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IT業界の現状や課題|将来性やトレンドを徹底解説

IT業界

IT業界は新技術の登場と各業界での導入が進んでいることから、市場規模は拡大傾向にあります。本コラムでは、IT業界の現状や課題のほか、近年のトレンド、業界全体の将来性も解説します。IT業界について詳しく知りたい方は参考にしてください。

IT業界の基礎知識

IT業界

まずは、IT業界の概要、市場規模について確認しましょう。

IT業界とは

ITはコンピューターやデータ通信に関連する情報技術(Information Technology)を指し、IT業界はITを活用したサービスを提供する業界を指します。

IT業界は業種や業態が複雑化しているため、分類が難しい業界です。どのようなサービスや商品を提供しているか(事業分野)で分けると、主に以下の4つに分類できます。

  • Webサービス
  • SIer(情報処理)
  • パッケージ/プラットフォーム
  • ハードウェア

参考:IT業界ってどんなところ? 職種や企業分類、転職に役立つ業界動向まで解説(doda転職サービス)

国内の市場規模

IT業界は、日本の産業区分で情報通信産業(ICT)に分類されています。令和3年版情報通信白書によると、2019年の情報通信産業の国内生産額(名目GDP)は51.7兆円、2018年から2019年にかけての実質GDP成長率は0.9%です。

この数字は、医療・福祉(2.4%)、対事業所サービス(1.4%)、対個人サービス(1.1%)に次いで4番目に高い成長率です。

※出典:令和3年版情報通信白書 第4章ICT分野の基本データ(総務省)

IT業界の現状

IT業界の市場規模の推移

令和4年版の情報通信白書によれば、日本における民間ICT市場は、2020年度は12兆9,700億円と、前年比0.6%増となりました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響により、特に中堅中小企業を中心に、ICTへの投資を中止・先送りした企業が多かったものの、大企業では計画通りに投資が進められました。また、テレワークの実施・浸透に向けた整備、デジタル化などの必要性を認識した企業によって投資が加速したことが背景にあるとみられています。

市場規模は、2021年度は13兆3,300億円、2022年度は13兆6,400億円、2023年度は13兆8,800億円と予測されており、今後もさらなる成長が見込まれていると理解できます。

出典:令和4年版情報通信白書 第2部 第3章 第1節 ICT産業の動向(総務省)

IT業界の平均年収は高水準

IT業界の平均年収は、他業界よりも高い傾向にあります。

経済産業省が2017年に発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、IT業界の平均年収の目安は以下の通りです。

  • 新人・初心者レベル…437.8万円
  • 中堅レベル…576.0万円
  • チームリーダーレベル…726.1万円

出典:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経済産業省)

なお、2018年に国税庁が発表した民間給与実態統計調査結果を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者の年間平均年収は441万円のため、IT業界の平均年収は高いことがよくわかります。

出典:平成30年分 民間給与実態統計調査(国税庁)

IT業界が抱える課題

市場拡大と高い需要などにより堅調に成長しているIT業界にも課題はあります。ここからはIT業界が抱える課題を見ていきましょう。

人手不足

IT企業が抱える課題で特に大きいのは、人手不足です。

2019年に経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」によれば、IT需要の拡大に伴い、IT人材不足は年々増加すると予測されました。

調査では、2030時点の推定IT人材需給ギャップを予測するにあたり、生産性上昇率を0.7%、IT需要の伸びを低位(1%)・中位(2~5%)・高位(3〜9%)を試算の条件に設定。仮に高位シナリオの経緯を辿る場合、2030年には約79万人のIT人材不足が見込まれるという結果になりました。

引用:IT 人材需給に関する調査(経済産業省)

労働環境の改善

IT業界では、長年にわたり長時間労働が課題とされてきました。

長時間労働の原因の一つとして、開発をチームで行うため作業の進捗や品質の管理が難しく、個人の経験などに依存しやすいというITエンジニアの仕事の特性があります。また、多重下請構造というIT業界特有の受発注の仕組みによるものもあるといわれています。

働く現場が疲弊してしまっている環境はよくありません。市場拡大と共により良い産業を実現するためにも、労働環境の改善は優先事項の一つといえるでしょう。

国際的な市場競争の激化

デジタル分野のビジネスでは、国境や実際の距離などがビジネスにおけるハンディキャップになることはありません。そのため、海外の競合他社の存在を見据えた戦略と競争が求められます。

日本企業は、世界に出る力が弱いといわれています。日本のIT業界は市場が拡大していくと予想されているものの、先を見据えて世界で勝ち抜いていけるだけの力をつけることが課題と考えられるでしょう。

IT業界のトレンドを調査

近年のIT業界でのトレンドを調査しました。具体的な内容をご紹介します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

DXとは、新たなデジタル技術を活用することで、社会や人々の暮らしをよりよい方向へ変革することです。

2020年から新型コロナウイルス感染症が流行したことで、IT化やデジタル技術導入などのDX化が企業や組織で進みました。DX推進のための組織を設ける企業も増え、DX推進を担えるDX人材の獲得が企業にとって急務な課題とされています。

AI(人工知能)

