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【数字で見る】注目されるDXの市場規模は?今後予想される変化と課題

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  • 業務の改善や効率化を行いたい
  • 新たな製品やサービスを生み出したい
  • 新規事業の開発に取り組みたい
  • ビジネスモデルを変革したい
  • 顧客満足度を高めたい

テクノロジーの目まぐるしい進歩に対応しながら、これまでの体制を見直し、新しい価値を生み出すために、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が注目されています。しかしDXにおいて、日本企業は海外と比べて大きな後れを取っていることをご存じでしょうか。

本コラムでは、政府の調査結果や先進事例を中心に、DXにおける国内・海外の動向や導入状況、具体的な活用例、DX推進における課題を数字ベースでご紹介します。

DXの市場規模

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DXには、デジタル化を支えるためのICT投資が欠かせません。情報システムの活用やネットワークの構築、関連機器の購入など、必要なものは数多くあります。ICT投資の差が広がっていることは、最新技術のリテラシーを下げ、重要な場面での判断力を鈍らせ、システムをはじめとするIT基盤のレガシー化に気づかない要因にもなり得るでしょう。

その点において、日本と海外の状況はどうなのか。詳しく見ていきましょう。

世界の市場規模

総務省の調査によると、DX先進国として注目を集めるアメリカのICT投資額は、1989年が1476億ドルに対し、2018年で6986憶ドルと、30年の間に約4.7倍も増加しています。2008年から2009年にかけて、リーマンショックで一時的に落ち込んだものの、そこから急速な回復を見せているのが大きな特徴です。

国内の市場規模

日本のICT投資額は、1989年の14.3兆円にはじまり、1997年に20兆円でピークに達し、以降は動きが鈍化します。リーマンショック以降もこの傾向は続き、2018年には15.8兆円まで落ち込むかたちとなりました。アメリカとの差額は4倍以上にも及びます。

ICT投資額そのものは微増傾向にあるものの、DX先進国と比べて大幅な差が生まれています。この投資額の差が、技術進歩に企業の改革スピードが追い付かない、あるいは旧態依然の状態を維持してしまう原因ともいえるでしょう。

さらにICT投資額の差は、ICTインフラの整備だけではなく、先端技術の活用状況にも関わってきます。

出典:令和3年版 情報通信白書(総務省)

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※出典:令和2年 通信利用動向調査 (総務省)

DXを実現するための代表例として挙げられるIoT・AIにおいて、国内での導入率はわずか22.2%です。約7割もの企業がIoT・AI関連のシステムやサービスを導入していない状態にあります。この背景には、ICT投資に割く余裕がない可能性も、少なからず存在するでしょう。

また、日本ではIoTやAI等によるデジタルデータの活用目的において、効率化・業務改善が81.3%と圧倒的な数値になっています。

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※出典:令和2年 通信利用動向調査(総務省)

効率化・業務改善といった手元の問題に意識が集中している分、DXの本来の目的となる「新製品・サービスの創出」「新規事業の創出」「ビジネスモデルの変革」「顧客満足度の向上」がなかなか進まないことは、日本のDXが遅れているとされる理由の1つといえるでしょう。

実際、国内のDX取り組み状況において、総務省の2020年度の調査結果では、約6割の企業が実施していないと回答しています。その中でも中小企業の割合は7割となっており、企業規模で実施や継続の難易度が異なると思われます。

業種別では、ICT技術に精通した情報・通信業(45%)が高い実施率を誇り、次いで商業・流通業(24.5%)、製造業(22.8%)、エネルギー・インフラ(22.6%)、サービス業・その他(15.8%)と続いています。

細かく見ていくと、 医療・福祉(約9%)、運輸業・郵便業(約17%)、宿泊業・飲食サービス業(約16%)、生活関連サービス業・娯楽業(約18%)は取り組みが停滞しており、DX推進に壁があるようです。

出典:令和3年版 情報通信白書(総務省)

実施率の傾向は、DXの目的となるビジネスモデルの改革にも関連性があり、さらには企業競争力においても大きな影響が出ていることが、経産省が選ぶDX銘柄(攻めのIT経営銘柄)にも表れています。

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※出典:DX銘柄2021・2020(経済産業省)、攻めのIT経営銘柄(2019年・2018年・2017年・2016年・2015年)より作成

情報・通信業をはじめ、電気機器・化学・機械などの製造業、小売業、建設業、サービス業、銀行業の取り組みが多く取り上げられており、取り組み内容やROEスコアで高い評価を得ています。どの企業もビジネスモデル等を抜本的に見直し、新たな企業価値を手に入れていることがポイントです。

※参照:令和3年版 情報通信白書(総務省)

