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ディープラーニング(深層学習)とは AI・ニューラルネットワークとの違いや実用例を解説

ディープラーニング

ディープラーニングは、画像や音声、テキストをきわめて高い精度で認識することが可能となるため、多くの分野で注目を集めています。しかし、ディープラーニングの概要は理解していても、詳細な仕組みを理解している人は多くないかもしれません。

本コラムではディープラーニングの基本と概念、仕組みについて解説します。また、混同しがちなAI・ニューラルネットワークとの違いのほか、ディープラーニングの活用事例もご紹介します。ディープラーニングに関して理解を深めたい方はぜひ最後までお読みください。

ディープラーニングの基本と概念

ディープラーニング

ディープラーニング(深層学習)は、コンピュータが大量のデータを自動で分析し、データのルールや傾向を抽出する技術です。

ディープラーニングに似た言葉として、AI(人工知能)や機械学習(マシンラーニング)があります。それぞれの概念は、「AI>機械学習>ディープラーニング」という関係で表わせます。

AIに確立された定義はありませんが、令和元年版の情報通信白書ではAIについて「人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術」と伝えています。

引用:「情報通信白書令和元年版」/総務省

そして、機械学習はAIをうまく機能させるための方法です。機械学習は、データから反復学習して特徴をとらえ、学習した結果を法則化。法則を自動化することで、次回以降はその法則に則って作業を進めることが可能です。

ディープラーニングは機械学習の技術の一つ。ディープラーニングは、脳の神経回路を模したニュートラルネットワークを多層に積み重ねることで、学習能力を向上させた手法です。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングは、機械学習の一部であるニューラルネットワークを応用させたものです。ディープラーニングとニューラルネットワークには深い関係があります。

数学モデル「ニューラルネットワーク」との関係

ニューラルネットワークは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模したもので、ニューロンがそれぞれつながり合い、情報をやりとりするという、脳機能の特性をコンピュータ上で表現するためにある数学モデルです。

ニューラルネットワークは入力層、隠れ層(中間層)、出力層の3つから成り立っています。入力層で分析のもとになるデータを入力し、隠れ層で分析、出力層で分析結果を出します。

このニュートラルネットワークのうち、隠れ層を重ね複数所有させたのがディープラーニングです。

ディープラーニング以前に開発された学習方法「パーセプトロン」は、この隠れ層がわずかだったため、簡単な情報処理しかできませんでした。しかし、ディープラーニングは隠れ層を何層も所有することで、複雑で難しい情報処理を実現します。

機械学習・AIとの違い

ディープラーニングは機械学習の一種とみなされますが、その違いは以下の通りです。

  •  特徴量の設定方法の違い
  •  それぞれが占める範囲の違い

機械学習では、分析対象データの予測の手がかりとなる「特徴量」という数値を人間が設定しなければなりません。これに対しディープラーニングは、読み込んだデータのパターンを分類して法則性を発見することで、データから直接「特徴量」を学習できるようになりました。これにより、人間が手作業で入力していた作業の必要がありません。

また、先述の通り、AIはディープラーニングと機械学習を包括する位置づけです。AIは、人間と同様の知能を実現するための技術を指します。ディープラーニングは、AI・機械学習のなかの概念に位置しています。

ディープラーニングの画像認識における活用例

まずは画像認識における活用例です。

顔認証システム

顔認証システムにディープラーニングを活用することで、カメラやスマートフォンの顔認証、登録済みの顔と一致するか否かの判断を可能とした例です。顔認証システムの仕組みは、以下の2つが挙げられます。

  • 2D顔認証方式
  • 3D顔認証方式

2D顔認識方式とは、撮影された画像をもとに目・鼻・口などの位置を抽出し、データベース内の個人情報と比較して一致させることで顔認証をおこなう仕組みです。

3D顔認証方式と比べると精度は低いため、太陽光や照明の影響で認識ができないこともあります。

3D顔認識方式とは、2D顔認証の特徴に加え、赤外線を使った3Dセンサーが顔の凹凸をデータ化し、立体的データとして認識させる方法です。2D顔認証方式より精度は向上していますが、赤外線カメラを搭載した端末に限られます。また現状では、コスト面やカメラの小型化に限界があるといった課題があります。

顔認証システムにディープラーニングを導入することで、セキュリティレベルの維持、不正の抑止につながるなどのメリットがあります。

農業用ロボット

農業用ロボットにもディープラーニングは用いられています。すでに実用化が進んでおり、農作物と雑草を自動で判別するロボットや農薬散布ロボットなどはその一つです。

たとえば日本で開発されたトマト収穫ロボットは、収穫するための「腕」の機能や、トマトが植えられている場所まで移動する「足」の機能のほか、収穫するトマトを見つける「目」となる機能で構成されています。

トマト収穫ロボットの「目」にはカメラが付いており、撮影した画像をディープラーニングによるAI技術を用いて、果実や茎などを識別。AI技術により、果実同士が重なり隠れてしまっていても見つけられます。

農業従事者の高齢化が進むなか、農業にディープラーニングを活用する取り組みは、大きな助けとなることが期待されています。

ディープラーニングの自然言語処理における活用例

次に、自然言語処理の活用例を紹介します。

機械翻訳

ディープラーニングは機械翻訳にも活用されています。

コンピュータを利用した翻訳は古くからあります。最初に使われたのは「ルールベース翻訳」と呼ばれるもので、その後「統計翻訳」という手法が主流になりました。

ディープラーニングの技術を用いた機械翻訳が登場したのは2015年頃からです。ディープラーニングの技術によって、従来の機械翻訳と比べ、制度はめざましく向上。Webサイトや検索サイトはもちろん、さまざまな産業で実用化されています。

ディープラーニングの音声認識における活用例

最後に、音声認識における活用例を2つ解説します。

スマートスピーカー

近年、AI搭載のスマートスピーカーは飛躍的に進歩しており、日常的な使用用途以外にもさまざまな分野で活用されています。例えば福祉・介護業界では、体が不自由な方の生活サポートや情報収集手段として利用されています。

スマートスピーカーに求められるのは、話し手の会話内容の意図を理解して正確な情報を提供することです。ディープラーニングの技術を取り入れることで、スマートスピーカーは音声認識を高速に実施できたり、音声を正しく判別しやすくなったり、より自然な返答もできるようになっています。

コールセンター

従来のコールセンター業務は、会話内容をオペレーターが理解し、対応履歴をシステムに記録していました。しかし、ディープラーニングの音声認識が導入されることによって精度の高い自動書き起こしが可能に。オペレーターが会話に集中できるようになったことで、パフォーマンスが向上し、対応可能件数の増加につながります。

また、近年ではディープラーニングによって顧客の感情分析をする「感情理解」の導入が期待されています。具体的には、顧客の音声の抑揚をチェックし、感情の動きを可視化。実現すれば、電話越しでは認識できない感情の機敏に対応できるようになり、顧客満足度につながるでしょう。

まとめ

ディープラーニングは、コンピュータが大量のデータを自動で分析し、データのルールや傾向を抽出する技術です。

ディープラーニングは主に画像認識、自然言語処理、音声認識に搭載されています。今後さらに活用の幅を広げ、さまざまな場面での利用が期待できるでしょう。ディープラーニングを導入することで、生産性や業務効率の向上も実現できるかもしれません。

本記事を参考にディープラーニングのビジネス活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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