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デジタルリスクマネジメントとは?DX時代におけるデジタルリスクの原因と対策

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ビジネスシーンでは、デジタル化やDX化が進んでいます。デジタル化やDXには多くのメリットがあるものの、同時にリスクも存在します。起こり得るリスクにはどのような対策があるのでしょうか。

本コラムでは、デジタルリスクの具体例と発生要因、企業に求められるデジタルリスクマネジメントを解説します。

DXを推進するうえで考えるデジタルリスクとは

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経済産業省では、「DX推進指標」における「DX」を以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

※引用:デジタルガバナンス・コード2.0 (経済産業省)

DX化を念頭においた企業活動が推進されるなかで、デジタルリスクへの理解と対応が求められています。デジタルリスクとは、インターネット利用や業務のデジタル化に伴い発生するビジネス上のリスクのことです。

ITツール、デジタルデバイス、SNSをビジネスシーンで活用する機会が増え、大きなメリットを得られるようになりました。しかし同時に、デジタル化は企業への信頼を損ねかねない事態に進展するようなトラブルのリスクも抱えています。

デジタルリスクは、どの企業にも起こりうる問題です。そのため企業規模や業種を問わず、すべての企業がデジタルリスクについて理解し注意する必要があります。

デジタルリスクが起こる原因

デジタルリスクの発生原因を解説していきます。

サイバー攻撃への対策不足

サイバー攻撃は世界規模で問題視されています。実際に企業や行政機関が外部からのサイバー攻撃の標的となり、被害を含めた事象がニュースになることも少なくありません。

サイバー攻撃にはいくつかの目的がありますが、近年では、金銭に関係する犯罪が目につくようになり、社会的課題として認識されるようになりました。

サイバー攻撃に関連して、セキュリティシステムを軽視する姿勢も同じように問題視されています。セキュリティシステムが盤石でない場合、使用するパソコンのウイルス感染や、機密情報の外部流出につながるおそれがあるためです。

ソーシャルメディアの不適切な使用

今やソーシャルメディアは、企業のマーケティング活動において欠かせないツールとして認識されています。しかし使い方を間違えると、さまざまなリスクにさらされる可能性もあります。その代表例が炎上です。

炎上につながるリスクには、企業全体によるものと従業員によるものが考えられます。

企業による炎上リスクの例は、広報活動時の手法や内容に関する批判、製品・サービスの不備への批判、発生したトラブルに対し不適切な内容の謝罪文の掲載などです。

従業員側に起因する炎上リスクの例は、各種ハラスメントなどの内部告発、公序良俗に反する行動や違法行為など不適切な内容の投稿などが挙げられます。

ITリテラシーの欠如

従業員のITリテラシーの程度も、デジタルリスクの発生に関係しています。

業務で使用するパソコンやソフトをはじめ、デジタルツールの使い方がわからなかったり、正しく活用できなかったりする従業員が多いと、情報漏洩などのデジタルリスクが高まります。

目的の不明確なデジタルトランスフォーメーション

DXを推進する企業は増加傾向にあります。しかし、なかにはDXの意味をあまり理解しないままDX推進に取り組んでいる企業もあるかもしれません。

あくまでもDXは、企業の優位性を上げたり、業務効率化を図ったりするための手段です。自社にとってどのようなメリットがあるのか、またDX化に必要な対応について従業員が理解しないままDXを推進しても、導入したデジタル技術を使いこなせず混乱が生じます。結果的に従業員のパフォーマンス低下や、先述したサイバー攻撃への対策不足などの原因になるとも考えられるでしょう。

デジタルリスクがもたらす企業への影響

ここでは、デジタルリスクが企業にもたらす影響を確認しましょう。

社会的信用の低下

社会的信用の低下には、特に注意が必要です。たとえば企業SNSでは、投稿が予期せぬ炎上につながる恐れがあります。企業SNSに問題のある内容を投稿すると、投稿した内容はまたたく間に拡散され世間に知れ渡り、企業の社会的信用が低下します。

