熊本 かねくら株式会社

ECサイトの改善・強化で新規顧客獲得を目指す。
人材教育やオペレーション改善にも取り組み、
出荷件数が2倍に伸長。

かねくら株式会社

Profile

企業

社名:かねくら株式会社
所在地:熊本県熊本市
業務内容:オーガニック流通事業(ショッピングモールの運営、オーガニック食品の小売・加工・卸し)、オーガニック不動産事業
従業員数:50名未満

プロ人材

名前:Hさん(副業)
居住地:千葉県
本業の業種:保険・金融関連
本業の仕事:新規事業開発、事業企画
本業の従業員数:500~1,000名未満
<プロ人材としての活動>
業務内容:ECサイトの改善・強化やSNSを活用した新規顧客獲得の支援、各ツールの活用方法と人材教育支援
活動頻度:月20時間程度
活動方法:リモート・対面

  • 新規顧客獲得に向けECサイトの改善・強化が
    急務となるも、スキルが不足。
  • 人選は、レスポンスの速さと
    話のわかりやすさが決め手。
  • ECサイト構築を外部に任せるのではなく、
    自走できる組織を目指す。
  • 出荷件数が2倍に伸長。
    オペレーションも効率化され繁忙期を乗り越える。

1)プロ人材活用の背景

熊本の自然を活かした
オーガニック食品を産直で販売。

 設立から55年を迎える当社は、熊本に根差し事業を展開してきました。20年ほど前からはオーガニック商品に特化した「ピュアリィ事業」を展開。地元・熊本で有機農業を営まれる農家の方々と契約し、野菜や米、醸造品、オリジナル食品などを実店舗と自社ECサイトで販売しています。オーガニック商品は流通の仕組みによって高価格帯になる傾向にありますが、当社では産直にこだわることで、より多くのお客様に届けることを目指しています。

新規顧客獲得に向けECサイトの改善・強化が
急務となるも、スキルが不足。

 3年前、自社ECサイトの機能拡充のため、世界規模で展開しているノーコードでサイト構築ができる大手ECプラットフォームに移行しました。当社で扱う商品は野菜や米といった生鮮食品が中心です。契約農家さんに作付けを依頼し、育てていただいたものを仕入れて販売しますが、天候などの自然条件の影響を受けるため、計画的な在庫管理は容易ではありません。そうした生鮮食品を扱うことで生じるECサイトの構築や運営に関する課題もさまざまありました。ECサイトを移行したのも、そうしたサイト構築や運用をできるだけ簡単にし、新規のお客様にも選ばれるECサイトに改善・強化したいという考えがあったためです。
 ただ、これまでECサイトの構築を一任していた外部のシステムエンジニアの方のスキルと、新しいECプラットフォームに求められるスキルがアンマッチであることが判明し、思ったようにECサイトの改善・強化に取り組めずにいました。
 事業を成長させるにあたって、ECサイトでの新規顧客獲得と売上拡大は喫緊の課題であるものの、解決にむけたスキルやノウハウを持ち合わせている人材は社内にはいません。そこで、社外の力を借りることを検討し始めました。

かねくら株式会社

2)応募状況・決め手

人選は、レスポンスの速さと
話のわかりやすさが決め手。

 特定のECプラットフォームについて知見があること。生鮮食品を扱う当社のビジネスモデルを踏まえて、新規顧客獲得のために現行サイトの改善案を提案してくれること。加えて、最終的には社内のリソースのみで対応できるよう、人材教育も視野に入れて支援してくれること。社外の力を借りるにあたってはこのような希望がありましたが、依頼するにしても、熊本や九州といった特定の地域で探すのが難しいことは明らかです。エリアを絞らずに探そうと意識していたところ、「HiPro」を紹介いただきました。すぐに求人を開始し、最初に面談したHさんに依頼することを即決。十数名からの応募がありましたが、Hさんのレスポンスがとても速かったこと、お話がわかりやすく一緒に取り組んでいけそうだと感じたことが決め手です。
 Hさんに参画いただいたのは10月でしたが、10月からは熊本の野菜が旬を迎える時期であり、当社が販売に力を入れたい時期の一つでした。そのタイミングでプロ人材に支援いただけたことは非常によかったと思います。初めてのプロ人材活用でしたが、人選に迷って時間をかけていたら、結果は違っていたかもしれません。

