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国も後押しする地方副業。外部人材の活用が、地方創生と日本経済発展のカギとなる

政府が「新しい働き方」の定着を目指して、副業人材の環境整備を行うなど、日本において外部人材活用の普及が進んでいます。こうした取り組みは「首都圏など大都市に限ったこと」と思われがちですが、近年、地方企業においても活用を促す動きが生まれているのをご存知でしょうか。

ここで今回は、地方特化型副業マッチングサービス「Loino」の責任者として、地方副業を推進する鈴木さんに、地方企業の現状や、サービスを通して目指す世界などについてお伺いしました。

都市圏人材と地方企業の、出会いを生み出す

――まずは、地方における副業人材活用の現状を教えてください。

メディアなどを通して「地方副業」という言葉を耳にする機会が増え、少しずつ浸透してきていると思います。また昨今のコロナ禍をきっかけにリモートワークが一般化したことで、地方副業を希望する個人も急速に増えました。それに対して、副業人材を受け入れる企業数も同じように増えているかといえば、そうではありません。増えているものの、個人ほどの伸び率ではないというのが実情だと思います。

――企業の活用がそこまで広がらないのはなぜでしょうか。

正社員雇用や契約社員など「企業が直接人を雇用するのが当たり前」という考えを持たれているのが、一つの背景として挙げられるのではないでしょうか。日本全体も少し前までそうでしたが、地方ではより深く根付いている印象です。

また「話は聞くが自社でどう活用すれば良いか分からない」という企業の声はよく耳にします。月に数回支援してくれる副業人材に対して、どう業務を切り出せばよいのか分からなかったり、ノウハウを得ても現場への落とし込み方に悩んでしまったり、活用イメージがわきにくいようです。

しかし、興味がないというわけではありません。企業側から問い合わせをいただく機会はまだ少ないのですが、私たちから一つひとつ説明させていただくと「それならうちの会社でも活用できそう」という声をいただくことが多くあります。創成期といいますか、これから認知や理解が広まっていく段階なのでしょう。この先、活用事例が少しずつ増えていくと、一気に輪が広がると思っています。

――そもそも「地方副業」はここ最近耳にするようになったと感じます。きっかけがあったのでしょうか。

国が推進する地方創生施策の一つとして「関係人口の創出・拡大」が盛り込まれたことにあると思います。関係人口は「地域に多様な形で関わる人々」を指しますが、その具体策として、副業をはじめとする外部人材の活用推進を挙げたことが大きなきっかけでした。弊社では10年程前から外部人材活用サービスを展開してきましたが、こうした国の動きに後押しされたこともあり、2021年より地方副業に特化したサービスも展開しています。

――どのようなサービスか教えていただけますか。

地方特化型副業マッチングサービスの「Loino(ロイノ)」です。地方の中小企業の多くは、事業成長のために新たな取り組みを行いたくても「ノウハウがない」、「人材が不足している」といった悩みを抱えています。また、地方副業に興味をもつ都市圏の人材は多く、昨今のコロナ禍でリモートワークが一般化されたことにより、その勢いは増し続けています。課題を抱えた地方の中小企業、そして地方副業にチャレンジしたい個人、その両方に最大限の機会提供を行うべく、サービスが誕生しました。

――企業の課題解決だけではなく、個人にも寄り添ったサービスなんですね。

以前Loinoに登録されている個人の方に、アンケートで副業をはじめた理由を伺ったのですが、一番多かった回答が「地方に貢献したい、地方創生に関わりたい」というものでした。地方出身者はもちろん、都市圏で生まれ育った方のなかにも地方の仕事に興味がある方はたくさんいます。とはいえ、転職して地方で働くのは、生活をがらりと変えなければならず相当勇気がいりますよね。Loinoでは、個人に対して副業という手段で地方に貢献する機会を提供し、この先のキャリアを考える支援をしたいと思っています。

地方で活躍する副業人材が増えることは、活用する企業の数も増えるということ。都市圏の人材と地方企業をマッチングさせるサービスは、まさに国が目指す“関係人口創出”の本筋を進んでいると考えています。

企業の想像を超える、副業希望者の熱量

鈴木健一さん

――「地方副業は創成期」というお話がありました。先んじて活用されている企業からは、どのような声が届いていますか。

弊社サービスをご利用いただいた企業では、おおむね良い成果を得られていると認識しています。先ほどお伝えした通り、募集前は「活用イメージがわかない」と思われがちですが、募集から活用までフェーズを追うごとに、ポジティブな印象に変容されることが多いです。

――どのように変容していくのでしょうか。

まず募集の段階ですが、Loinoであれば一つの案件につき相当数からの応募があります。募集企業の皆さんが想像する以上にハイスキル・幅広い経歴をお持ちの方が「ぜひ任せてほしい」とアピールしてきますので、書類選考の時点で「良い方が多すぎて、どう選んだらいいかわからない」と驚かれる企業は少なくありません。

