副業でフリーランスという働き方のメリットや注意点、はじめ方について解説
働き方にも多様性が広がる昨今、会社員として働きながら、フリーランスとして別の仕事を引き受ける「副業フリーランス」が注目を集めています。
当コラムでは、副業フリーランスとして働くメリットや、働くうえでの注意点などをまとめています。副業をはじめたいと考える方の一助となれば幸いです。
フリーランスとは?
フリーランスの定義
フリーランスとは、会社や団体などの特定の組織に属さず、個人として契約のうえ専門知識やスキルを提供し、対価を得る就労形態を指します。
副業フリーランスとは?
副業フリーランスとは、企業に雇用されつつ、業務外の時間を活用しフリーランスとして活動する形態を指します。一般的に、会社員が副業する場合は、当形態だといえます。
副業を解禁する企業は増加傾向
2021年にパーソル総合研究所が発表した副業に関するデータ(※)によると、副業を解禁している企業は55%と発表されています。この数字は、前回2018年の調査時より、3.8%増加しているとのことです。
またあわせて、副業フリーランスを受け入れる企業の割合も公表されています。当データでは、副業者(他社で雇用されている人材)を現在受け入れている企業は23.9%、また「現在受け入れていないが、受け入れる意向がある企業」も23.9%とされており、両項目を合計すると47.8%。副業者の受け入れに前向きな姿勢を示す企業が半数近くを占めていることが分かります。
(※副業に関する調査結果(企業編)/パーソル総合研究所)
フリーランスとして副業するメリット
収入が増える
本業以外の収入導線が増えるため、単純計算で、副業フリーランスとして活躍した分の収入が増えることとなります。また、本業にプラスアルファとなるスキルアップや経験を得ることで、本業の成果が向上した場合、間接的に本業での評価にもつながるといえます。
知識が増え、スキルアップできる
副業フリーランスとして活躍するうえでは、本業から派生した領域で副業を行うことが一般的ですが、派生先での経験から新たなスキルが身につくこともあります。たとえば本業以外の業界で活躍するのであれば、その業界ならではの知見を得られるでしょう。
また、副業でもフリーランスとして活躍するのであれば、案件を獲得するための営業や、副業に伴う事務作業なども自分で行う必要があります。必然とビジネススキル・経験を積むことも可能です。
節税効果を期待できる
フリーランスの場合、業務で使ったお金を経費にすることができるため、節税効果も図れます。たとえば、案件を行うために必要な購入書籍やタブレットなどといった仕事用具、業務を行うために不可欠なインターネットなどの通信費も、経費として収入から差し引くことが可能となります。
時間を有効活用できる
空いている時間で収入を生み出したり、スキルを得られるため、時間を有効活用できるともいえます。昨今では30分や1時間程度の短時間でも副業できる案件が増えており、スキマ時間を有益な時間にすることも可能です。
独立・起業の基盤になる
副業フリーランスでは、収入増加や経営視点が身につく分、独立や起業のための基盤を築けるといえます。
いきなり経験や人脈がゼロの状態から個人事業主として独立すると、安定軌道に乗せるまでに一定の時間が必要です。しかし、副業フリーランスは会社員として安定収入を得ながらフリーランスとしての経験を積めるため、収入面の不安なく独立のために必要な要素を身に着けられるメリットがあるといえるでしょう。
フリーランスで副業するときの注意点
確定申告を自分で行う必要がある
基本的には、会社員であれば確定申告をする必要はありません。ただし、本業以外で年20万円を超える収入を得た場合は、確定申告を行う必要があるため注意が必要です。
本業を第一に考える
副業を解禁している企業は、あくまでも重要なのは本業であることを前提に、副業を容認することが一般的です。副業の方に本業以上のリソースを割いてしまった場合、本業でのパフォーマンスが低下し損失となってしまうためです。
あくまでも副業はサブとしての活動であることを念頭に置いておくとともに、本業と副業の注力バランスが逆転しないよう注意が必要です。
仕事の管理は自己責任
何らかのトラブルや不調によって、仕事が進捗通りに進まない場合でも、自分で収拾をつけなければなりません。たとえば体調不良となった時、会社であれば、他メンバーへの代理対応を依頼し休むことができますが、副業フリーランスの場合は自分で事情説明から納期交渉を行う必要があります。
副業フリーランスの働き方の例
1回きりのスポット案件を受ける
いわゆる単発の案件(1回の請負で完結する案件)を指します。コンスタントに携わる案件と異なり、スケジュールに融通が利きやすいメリットがありますが、内容がシンプルであることが多く、報酬額も控えめとなりやすい傾向にあります。
週1.2回空いた時間のみの仕事を受ける
コンスタントに稼働する案件の中でも、週の内1.2日を利用し作業を行うスタイルです。休日などを稼働日に充てられれば、本業とのすみ分けを行ったまま、空き時間を有効活用できます。
平日夜や土日を活用し、コミットする