今後予想されるDX市場の変化

昨今のDX市場において、特に国内に大きな影響を与えたとされるのが、新型コロナウイルスの存在です。

DX先進国に後れを取っているといわれる日本も、新型コロナウイルスによる社会構造の変化をきっかけに、デジタル化が急速に進んでいます。新型コロナウイルスによる営業利益の変化において、非接触の事業や働き方を取り入れた企業のほうが減少率を抑えられていたことから、全社的な取り組みを行う企業も増えているようです。

もともとDXは、政府がSociety 5.0構想の実現に向けて、AI、IoT、クラウドコンピューティングなどの先端技術を活用し、経済発展と社会的課題解決の両立を目指すことで注目を浴びていました。そんな中、世界的なパンデミックが引き起こした社会構造の変化は、DX市場規模の拡大をさらに加速させたといえるでしょう。サプライチェーンの寸断、オンライン消費の拡大、テレワークの普及といった変化に対応するには、DXへの取り組みが欠かせません。

感染症や自然災害などの予測困難な事象に対する強靭性(レジリエンス)を確保し、持続可能な社会の実現に向けて、政府もデジタル化を強く推進しています。

※参照:令和3年版 情報通信白書(総務省)

各業界で注目されるDX技術

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DXはあらゆる業種に効果がありますが、代表的な技術として注目されているのが、先述したAI、IoT、クラウドコンピューティングです。今回はAI、IoT、クラウドコンピューティングにおいて、各業界での具体的な活用事例をご紹介します。

情報・通信業

ウィズコロナ時代において経済をけん引する情報・通信業においては、各業界の事業を支えるAIやIoTシステムに加えて、クラウドコンピューティングを活用した働き方改革にも力を入れています。

DaaS

働き方をテレワークにシフトするにあたって、最も懸念されるのがセキュリティ対策です。「情報セキュリティの観点から、在宅では一部の業務しかできない」といった課題を解決するため、デスクトップ仮想化の技術を活用し、在宅勤務でもオフィス出社時と同様の業務内容を行える環境構築が進んでいます。

LMS

テレワークによる問題の1つとして挙げられるのが教育面です。社員研修をオンラインでも効率的かつ効果的に行ううえで、LMS(学習管理システム)による教材配信、受講状況、成績などを管理する統合型プラットフォームの開発が進んでいます。勤務体系や階層ごとで複雑化しがちな研修を支えるツールとして活躍が期待されています。

製造業

スマートファクトリー計画の拡大やサービタイゼーションの向上に力を入れている製造業はICT投資にも積極的で、AIやIoTを用いた自動化・省人化が進んでいます。

自動化

画像データで傷や汚れから、計上や組付けの異常をAIに学習させることで、目視検査の自動化を実現しています。従業員のコンディションによる識別制度のムラに加えて、熟練者でないと難しいグレーゾーンの良否判定の対策としても有効です。

また、設備保全の領域でもAI活用は進んでいます。センサー系からビックデータを収集し、AI学習によって予兆を検出することで、設備が壊れるまえにアラートを鳴らし、稼働率の低下を防ぐことに成功しています。

省人化

ソーシャルディスタンスが重要視される時代において、小型で軽量な協働ロボットの価値は徐々に高まっています。単純に作業スペースを確保するだけではなく、従業員の負担や安全性を考慮して、本当に行うべき業務を厳選することで、従業員のエンゲージメント向上にも貢献しています。

金融業

RPAやAI OCRの導入による事務処理の効率化が進められていた金融業では、AIの活用幅が広がっており、不正検知や資産形成においても役立てられています。

不正検知

クレジットカードの利用や、取引、請求などの不正状況をAIが自動検知するシステムが開発されています。従来であれば検知理由が分からない状態でしたが、近年ではホワイトボックス型のAIを活用することで、検知理由を知ることも可能となっています。

対話型AI

CX向上を目的として、FAQ的な役割を持つチャットボットや、金融取引を支援する仮想アシスタントを導入する企業が増えています。対話の精度は年々上がってきており、現在では債券投資に関してアドバイスを行ったり、難解な質問にも的確かつスピーディに回答できるようになっています。

物流業

サプライチェーンの全体最適化を目的としたスマート物流の観点から、AIの分析・識別力やビックデータを活用する企業が増えています。

熟練者の技術継承

倉庫管理や配送計画など、物流業にはベテランの経験則に基づいた判断領域が多く存在し、その判断基準がブラックボックス化していることが問題視されています。この判断領域をAIが担当することによって、過去のデータや現在の情報を分析し、倉庫管理におけるタイミングや導線の見直し、配送計画におけるルート効率やドライバー負担を考慮したうえでの判断ができるようになっています。

