秋田 株式会社宮腰デジタルシステムズ

グリーン調達への対応をゼロからスタート。
基礎知識のインプットから実務まで
納得度の高い支援を受け、自走できる組織に成長。

Profile

企業

社名:株式会社宮腰デジタルシステムズ
所在地:秋田県横手市
業務内容:デジタルオンデマンド印刷機の設計・製造・メンテナンス
従業員数:100~300名未満

プロ人材

名前:Sさん(フリーランス)
居住地:埼玉県
経歴:大手電機メーカーで生産技術部15年、調達部4年担当後、製品環境部でELV規制、RoHs指定への対応に従事。 重金属などの化学物質の含有基準を「グリーン調達基準表」にまとめ、 サプライヤーに対してのELVやRoHsにおける指導を行ってきた。
<プロ人材としての活動>
業務内容:グリーン調達や規制物質に関する知見提供とコンサルティング、自走するための体制整備
活動頻度:月2回
活動方法:リモート

  • 業界内に浸透し始めた
    「グリーン調達」への対応に苦慮。
  • 勉強会を通して得た専門知識を、
    業務に活かせる社員を育てる。
  • 6ヶ月で高い成果を出すためには、
    下準備が不可欠。
  • プロジェクトに参画したメンバーが、
    社内で講師を務めるまでに成長。

1)プロ人材活用の背景

業界内に浸透し始めた
「グリーン調達」への対応に苦慮。

 当社は、産業用の印刷機を製造・販売している株式会社ミヤコシ(千葉県/1946年創業)のグループ工場、製造拠点の一つとなる会社です。オンデマンド印刷を行う、産業用インクジェットプリンターの設計・製造・保守をしており、国内だけでなく海外にも取引先があります。

 今回、当社がプロ人材の活用に至ったのは、「グリーン調達」に関してどう対応してよいのか苦慮したためです。以前から規制物質に関する問い合わせはありました。ただ、海外のお客様が中心で、問い合わせをいただく頻度や規制物質の範囲が限られていたため、当時はさほど問題ではありませんでした。ところがここ数年、国内でもグリーン調達が浸透し始め、「規制物質は、御社の製品の中に入っていますか?」「使われていますか?」といった問い合わせが増えてきました。さらに大手のお客様は、グリーン調達について独自のルールを作成し、私たち製造側に順守するよう依頼が届くようになりました。当社には担当部署もなかったため、次第に対応しきれなくなってきていました。

専門知識・経験を持つ人材の採用や教育は困難。

 お客様からグリーン調達のルールを示されても、どうやって規制物質の有無を調べていくのか、どのように回答すればよいのか、まったくわかりませんでした。専門知識を持つ社員はいませんし、社内で教育することも、急ぎ中途採用することも困難です。部品メーカーや代理店に回答してもらえないかお願いしてもみましたが、前向きな回答は得られませんでした。そこで、これはもうプロ人材の方にお願いしようと判断しました。

2)プロ人材の選定と決め手

求めるのは、
基本のキから教えてくれる専門家。

 まずは副業の受け入れではどうかと、取引のある金融機関から人材サービス会社の紹介を受けて、何名かWeb面談もしてみました。しかし、いずれも「うちの会社とは合わなそうだ」「長続きしない気がする」という感触でした。
 というのも、当社としては、グリーン調達の“基本のキ”から教えてくれる人を求めていました。たとえ何も知らない社員が的外れな質問をしても丁寧に説明してくれる…といったイメージですが、それにかなう方はなかなかいませんでした。そもそもニッチな分野のプロフェッショナルを探していますし、その上、未経験者への教育が重要という要件は難しかったのでしょう。

求めているプロ人材と出会い、
1回の面談で即決。

 求める人材に2年ほど出会えない状態が続いていた中、HiProの存在を知り、初めて面談させていただいたのがSさんです。Sさんは、大手電機メーカーでRoHs(EUによる電子・電気機器における特定有害物質の使用規制)の対応に携わり、重金属などの含有基準を「グリーン調達基準表」にまとめた経験もある方です。基本のキから学びたい私たちに対し、「一緒に勉強していきましょう」とおっしゃってくれたのが、Sさんに依頼する決め手となりました。その姿勢こそ、私たちが求めているものだったからです。「やっと見つかった!」と思い、社内プロセスを一つ飛ばして即決しました。

