反面、業務量やプライベートの事情に応じた柔軟なはたらき方が難しいというデメリットがあります。 変形労働時間制 変形労働時間制は、1か月や1年など一定の期間内における総労働時間をあらかじめ定め、その枠内で勤務する形態です。シフト制の仕事や季節によって繁閑の差が大きい業種や職種などに適したはたらき方とされています。繁忙期に勤務時間を増やし、閑散期に勤務時間を減らすといったメリハリのあるはたらき方が可能な場合があります。 フレックスタイム制 フレックスタイム制とは、一定期間において定められた総労働時間のなかで、労働者自身が日々の労働時間を自由に決められる制度です。フレックスタイム制を導入している企業の多くは、勤務を必須とする時間帯として「コアタイム」を設けています。 例えば、フレックスタイム制では、ラッシュアワーを避けて出退勤をするといった柔軟なはたらき方が可能です。コアタイムが10時〜15時だった場合、10時以前および15時以降の勤務時間を自由に決められます。身体的な負担やストレスが軽減され、仕事のパフォーマンスが向上する可能性もあるでしょう。 裁量労働制 裁量労働制はみなし労働制とも呼ばれ、実際の勤務時間にかかわらずあらかじめ定められた労働時間分の勤務を行ったとみなす制度です。例えば、労働時間を1日8時間と定めた場合、実際の勤務時間が8時間未満だったとしても所定時間通り勤務したものとみなされます。 厚生労働省のサイトによると、具体的には以下3つのパターンがあります。 事業場外みなし労働時間制 専門業務型裁量労働制 企画業務型裁量労働制 出典:労働時間・休日(厚生労働省) 事業場外での勤務により労働時間の算定が困難な場合や、使用者が具体的な指示をしない専門業務・企画業務などを行う場合が想定されています。 勤務地による違い 近年では、リモートワークの普及によって勤務地に制約されないはたらき方も可能になりました。ここでは出社型、リモートワーク型それぞれの特徴を見ていきましょう。 出社型 出社型とは、従来のはたらき方ともいえる「オフィスへの出社」を前提とする勤務形態です。出社が必要なため、通勤にかかる時間や負担はデメリットといえます。しかし、上司や同僚と適宜コミュニケーションを取りながら業務を進められる点や、仕事とプライベートのオンとオフを明確に切り替えられる点はメリットです。製造業の技能職や小売業の販売職など、リモートワークの導入が難しい業種や職種では、出社型の勤務が一般的です。 リモートワーク型 リモートワーク型とは、オフィス以外の場所で業務を行うはたらき方のことで、テレワークとも呼ばれます。従来はWeb関連の職種やシステムエンジニア、プログラマー、デザイナー、カスタマーサポートなどの職種で利用されていましたが、新型コロナ感染症の拡大をきっかけに幅広い職種で活用が始まりました。すべての勤務をリモートワークにするのではなく、必要に応じて使い分ける「ハイブリッド型」も広く利用されています。 リモートワークのメリットは、出社が不要なため時間的、体力的な負担が軽減されることです。ただし、集中できる環境づくりやオンとオフの切り替えが難しい点には注意が必要です。 近年ではリモートワークで対応可能な副業や兼業を始める人も増えています。出社が不要なため本業を続けながら取り組みやすく、新たなスキルアップや収入アップの機会となっています。 給与制度による違い 給与制度は、大きく分けて固定給と歩合制の2種類があります。それぞれの特徴やメリット、注意点を見ていきましょう。 固定給 固定給とは、一定の時間・期間の勤務に対して事前に定められた金額が支払われる給与制度です。収入が安定しやすい点はメリットですが、成果に応じて収入が変動するわけではないため、モチベーションが上がりにくいという面もあります。営業職などにおいては、後述する歩合制と組み合わせることも少なくありません。 固定給のなかでは月給制や時給制が一般的ですが、ほかにも年俸制や日給制などがあります。年俸制とは、給与の年間支給額を定め、その総額を月ごとに分割して支給する制度です。日給制とは、1日あたりの給与が事前に決められている制度です。ただし、1ヶ月分まとめての支給になるなど都度支払いではないケースも多いため、確認をするようにしましょう。 歩合制 歩合制では、仕事の量や達成した成果に応じて給与が変動します。勤務先に貢献した分だけ収入に反映されるため、モチベーション高く業務に取り組める点はメリットです。ただし収入の安定性には欠けるため、特に完全歩合制の仕事を選ぶ場合などは慎重に検討しましょう。 まとめ 本記事では、はたらき方の種類について、雇用形態や勤務時間などの観点から違いを解説しました。 はたらき方を選ぶ際には、雇用形態や社会保険の適用有無、勤務時間、勤務地、給与制度、自分がどのようなキャリアやライフスタイルを望むのかといったさまざまな観点で検討することが大切です。 近年では、固定時間制かつ出社型の勤務以外にも多様なはたらき方が可能になりました。正社員としてはたらきながらリモートワークで副業や兼業に取り組む人や、フリーランスとして独立を選ぶ人も増えてきています。 本コラムを参考に、自分がどのようなはたらき方を望むのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。









