物流コスト削減のポイントとは?物流コストの内訳などと併せて解説

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有形商材を取り扱う多くの企業にとって、販管費の大部分を占める物流コストの削減を図ることは、重要な経営課題の一つです。

本コラムでは、物流コストとは何かから始まり、内訳やコスト削減に向けたポイントなどについて、詳しく解説します。

物流コストとは?2つの分類

物流コスト削減

物流コストは、「動脈物流コスト」と「静脈物流コスト」の2つに分けられます。それぞれの違いにつき、以下に解説します。

動脈物流コスト

動脈物流コストとは、原材料や商品などを、生産地から消費地まで移動・保管させる際に発生するコストを指します。また、動脈物流コストは、「マクロの物流コスト」と「ミクロの物流コスト」に分類できます。

マクロの物流コスト

国全体での物流コストや国際間の物流コストを指します。

ミクロの物流コスト

荷主企業の物流コストや物流企業の物流コスト、取引企業間の物流コストを指します。

静脈物流コスト

静脈物流コストとは、原材料や商品を返品・返送、回収、リサイクル、廃棄する際に発生するコストを指し、主に以下の4つに分類できます。

返品・返送物流費

原材料や商品を、出荷先から返品・返送する際に発生する費用を指します。

回収物流費

納品の際に使用したパレットやコンテナなどの再利用を目的に、出荷先から資源を回収する際に発生する費用です。

リサイクル物流費

リサイクル対象となっている使用済み商品を、再利用するために要する費用を指します。

廃棄物流費

一般廃棄物や産業廃棄物など、使用済み商品を廃棄する際に発生する費用です。

物流コスト削減が重視される背景

物流コストの削減が重視されている背景として、物流コストが企業経営に与える影響度の高さが挙げられます。

昨今、物流業界の人手不足などによる影響で、物流コストが高騰しやすい状況にあり、当然のことながら、物流コストが高騰した場合、企業経営にとっては大きな負担になります。

また、近年ECショッピングの需要増加に伴い、物流量は増加傾向にあることから、物流の効率化などによる物流コストの削減は、多くの企業で重要な経営課題に位置付けられています。

物流コストの主な内訳

物流コストの主な内訳につき、以下に解説します。

輸送費

輸送費は、商品や荷物を目的地まで配送するためにかかる費用を指し、物流コスト全体の中で多くの比重を占めています。

輸送費には、輸送・配送のためのトラックを利用する上での運賃、車両費用、燃料費、 高速道路料金、駐車場費用、ドライバーの人件費などが該当します。また、トラックの他に、鉄道・航空・船などの利用で計上されたコストも運送費に含まれます。輸送の効率化による輸送費の削減は、物流コストの削減にダイレクトに寄与します。

保管費

保管費とは、商品を取引先に納品するまでの間、品質保持のために商品を一定の場所(倉庫など)に保管する際のコストを指します。保管費には主に、商品を置く倉庫の賃貸費用や自動倉庫の管理費、火災保険などが含まれます。

自社で倉庫を用意する場合と外部に委託する場合では、保管費に大きな差が生じるケースがあるため、物流コストのコスト削減に向け、自社に適した保管方法の選択は欠かせません。

包装・梱包費

包装・梱包費は、商品の包装や梱包にかかるコストを指します。商品の袋詰めやパッキング作業に携わる人件費と併せて、包装資材(ダンボール、粘着テープ、紙など)の費用も、包装・梱包費に含まれます。

パッキング作業の効率化や、より安価な包装資材への切り替えなどを通して、包装・梱包費の削減が期待できます。

荷役費

荷役費は、 商品や荷物の出し入れをする際に、入出庫や運搬、積付け、仕分け、ピッキングなどにかかる費用です。作業量や作業時間により、費用が変動するため、荷役の効率化も物流コストの削減に寄与します。