3)依頼した業務、業務を進める上での工夫

プロ人材に事業の価値や想いを共有し、
信頼関係を深める。

 依頼が決まった後は、まずオンラインでミーティングを実施。その直後に当社のポップアップショップを東京・銀座で開くことになっていたため、そこにお越しいただき、当社で扱うオーガニック野菜やお客様の購買状況などを直に見てもらいました。東京でのポップアップショップは定期的に開催していますが、Hさんはその後も複数回お越しくださり、開催地などを含めたさまざまな意見をいただきました。
 今振り返って大事だったと思うことは、早い段階で「ピュアリィ事業」の価値や私たちの想いを共有できたことです。Hさんには一度熊本に来訪いただきましたが、そのときには会社や実店舗だけでなく、野菜や米を育ててくれている契約農家さんも訪問し、畑を見学したり生産者の声を聞いたりしていただきました。実際に見て聞くことでHさんも心を動かしてくださり、「EC販売だけが伸びればよいというものではない。業務効率化なども念頭に、事業全体を一緒によくしていきましょう!」という言葉をいただきました。こうしたコミュニケーションを通し事業の価値や想いを共有できたことによって、信頼関係がぐっと深まったように思います。

ECサイト構築を外部に任せるのではなく、
自走できる組織を目指す。

 依頼した業務の一つが、現行サイトの見直しとECプラットフォームの機能を使ったカスタマイズです。より見やすく買いやすい商品ページへの改善、自然条件に左右される商品の在庫管理体制の見直し、新たに始める法人顧客用の卸売ページの開設など、課題は山積みでした。それらを一つずつ解決するとともに、最終的には当社の従業員が自分たちで対応できるようになることを目指しました。
 まずHさんは、各担当者から現状をヒアリングし課題点を整理。その課題の状況によって、具体的なアドバイスをくださることもあれば、答えは言わずに書籍など参考資料を提示して自分たちで学ぶようにと促すこともありました。「とにかくECプラットフォームを使い倒してください」と繰り返しおっしゃっていたのが印象的で、その言葉に背中を押されながら、担当者は少しずつできることが増えていったように思います。Hさんが単にアドバイスをするだけでなく、担当者に対し、手を動かし自ら学ぶよう導いてくれたことは、自走できる体制を目指す上で理にかなったことでした。
 加えて、Hさんは実際のお客様と同じように当社のECサイトを使って商品を買い、食べるという一連の流れを体験してくださり、その体験から気づいた改善点を挙げてくれました。一般論ではないリアルなアドバイスはとても新鮮でしたし、もともとお持ちのスキルの共有を超えて、私たちに寄りそってくれました。

4)得られた成果

出荷件数が2倍に伸長。
オペレーションも効率化され繁忙期を乗り越える。

 わかりやすい成果は、ECサイトの出荷件数が2倍に伸びたことです。Hさんの支援のもと野菜や米の旬の時期に合わせてサイトを改善できたこと、ECプラットフォームの拡張機能を使って法人向けの卸しを始められたこと、SNS運用にもアドバイスいただきSNSを介した認知・流入が増えたことなどが、出荷件数伸長の要因になりました。
 一方、受注と出荷が激増したことは、当社のオペレーションにかなり負担がかかったことも事実です。ただ、この点においても、Hさんのアドバイスが功を奏しました。熊本に来訪された際に、在庫管理や出荷管理などについても意見いただいたことで、オペレーションが効率化され、繁忙期を乗り切ることができました。
 加えて、効率よく作業ができるようになったことで生まれた“ゆとり”を使って、「何か新しい工夫ができないか」という声も従業員から挙がるようになりました。過去最大の繫忙期を乗り越えたことが自信につながり、新たなチャレンジを生む好循環が生まれているように感じています。

プロ人材の伴走のもと、
さらなるステップアップを目指す。

 依頼当初はECサイトの改善・強化の支援を想定していましたが、人材教育、オペレーションの改善など、徐々に支援範囲が広がっていきました。熊本に来訪いただいた際に「事業全体をよくしていきましょう」と話してくれたことを、支援を通して本当に形にしてくださっているように思います。
 Hさんにご支援いただいたことで、少しずつ改善が進み、従業員一人ひとりが成長してきています。しかしまだ道半ばです。取り組まなければならないことはたくさんあるため、Hさんとは契約を延長し、これからもステップアップしていく当社の伴走者になってもらいたいと希望しています。

かねくら株式会社