PDCAとは?新たな手法であるOODAとの違いも解説
PDCAはビジネスを進めるうえでのフレームワークです。PDCAを活用すると、さまざまな業務を効率的に進められます。
しかし、いざPDCAを実践しようと思っても、「どのように進めればいいかわからない」「ほかのフレームワークとの使い分けを知りたい」と悩む方は多いのではないでしょうか?この記事では、PDCAの効果やメリット、PDCAと似たフレームワークであるOODAとの違いをご紹介します。ビジネスを効率的に進めていきたい方は、ぜひ参考にしてください。
PDCAとは「Plan、Do、Check、Action」の略
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取った言葉です。PDCAを何度も繰り返す流れは、PDCAサイクルとも呼ばれています。
PDCAサイクルは、目標達成に向けて着実に進めていくために利用されるフレームワークで、業務を進めるときに活用すれば、目標を達成しやすくなるでしょう。
PDCAを構成する4つの要素
PDCAは、以下の4つの要素で構成されています。
- Plan
- Do
- Check
- Action
1.Plan
Planとは、目標の設定や必要となるアクションプランを洗い出すプロセスです。アクションプランを立てる際は、以下に記載した5W2Hを意識することがポイントです。
- 誰が
- いつ
- どこで
- 何を
- なぜ
- どのように
- いくらで
例えば、Webマーケティングの一環としてSEO対策に取り組むためのPlanを立てる場合は、以下のように当てはめられます。
誰が | マーケティング部が |
いつ | 翌月から |
どこで | 自社内で |
何を | 自社が運営するオウンドメディアを |
なぜ | PV数の増加のため |
どのように | SEO対策のツールを使って |
いくらで | 100万円以内で |
Planのコツは、数値を使った目標にすることです。目標を具体的にすると、誰が何を実行すべきかが明確になります。これにより、Planを進めていくなかで迷ってしまうケースも少なくなるでしょう。
2.Do
Doとは、Planで計画した目標に向けて施策を実行していくプロセスです。ただし、単純に施策を実行していくだけでは、適切な振り返りができず、施策の良し悪しを評価できません。施策の良し悪しを判断するためにも、指標の設定とデータの記録が重要になります。
3.Check
Checkとは、施策の結果を評価するプロセスです。施策が期待通りの結果を得られたか確認するだけではなく、Doの段階で収集したデータと指標を照らし合わせて、結果に至った要因の分析も同時におこないます。
分析は、失敗の原因に加えて成功の要因も考えることが大切で、分析時は具体的な数値から達成状況を判断します。
4.Action
Actionとは、Checkで実施した分析結果から改善点を明らかにしていくプロセスです。改善点には失敗した原因を解決するための方法だけではなく、成功した要因をさらに強化する施策も含まれます。そのため、必ずしも新たな施策を考える必要はなく、引き続き経過観察をしたり、今の計画に新たな要素を加えたりするのもActionの1つです。
PDCAサイクルでは、以上の4つのプロセスを順番に実行していきます。
PDCAで得られる3つの効果
PDCAサイクルを回すことで、以下3つの効果が得られます。
- 目標を明確化できる
- 課題の解決がしやすくなる
- 段階的に進められる
目標を明確化できる
PDCAサイクルでは、最初のPlanで目標を定めてから、Planに対するDoを実行していきます。目標を明確にすることで、途中でやるべきことを見失うことなく進められます。
目標が不明瞭の場合、なぜ実施しているのかが途中でわからなくなるケースもあるでしょう。その結果、正しい目標を認識できずに業務が進んでしまうため、想定外のものが生まれてしまうリスクがあります。
しっかり目標を定めれば、組織内で共通の認識が持てます。明確になった目標を達成するために、着実に事業を進めていけるでしょう。
課題の解決がしやすくなる
PDCAでは、目標に対するアクションプランを実行したあと、正しい効果が得られたかを評価します。そのなかで、思ったような効果を得られないときは、問題点や改善点を洗い出し、次回以降に活かすことが重要です。
したがって、PDCAを通して課題に対する認識を強く持てるだけではなく、CheckからActionに移るタイミングで課題解決のための改善点が明らかになり、その状態で次のステップへ進んでいけるのです。
事業を段階的に進められる
PDCAでは、Planのなかで目標と同時に、達成のために必要な行動計画も作成していきます。行動計画を定めることで何をすべきかが明確になり、順番に実行していくことで業務は効率的に進むでしょう。
また、やるべきことを決めておけば迷うことなく業務を進めていけるため、よりスピーディーに目標を達成できるはずです。
PDCAが抱える2つの欠点
PDCAには、主に以下2つの欠点があります。
- 形骸化しやすい
- 新しい発想が生まれにくい
形骸化しやすい
PDCAサイクルはフレームワークとして優秀なものの、どこかのプロセスで止まってしまうと、そのまま放置されてしまうケースが多く見られます。なぜなら、PDCAのフェーズの順番が決められているため、順番を飛ばして次のフェーズに移れないためです。
また、最初の頃はプロセスにしたがって進めていたとしても、途中から従業員のモチベーションが低下し、現場にあまり浸透せず、PDCAが活用されない場合もあるでしょう。
