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スキルを循環させ、企業と個人が相乗的に成長する。「HiPro」が掲げる新しい未来のあり方「スキル循環社会」とは

堀尾 正明
元NHKアナウンサー/フリーアナウンサー・キャスター
堀尾 正明氏/鏑木 陽二朗氏

プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」の立ち上げから1周年を迎えた2023年5月25日(木)、事業戦略発表会を開催。

発表会の第一部はHiPro編集長 鏑木 陽二朗が登壇し、1年間サービスを提供する中で見えてきた課題や成長してきた点を振り返りました。また、個人のスキルが固定の場所に留まることなく企業や組織で柔軟に生かされ、個人と企業が相乗的に成長する「スキル循環社会」の実現を目指すこと、そしてその一環として6月からプロ人材のスキルを“ふるさと”に還元(リターン)する「スキルリターン」に取り組むことを発表しました。

第二部ではフリーアナウンサー 堀尾 正明氏をゲストとして迎え、鏑木とのトークセッションを実施。長年日本経済や企業を取材し報道してきた堀尾氏からみた「日本社会と企業の課題」「昨今のはたらき方やスキルに対する意識の変化」や、「HiPro」が掲げる「スキル循環社会」について、意見を交わしました。

「採用=雇用」ではない考え方で、事業の課題を解決する

堀尾 正明氏

――「HiPro」が目指す未来のあり方「スキル循環社会」について、堀尾さんはどのような印象を持たれましたか?

堀尾:日本は、47年後の2070年に人口が約4,000万人減少すると言われています。これは大阪より西のエリアに誰も住まなくなるくらいのインパクトです。生産人口も減少し、人口の4割は高齢者と呼ばれる人になります。そんな社会になるからこそ、鏑木編集長が話されていた「スキル循環社会」という考え方はとても重要になってくるし、これからもっと広がっていくべきだと思いました。そしてこの「スキル循環社会」というネーミングはわかりやすく、誰もが想像しやすいのもいいですね。

鏑木:堀尾さんがおっしゃる人口の減少や高齢化社会の進行という日本が抱える問題は、「HiPro」という事業を立ち上げる際のきっかけにもなりました。すでに顕在化している事業の担い手不足や、事業課題を解決したいのに人手不足で手が打てないという事態、こういったことを解消したいと思ったんです。

――副業やフリーランス人材など、「プロ人材」に対してはどんなイメージがありますか?

堀尾:日本は、まだまだ副業に対して“お手伝い”というイメージの偏見があるのではないでしょうか。企業からしてみたら、片手間でやっている、そんなにエネルギーがあるなら自社に還元してほしい、という考えもありそうです。だからまだまだ、積極的に副業へ取り組む人も少ない。まずはそんなイメージの払拭をしなくてはいけないですよね。

私自身、企業に所属していた時に外部から講師や司会の依頼などもありましたが、その企業の社員としては受けられなかったことが多くありました。このように、副業に対しての企業と個人の意識に乖離があるように感じています。

鏑木:それも課題だと感じています。また、一つの企業にいると、個人は自身が持つスキルの強みに気づけず、副業に挑戦したいけれど手が出ない、副業で何をしたら良いかわからないという人も多いです。例えば、10年間営業職に就いてきたけれど、特別なスキルがないとおっしゃる方がいました。でも、クライアントのニーズに沿った提案力や、データや資料をまとめる力などは、営業をしてきたから得られる専門的なスキルですし、個人の強みになります。それに本人は気づいていないだけ。これに気づかないままだと、自身をプロ人材だと思えないし、企業の中でずっとはたらくしかないと諦めてしまうことになります。一方で、企業側も副業で携わってくれる人に対して“ちょっと手伝ってくれる人”と認識している場合も多く、このギャップは埋めなくてはいけないと思っています。

本来は事業に課題があるなら、雇用にこだわる必要はなくて、採用は課題解決の手段の一つ。雇用以外の手段を広く考える上で「プロ人材」は重要なキーワードになると思っています。

堀尾:地方は人手不足の問題がより顕著ですよね。事業課題を解決できる人材が足りないから余計に閉塞感が出てしまう。地方こそ「プロ人材」をうまく活用できたらと感じています。

副業を通して、リスキリングを実践

鏑木陽二朗氏

――今の日本企業が抱える課題はどんなことがあるとお考えですか?

堀尾:たくさんあると思いますが、特にデジタル化に追いつけない企業が多いというのは大きな課題だと思います。

IMD世界デジタル競争力ランキング(出典:スイスの国際経営開発研究所)によると、日本は63カ国中29位でした。アジアの中でも順位は低く、こういったデータを見ると、日本のDXは世界的にも大きく遅れていると感じています。パーソルキャリアさんにもそういう相談はありませんか?

