競合分析とは?効果的なフレームワークや具体的な手順を解説
あらゆる業界に競合他社がいる現代では、似たような商品やサービスに埋もれないようにするため、自社ならではの強みやポジショニングを考える必要があります。そのためには競合分析が重要です。競合分析の方法は世界各地で研究され、フレームワークとして体系化されています。フレームワークを活用することで、競合分析の経験がない方でも市場の全体像を把握し、客観的な自社の強みを見つけられるでしょう。
しかし、フレームワークはただ活用すればよいわけではありません。そこで本記事では、競合分析の効果や役立つフレームワークの使い方、注意点をご紹介します。
競合分析とは?
競合分析は、競合他社の脅威度に加えて、強みや弱みを調べて自社と比較し、自社がどのように優位なポジションを取るか調べることです。どのような市場にも、競合他社がいて、かつ顧客の数が限られています。そのため、顧客を獲得していくには競合他社よりも優れた点を市場に認められる必要があるのです。
近年は技術の進歩も早いため、同じ商品を出していれば企業が発展するとは限りません。競争が激化する現代において、競合よりも優れた商品を開発する、あるいはより良いサービスを提供していかなければ、企業は生き残れないといえます。
そのため、市場にどのような競合他社が存在し、どのくらいの脅威になるのかを知ることは重要です。競合分析はその分析手法として、さまざまなフレームワークが開発されています。
競合分析の3つの目的とは
競合分析は自社の経営戦略やマーケティング施策を立てるために活用されます。正しく競合分析を実施し、自社の優位性を見出せると効果的な戦略を立案できるでしょう。
ここではさらに詳しく競合分析の目的をご紹介します。
自社独自の価値を見つける
競合分析の目的は、競合他社の強みや弱みを分析したうえで自社を振り返り、市場での自社の独自性や存在価値を見出すことにあります。
競合にはない自社ならではの強みを活かすことで、真似しにくい商品やサービスを開発できるでしょう。
市場のトレンドを把握する
競合分析では、競合他社だけでなく、市場の動向や世間の流行も併せて分析します。これにより、自社の強みだけでなく、世間のニーズを加味して商品開発につなげることもできます。インターネットやSNSの発達により顧客のニーズは日々変化するため、素早く対応するためにも、定期的な競合分析、市場調査が重要です。
新規顧客を獲得する
競合分析では顧客の悩みに対して、商品やサービスが提供されていない領域が見つかることがあります。いわゆるブルーオーシャンと呼ばれる領域です。
ブルーオーシャンを見つけ顧客のニーズを満たす商品を開発できれば、企業は大きく成長できます。
競合分析に効果的な7つのフレームワーク
競合分析のフレームワークは多種多様なものが開発され、業界や状況に合わせて使い分けられています。ここでは代表的な競合分析のフレームワークを7つご紹介します。
3C分析
3C分析は3つのCの頭文字をとったフレームワークです。
- Customer(顧客):自社の顧客はどのような人たちか、どのようなニーズがあるか
- Competitor(競合):競合企業が占めているシェアの割合や強み
- Company(自社):自社の強みや顧客からの認知度など
3C分析は上記のように、顧客と競合と自社の3つの視点から分析をするフレームワークです。3つの視点から多角的な分析ができることやシンプルなフレームワークであることから、多くの企業で利用されています。
4C分析
4C分析は、商品が成約されるまでに重要なポイントとなる4つの要素を分析するフレームワークです。
- Customer Value(顧客が感じる価値):商品に顧客がどのような価値を感じるか
- Cost(顧客が払うコスト):商品に顧客が払えるコスト
- Convenience(利便性):商品が顧客に使いやすいものになっているか
- Communication(コミュニケーション):顧客が知りたい情報が正しく届けられているか
4C分析は顧客側の視点に立ち、自社商品を分析するフレームワークです。自社製品が顧客に納得して購入されるように、修正・改善したいときに効果的です。
4P分析
4P分析は商品に注目して分析するフレームワークです。
- Product(製品):商品の性能やデザイン・品質
- Price(価格):販売価格
- Place(流通):商品の販売エリアや流通方法
- Promotion(販促):商品のプロモーション方法
どこで、どの商品を、どのくらいの価格帯で、どのような方法で販売するのかにフォーカスし細かく分析する方法です。商品を販売する際の問題点を発見しやすくなります。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析(5F分析)は、自社の脅威となる5つの要素を分析するフレームワークです。
- 競合
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 新規参入者
- 代替品
上記の項目を洗い出し、それぞれが自社と業界構造に対してどのような影響を与えるか分析します。市場の今後や新規参入を検討する際に有効です。
PEST分析
PEST分析は、以下の4つの視点から外部環境を分析するフレームワークです。
- Political(政治的):法規制や緩和などの政治的な要因
- Economic(経済的):景気やインフレ・デフレなどの経済的な要因
- Society(社会的):人口や世帯数などの社会的な要因
- Technological(技術的):新しい技術や特許などの技術的な要因
自社を取り巻く外部環境を分析し、現在あるいは将来、自社にどのような影響があるかを整理できます。
STP分析
