OEM製造の経験を活かし、化粧品の自社ブランド立ち上げに挑戦。
経験豊富なプロ人材の支援によって、異例の6ヶ月で商品開発が完了。
企業
社名:株式会社日本システムグループ
所在地:愛媛県西条市
業務内容:化粧品製造、電子機器製造
従業員数:50名未満
プロ人材
名前:Nさん(フリーランス)
居住地:東京都
経歴:化粧品・ヘルスケア業界で30年にわたりBtoBおよびBtoCにおける商品企画、製品開発、購買、在庫管理、生産管理、品質管理などに従事。ブランドの立ち上げからOEM責任者、企画開発部長、取締役までを経験。化粧品製造販売業の免許申請や商品の自主回収にも従事。
<プロ人材としての活動>
業務内容:自社ブランド商品の開発支援、化粧品製造販売業許可の申請に関するアドバイスとライセンス維持のための体制構築支援
活動頻度:月2回
活動方法:リモート
- 「当社ならではの取り組み」のため、
自社ブランドの化粧品開発に挑戦。 - 早期のロードマップ作成と適切な役割分担により、
6ヶ月で商品開発が完了。 - 課題解決に向け、
プロ人材と密に連携。 - 技術や設備面でも、
自社の強みと新たな可能性を確信。
1)プロ人材の活用背景
「当社ならではの取り組み」のため、
自社ブランドの化粧品開発に挑戦。
当社は1990年に設立以降、電子部品の組み立てや光学機能性フィルムの加工、医療用具など、時代の先を行く特殊な製品の製造を手掛けてきました。自社の技術や設備で何が作れるか常に模索しながら、時代と共に新しいニーズに対応していく姿勢は、当社の特長と言えます。2015年からは、化粧品のOEMメーカーとして不織布を使ったフェイスマスクの製造を開始。今では化粧品製造が事業の柱となるまでに成長しています。
しかし、OEM商品の受注生産は委託元の需要に応じて生産量が変動するため、どうしても受注に波があり、他のOEMメーカーとの競争にもさらされます。そうした中で、会社が継続的に成長し続けるためにも、当社ならではの取り組みの必要性を感じるようになりました。そこで考えたのが、培ってきた技術や当社の設備を活用した自社ブランド化粧品の開発です。当社が所在する西条市は、うちぬき水(西条市に広範囲に湧き出る自噴水、名水百選にも選ばれている)で有名な地域。「この名水を使って自社ブランドの化粧品を作りたい」というアイデアも社内から出てきており、商品開発に対する意欲が高まりつつありました。
自社ブランド立ち上げのノウハウを求めて、
初のプロ人材活用を決断。
当社には、OEM製造で培った技術や実績、工場設備がある。そして、自社ブランドを立ち上げたいという想いがある。しかし、商品を一から開発し、製造・販売まで実行に移すノウハウはありません。また、化粧品の製造事業許可は取得していましたが、自社ブランドの商品を販売するには、新たに化粧品製造販売許可も取得しなければなりません。商品開発も許可取得も課題は見えているものの、何から手を付けたらよいのかわからず、解決の術を見つけられない状況が続いていました。
そうした事情を取引先の金融機関に相談したところ、解決方法の一つとして提案を受けたのが、「プロ人材の活用」でした。これまで外部の人材から支援を受けたことはなかったため、社内に不安の声がなかったと言えば嘘になります。ただ、まずはやってみることが大切だという想いで社内に説明し、契約期間なども熟考した上で、最終的にプロ人材の活用を決めました。
2)応募状況・決め手
経験やノウハウの豊富さはもちろん、
求めたのは伴走してくれる人材。
ノウハウがない状態からの自社ブランド立ち上げです。人選に際しては、商品開発から販売に至るまでのすべての過程において、専門的な知見や経験を持っている方を求めていました。また、一方的に助言や指示を受けるのではなく、私たちと一緒になって取り組んでもらえる方にお願いしたいと考えていました。
面談したのは2名で、いずれも化粧品業界で経験の長いプロ人材でした。迷いましたが、最終的に、商品開発に加えてマーケティングや販売後の顧客対応の経験も豊富で、より幅広く全体を支援いただけると感じたNさんにお願いすることに決めました。
3)依頼した業務、業務を進める上での工夫
早期のロードマップ作成と適切な役割分担により、
6ヶ月で商品開発が完了。