ドライブレコーダー

運転に付きまとうリスク回避に対して、AIが運転データを収集・分析することで、危険運転を察知・警告します。また、データを運転研修の改善にも転用することで、将来的な事故リスクの削減につなげます。

DX推進における課題

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DXを支えるAI、IoT、クラウドサービスには、これまでの業務の在り方やビジネスモデルに大きな影響を与えます。総務省の調査結果を見ても、AI・IoT等のシステム・サービス導入に関しては81.1%、クラウドサービスに関しては87.1%の企業が、導入後の効果があったと回答しています。

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※出典:令和2年 通信利用動向調査(総務省)

しかし、先述したようにまだ7割の企業は、AIやIoT、クラウドサービスの効果を実感できておらず、DXにも高いハードルを感じています。デジタルデータの利活用に基づくDX実現には、主に3つの課題があります。

ITリテラシーの不足

DX銘柄からも分かるように、DXへの注力は特定の業種に偏りがあり、ITリテラシーにおける格差が生じていると思われます。特に日本は海外と比べ、7割以上のデジタル人材がベンダー企業に所属しており、ユーザ企業がITリテラシーを確保するうえで大きな課題となっています。

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※出典:令和元年版 情報通信白書(総務省)

このITリテラシーが不足することで、研修制度やキャリアプランなどの柔軟性に大きな差が生まれてしまい、結果的に採用力でも後れを取ってしまう傾向にあります。

もともとデジタル人材は常に減っており、2020年時点で約30万人、2030年には最大で約79万人にまで達する見込みで、デジタル人材を確保する難易度は年々上がっています。

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※出典:IT人材需給に関する調査(経済産業省)

さらにデジタル人材に求められる重点スキルは高度化・複雑化しており、デジタル人材の質を確保するのも大きな課題でしょう。それに伴い、採用すべきデジタル人材の人物像において、必要なスキルを見極めるハードルも高まっているといえます。

これまでDXに取り組んでこなかった企業は、まず外部人材などの活用によって自社のITリテラシーを改善することが大切です。

経営層のコミット不足

ITリテラシーの高いベンダー企業の中には、DXで「新製品・サービスの創出」「新規事業の創出」「ビジネスモデルの変革」「顧客満足度の向上」を実現している企業も増えています。ただ、ユーザ企業にとっては、既存システムの刷新をはじめ、手元の問題が山積みとなっている関係で、DX推進に対して企業内で足並みが揃わないことも多く見受けられます。

このような場合に必要なのが、DXに関する取り組みの主導者の存在です。DXを推進する専門部署やICT関連部署、外部コンサルティング・パートナー企業などの候補から、どこに主導権を与えるのか、あるいは推進のための新組織(新会社など)を設立するかは経営層に求められる重要な判断となります。

特に海外では社長・CIO・CDO等の役員が主導権を持つケースが増えています。デジタル技術だけでなく、経営・ビジネス観点の重要性を明確化したうえで、DXビジョン・ロードマップなどを策定し、推進の責任を担わなければなりません。

既存のレガシーシステムによる妨げ

AI、IoT、クラウドコンピューティングなどを活用するうえで障害となるのが、レガシーシステムの存在です。国内では85.6%の企業がレガシーシステムを抱えているというデータが出ています。

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※出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)を加工して作成

長期使用によって複雑化・老朽化・ブラックボックス化した基幹システムには、運用・保守などの維持コストの高騰に加えて、AI、IoT、クラウド、RPAといった新技術との連携にも制限が生まれます。このような問題をDXレポート内では「2025年の崖」と呼び、年間で最大12兆円の経済損失が出る可能性を示しています。

また、現在はデジタル人材の所属割合においてベンダー企業に依存している企業が多く、社内にノウハウが蓄積しないため、レガシーシステムの存在が結果的にITリテラシーを下げてしまうケースもあるでしょう。

※参照:令和3年版 情報通信白書(総務省)

まとめ

今回は数字データを中心に、DXにおける市場、事例、課題をご紹介しました。

DXによるデジタルデータの利活用は、「新製品・サービスの創出」「新規事業の創出」「ビジネスモデルの変革」「顧客満足度の向上」など、企業競争力を高めるための様々なメリットが存在します。しかし、日本ではITリテラシーや経営層のコミット不足、レガシーシステムによる妨げなどの課題によって、効率化・業務改善といった手元の問題に意識が集中しがちな状態です。

効率化・業務改善はDXのほんの一部分に過ぎません。他社の先進事例や外部人材の知見を取り入れ、ブランド力をはじめとする持続的な無形資産を高め、VUCA時代を生き残るための企業競争力を身に付けましょう

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