新しい発想が生まれにくい
PDCAサイクルは、業務改善を目的としているため、新しい発想が生まれにくい側面もあります。なぜなら、業務改善を目的とする場合、実施している既存の業務を対象にPDCAサイクルを回すため、新しいビジネスや仕組みを検討する必要がないのです。
新しいビジネスや仕組みを検討する際は、後述するOODAフレームワークの活用してみてください。
PDCAサイクルを回すための重要なポイント
PDCAサイクルを回すためには、以下のポイントを意識するのが重要です。
- KPIを明確にする
- 無茶な計画を立てない
- 計画にしたがう
- 実施状況を振り返る
KPIを明確にする
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、目標に対する到達率を数値で把握するための指標を指します。PDCAサイクルでは、KPIを意識した具体的な数値で計画を立てることが重要とされています。
例えば、営業をKPIベースで考えてみます。「去年よりも営業を頑張る」より、「営業成績を1,000万円以上、顧客10人に毎日アポイントをする」の方が、目標としては明確です。達成するために必要なこともわかりやすく、行動しやすくなるでしょう。
無茶な計画を立てない
PDCAサイクルでは、最初に設定するPlanが後のプロセスに影響します。そのため、無茶な計画を立ててしまうと、思ったような効果を得られず、モチベーションの低下につながります。
特に、最初の頃は従業員にやる気が満ちあふれているため、少々無理のある計画でもこなしていけるかもしれません。しかし、継続してPDCAサイクルを回していく場合は、少し余裕のある計画を立てるのがおすすめです。
PDCAの計画にしたがう
Planで立てた計画は、必ずそのとおりに実行していきましょう。なぜなら、事前に立てた計画が成功したか失敗したかの評価ができず、次回以降に活かせないためです。
もし、計画通りに進められないときは、そのときの状況や課題を明確にし、今後の改善につなげることが重要です。
実施状況を振り返る
PDCAサイクルは一度実施して終わるのではなく、定期的に実施状況を振り返ることが大切です。PDCAサイクルのなかに、課題の洗い出しや改善点を導くプロセスはあるものの、日々の業務に追われて振り返りを実施できていないケースが見られます。
業務の実行だけになってしまうと、現状維持のまま進んでしまうため、業務改善や効率化が生まれません。
そのため、PDCAサイクルでは、週次で実施するなど決めて、定期的に振り返る機会を設けるのが効果的です。
PDCAに代わる「OODA」とは
最近では、OODA(ウーダ)と呼ばれるフレームワークも活用されています。OODAとは、Observe(観察)、Orient(仮説構築)、Decide(意思決定)、Action(行動)の頭文字を取った言葉で、4つのプロセスから構成されています。
各プロセスの役割は以下のとおりです。
Observe(観察)
現状の把握をするためにあらゆる視点で観察します。具体的には、業界の現状、競合他社の状況、自社内の状況などです。鮮度の高い情報を集めることで、その後のプロセスである方向付けや行動時に大きな影響を与えます。
Orient(仮説構築)
収集した情報をもとに分析を実施します。ここでは分析によって仮説を導き出し、今後の改善に向けて有効な手立てを絞り込んでいきましょう。また、OODAループが続くと、この工程で過去の判断の誤りにも気づけるようになります。
Decide(意思決定)
分析から導き出した仮説をもとに、今後のアクションプランを決めます。アクションプランは観察で本質的なデータが取れているか、競合優位性を加味した施策になっているかなどによって、結果が変わってくるでしょう。
Action(行動)
アクションプランを実行します。今回のアクションで得られたデータをもとに、次のOODAに取り組みましょう。
PDCAとOODAの違いとは
PDCAは、目標やアクションプランを計画してから進めていきます。そのため、具体的な数値を用いながら、着実に進めていきたいときに効果的です。
一方のOODAは、4つのプロセスをループしていきます。ゼロから計画を立てるPDCAとは異なり、OODAはこれまでの施策をベースに計画を進めるのが特徴です。
さらに、OODAの4プロセスはPDCAよりも短い期間で実行できるため、変化の激しいビジネスに合わせ、臨機応変な対応が求められる際に向いています。
PDCAとOODAはどのように使い分けるのか
PDCAは、新たな企画を立案する際や、施策の結果を重視する際に有効です。KPIなどの判定基準を設定するため、中長期的な施策を実施したい場合にも適しています。
一方のOODAは、試行錯誤を前提とした理論です。そのため、結果の確実性よりも、素早い対応や判断を優先する際に有効とされます。特に担当者レベルで動かしている施策の改善などに適しているでしょう。
まとめ
PDCAサイクルをビジネスに活用することで、効率的に現状の課題を解決できます。ただし、実際にビジネスで活用するには、PDCAサイクルが形骸化しないように従業員のモチベーションを保ち、実施可能な計画を立てることがポイントです。
また、PDCAサイクルは変化の激しい事業には向かず、中長期的な業務改善に効果を発揮するフレームワークです。なので、新規事業でイノベーションを起こしたいときはOODAループを活用するなど、場面に応じて使い分けましょう。
この記事が気に入ったら「シェア」