リファラル採用とは?メリット・デメリットと成功に向けた注意点
リファラル採用は、業種問わず、現在多くの企業が取り組んでいる採用手法です。
リファラル採用におけるメリットが市場で浸透してきたこともあり、今後もリファラル採用に注力する企業の増加が見込まれています。
本コラムでは現在リファラル採用の導入を検討している、または導入を予定している企業担当者に向け、基本的な用語解説からはじまり、メリットやデメリット、成功に向けた注意点などにつき、詳しく解説します。
リファラル採用とは
概要
Referral(リファラル)は紹介や推薦を意味する英単語であり、リファラル採用とは、企業が自社の社員に対し、募集求人にマッチする人材を知人や友人を介して紹介してもらう採用手法を指します。
企業の特徴や魅力を理解した自社社員による紹介であることから、企業とのマッチング率を高められる点が、リファラル採用の大きな特徴です。また、人材会社への依頼や求人広告に掲載することなく、自社採用で人材を確保できるため、採用コストの低減化にも寄与します。
企業にとって多くのメリットが期待できることから、リファラル採用は現在、幅広い業種で導入が進んでいます。
注目を集める背景
リファラル採用が注目を集めている主な背景につき、以下に解説します。
自社採用力の強化
パーソル総合研究所と中央大学の共同レポート(※1)によると、少子高齢化などに伴う、労働力人口の減少により、2030年には約644万人の労働力不足が予測されています。人材獲得競争が厳しさを増す中、新卒・中途採用などをはじめとする、既存の採用手法だけでは人材確保が難しい状況に多くの企業が直面しているのです。
このような問題に対処するためには、新たな採用チャネルの開拓および、自社採用力の強化が不可欠であることから、転職潜在層に効果的にアプローチができるリファラル採用に市場の注目が集まるようになりました。
早期離職の低減
リファラル採用では、候補者は会社の魅力や社風、業務内容についての詳細を現場で働く社員から聞きことができ、充分に理解した上で入社を決定できます。これにより、企業は入社後のミスマッチによる早期離職の低減化を図れます。
社員定着率の向上を期待できる採用手法である点も、リファラル採用が注目を集めるようになった背景の一つとして考えられています。
※1出典: 「労働市場の未来推計2030」(パーソル総合研究所・中央大学)
企業が負担するリファラル採用の費用(新卒・中途採用との違い)
リファラル採用では、新卒・中途採用とは異なる費用が発生します。リファラル採用にかかる主な費用について、以下にご紹介します。
紹介者に対する報酬費用
紹介者に対し、インセンティブとして支払う報酬費用は企業によりさまざまで、金額は募集職種や採用難易度などよって変動するのが一般的とされています。報酬金額をあまりに高く設定した場合、報酬目当ての紹介が増える恐れがあるため、適切な金額に設定するようにしましょう。
また、採用決定時ではなく、応募段階でインセンティブを設定するなど、報酬の支給タイミングは企業によって異なります。金銭の代わりに、ソーシャルギフトや自社サービスの割引券などを報酬として支給するケースもあり、自社に適した制度設計の構築を目指しましょう。
リファラル採用ツール・サービスの利用料金
リファラル採用に特化したツールや外部サービスの利用を通して、リファラル採用を効率的に推進できます。利用料金は、ツールやサービス毎に異なるため、自社の導入目的や課題に適したものを選択しましょう。
会合などの採用費用
ランチやディナー代など、紹介者と候補者の会合時の必要経費を会社が支給することで、紹介者の金銭面の負担を軽減し、友人・知人に声をかけやすい仕組みを構築できます。併せて、会合場所までの公共交通機関の移動代金の補助も企業側が負担すれば、紹介者のハードルは一段と下がるでしょう。
しかし、会合自体が目的にならないよう、事前のルールづくりは不可欠です。ルールの一例として、リファラル採用における月内の会合回数に制限を設けるなどがあります。
リファラル採用における制度上のメリット
リファラル採用のメリットにつき、代表的なものを以下にご紹介します。
採用コストを抑えることができる