プロジェクトは、Nさんに本社や工場・設備を見学していただくところからスタートしました。その後、当社が抱えている課題のすり合わせを行い、ロードマップの作成に入りました。
商品開発は通常1年はかかるものだそうです。ただ、プロ人材活用が初めての当社としては、実際どのように支援してくれるのか想像しきれず、不安が残ったこともあり、最初の契約期間は6ヶ月に留まりました。そのため、通常1年かかる商品開発を6ヶ月で形にする見通しを立てる必要がありました。
異例のスケジュールです。しかし、早期にロードマップを作成し、役割分担をした上で分業しながら進行できるようNさんに設計いただいたことで、月に2回実施するリモート会議では、各回で具体的な議論を進め内容を詰めることができました。
具体的には、「うちぬき水の特質を活かせるのはどんな商品か?」の検討から始まりました。その後も、市場調査、商品設計、資材の選定・調達、製造工程の決定、ネーミングやパッケージデザインなどを、Nさんにリードいただきながら進行。自社ブランド商品「えひめ西条のうちぬき水で作った化粧水」は、当初の計画通り6ヶ月で商品開発が完了しました。
課題解決に向け、プロ人材と密に連携。
商品開発に直接携わったのは、製造工程のリーダー3名を含めた6名のチームです。加えてNさんとの窓口として営業企画の部門長が立ちました。部門長がキーパーソンとなり各担当者の意見を聞き、取りまとめる体制を組むことで、Nさんとスピーディーかつ密にコミュニケーションが取れるよう考慮しました。
ただ、経験がないがゆえに、無理を言ってしまったこともあったかもしれません。難しい調整が発生した際は相談させていただきながら、一つひとつ課題をクリアしていきました。うまく連携できたからこそ、スケジュール通りに進行できたと感じています。
化粧品製造販売許可もNさんのアドバイスを受けながら無事に取得できました。申請時に品質管理担当を実務役として立てたことで、今後、ライセンスが維持できる体制も構築できました。
4)得られた成果
プロ人材と共に商品開発に取り組んだ経験が、
今後の糧になる。
今回プロ人材を活用してみて強く感じたことは、圧倒的な専門性です。(やわらかな軟水という)うちぬき水の性質を活かすべく、「しっとりさせたいなら○○の配合、さっぱりさせたいなら○○の配合」と成分配合を提案してくれたのは、専門家ならではです。他にも、原料調達先の選定などは当社の意見や事情を踏まえて、最適解に導いてくれました。これまで多くの人や企業と協業しながら活躍してきたプロ人材の経験やネットワークがものをいう仕事ぶりでした。
当社は商品開発のノウハウを持っていなかったため、「自社ならではの取り組み」になかなか踏み出せずにいましたが、今回Nさんに伴走いただいたことで、最初の1歩目、2歩目を踏み出すきっかけになったと感じています。商品開発の過程を当社の担当者が共に経験できたことは、今後自社ブランドの化粧品事業を軌道に乗せていく上で大きな力になります。
企業を取り巻く環境が変化する中で、
新たなノウハウ・知見を得られる有益性。
これまで培ってきたノウハウを長所として活かすのは当然として、環境が大きく変化する中で、それだけでは企業としての存続が難しくなりつつある時代です。そうした状況下において、プロ人材からの支援を通して自分たちにないノウハウや知見を得られることは、非常に有益だと感じました。
現在は、商品が完成した段階です。今後、販売ルートの開拓や販売開始後の顧客対応など、新たな業務が始まりますが、Nさんには引き続き支援をお願いする予定です。
技術や設備面でも、
自社の強みと新たな可能性を確信。
以前、液晶フィルムを製造していた関係で、当社には広いクリーンルームがあります。化粧品のOEMメーカーで、これだけの施設を持っているところは珍しく、独自の製造技術もあると自負していましたが、Nさんからも「もっとアピールしましょう」「この設備や技術を活用したいと考えるお客様は、もっとたくさんいると思います」と嬉しい言葉をいただきました。私たちが当たり前のように受け止めている環境や技術も、外から見ると強みになるのだと改めて気づかされました。Nさんからの支援を通して、自社商品の開発はもちろん、OEMメーカーとしても新たな可能性があることを確信させてもらいました。