セキュリティ対策のほころびによる情報漏洩なども、同様に社会的信用の低下につながる可能性があるので注意が必要です。

損害賠償請求

サイバー攻撃などが原因で企業の所有する個人情報が外部へ流出すると、損害賠償を被害者側から求められることがあります。

また、サイバー攻撃によって自社システムがダウンし、取引先の業務に支障をきたすような事態にまで進展するようなことがあれば、取引先からも損害賠償請求を求められる可能性もあります。

ビジネスチャンスの喪失

デジタルリスクにより、ビジネスチャンスを失う可能性もあります。たとえば、1日100件の購買があるECサイトがサイバー攻撃によって狙われた結果、閲覧不可能になり、復旧までに1週間かかったとすると、単純計算で商品700件分の売上を逃すことになります。

上記のようなケースがメインの事業で起きた場合には計り知れない損失になり、自社にとっての大切なビジネスチャンスを失いかねません。

このように、デジタルリスクマネジメントが不十分なために起こるさまざまなリスクが、ビジネスチャンスの喪失につながります。

企業が取り組むべきデジタルリスクマネジメント

DXを推進するなら、デジタルリスクを想定した対策は必要です。

ここでは、企業に求められるデジタルリスクマネジメントをお伝えします。

ITリテラシー教育の推進

デジタルリスクマネジメントに取り組むにあたって欠かせないのが、従業員のITリテラシー教育です。従業員のITリテラシーを底上げするためにも、ITリテラシーに関する研修を社内で実施することは大切です。デジタルリスクが招くトラブルや自社の損害について学ぶ機会があれば、従業員は危機意識を高められるでしょう。

また、ITツールやデジタルデバイスの利用にルールを定めることもリスクマネジメントの一例です。たとえば業務で使用するパソコンの持ち出しに関して、持ち出し中に立ち寄る場所や自宅への持ち帰りを報告するようにしたり、上司による許可制を導入したりするなどです。

パソコンやITツールの扱いに慣れていない従業員には、必要に応じてフォローも実施します。デジタルリスクやITリテラシー教育について知識のある人物が社内にいなければ、外部の専門人材を活用して教育体制を強化することも視野に入れましょう。

情報セキュリティ対策

企業の機密情報を外部に流出させないためには、情報セキュリティ対策の見直しも重要です。セキュリティソフトの導入はもちろん、導入後には、セキュリティが正常に維持されているか保証期限の確認や、最新バージョンの内容に更新されているかも定期的に確認してください。保証期限が切れていたり最新バージョンに更新されていたりしないと、セキュリティ環境が十分な状態を維持できず、サイバー攻撃に遭った場合に情報漏洩やウイルス感染などのリスクが高まります。

情報セキュリティ対策の一環として、セキュリティを管理できるシステムの導入も検討しましょう。

SNSガイドラインの作成

企業や従業員のSNSの利用にあたっては、利用する際の指針やルールを定めたガイドラインの作成が重要です。

SNSでやって良いことや駄目なことを明記したり、万が一トラブルが発生した際の対応を定めたりすることは、SNS利用によるリスクを最小限に抑え、企業の信頼を守ることにつながります。

まとめ

デジタルリスクは、社会的信用の低下・損害賠償請求・ビジネスチャンスの喪失など、企業活動に対してダメージを与える要因になります。金銭的な損害だけでなく、企業イメージの低下を招く場合もあることから、デジタルリスクは企業の業績に悪い影響を与え、企業経営そのものを圧迫しかねません。

デジタルリスクを低減するには、セキュリティ対策の整備、従業員を対象にしたITリテラシー教育ならびにSNS利用規定の作成と周知などが必要です。

ぜひ一度自社のデジタルリスクを洗い出し、リスクマネジメントの対策とあわせて考えてみてはいかがでしょうか。

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