賞味期限を延長し、商品をより多くのお客様に。
期限設定における試験方法を第三者視点で評価。
2か月半でプロジェクトが完了し次のステップへ。

企業
社名:株式会社フジバンビ
所在地:熊本県熊本市
業務内容:菓子製造販売・食品販売
従業員数:50~100名未満
プロ人材
名前:Sさん(フリーランス)
居住地:埼玉県
経歴:大手菓子メーカーにて、研究・開発、製造技術、商品企画、品質保証を経験。製造・仕入れ委託先企業に対しての品質監査、規格の導入指導などに精通し、食品関連企業の品質保証体制の構築にも携わる。
<プロ人材としての活動>
業務内容:製造プロセスの確認と分析、分析に基づいた改善策の提案、賞味期限設定における試験方法の確認と実施の支援
活動頻度:月16時間程度
活動方法:リモート・対面
- 賞味期限延長にあたり、
試験方法を客観的に評価する専門人材が必要。 - 大手菓子メーカーでの
豊富な経験と人柄が決め手。 - 賞味期限設定における試験方法の正しさの確証を
得て、次のステップへ前進。 - ピンポイントの課題解決に、
プロ人材活用は有効。
1)プロ人材活用の背景
一般流通にのせるには賞味期限が短い
「ドーナツ棒」。
1948年創業の当社は、「黒糖ドーナツ棒」で知られる菓子製造・販売会社です。主力商品の「黒糖ドーナツ棒」は1987年以来のロングセラー商品で、九州ご当地ドーナツ棒などシリーズ商品も展開しています。
課題となっていたのは、この「ドーナツ棒」の賞味期限でした。「黒糖ドーナツ棒」は120日、他のドーナツ棒シリーズは90日が賞味期限です。土産物としては十分な長さですが、一般流通にのせて小売店で販売する場合には短く、棚に陳列できる期間が限定されます。スーパーなどの菓子売場に並ぶ商品の賞味期限は最短でも180日以上が求められています。売場に陳列されお客様の目に留まる期間が他商品の半分以下では、販売チャンスを逃しやすく、販売実績や売上に大きな影響があります。コロナ禍以降、より広く多くのお客様に「ドーナツ棒」を届けたいと思い、一般流通にも販路を広げましたが、賞味期限の短さについては取引先からも多数の意見が寄せられていました。
賞味期限延長にあたり、
試験方法を客観的に評価する専門人材が必要。
賞味期限延長を喫緊の課題とし、具体的に動き出したところ浮かび上がってきたのが、当社の賞味期限設定とそれに伴う試験方法を客観的に評価し、確かさを保証する専門人材の必要性でした。当社は創業以来、食の安全・安心を守ることを最優先に取り組んでいるため、既存商品の賞味期限延長という新しいプロジェクトを進めるにあたっては、より慎重に進めたいと考えたからです。どうすればよいかと思案していたところ、親会社(九州旅客鉄道株式会社)から「HiPro」を紹介され、プロ人材活用という新たな手法を試してみることに決めました。
2)応募状況・決め手
大手菓子メーカーでの
豊富な経験と人柄が決め手。
賞味期限の設定は、食品の特性やさまざまな要因を考慮し決める必要があります。消費者庁が定めたガイドラインはあるものの絶対的な方法はなく、各メーカーがガイドラインを踏まえて試験を行い、客観的な根拠に基づいて設定することになっています。当社のやり方はローカルルールでないか、広く菓子製造業界で見た場合にも適正なものかを評価いただくために、菓子製造における豊富な経験・知見がある方に参画いただきたいと望んでいました。
スキル・条件に合う方が複数人いた中で、Sさんは大手菓子メーカーで幅広い業務を経験されており、また当社とも取引がある原材料メーカーで品質管理の責任者をしていたこともある方でした。私たちの事業についても理解があることに加え、柔和な人柄が当社ともマッチすると思い、迷うことなく決定しました。
Sさんは商品群の多い大手菓子メーカー出身のため、培ってきた経験値がとても魅力的だと感じました。その経験をもとにした視点があるからこそ、私たちが求めていた形で支援いただけたと振り返って強く感じています。また、初めてのプロ人材活用でしたが、一緒に課題解決していく上でコミュニケーションが重要だということを再認識しました。その点でも話しやすい雰囲気のSさんを選んだことはよかったと思います。
3)依頼した業務、業務を進める上での工夫
リモートと対面を使い分け、
プロ人材と密に連携。
賞味期限の延長には、現在の賞味期限以上の保存期間における品質の変化を試験し、その結果を検査機関に提出した上で期限延長を決定する必要があります。Sさんに依頼した業務は、当社で実施する試験の方法・手順などが適正かどうか、第三者視点で評価してもらうことです。
約2か月半の支援期間中に計5回のミーティングを実施しました。初回は当社にお越しいただき、工場や製造現場を確認しつつ、当時抱えていた課題の共有や意見交換をしながら、進め方の目線合わせを行いました。2回目~4回目は、具体的な試験方法・手順の確認や、包装を含めた商品改良に関するディスカッション、仮説に基づいて行った実証実験の結果報告などを、リモートミーティングで実施。最後の5回目は再度当社にお越しいただき、最終的な評価を提示いただきました。
ミーティングには、社長、総務推進部の役員の他、商品開発と品質保証の担当者も参加しました。商品に携わるさまざまなポジションの従業員が、それぞれの立場からSさんに直接質問をし、疑問や懸念点を払しょくできたことはとても有意義でした。約2か月半という短い期間かつ半分以上はリモートでのやりとりでしたが、初回に工場や製造現場をご覧いただく機会を設けたことが功を奏して、コミュニケーションミスなども起こらず、予定通りにプロジェクトを進めることができました。
4)得られた成果
賞味期限設定における試験方法の正しさの確証を得て、次のステップへ前進。
結果的にSさんからは、「賞味期限設定における試験方法は適正である」という評価をいただき、正しさの確証を得ることができました。「安全・安心」が担保できたことで、いよいよ次は実際に各商品の賞味期限を延長する段階に移っていきます。今回は、試験や手順に関する確認がメインでしたが、Sさんからは他にも、賞味期限を延長するための「商品設計」に関する有効なアドバイスをもらうことができました。今後新たな商品を生み出していく上でも活かせる、プラスアルファの成果が得られたことは嬉しい驚きでした。

ピンポイントの課題解決に、
プロ人材活用は有効。
当社のような規模の会社は、一人が何役も担当することが多く、忙しい日々の中で、専門的な知見を蓄積していくことは容易ではありません。とはいえ、今回のようなピンポイントな課題が生じた場合、新たに専門性を持った人材を雇用することも難しく、課題解決がなかなか進まないというケースは少なくないと思います。そうしたときに、課題をピンポイントで切り出し、解決に導いてくれるプロ人材の存在はとても有意義なものだと感じました。
今回依頼した領域だけでなく、たとえば商品開発のプロジェクトマネジメントやサプライチェーンマネジメント、あるいは海外に向けた販路拡大計画など、知見やノウハウを求めている領域はさまざまあります。今後もプロ人材を一つの有効な選択肢として、活用を検討していきたいと考えています。