本業の就業後、副業に時間を割くスタイルです。就業後にも仕事を行うことになるため、本業に影響が出ないよう注意する必要がある一方、クライアントと長期的に契約を結ぶことが多く、安定収入を得やすいスタイルともいえます。
副業フリーランスにおすすめの職種
副業フリーランスに向いている職種の傾向として、デバイスとネットワーク環境があれば成立する職種が挙げられます。当項では、該当職種の一例をご紹介します。
ITエンジニア
ITエンジニアは需要が高いことから案件も多く、副業フリーランス向きの職種だといえます。独学からでもスタートを切りやすく、簡易的な案件であれば、数ヶ月程度の勉強で引き受けられる人も多いようです。
ライター
Webサイトやサービスにおける、コンテンツの文章制作が該当します。一口にライティングといっても、SEOのための記事から、インタビューを伴う記事までさまざまです。専門知識を必要とせず、構成の指定がある案件や、ライティングのマニュアルが整備されている案件であれば、比較的初心者でも引き受けやすい案件といえます。
編集者
こちらは、先ほどのWebサイト・サービスコンテンツのディレクション側に立つポジションです。コンテンツの構成や内容、コンセプトを決めることとなるため、特定の専門知識を有していたり、編集経験を積んでいる方がスムーズに推進できるでしょう。
デザイナー
デザインには、Webサイト・サービスの印象に直接寄与するグラフィックデザインや、実用性を追及するUI/UXデザイン、異なるデバイスでの利用を想定し表示を検討するレスポンシブWebデザインなどの種類があります。これらの案件は、デザインやマーケティングなどの専門スキル・知識が求められるケースが一般的です。
動画クリエイター
昨今はYouTubeをはじめとする、動画を活用したプロモーションの人気が高まっており、動画制作・編集を担うクリエイターの存在は需要が高まっているといえます。あわせて動画制作のみならず、動画間で放映される動画広告などの案件もあります。
会社員のままフリーランスで副業するときのポイント
就業規則の確認・会社へ副業する旨を報告をする
法律上では会社への報告義務はありません。しかし、就業規則に副業の認可や、副業の範囲について記載がなされている場合があります。仮に禁止されていた場合、違反するとペナルティを受ける可能性があります。
また仮に規定通りに行っていても、報告せず活動した場合、万が一副業が発覚した際の心象はあまりよいものとはいえません。リスクヘッジのためにも、会社に報告しておく方が賢明です。「副業を行うことでスキルが身につく」など、副業によって本業に還元される点を抑えて伝えておくとよいでしょう。
開業届を提出する
副業による収入の場合、一般的に雑所得として分類されます。しかし、継続的に行われる案件の場合、事業所得として認識される場合もあります。この場合は「開業届」の提出が必要になります。
青色申告の申請をする
先項における「事業所得」として認められる場合、青色申告の申請が可能となります。青色申告の場合、確定申告における特別控除などの優遇措置が受けられます。
請求書と領収書を保存する
確定申告の際に、直接領収書や請求書を提出する義務はありません。しかし、税務調査などの際には経費計上の証明として役割を発揮するため、保存は必須といえます。また確定申告を終えた後も、7年間保管することが義務づけられています。
帳簿を作成する
「帳簿」は、正規の簿記の原則に従い、記帳を行うことが求められています。市販の会計ソフトを利用することで、簡単かつ負担なく記帳が可能です。
(参照:国税庁ホームページ)
副業の案件を探す方法
クラウドソーシング
クライアントとフリーランスのマッチングサービスを指します。クライアントは不特定多数の人に公募型で依頼先を募り、フリーランサーは応募する形で依頼を受けます。
とりわけ大型のクラウドソーシングサービスでは、案件の母数そのものが多く、特にスポットでの案件が割合を占める傾向にあるようです。そのため、未経験からスモールステップで副業をはじめたい方でも、手が届きやすい媒体といえるでしょう。
求人サイト・求人検索サイト
数は少ないですが、フリーランス向けに「業務委託」で募集をかけている企業もあります。求人サイト上での募集の場合、継続的な案件が多い傾向にあるようです。
専門エージェント
クライアントのニーズと、フリーランスのスキルから、適切な案件を第三者であるエージェントがマッチングするサービスです。フリーランス側は仕事探しの工数を削減できるメリットがあります。また、自分のレベルにあわせて適切な経験を積むことができ、ゆくゆくは高単価な案件にチャレンジできる(紹介を受ける)メリットもあるといえます。
知人・友人からの紹介
縁故で案件を受ける方法です。地道ではありますが、人脈を広げることで、市場に出回っていない案件受託のチャンスが広がるメリットがあります。
まとめ
少ないリスクで収入減を増やせる副業フリーランスですが、案件の責任はすべて個人で管理することが求められます。とくに未経験の領域で副業をはじめる場合は、小規模の案件からはじめ、成功体験を積み上げていくと堅実でしょう。
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