企業がリファラル採用を導入した場合、有料の転職エージェントや転職サイトを介すことなく人材を確保できるため、採用コストを抑えることができる点はメリットの一つです。また、多くの候補者を選考し、面接日程の調整などに要する人的工数も削減できるため、リファラル採用は企業にとって費用対効果の高い採用手法だといわれています。
転職潜在層にアプローチを図れる
リファラル採用では、自社の社員が一緒に働きたいと考える友人・知人に声がけをするため、転職意向がない人材も候補に挙がります。転職エージェントや転職サイトに登録していない転職潜在層に対して、いち早く自社の魅力を訴求でき、効率的にアプローチを図れる点も、リファラル採用制度を導入する大きなメリットです。
採用のミスマッチを防げる
リファラル採用の候補者は、自社の特徴や魅力を十分に理解している自社社員によるフィルターを事前に通過しているため、求人ポジションとのマッチング精度が高まる傾向にあります。また、信頼の置ける友人・知人から予め会社の風土や業務内容、福利厚生制度などの詳細についての説明を受けているため、入社後に理想と現実とのギャップが起こりにくく、採用のミスマッチ防止も期待できます。
リファラル採用における制度上のデメリット
リファラル採用は、何もメリットばかりではありません。社員の人間関係に頼る採用手法であることから、いくつかデメリットもあるため、予め理解しておきましょう。
候補者の偏りがある
リファラル採用では制度の特性上、紹介者と価値観が合い、仲の良い友人・知人が候補者として挙がりやすいため、似たような人材が集まる傾向にあります。転職サイトやエージェントを活用する場合と比べ、候補者に偏りが発生しやすくなる点は、企業にとってデメリットだといえるでしょう。
採用までに時間がかかる
自社社員の紹介に頼るリファラル採用は、一般的に短期間での人材確保に不向きな採用手法だといわれています。なぜなら候補者に転職意向がない場合、応募の意思を獲得するまでに多くの時間を要するためです。そのため募集求人に関し、採用時期が明確に決まっている、または急募である場合は、転職エージェントや転職サイトを主軸にした方が得策でしょう。
大量採用が難しい
一人の社員が声がけできる人数には限りがあるため、大量採用には向いていない点も、リファラル採用における制度上のデメリットです。大人数を採用しなければならないケースでは、他の採用手法を選択することをおすすめします。
リファラル採用成功に向けた注意点
リファラル採用を成功させるためには、具体的にどのような点に注意し、推進した方が良いのでしょうか。以下にリファラル採用成功に向けた注意点を2つご紹介します。
採用の仕組みづくりが重要
リファラル採用の成功には、紹介時において、自社社員の負担を軽減する仕組みづくりが必要になります。なぜなら、紹介から採用までのプロセスが複雑かつ分かりにくい場合、友人・知人に紹介すること自体が困難になり、自社社員の負担が増し、リファラル採用の制度が社内で浸透しない恐れがあるためです。
そのためリファラル採用の実施時には、採用条件や応募方法を予め社員に公開し、採用までの流れを簡素化するなど、円滑に採用を図れる仕組みづくりを構築しましょう。
継続的な認知施策が不可欠
事前にリファラル採用における制度を整備し、紹介しやすい仕組みを構築したところで、自社社員に制度の存在が認知されなければ意味を成しません。実際に求人が必要なケースが発生した際に、多くの社員にリファラル採用の制度を活用してもらえるよう、社内向けのメールマガジンなどを通して、定期的な周知を図るようにしましょう。
リファラル採用のまとめ
人材確保に行き詰まりを感じている場合、求める人材が自社社員の身近にいる可能性があります。
現在、リファラル採用に特化したツールや外部サービスが数多く市場にリリースされているため、自社でノウハウやデータの蓄積がなくとも、早期にリファラル採用の仕組みを構築することは可能です。
貴社におかれましても、低コストで転職潜在層とコンタクトを図れるリファラル採用の導入を、積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
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