鏑木:「日本のDXは世界的に遅れている」という課題に気づけていない企業は多いんです。遅れていることが常態化しているという課題を解決するには、DXに精通したプロ人材を迎え、知識や知見を積極的に取り入れていくことが必要です。この分野こそ、自社に合う人を…と雇用で人材を探すよりも、まずは「プロ人材」の視点をスピーディーに取り入れることが重要と考えています。

――昨今、はたらき方に続き、お話しに出ているようなスキルに関する意識の変化も注目されていますが、その中で重要なキーワードにもなる「リスキリング」についてはどのようにとらえていらっしゃいますか?

堀尾:日本は岸田総理もこの「リスキリング」という分野に注力し、5年で1兆円の予算を設けていますね。ただ、調査によると今現在「リスキリングをしている」と答えた人は4%なんです。

鏑木:これは企業がリスキリングに積極的に取り組めていないというのが、数字に出ていると思います。

堀尾:アメリカやヨーロッパは企業全体で取り組んでいるところも多い。日本はどちらかというと個人の意思に委ねられていると感じられますね。

鏑木:副業がリスキリングに繋がるかと問われると、経験のない分野を副業で学びながら身につけるのは、すぐに成果を求められやすい副業では難しいと考えます。

ただ、個人的にリスキリングには二段階あると思っていて、まずは、新たなスキルや知識を生かせるように個人として学び直しをする。そしてその学び直しを通して得た経験や知識を、外部の組織や企業で発揮する。結果、副業というはたらき方を通して、リスキリングが実現しているというケースは大いにあると思っています。

堀尾:言葉を変えれば、「HiPro」は「リスキリング」の機会をも創出していると言えるんですね。なかなか自分で飛び込めない学び直しの機会も、副業をすることで実践も含めて経験できるというのは良いですね。

鏑木:今、副業で活躍している人の多くが、学び直しを通して新たにもう一つ強みを身に付けて、外で活躍している人が多いんです。 自分にどのような強みがあるかわからないと言う相談は多いのですが、「HiPro」では一緒にそこから考えていきましょう、とお伝えしています。

「プロ人材」は地方企業の救世主

堀尾 正明氏/鏑木 陽二朗氏

――ご自身の「スキル循環」についてはどのようにお考えでしょうか?

堀尾:企業では色々な経験を積ませてもらいつつも、外からのオファーに応えづらいという部分がきっかけとなり、はたらくスタイルを変えてきました。今は昔よりも副業が認められる社会にはなりましたが、もっとそれが普通になってほしいという思いはありますね。日本の終身雇用年功序列型のはたらき方、新卒重視型がもっと変わったらいいですよね。

鏑木:私もパーソルキャリアではたらきながら、依頼を受けて外で新規事業を手伝う機会がありました。そういう機会に自分が経験したことや知識を発信していくと、ずれているなと感じたこともありますし、一方でこの部分は通じるんだと感じることもありました。まず外に出て、自分の知識や知見を発信してみることで、自分の武器に気づくことも多いと思います。

――堀尾さんは街おこしなどにも携わっていますが、地方でのプロ人材活用についてどうお考えですか?

堀尾:人口がどんどん減っていくような地域では、自治体が知恵を必死になって搾り出しているという事例がたくさんあります。そういうところでも「HiPro」事業が加わり、もっとデジタル化した取り組みができたら良いなと思いますよね。役所の人にもこの知恵を借りない手はないぞ、と伝えたいですね(笑)

鏑木:ありがとうございます。

都市圏にいる人がリモートなどで副業としてそういった取り組みに関わる人が多くなれば、地方に接続される機会が増えて地方に興味を持ちやすくなる、果てには移住しやすくなる、ということもあるかもしれませんね。

――最後に一言ずつお願いいたします。

堀尾:地域、延いては日本の社会全体を活性化させていくためには「スキル循環」「スキルリターン」はとても重要なことだと感じました。人と人の繋がりを大事にしたこういった取り組みは、特に当事者となる自治体の方には知ってもらいたいと思いました。

鏑木:この1年間いろんな個人や企業の方と話しをしましたが、企業と副業希望者のマッチングが構造的にまだまだいびつだと感じている方も多いです。今回こういった形で皆さんに我々の想いと共に「スキル循環社会」を作っていきたいという事、そして、実現のための「スキルリターン」についてお伝え出来たのは非常に嬉しく思っています。

「スキル循環社会」「スキルリターン」についての各種お問い合わせはこちら

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