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ロジスティクス4.0とは?物流業界の今後はどうなるのかを解説

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これまで物流は、産業革命で登場した蒸気機関車や蒸気船、戦後に普及したフォークリフトなどの物流技術の進歩とともに発展してきました。そして近年では、IoTやAIなどの先進技術による「ロジスティクス4.0」という新たな革新的変化(イノベーション)が起こっています。

ロジスティクスの変革は物流工程を効率化し、人の労働負担を軽減します。ロジスティクス4.0によって今、物流業界はさらなる大きな転換期を迎えているといえるでしょう。

本コラムでは、ロジスティクス4.0によって起きる変化と未来、ロジスティクス4.0に至るまでの歴史や今後について、物流業界への導入事例などを解説します。

ロジスティクス4.0とは

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ロジスティクス4.0は、近年物流業界へ訪れた4回目の革新的変化(イノベーション)を意味します。ロジスティクス4.0は、AIやIoTの活用により、物流業界が直面する人材不足やデジタル化などの課題を解決すると期待されています。

ロジスティクスとは、原材料の調達・生産・保管・出荷・配送までのさまざまな工程を合理化・一元管理することです。調達から消費者の手に届くまでの一連の作業をコントロールすることで、無駄をなくし需要と供給の適正化を図ります。

ロジスティクスと混同されやすい言葉に「物流」があります。物流は輸送や倉庫管理、荷役など「商品を届ける一連の流れ」を指しますが、ロジスティクスは「物流を一元管理すること」であり、物流はロジスティクスの一部といえます。

では、ロジスティクス4.0ではどのようなイノベーションが期待されているのでしょうか。

AI・IoT・ロボティクスによる変化

ロジスティクス4.0でもたらされるイノベーションは、AIやIoT、ロボティクスなど先進テクノロジーによる省人化や標準化です。

物流業界は、輸送・倉庫管理など各工程で人材不足という問題を抱えています。また、近年のネットショッピング普及の拡大によって物流の需要が増加したことで、ロジスティクスは時代に合わせた変化を迫られています。

ロジスティクス4.0では、IoTによるビッグデータ形成やAIによる効果的な分析などの先進技術を導入することで、物流現場の改革に取り組む企業も出てきました。ロボットと協働でピッキングする、システムとカメラを活用して検品の効率を高めるなど、各企業ではさまざまな新しい取り組みが進められています。

ロジスティクス4.0による変化・未来

ロジスティクス4.0がもたらすイノベーションは、省人化と標準化だといわれています。省人化と標準化とは具体的にどのようなことなのでしょうか。

省人化

省人化とは、文字どおり「人を省く」という意味です。特に、ロジスティクス4.0での省人化は、人の判断や操作といった作業の機械化を指します。

たとえばトラックの自動運転やドローンによる配送などが可能になれば、輸送における大幅な人員削減が期待できます。

また、倉庫での荷役作業でも省人化が進むでしょう。これまで、商品を探して運び出すピッキング作業は人手に依存し、多くの人員が必要でした。しかし、倉庫内での運搬や梱包などを担うロボットの導入により、効率化を図る企業が増えています。

標準化

誰が行っても同じ結果や成果をあげられるよう、業務プロセスを最適化することを「標準化」といいます。

ロジスティクス4.0では、在庫や車両などがインターネットにつながり、情報がリアルタイムで共有・蓄積できるようになります。蓄積されたデータをAIで機械学習・分析させるなど、これまで人間の思考に頼っていた部分をデジタルに委ねられるようになれば、判断・業務指示の複雑性を解消し、標準化を図れるでしょう。

具体的には、AIによる需要予測や最適な配送ルートをリアルタイムで導き出すことをできるようになるなどが挙げられます。

ロジスティクス4.0での省人化・標準化は、IT技術の進歩によって操作や判断の領域まで広がりました。機械が部分的に作業を担うのではなく、オペレーションの主体そのものが人から機械へ置き換わる未来が見えてきています。

ロジスティクス4.0に至るまでの歴史

ロジスティクスは産業革命を発端に、「輸送」「荷役」「管理」の順で劇的な変化を遂げてきました。歴史をたどると、時代ごとに効率化が進められてきたことがわかります。

ロジスティクス1.0 輸送の機械化

トラックや鉄道をはじめとしたインフラの整備によって「輸送の機械化」が実現し、陸路の輸送効率は格段に向上しました。 それまでの輸送手段は、馬やラクダなどの動物が引く荷車でした。鉄道の導入により、容量やスピード、安全性など、あらゆる点を飛躍的に向上させることができたのです。