AIの活用は、マーケティングの高度化、製造業の自動化、自動車の自動運転など、さまざまな業界と分野へ広がりを見せています。 AIの事業化では、特にデータサイエンティストやAIプランナーが重宝されており、各社とも好待遇で採用する傾向があります。

IoT(Internet of Things)

IoTは、情報端末以外のモノでもインターネットに接続可能な機能を追加して、より便利に使えるようにすることです。身近なところでは、自ら移動し掃除するお掃除用ロボットがよく知られています。

IoTも、AIと同様にあらゆる分野での活用が進み、さらなる発展も期待されていることから、より人材が求められています。

VR(仮想現実)AR(拡張現実)

VRは、ゴーグルなどの専用デバイスを装着した状態で、画像や音声などコンテンツを流すことにより、あたかも映像内にいるかのような体験を可能にする技術です。

ARは、実在する風景にデジタル情報を重ねて表示する技術です。スマートフォンのカメラを起動するとアニメキャラが画面上に登場するアプリ、建物の見取り図に3Dモデル化した家具などを配置できるコンテンツなどがあります。

5G

5Gは「高速・大容量」「低遅延」「多接続」といった特長をもつ通信システムで、2020年3月に5Gサービスが開始されました。

5Gサービスの開始により、より多くのIoT機器の同時接続が可能になるなど、IoTが生活により深く浸透する時代が到来しました。そのほか、5Gによって自動運転や遠隔医療、VR・ARなどに磨きがかかっていくと予想されています。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

RPAとは、オフィスワークとしてパソコン上で行ってきた業務を、ロボットによって代行・自動化する技術です。

RPAの導入メリットは、単純作業をロボットに任せることにより業務効率化や生産性の向上に加え、人的ミスの抑止、さらには人手不足の解消も期待されています。

RPAはすでに金融業界や流通業界などを始め、あらゆる業界で導入されており、今後さらに普及が加速すると考えられています。

セキュリティ

IT技術の導入が進んだことにより、あらゆる業界で企業はサービス利用者が登録した各種情報を安全に管理する必要が生じました。サイバー攻撃は年々高度化しており、セキュリティ対策は急務といえるでしょう。

セキュリティに関連して、利用者のプライバシー保護も注目を集めています。データトラッキングやスマートフォンによる追跡が一般化したためで、個人のプライバシーを守るため法整備やIT業界全体の自主的な取り組みが待たれています。

X-Tech(クロステック)

X-Techとは、既存ビジネスにIT技術をかけあわせて新たな価値や仕組みを生み出す取り組みや誕生した新製品、サービスのことです。X-Techは、金融業界、農業業界、医療業界、スポーツ業界などで広がりをみせています。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続し、暗号技術を用いて取引履歴を分散的に保管する技術です。ブロックチェーンは、データ改ざんが難しいことに加えて、複数名で同一データを共有することが可能なため、情報の透明性が担保されていることが特長です。主に金融業界での導入が進んでいます。

ブロックチェーンの技術自体は革新的で、将来的には金融分野以外にも、著作権管理、行政手続きなどへの導入が期待されています。

IT業界は今後どうなる

IT業界は今後どのように展開していくのでしょうか。将来性について考えていきます。

IT業界は今後も成長し続ける

AI、5Gなど新しい技術が次々に生まれ、それらの技術はあらゆる業界と分野での導入が進み、DXも加速し続けています。既存技術の応用やブラッシュアップはもちろん、今後、さらなる新技術が開発される可能性も十分あります。

IT業界はこれからも幅広い産業と結び付きながら、成長していくと考えられるでしょう。

需要の変化が起きる

経済産業省が公表した「IT 人材需給に関する調査」では、デジタル技術の発展に伴い新たなIT需要が拡大し、需要の構造に変化が生じるとみています。

AIやIoT、ビッグデータの活用といった最先端技術に対応できるIT人材は需要が供給を上回っていく一方、従来から続くIT需要は中長期的に見れば徐々に市場規模が縮小すると予測。それに伴い、従来型のIT需要に対応する人材需要も減少するとしています。

参考:IT 人材需給に関する調査(経済産業省)

政府の取り組み

2021年、デジタル庁が発足しました。政府・自治体を中心にデジタル化への取り組みが進んでいる状況です。

政府がまとめた「IT戦略の概要〜デジタル強靭化社会の実現に向けて〜」では、民間企業にとどまらず行政や地方自治体でもデジタル化支援を進めること、テレワーク/リモートワークや学校教育、遠隔診療などの実現と円滑化な実施に向けた環境整備について言及しています。また、デジタル化を推進する企業に対する減税措置なども実施しています。

今後も、政府・自治体からのIT需要は高まっていくでしょう。

※出典:IT新戦略の概要〜デジタル強靱化社会の実現に向けて〜(内閣官房IT総合戦略室)

まとめ

世界中でIT化が進むなか、IT業界は今後さらなる発展が期待される市場です。一方、大幅なIT人材不足など、課題も複数抱えています。

IT技術は人々の生活や企業の発展に欠かせないものです。成長産業の動向を、今後も注視してみてはいかがでしょうか。

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