その後、悩みながらどうにか数人に絞っていただき、面談を実施しますが、面談の場では課題の解決策について副業希望者からプレゼンされるケースが多いようです。副業希望者のほとんどが「地方副業をぜひやってみたい」という強い気持ちを持っており、どのようにアピールすればその案件を担当できるかを真剣に考えて面談に臨んでくれます。最初は半信半疑で活用を検討していた企業も「こんなに良い方がきてくれるなら」と一気に意向が上がり、契約されるケースを何度も拝見してきました。

実際に業務が始まってからも、個人の熱量が衰えることはありません。そのため、企業側も想像以上の成果を得られているようです。案件数より副業希望者の方が多いという現在のマーケット構造による影響もありますが、一度経験すれば、副業人材活用の魅力を感じていただける可能性は高いと考えています。

――企業の課題解決には、新規雇用やコンサルティング会社の支援など、手段は多岐にわたると思います。副業をはじめ外部人材活用ならではのメリットはなんでしょうか。

外部人材の方々は、これまで第一線で活躍されてきた方です。だからこそ、単にアドバイスをするに留まらず、伴走者として、企業と一緒に課題解決に取り組んでくださいます。実際に同様の課題に取り組んだことがあるなど、高い経験値をもつ方が失敗談も含めて教えてくれるというのは、活用の醍醐味であり、大きなメリットだと考えています。

――実際に経験した方に伴走いただけるのは、支援を受ける企業にとっても、納得感・安心感がありそうですね。

中小企業が直面している課題の多くは、既に別の企業にて同様の課題を乗り越えた経験を持っている可能性があります。そのため経験者をつれてくるのが最もスピーディな解決方法ですが、経験者を正社員で見つけるのは容易ではありません。だからこそ、課題に応じてスポットで経験者を探せる外部人材の活用は、企業にとって有効的なのではないでしょうか。

――ありがとうございます。より効果的に活用するために、企業に意識してほしいことはありますか。

募集するにあたって、自社の課題を整理するのは大切です。しかしその一方で、解決策まで要件定義しすぎないことも重要だと考えています。というのも、先ほどお伝えした通り、面談では副業希望者から提案を受けるケースが往々にしてあります。企業側で解決策を要件定義しすぎてしまうと、先入観が生まれ、より良い解決策と出会う機会を狭めてしまうかもしれません。だからこそ企業には、できるだけフラットな状態で面談に臨んでいただきたいんです。

――要件定義しすぎないことは、副業希望者にもメリットがありますか?

そうですね。要件にある程度の余白があると、さまざまな経験をもつ人材が応募できますし、提案も多様な切り口でできると思います。だからこそ企業には、ぜひ要件を固めすぎずに募集してみることをおすすめしたいですね。

外部人材活用で、日本経済の発展を支える

鈴木健一さん

――地方副業をはじめ外部人材の活用を広めていくことで、どのような世界を目指していますか。

日本では労働人口が減少に転じており、この先さらに拡大していくと予想されています。これまで企業は雇用で労働力を確保していましたが、今後雇用だけでは限界が訪れるでしょう。労働人口が減少する状況においても日本経済を発展させ続けるために、サービスを通して副業をはじめ外部人材活用が普遍化した世界を目指したいと考えています。

――企業は人材確保の新たな策を講じる必要がありますね。

これまでのやり方を変えることは容易ではありませんし、もちろん雇用で補えるところは今のままで構いません。しかしながら、企業が課題に合わせて複合的に解決できる手段を得るためにも、外部人材活用に対して、できるところから着手していく必要があると考えています。

地方に関しては、まだ活用のきっかけをつくるフェーズです。しかし、一人目、二人目と良い成果を得られれば、外部人材活用に対してポジティブな印象を持つ企業が増えるのではないでしょうか。

そのためにも、我々は外部人材活用の必要性を発信し続ける必要がありますし、活用したいと思っていただけるような満足度の高いサービスを生み出していきたいですね。

取材後記
地方においては、今後全国に先駆けて、急速な労働人口減少が予想されています。また、労働人口の高齢化も進んでいるため、地方企業における人材確保の変革は待ったなしの状態といえるでしょう。外部人材の受け入れ体制整備など模索している部分もありますが、まずは一歩踏み出すことが重要であり、その積み重ねが日本経済の発展につながっていくのだと感じました。
and HiPro編集部
パーソルキャリア株式会社
and HiPro(アンドハイプロ)は、「『はたらく』選択肢を増やし、多様な社会を目指す」メディアです。雇用によらないはたらき方、外部人材活用を実践している個人・企業のインタビューや、対談コンテンツなどを通じて、個人・企業が一歩踏み出すきっかけとなる情報を発信してまいります。

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