STP分析は、自社商品の市場を分析し、自社がどのような立ち位置に立つべきかを決めるフレームワークです。
- Segmentation:市場を細分化する
- Targeting:ターゲットとする市場を選定する
- Positioning:市場での立ち位置を決める
新しい商品を開発するときにも活用できます。また、競合商品との差別化を考えるときにも効果的です。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の強みと弱みに加えて、市場の動きを分析して経営戦略を考えるときに役立つフレームワークです。
- Strengths:自社の強み
- Weakness:自社の弱み
- Opportunities:市場や社会の変化などで生まれるチャンス
- Threat:自社の脅威となる競合や市場の変化
多角的な視点で分析できるため、多くの場面で役立ちます。SWOT分析の発展形として、クロスSWOT分析があり、より詳細な分析につなげられる点も魅力です。
競合分析をフレームワークで実施するときの手順
ここからは、競合分析の際にフレームワークを活用する一例をご紹介します。
3C分析の活用
まずは3C分析を実施します。3C分析は多角的な視点ながらもシンプルなフレームワークのため、ここからスタートしましょう。
顧客の分析
3C分析は、Customer(顧客)の分析から始めましょう。市場規模や今後の将来性、顧客のニーズや属性を整理します。政治や経済など社会的な影響も調べておくとよいでしょう。
競合の分析
次にCompetitor(競合)の分析をします。
競合がどのような商品を持ち、どのような売上あるいは利益をあげているか分析しましょう。加えて、どのようにして成果をあげているのか予測することも重要です。
例えば、商品の強みや競合の特性、あるいは開発手法や流通ルート、プロモーション方法などに違いがあるかもしれません。競合を分析することで自社の強みを見つけることにもつながるでしょう。
自社の分析
最後にCompany(自社)の分析をします。最初に自社の分析から始めてしまうと、視野が狭くなりがちです。最後に自社の分析をするとよいでしょう。企業理念や現場の売上、商品の市場シェア率、従業員数や設備・資本のリソースなどを整理します。
また、自社と競合他社を比べることで、自社ならではの強みが見つかるかもしれません。市場のニーズとマッチしているかも照らし合わせて、今後の経営戦略の策定に役立てましょう。
SWOT分析の活用
3C分析のあとにSWOT分析を実施します。3C分析で広い視点での分析をしたため、次はより詳細に調べます。
内部環境と外部環境の整理
内部環境である、Strengths(強み)と、Weakness(弱み)を整理します。3C分析で競合比較は済ませているため、その情報をもとに強みと弱みを洗い出していくと効果的です。
クロスSWOT分析で競合との比較
SWOT分析で、自社の強みや弱み、チャンスとなる機会や脅威を整理します。4つの要素を整理し、各要素を組み合わせてさらに詳細に分析します。クロスSWOT分析です。
- 強み×機会:強みを活かして、機会を勝ち取る方法はなにか
- 弱み×機会:弱みを補強しつつ、脅威に対抗する方法はなにか
- 強み×脅威:強みを活かして、脅威にどのように対応するか
- 弱み×脅威:弱みを知りながら、脅威からのダメージをどのようにおさえるか
特に意識したいのは強み×機会です。大きなチャンスであり、競合製品と差別化するポイントにもなります。
戦略の立案
ここまでの分析で、自社を取り巻く環境や、競合の強みや弱み、自社ならではの特性を把握できたはずです。これらの情報をもとに経営戦略やマーケティング施策を考えます。
競合との差別化を意識することも重要ですが、商品は顧客のために作るものです。顧客視点で考えながら、競合とは違う強みをもった経営戦略を考えていきましょう。
競合分析をフレームワークで実施するときの注意点
競合分析のフレームワークを使用する際に、注意しておくべきポイントがあります。
効果的な経営戦略を策定するためにも、本章で紹介する注意点を押さえておきましょう。
必ず行動する
競合分析だけで成果はあがりません。策定した経営戦略やマーケティング施策を実行し、アクションを起こしましょう。
大きな改善点が見つからなかったとしても、細かい改善点がいくつか見つかったはずです。着実にアクションを起こして、優位なポジションを確立していきましょう。
市場の状況をモニタリングする
競合分析を一度実施すれば、その先ずっと同じデータが使えるわけではありません。顧客のニーズは目まぐるしく変化し、ニーズを受けて市場も変化します。競合他社も顧客のニーズに合わせてさまざまな商品を開発し、サービスの改善をします。
競合分析は定期的に実施し、市場をモニタリングすることも重要です。とはいえ、競合分析ばかりに時間をかけるわけにもいかないため、適度な分析を心がけましょう。
データに基づいて判断する
フレームワークを用いた競合分析は、競合を知るためだけのものではありません。顧客や市場の状況、競合の強みをデータや客観的な事実をもとに判断し、次の戦略へと活かすことが目的です。分析したデータを定期的に振り返り、活用していきましょう。
まとめ
競合分析とは自社と同じ市場にいるライバルを分析し、強みや弱みを自社と比較することです。分析結果は経営戦略やマーケティング施策として活用でき、新たな成果を生み出します。
どのような業界、市場にも競合他社がいます。顧客の数は変わらないため、より優位なポジションを獲得しなければなりません。競合分析の方法はフレームワークとしてさまざまな手法が確立されているため、これらを上手に活用し、効率的に分析しましょう。
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