荷役の効率化に向けた施策例として、WMS(倉庫管理システム)導入による倉庫業務の最適化や、ロケーション管理によるピッキングの効率化などがあります。

物流管理費

物流管理費は、物流システムや情報機器などの導入・運用費用を指します。物流管理費には、通信費用と併せて、事務処理や情報管理にかかる費用なども含まれます。

物流システムの導入は大きな導入効果を期待できる一方、まとまった投資金額が必要になることから、事前の費用対効果の検証が不可欠です。

物流コスト高騰化の要因

昨今、物流コストが高騰化している要因には、なにがあるのでしょうか。考えられる主な要因につき、以下に解説します。

労働力不足による人件費増加

日本における生産年齢人口の減少は現在進行形で加速しており、今後、物業業界で働く労働者の減少も避けられないといわれています。不足する労働力の確保に向け、企業の人件費が増加傾向にある点も、物流コスト上昇の要因の一つです。

物流需要の増加による供給不足

2020年以降の新型コロナウイルスの影響などもあり、ECサイトで商品を購入するユーザーが爆発的に増えた結果、物流需要が増しています。物流需要が年々増加し、供給不足を招いている点も、物流コストが高騰する一因となっています。

ガソリン価格の高騰

ガソリンスタンドで販売される小売価格(ガソリン価格)は原油生産量や為替動向、需要と供給バランスなど、さまざまな要素が絡み合って決定します。また、ガソリン価格は「原油価格+精製費+輸送費+企業利益+税金」の合計であり、原油価格が大きな割合を占めています。

昨今、原油価格の高騰により、ガソリン価格が高騰しているのが現状です。ガソリン価格の高騰は、物流コストの上昇に直結することから、物流業界で深刻な問題になっています。

物流コスト削減のポイント

物流コストが高騰化する中、企業はどのようにして物流コストの削減を図ればよいのでしょうか、以下に、物流コスト削減のポイントを3つご紹介します。

物流拠点の集約によるコスト削減

物流コスト削減の効果的な施策の一つに、物流拠点の集約が挙げられます。拠点が多い分、倉庫の保管費と人件費が増え、拠点間の輸送費も発生するため、拠点数を減らし集約化することで、物流コストの削減が期待できます。

しかし、物流拠点の集約に伴い、拠点間の距離が長くなり運送費や配送時間が増加する場合もあるため、施策を実施する際にはトータル面でのコスト削減が期待できるか、事前の検証が不可欠です。具体的には、「全国への小口配送にかかる費用」と「分散拠点でかかる総合的な費用」、「リードタイムなどの顧客への影響度」を勘案の上、拠点の集約に伴う企業方針を決定しましょう。

物流業務の効率化

物流業務の効率化は、人件費の削減につながるため、効果的なコスト削減施策の一つです。物流業務の効率化には、現場の業務フローを見直し、非効率で無駄な工程を省くことが重要になります。

施策の一例として、ハンディターミナルの活用によるピッキング(商品の取り出し作業)の効率化や、作業員の業務効率アップに向けた作業スペースの配置転換などがあります。

最先端の物流システムの導入

最先端の物流システムの導入を通して、根本的な業務の効率化を図ることも、コスト削減に効果を発揮します。最先端技術を搭載した物流システムでは、膨大なデータを元に効率的な配送計画を短時間で構築するため、人の手を介した配送計画と比べて効率的な商品発送が可能です。

また、物流システムの導入により、入出荷情報や在庫情報をリアルタイムで管理できるようになり、各工程の作業時間やそれによって生み出させる成果についても可視化できます。結果、コスト削減につながる業務改善施策を推進できる点は、企業にとって大きなメリットになるでしょう。

まとめ

物流コストが上昇傾向にある中、さまざまな施策を通し、物流コストの削減を図ることは、多くの企業にとって不可欠な経営課題だといえます。

ぜひ、本コラムを参考に、物流コストについての見直しや改善を図ってみてはいかがでしょうか。

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