ロジスティクス2.0 荷役の効率化

次に変革を迎えたのは、荷物の積み下ろしや仕分け作業などの「荷役」です。

1950年前後にフォークリフトとパレットが登場して「荷役の効率化」が始まりました。フォークリフトは戦時中に軍需品や食糧の補充など、後方支援に使用されていた機械です。それが戦後、パレットとともに物流の現場で活用されるようになりました。また、ライン生産を大幅に効率化させたベルトコンベアもこの頃に登場しています。

フォークリフトなどの登場は荷役作業の効率化に大きく貢献し、積み込みにかかる時間や必要な人員を現象させました。

ロジスティクス3.0 物流管理のシステム化

1980年代には、コンピュータの普及に伴って「物流管理のシステム化」が始まります。

輸送や荷役は、機械で効率化されていたものの、入出管理や在庫管理に関しては、台帳への記録など人手に頼ったままでした。そこで登場するのがWMS(Warehouse Management System)、いわゆる「倉庫管理システム」です。

各工程の管理をコンピュータに任せることで、効率だけでなく管理の正確さも向上しました。管理・処理業務も電子化するなど、ロジスティクス3.0では幅広い面でデジタル化が進みました。

ロジスティクス4.0に伴う物流業界の今後

ロジスティクス4.0によって、今後さらなる標準化・省人化が進んでいくでしょう。今後物流業界はどのように変化していくのか、考えられる今後について紹介します。

ロジスティクス4.0によってビジネスモデルの変化を求められる

ロジスティクスのイノベーションは、輸送の機械化・荷役の効率化・物流管理のシステム化と変遷してきましたが、これらは現在では常識になりました。ロジスティクス4.0も同様だと考えられます。少子高齢化による人手不足の問題、EC事業の盛り上がりによって物流ニーズが増加するなか、IoTやAIの活用による省人化・標準化は進んでいき、今後常識になっていくでしょう。

物流を手がける企業にとって、ロジスティクス4.0の導入の有無は、今後勝ち残っていけるかどうかを左右すると考えられます。企業は自社の現状を見直し、これまでの労働集約的なビジネスモデルを変えることを求められるでしょう。

ロジスティクス4.0の導入事例

ロジスティクス4.0を実現させるには、それぞれの環境に合わせて技術を取り入れることが大切です。扱う商品の大きさや量、倉庫の規模などの事情が、企業によって異なるためです。現場と協力しながら効率化に取り組む事例を紹介します。

EC業/A社の事例

通販事業を手がけるA社では、倉庫内で棚を運ぶロボットを導入しました。棚の下に入り込み、棚を持ち上げて移動します。床に埋め込まれたバーコードにしたがって走行しますが、システム制御によりロボット同士がぶつかる心配はありません。

移動先は、棚入れ・棚出し担当などの従業員がいる場所です。従業員は同じ場所でロボットが来るのを待ち、商品を登録したり、棚から商品を出し入れしたりします。従業員は倉庫内を動き回る必要がなくなるので労働負担が軽減され、処理量の向上に成功しました。

このように、ロボットにモノを運ばせて人の移動負担を減らす仕組みを、GTP(Goods to Person)といいます。

輸送業/B社の事例

保管・配送を一括して手がけるB社では、AMR(自立走行搬送ロボット)の導入により、ピッキングと倉庫内の商品運搬の分業に成功しました。従業員がピッキングした商品を、ロボットが次のピッキングエリアや梱包エリアまで運びます。

ロボットの導入で気付いたのは、従業員が運搬業務を行っていたときには、大きなロスが発生していたことと、棚に台車をぶつけないようにするなど集中力と時間を割いていたことです。AMRの導入によりロボットが安全に商品を運んでくれるため、従業員はピッキングに集中できるようになりました。

まとめ

ここまで、ロジスティクス4.0の概要やイノベーションの変遷、ロジスティクス4.0の今後や物流業界への導入事例などを解説しました。 機械や技術の進歩により、物流業界は輸送・荷役・管理の面で変革をはたしてきました。ロジスティクス4.0はIoTやAIなどの活用で、さらなる省人化・標準化が進んでいく見込みです。

ロジスティクスをどのように導入するかは、扱う商品や事業規模などによりさまざまでしょう。技術は日々進歩しているため、自社に適したロジスティクス4.0を実現するには、常に新しい情報を追いかけることが大切です。

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