3)依頼した業務、業務を進める上での工夫

勉強会を通して得た専門知識を、
業務に活かせる社員を育てる。

 私たちがまず依頼したことはグリーン調達の勉強会です。RoHsやTSCA(有害物質規制法)、REACH(化学品の登録、評価、認可および制限に関する規制)、ストックホルム条約といった専門用語の解説をお願いしました。用語の意味だけであれば、ネットなどですぐに探せますが、それを読んでも現場の社員たちにはピンときません。規制に至った経緯を知り、自分たちの業務に当てはめて理解し、納得がいくまで質問をする。こうした特別な教育は、プロ人材に依頼したからこそできたことです。
 勉強会はリモートでしたが、支援を受けた6ヶ月の間に2回ほど秋田に来ていただきました。製造現場を見てもらったり、社員と対面でやりとりしたりと、2回でもこうした機会が持てたのは、業務上とても有効だったと思います。

6ヶ月で高い成果を出すためには、
下準備が不可欠。

 最初の2ヶ月くらいはほぼ勉強会。その後、実務への落とし込みをしていきました。
 自分たちの業務や、グリーン調達に関する問題点をSさんへ報告し、アドバイスをもらう形です。あらかじめ教えてもらいたいこと、サポートが必要なことをSさんに投げかけておくのが基本です。Sさんからはミーティング前に投げかけに対する回答を含む資料が届くので、当社で内容を吟味して、「じゃあミーティングでは○○を聞こう」と準備をしました。月2回のミーティングでは、Sさんのレスポンスを受けながら、ディスカッションを進めました。「アドバイスをもらったけれど現状にそぐわない部分があります」「当社でそこまでやるのは難しいです」というところから、「ではどうすればよいか」を一緒に考えていきました。Sさんから支援を受ける前に、私たちがどれだけ準備できるかが、よりよい成果を出すカギだと思います。
 グリーン調達に関しては、現在進行形でお客様から依頼や問い合わせが届きます。それらの対応をどうするかもSさんから学べたので、実際の業務の中で応用しながら、徐々に知見が積み上がっていきました。

4)得られた成果

プロジェクトに参画したメンバーが、
社内で講師を務めるまでに成長。

 今回のプロジェクトに参画したのは、機械部門と電気部門から選抜された若手社員2名。加えて、グリーン調達の担当部署になった事業部の管理職1名です。この3名が、半年の間に当社におけるグリーン調達の専門家に育ったと言えます。電気部門から選抜された社員は、自分が得た学びをもとに部内で勉強会を開き、講師役を担うまでに成長しました。このようにグリーン調達という専門知識が、社内で共有されていくことは、今後当社にとって大きな力になると思います。
 また、たとえ何かわからないことが出てきても、どのように調べればよいのかをSさんに教えてもらっているので自走できます。Sさんは単に答えを教えるだけではなく、「答えを見いだす方法」を教えてくれました。

業務の効率化のために、
グリーン調達の資料をデータベース化。

 グリーン調達に関する項目は、日々更新され、追加されていきます。その都度、調査して回答していくというのは、当社としても効率が悪いですし、問い合わせをしてきたお客様から見ても煩雑なのでは?という課題がありました。その点については、現場にいる社員とSさんとの間でディスカッションが重ねられ、調査した資料をデータベース化し、簡単に閲覧できるよう仕組みをつくりました。データベースで情報を一覧できるようになり、とても助かっています。

新たな選択肢を得たことで、
問題が出現しても不安感を持たずにいられる。

 今回のプロ人材活用で変化を感じることは、新しい問題が出現しても不安に陥らなくなったことです。それは、グリーン調達に関して、社内で自走できる状況になったというだけではありません。今後、他の部門や業務で何か問題が生じても、プロ人材を活用すればよいという新たな解決方法を知ったからです。
 今後は、間接部門の効率化、さらにはDXの推進といった大きな課題においても、プロ人材の活用を選択肢の一つとして検討していきたいと考えています。